No.661182

真・恋姫無双~Re:道~

ツナまんさん

アンケートご協力ありがとうございました。短編ですが三本続けてどうぞ!

『Re:道』と書いて『リロード』ということで

注:オリキャラ出ます。リメイク作品です

2014-02-07 05:04:33 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1093   閲覧ユーザー数:973

  休章‐閑話弐 『 御遣い達との日々 』

 拠点 華雄√(アンケート個別集計結果1位)

 

「華雄。ウチが言うのもアレやけどほどほどにしといた方がええんとちゃうか?」

「五月蝿い。いいからもう少し付き合え」

楓との試合に負けてからこの日。華雄は霞を連れて酒を煽っていた。楓に負けた事は素直に認めている。だが、多少なりとも華雄が荒れている理由はすこし別の所にある。

「董卓様が観ている前でいきなりやってきた楓にあんなにあっさり負けるなんて…」

と言う事だ。ようするに負けそのものは認めているがその試合の内容に不満があるのだ。

「…もう、それで十五回目やで」

「五月蝿い。霞はまだ和輝といい試合をしていたからいいではないか。私は…あ」

今、私は張遼のことを何と呼んだ?その張遼を見るとニヤニヤと笑っている。

「か~ゆ~う~。今、ウチのこと真名で呼んだやんな?」

「いっ、今のは、そのだな」

「華雄が真名で呼んできた時はウチ等も真名で呼んでええって約束やったなあ?」

「そっ、空耳ではないか?」

「ウチはちゃんと聞いたで?なあ?『鈴蘭』?」

ああ、しまった。まさかこうなるとは思わなかった。そもそも私は自分の真名がそんなに好きではない。こんなガサツで戦うことしかできないような女が『鈴蘭』等と花の名前など可笑しいではないか。だから普段は真名を呼ばない代わりに自分の事も華雄と真名で呼ばないようにしてもらっているというのに。

「うるさい、今のは何かの間違いだ」

「間違いでも呼んだんは事実やろ。なあ?鈴蘭?」

普段、真名で呼び合う機会など無いのでここぞとばかりに真名を連発してくる。御遣いが来てから、厄日だ。

「いらっしゃい!」

「おう、大将!熱燗一本」

「あいよ」

む?誰か来たのか?顔を上げると

「よお」

「おお~和輝やん!」

「たっ、橘!」

嗚呼、これでは本当に厄日ではないか。

「へい。お待ち」

「ありがとさん」

「和輝いけるクチやったんか?」

「まぁ、親父ほどじゃねぇけどな。で、二人は何の話してたんだ?」

「ん~実はな…」

「ちょっ、霞!」

あぁ。またやってしまった。

「珍しいな。華雄が他人を真名で呼ぶなんて」

「むふ~。これで言い逃れできへんな?」

「何の話だ?」

「華雄。鈴蘭の真名の話や」

「なんだ。やっぱ真名持ってんだな」

言いながら和輝は猪口の酒を一気に飲み干す。

うう、せっかく橘達には隠していたのに。まぁ橘は気付いたうえで何も言わずにいただけのようだが。

「ん?なんやえらい素っ気無いやん」

「そんなのは人の勝手だろ。まっ何で真名が無いなんて安い嘘吐いたのかは気になるがな」

「私はあまり自分の真名が好きではない。それだけだ」

「ほう、そりゃまたどうしてだ」

「だって『鈴蘭』だぞ?私には似合わん」

「そうか?」

「へい。熱燗お待ち!」

「おう」

聞きながらも橘は酒を煽る。というかコイツ、いつの間にか三本も空けている。

「自分の名前ならもっと大事にしていいんじゃないのか?」

「お前は鈴蘭の花を知っているのか?私とは似ても似つか―」

「”いつか来る幸福”、”幸福の再来”だったか…」

「は?」

いきなり何を言い出すのだコイツは。

「鈴蘭の花言葉だ。名前ってのはそもそも子に対する親の願いだろ。なら似てる似てないじゃなくそういう意味じゃないのか?」

「願い…だと?」

「おう、俺はそう思うがな」

「ふ~ん。でもそう聞くとええ名前やな」

願いつまり私の両親は私に幸福になれと…なって欲しいとそう願ってこの真名をつけたのか。

「まっ、どう取るかはお前次第だがな」

そう言って橘は席を立とうとする。その前に一つだけ聞きたいことができた。

「なあ、橘。いや、和輝は私の真名をどう思う?」

「ん?綺麗でいい名前だと思うぞ。『鈴蘭』」

「そうか。なら今後は真名で呼んでくれ。そうすれば私も自分の真名をすこしは好きになれそうな気がするから」

「おう。じゃあな。霞、鈴蘭」

最後に真名を呼んで和輝は店を出て行った。その後の酒はなぜか美味く感じた。

 

 

 

 拠点 恋√(アンケート個別集計結果2位)

 

チュン、チュン

 

朝、小鳥のさえずりが聞こえる。でもまだ眠い。

「恋殿~朝ですぞ」

「………」

「れ~ん~ど~の~」

ユサユサ

うるさい。まだ朝になったばかりだからもう少し寝ていたい。

「ちょっ、恋どn…」

無意識に手を伸ばして掴んだものを抱き抱える。うん…すごく安心するし静かになった。

「ねね殿、恋様は起きましたか?…またですか」

また誰か来たっぽい。

「恋様。早く起きなければ朝ごはんに間に合いませんよ」

「…ん、ごはん」

そう聞くとだんだんお腹が減ってきた。

「お目覚めですか?」

「…(コクコク)」

「では、着替えて先に食堂へお向かいください。私はセキト達にご飯を持っていきますので」

そう言って鬼灯が出て行った。そういえば今日は鬼灯と警邏に行くように言われていたのを思い出す。たしか一刀も一緒だと詠が言っていた。

起き上がるとゴロンと何かが転がった。

「ねね?なんで恋の布団で寝てるんだろ?」

寝ているのを起こすのも可哀相だからそのまま寝かしておいてあげよう。それよりもお腹がすいた。

 

 

朝ごはんを食べて鬼灯と一刀と一緒に街にでる。警邏は楽しみだ。いつもは鬼灯とばかりだけど今日は一刀も一緒でいつもより楽しみだ。

 

 

>一刀視点

 

 

「あのー恋さん?鬼灯さん?今、俺達警邏の最中のはずだよね?」

「…(コクコク)」

「そうですけど。どうかしましたか?一刀殿」

「うん、自覚してるならいいんだけどさどうも俺には警邏というより食べ歩きしてるようにしか見えなくて」

「?恋、今は座ってる」

いつもと同じように道行くお店でおすそ分けしてもらった食べ物を店先の椅子に腰掛け食べるている。ちなみにこうなるまでおよそ半刻ほどのことである。

それを、さも当たり前のように言う二人に驚き半分。そしてもう半分は

「恋様こちらもどうぞ」

(もっきゅ、もっきゅ)

「これもおいしそうですよ」

(もっきゅ、もっきゅ)

「はぁ~恋様…」

なんか目が離せない。何がとは言えないがとにかく目が離せないのだ。警邏の最中というのを忘れてずっと見ていたくなる光景が目の前にあるのだ。

「なあ、鬼灯。恋は警邏の時はいつもこうなのか?」

「いつもというわけではありませんよ」

と鬼灯は苦笑しながら答える。

なんだ、今日はたまたまかとそう思ったが

「今日はおすそ分けがいつもより少ないです」

「ダメじゃん!」

「ダメじゃありません!見てくださいこの恋様を!」

鬼灯に言われ恋を見る。

「(もっきゅ、もっきゅ)…?」

食べ続けながらも小首をかしげる恋。

「こんなに愛らしいではありませんか!」

「うん。それは認めるよ。でも警邏になってない理由の説明にはなってないよね?」

(…クイクイ)

「どうしたの?恋」

「一刀も食べる。とってもおいしい」

差し出されたのは確かにおいしそうな肉まんだった。

「鬼灯も」

「はいっ!ありがとうございます恋様」

鬼灯の方は恋に渡された点心を食べ初めている。そうしている間にも恋は差し出した肉まんを突き出している。

「一刀は肉まん嫌い?」

「そういうわけじゃないけど」

というか小首をかしげながらの上目使いはやばい。

「じゃあ一個だけもらうよ。ありがとうな恋」

「…ん」

受け取って笑ってお礼を言うと何故か一瞬、恋が顔を伏せた気がした。とりあえず、天下無双は武以外においても天下無双なのだと思い知る一日になった。

 

警邏?を終えて日も落ちて夜ごはんも食べた。後はもう寝るだけなのになかなか寝付けない。一刀と鬼灯は詠に呼ばれて行ってしまった。

「ワン!ワン!」

「…セキト」

いつの間にか擦り寄って来ていたセキトを抱き上げる。

「恋、今日はちょっとおかしいみたい」

一刀の笑顔を思い出すとなぜか頭がぼーっとする。でも嫌な感じではない。むしろ今、こうしてセキトを抱いているのと同じようなとても安心する感じ。

「セキト。一緒に寝よ?」

「わふっ」

セキトを抱きながら床に就くとすぐに眠りについた。

 

 

 拠点 月√(アンケート個別集計結果2位)

 

「へぅ~」

最近なにかとよく御遣いの、特に一刀さんのことを考えるようになった。

彼等には人を惹きつける特別な魅力のようなものを感じる。和輝さんはよく自分のことを悪党と言っているけどそんなふうには見えないし、それでも悪党と言っているのは何か理由があるのだろうけど。そしてそれを理解している一刀さんは誰に対しても優しく笑顔で接してくれる。そんな彼に私もいつの間にか惹かれてしまったのだろう。そう思う。

「へぅ~…」

でも、彼等に頼りきりではないかとも思っている。ただでさえ詠ちゃんに頼ってばかりなのにその上彼等に頼って、何も出来ずにいる自分がもどかしい。何か彼等の、一刀さん達の力になりたい。そうでなくとも、せめて同じものを背負えるだけの強さが欲しい。

「月ちゃん居る?」

「ひゃう。楓さんですか?」

突然の来訪に驚いて声を上げてしまった。

「うん。入っていい?」

「はい。どうぞ」

入ってきた楓さんは試合の時の一刀さんと似たような白い服ではなく紅く袖が長い着物姿だった。その楓さんはというと入ってきてすぐ、何かに気付いたのか私の顔を覗き込んできて私は恥ずかしくなってしまう。

「月ちゃん…何か悩み事?」

「へう。そんなに顔に出てましたか?」

「うん。なんていうか『恋する乙女が恋以外で悩んでる』って顔だったよ」

「へぅ…」

あまりにも的確すぎるような気もするが図星を突かれてすこし落ち込んでしまう。

「私でよかったら相談に乗ろうか?」

楓さんのその言葉にすこし悩んだ挙句。素直に話してみることにした。

 

 

「ふ~んつまり、先輩の力になりたいと」

「はい、せめて同じ場所で同じものが背負えるようになりたいんです」

「先輩もお兄も今で十分感謝してると思うけどな~。あっ、もちろん私もね」

そう言ってはくれるが、それでも私の気分は晴れない。

「私はいっつも誰かに頼ってばかりで、でもせめて…」

言葉が続かない。『すこしでも傍に居たい』と。

「…ならさ、護身程度でよければ私が稽古つけてあげよっか?」

「え?」

「先輩の近くにいたいんでしょ?自分で自分を守れる位あれば誰も何も言わないと思うけど?」

「でも、詠ちゃんに止められるかも」

「なら、黙ってこっそりと。ね」

そう言って片目を瞑るしぐさはとっても大人びて見えた。

「じゃあ、私は道具とか準備しとくから」

そして部屋を出て行こうとしたところで私の方を振り返ると

「月ちゃん。先輩のこと一緒に好きになってくれてありがとね」

「へっ、へうぅ~~」

今度こそ楓さんは行ってしまったようで一人になった私ははにかみながら心の中で楓さんにお礼を言った。

 

あとがき

 

いっぺんにこんなに書くのは初めてなような気がする。しかも短編三本も。とりあえずアンケートご協力ありがとうございました。今回は個別集計の上位三名にシェアの意見を取り入れつつといった感じで極力皆様の意見を全て取り入れようと努力してみました。

で、まぁいかがでしたでしょうか。今回はフラグ建てたり、恋のタッグができたりなお話でした。ちなみに華雄さんの真名に関しては実は書き始めてすぐに決まっていたり…え?理由?そんなのは和輝が語った通りですよ。華雄!もっと評価されろー!

 

そしてなんか自分の作品がちょくちょくHOTにでてたり小説の週間のランキングに出てたりと作者のくせに自分の作品がどうなっているのか全然知りませんでした。

 

そんな感じで皆様に支えられつつ今後も執筆がんばって行きます。

 

では、また次回!!洛陽編で!!


 
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