No.656833

義輝記 雷雨の章 その弐

いたさん

義輝記の続編です。 また、よろしければ読んで下さい。
1/23『桃香』の呼び名変更しました。
7/10文章を手直し致しました。

2014-01-22 23:47:19 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1990   閲覧ユーザー数:1785

【 郭奉孝の献策の件 】

 

〖何進の屋敷の一室にて〗

 

何進「……これでいいのか? 郭奉孝よ……」

 

稟「はい、こちらで直に軍閥へ命を出せば、十常侍側は必ず何進大将軍か皇女様方に害を与えに参るでしょう。 寧ろ、軍閥側から来るようにさせるのが正解と思われます!」

 

風「水は言わなくても、上から下に向かいますからねぇー」

 

ここは何進のオッサンの邸宅だ。 

 

大きい屋敷なのだが、知っての通りオッサンは独身、元庶民だから掃除、洗濯、食事はお手の物と云う方だから使用人も少ないだよなぁ………。

 

だから、広い一室の真ん中に集まり悪だくみ……じゃねぇ、十常侍を出し抜く策を相談中だ。 ついでに、昼も近いから昼食を……オッサンの手料理だ!

 

風「………モグモグ、十常侍の動き……稟ちゃん、その焼き肉は風の物です!……鎮静化していますね~! 何か仕出かすかも、ゴックン!」

 

稟「風! 食べるか喋るかどちらかにしなさい!」 パクッ! モグモグ

 

何進「これだけ食べてくれるんなら、作り手としては満足だよ! ははは!」

 

宝譿「おいおい、味わって食えよな…。 仮にも大将軍のお手製だぜ~?」

 

あの日、オッサンの後をついていった二人は、今みたいに旨い食事を提供されて、気分良くなった後に懇願され、軍師に抜擢された。

 

俺は、『野郎を手懐けるのに胃袋から』とよく聞いていたが、軍師を胃袋から陥落させた大将軍って奴を始めて体験したよ……  

 

稟「ふぅ~、御馳走様でした!」 

 

風「ゴチになりましたー」

 

何進「お粗末様! ………で、次はどうするんだ?」

 

 

風「グゥ~~~」 

 

何進、稟「「  寝るな!! 」」

 

 

風「おおぉ?! 二人でツッコまれるとは……やりますね! 」ニヤリ

 

何進「董仲穎配下の天城より、よく神速のツッコミ入れられたからな………」

 

稟「何進大将軍は、董仲穎様と『伏竜の軍勢』に面識があるのですか?」

 

オッサンは、黄巾賊の経緯を説明してた。 勿論、重要な所は上手く誤魔化していたが、二人は推測が出来たようだぜ。

 

稟「…………なかなかですね」

 

風「 風は素直に驚きましたよ~? 」

 

風は、珍しく目を輝かせて饒舌に話やがる……。

 

『 あの場所は、この国最高峰の知謀の士達が集まっていたはずですよぉ?

 

なのに、短時間で出した策を、誰一人も異論反論を出さなかったなんて……。

 

これは尋常ではないですぅ~! 』

 

何進「それに、董仲穎も容姿に似合わず硬骨の士だ。 説明すれば必ず力を貸してくれるだろう。 合流すれば、張譲勢と互角に持ち込む事が出来る!」

 

風「ではでは~ 董卓軍が到着しましたら、連絡します~!」

 

風は食事が終わり次第、トテトテと歩いてドアまで行く。 勿論、俺も一緒だ!! 風だけ行かせたら、心配でしょうがねぇからな!

 

何進「気のせいか、程仲徳の頭の人形が動いてるような……………」

 

◆◇◆

 

【 風と颯馬達の件 】

 

〖洛陽 宮廷近くにて〗

 

颯馬「………洛陽とは、こんな寂れた所でしたか?」

 

月「昔は、もっと繁栄していたそうですが………政策が民には重く、官には軽く税率が偏っているため、日々の生活に精一杯なんです……」

 

詠「それに、官は何かにつけ税を搾り取るから、余計にね……」

 

その会話の後に『勿論、月は違うわよ!!』っと付け加える所は流石だな。

 

 

俺達は、早々に天水を出て数日後に洛陽に到着。 兵達は洛陽外に駐屯、月様と将達が、皇女様方に拝謁するために、宮廷に向かう。 

 

何進大将軍も宮廷に詰めているだろう、事情を聞いておく必要もあるし……。

 

史実だと暗殺されてしまう人物だが、月様と俺の知己であり、多少借りを作ってしまっている故、少々急ぎ気味に行動している。

 

宮廷に近付くと、遠くから一人の女の子が壁に隠れて覗いていた…が…… 

 

……何で、頭に人形に乗せているの?  何で、落ちないの? 

 

……………何で人形が、俺を見て『オイデ、オイデ』しているの……?

 

ーーーーーーー   

 

月様に少し待ってもらい、その子の傍に行く。……勿論、護衛も二人付いている、謙信殿と信長だ。 残りの将は、月様と詠の護衛に入っている。

 

謙信「……ほぅ、これは奇異な事だ。 軍師殿、油断するな…!」キッ!

 

信長「ふむ、なかなか面白い奴だ…… 」ニヤリ

 

颯馬「…………………」

 

周囲の伏兵確認、少女の一挙一動、全てを三人で確認しつつ近寄る。

 

人形を頭に乗せた金髪の少女が、俺をジィ─────── と凝視す…

 

風「 グゥ~~~」

 

 

颯馬(ピクン!) 

 

信長(ギラッ!) 

 

謙信(シュッ!)

 

 

颯馬、信長、謙信「「「 寝るな!!! 」」」 ビシィ!!

 

風「おおぉぉ!!! 同時にですか!? 」

 

ーーーーーーー

 

謙信「す、すまない!」ペコ

 

信長「あははは! 良いツッコミだった!」ムフッ

 

風「むぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」ムカッ!

 

颯馬「の、信長ー! 君、ほんっとごめん!!」

 

霞が、何かとボケたりツッコんだりするから、周りの者もツッコんだりボケたり、さぁ大変! だから、何かと反応するようになってしまった。

 

宝譿「コイツが居眠りしていたのが悪いさ! 俺の名は『宝譿』だ!」

 

な、人形が喋った! いや……腹話術の妙技かも知れない。 

 

なら、キチンと返答しなければ。 近頃、『空気を読め!』と言われるし…。

 

颯馬「名乗りが遅れて申し訳ない。 俺の名前は『天城 颯馬』だ!」

 

風「………おや? 宝譿が言った通りの反応ですね。 風は「程 仲徳」と申します。 何進大将軍で軍師を勤めているのですよー 」

 

程仲徳? もしかして………。 

 

─────日輪を支える夢を見た?

 

風「━━━━━━━━━━━━━━!」

 

宝譿「おいおい兄ちゃん、初対面の相手に急にそんな話をするなんて、礼儀になってないぜ? っと、そちらのお二人さんは?」

 

謙信「! …これは失敬。『上杉 謙信』と申す!」

 

信長「やれやれ…。 得体の知れない人物に己の名を明かすなど、正直にもほどがあるぞ………? 颯馬、謙信殿? 」

 

謙信殿は、ニッコリ笑って信長に言い返す。

 

謙信「ご忠告痛み入る。 しかし、颯馬の返答にあの態度、怪しい人物とはちと考えられない。 だが、それはそれで、『十面埋伏の計』でも仕掛けられると厄介だがな……… 」

 

信長「…………フッ。 流石は謙信殿、よく承知しておる。 そうでなければ鈍感颯馬の護衛など出来ぬわな 」

 

風「え━━━━、な━━━━━!」

 

俺達をおいて語り合う二人、異様な狼狽を見せる程仲徳殿。

 

風「……………失礼しました。 やはり『天の御遣い』『伏竜の軍勢』と異名を持つ方々。 初対面なのに、まだ誰にも相談していない夢や策を看破されるなんて……どこまで風の事を存じているのでしょうねー……」

 

そんなに知らないけど……。 うん。

 

風「むぅ━━━━! 『まだ何か俺は知っている。黙って欲しければ、その身体を差し出せ!』と言いたそうな顔付きですよ、宝譿!?」

 

へ、変な事を言わないでくれ! 二人が異様な気迫を伴い迫ってくる!!

 

信長「私達では、不足なのか颯馬……!!」

 

謙信「軍師殿、どのような事か説明していただこう!!」

 

ちょっと待て! 初対面の相手にそんな鬼畜な真似できるかぁぁぁ!!

 

ーーーーーーー

 

風「……さてと、風の意趣返しも終わりましたし、本題に移りますかねー」

 

三人揃って、ゼェゼェ言いながら程仲徳殿を注視する。

 

宝譿「そんなに注目するなよ、照れるぜぃ…………」

 

風「これ、宝譿! 話が進みませんから……」

 

いやいやいや、話が進まないのは、程仲徳殿の投げた言葉からでしょう?

 

??「(*≧m≦*)プッククククク」 

 

??「(;¬_¬)ジィィィィィ」

 

………だから、後ろの護衛! 一人は笑わない! もう、一人は睨まない!

 

風「何進大将軍は、十常侍達に命を狙われているモノと推測しまして、今は宮廷内に重要な件以外『病気』で上がらないようにしてもらってますー」

 

宝譿「おう、兄ちゃん達! 何進のオッサンの守護、この宝譿にまかせな!」

 

ですから、皇女様達とか謁見出来ましたら、向かいに上がりますので、この周辺でお待ち下さい………と言付けを残して、何進大将軍の屋敷に戻っていた。

 

………事情はよく分からないが、兎に角、月様達に報告だ!

 

 

◆◇◆

 

 

【 久秀の思いの件 】

 

〖宮廷内張譲の部屋にて〗

 

颯馬達が、皇女様達へ謁見を申し込んだと、情報を受け取る。

 

久秀の玩具(おもちゃ)の文官からの報告。 嘘偽りなどあろう筈がない…有ったら芥のように捨てるだけよ。 

 

…………役に立たない玩具なんてね。

 

 

ーーーーー

 

 

そんな中で颯馬の扱いを、どうしようかと頭の中で思い描く。 

 

私の一番お気に入りの玩具の癖に、反抗的で決して従わない変わり者。

 

初見で紹介を受けた時、胸が高鳴り『この男を久秀の玩具にするの!』と決めてから、どれほど月日が経ったのかしらね………?

 

……日の本に居た時は、散々可愛がってあげたわ。 

 

もう、それは楽しい思い出。 颯馬の苦痛に喘ぐ顔、我慢するたびに出てくる呻き声、あの逆らうとする反応。

 

はぁぁぁぁ、ゾクゾクするわ♬

 

だけど……颯馬は、久秀が思っていた以上の変わり者だった。 

 

───とある戦で、一緒に出陣していた時に、久秀を庇い肩に矢を受けた……。 

 

久秀が調教してアゲルたびに嫌がり、城内にすれ違えば、露骨に顔を引き付かせた男が…………己自身を楯にして、久秀の命を救ってくれた………。

 

久秀でも、恩に報いる心はあるわよ? 

 

お礼に、久秀の『初めて』を捧げ恩に報いた。 些か顔が引き付いていたのは、カンに障るけど………。

 

後は、前と同じ日々だったわ。 いつものように颯馬を玩具にして、楽しんだ………。

 

そう、あの日までは………………………。

 

ーーーーー

 

唐突なる『大陸』への出発、あの足利義輝より誘われ、明智光秀なる者と出掛けると聞いた。 供回りは少なくしたいと言う意向だという。

 

………久秀は、颯馬達が『大陸』に渡る事を公表した時は居なかった………。

 

自分の仕事で忙しかったのよ、居城の改築工事で。

 

で、後で報告をもらったのだけど、始めはそんなに気にも止めなかった。

 

自分のお気に入りの玩具が一つ無くなる。 

 

ただ、それだけ…。

 

無くなれば新しく作れば良い、前の『者』より出来が良い『者』を…………………。

 

ーーーーーー

 

………だけど、数日経ち、久秀の行動に奇妙さがつき惑う。

 

例えば、颯馬の夢を見ては泣きながら起きたり、仕事で考え事しては政務が遅れる、または小さな過ちを起こしたり。酷い時は、一日中ボンヤリしていた。

 

出発する前日、久秀は颯馬に会いに行ったの。 

 

まさか、途中で順慶に会うとは思いもしなかったけど………。

 

颯馬に会い、二人して願った! 

 

『………颯馬、日の本に残りなさい! それか、二人を一緒に連れて行って!! 』と。 

 

この久秀が………玩具に頭を下げるなんて、屈辱中の屈辱よ!!

 

………でも! 

 

────でも!! 

 

それでも──久秀は颯馬と共に!!

 

 

ついでに言えば……順慶も……必死に懇願していたわ。

 

 

 

だけどね………。

 

颯馬は──冷たく、その申し出を跳ね退けたのよ!!

 

 

 

久秀が言うのも変だけど……

 

とても……とても………冷たかった……………。

 

 

『 既に評定で決まった事。 それを、今頃になり懇願で変えたなどと知られたら、他の姫武将はどうなるか? 考えてみませんでしたか? 』

 

 

この返事に久秀は………キレたわ!

 

生涯初めて………『執着』を示したのかもね?

 

『───他の姫武将の事なんか、知らない! 

 

第一悪いのは颯馬よ! 久秀の玩具の癖に主に報告も無いまま、日の本を出て行くなんて!!!』

 

順慶は、ひたすら大泣きしていた……。 

 

『私を置いていくのですか! 颯馬様!!!』

 

───覚えているのはそこまで。

 

後は二人して、何をほざいていたかなんか……忘れたわ。

 

だって…………颯馬は………私達を置き去りにして………『大陸』へと向かって行ったのよ。

 

目を泣き腫らした二人の姫武将を置いたまま………………。

 

ーーーーーーー

 

あれから、久秀は………………何をやっていたか……………覚えがないの………………。

 

ただ、部屋の真ん中で正座していた。 

 

あれほど熱を上げて集めていた茶器や茶道具が………滅茶苦茶に壊れて、部屋に散らばっている…………。

 

九十九茄子、平蜘蛛………数々の高価で貴重な物なんだけど…………こんな《金で買える物》など………ただの塵芥。 

 

 

颯馬に比べれば…………ね。

 

ーーーーーー

 

後に、外史の管理者と名乗る『于吉』なる男が現れ、久秀を誘う。

 

于吉「天城颯馬が向かった場所に貴女を送りますよ。 それに、『力』も授けましょう! ただ、貴女は私の『駒』となり、動いていただく条件ですが…」

 

久秀だって、始めは疑がったわよ……。 

 

だけどねぇ、粉々にした九十九茄子や平蜘蛛が元通りにされるとこを見ると、心が動くけど。

 

しかし、久秀が人に使われる傀儡?

 

この久秀が?

 

ハッ! ……………話にならないわね!!

 

だけど、コイツは久秀の『願い』を知っていたのよ。

 

于吉「…勿論、天城颯馬や仲間達の扱いも、貴女の自由ですよ!!!」

 

 

その一言で…………久秀は………仲間になったのよ! 

 

颯馬を殺す為に……………。 

 

そして………颯馬を連れ出した義輝や光秀達も、一緒に同行している者も…………全員殺してあげる!!!

 

…………颯馬を二度と離れないように…………永遠に久秀の傍に置いてあげるのよ…………!!

 

 

 

 

だけど………何故か、心の片隅で、何か『泣いてる』気がしてならない……

 

◇◆◇

 

【 張譲の思い?の件 】

 

〖宮廷内張譲の部屋にて〗

 

張譲「……………………………」

 

仕事が終わり、この部屋へと戻る。 儂の部屋故気遣いなど無用だが、今回は久秀様がいらっしゃる。 失礼にならないように、音を殺して入る。

 

久秀「…………颯馬…」

 

ふと、久秀様の声が、隣の部屋から漏れるのを聞いて、年甲斐も無く興味を引き、ドアに耳を付けて意識を凝らす。 

 

こんな事は、昔よくやった事。 

 

他の家や政敵に行い、見つかって罵られ、打たれ、罵声を浴びせられる事を夢見てこんな事を行ったが、気付かれない事が多かった………。

 

そのため未達成が多く、欲求不満な儂は痺れを切らし、人が一人が入れるぐらいの木箱を作り上げ、それを被りて侵入する手口を編み出した!

 

これなら、いくらなんでも気付くだろうと思うのだが、逆に隠密度が上がるのか、数十年見付かる事が無かった…………儂は、酷く落胆した。

 

政敵を蹴り落とす証拠を見つけだすには、都合は良かったが……儂の身体が見つからない欲求不満のため、夜な夜な疼いて仕方がなかった……がな。

 

むっ、全然聞こえん。 おかしい…先程、颯馬なる若造の名前が聞こえた。 

 

たまに、久秀様が呟く『一番のお気に入りの玩具』の名前。

 

儂より若造ながら、久秀様に気に入られた終生の強敵! 

 

まさか………本日皇女様方に謁見願いがあった、董仲穎の配下の名前がそのような………。 これは、確認させてもらわなければならぬ!!

 

儂は、雄叫びを上げて、まだ見ぬ強敵を思う!

 

必ず久秀様の寵愛を我が物に!!   …はて? ドアが開いている?

 

久秀「張譲さ~ま~! 何を聞き耳立てていらしゃるのですか!?」

 

儂は、久秀様の笑顔を見て快感に悶え、夜には、更なる連続的快感を得られる事ができたのはいうまでも無い!! 

 

 

◆◇◆

 

【 一刀の献策と新たな将の件 】

 

〖洛陽への行軍中〗

 

一刀「凪、そちらの状況はどうなっている?」

 

凪「北郷様、ご苦労様です! こちら大丈夫です!」

 

真桜「北郷の兄ちゃん! こちらも異常無しや!」

 

沙和「沙和もなのー!」

 

曹操軍が陳留を出立して二日目。 通行において問題なし。

 

………華琳より、正式に将と任命されて、旧劉備陣営の将と華琳の将達と和解と折衝のため動き、前よりはスムーズな連携プレーを取れるようになった。

 

 

★☆☆

 

 

桃香は………今、自分は『王』では無く『将』になろうと頑張っている。

 

元々世の中に悲しむ人が多くて、その悲しみを拭うために、自分が立ち上がったのだと聞いている。 桃香より優秀な王が居れば、その王に権限を全て譲り自分は庶民に戻って構わないと考えていたそうだ。

 

今回の劉備軍の落ち度は、自分の責任感の無さと考えの甘さ。 だから、自分は「王」を辞めてる覚悟を付けたという。 

 

そして、旧劉備軍の将達に説明し、自分は同じ臣下になるから、様付けはいらない!っと言い切った。 

 

愛紗「…………『姉上』わかりました! そのお気持ち、この関雲長は胸に秘めて、精一杯鍛えさせていただきます! 」

 

鈴々「鈴々は、そのまま、桃香お姉ちゃんで通すのだぁ!」

 

朱里、雛里「「私達も、精一杯教えさせてもらいます! 桃香さん」」

 

星「はっはっはっ、そう決断されれば、申す事などございません!」

 

良かったな、桃香!! 

 

桃香「うん! 皆、ありがとう! 」

 

で、この後にトンデモナイ発言して、皆に訂正させられた。

 

桃香「私は、これで『王』を辞めて、一刀さんの『お嫁さん』になります!! 皆、宜しくね!!」

 

 

★★☆

 

 

桃香「愛紗ちゃん、本気でぶつんだもん! 頭にコブが出来たぁ!」

 

愛紗「姉上! 言って良い冗談と悪い冗談が───────!」

 

そんな中、先行していた物見の兵からの急報が入る!

 

兵「申し上げます! およそ一里(約420㍍)先で、賊に包囲されている子供を発見! 敵の賊、約三百、子供二人が真ん中で対抗しています!」

 

急報を受け駆けつけた将達より、意見が出される!

 

ーーーーーー

 

春蘭「子供二人だけだと!? すぐに向かうぞ!! 」

 

朱里「待って下さい! お味方の軍は百人、敵賊軍は三百人! 策無しに突っ込むのは、無駄死にする兵を増やし、この行軍を不可能にしてしまいます!」

 

愛紗「しかし、真ん中にいる子供二人を救いつつ、敵を撃破する策が…!」

 

ーーーーー

 

雛里「……挟み打ちは駄目…………」 

 

桂花「……天城の策も包囲するから、中の子供が…」

 

星「個人の武だけでは………どうしようも………」

 

華琳「何か、手を………」

 

ーーーーー

 

皆が考える中、俺にある考えが浮かぶ!

 

一刀「─────ある!」

 

俺の声で、全員の視線が集まる。

 

本家から伝わる策を、この将達で行えば……必ず両方の目的が出来る!

 

俺は急いで軍師3人に説明、不足の箇所を補完してもらった!

 

一刀「華琳! これでどうだ!? これなら……! 」

 

華琳「───! 直ぐに準備を! 軍を四部隊に分けて行軍!」

 

第一陣 春蘭、愛紗、鈴々 兵10名

 

第二陣 右翼隊 凪、沙和、真桜 兵25名

 

第三陣 左翼 星 兵30名

  

第四陣 本隊 華琳、桂花、朱里、雛里、桃香、俺 兵35名

 

★★★

 

??「……流琉、大丈夫?」ハアー、ハアー

 

流琉「………………李衣 もう駄目…かも」

 

二人は、すぐ近くの村の出身、生まれつきの怪力を使用し、村に襲いかかる賊を退けていた。 若者は兵に取られ、村には年寄りと女、子供しかいない!

 

だが、今回は賊が策を使い、邪魔な二人を包囲殲滅しようとしていた。

 

最初は、果敢に戦ったいた二人だが、流石に十人以上を相手にすると体力が尽きようとしていた………。 絶望の二文字が頭に浮かぶ二人。

 

だが、天は二人の英雄を見捨てては、いなかった!

 

☆★☆

 

春蘭「見つけた! 行くぞ、愛紗、鈴々! 全軍突撃!」

 

愛紗「私は、左の子を救う! 鈴々は右の子を!」

 

鈴々「わかったのだぁ!」

 

たった十名が、敵軍を穿つように進んで行く! 

 

☆☆★

 

賊1「な、なんだ!? どっから来やがった!」

 

賊2「………なんだ? たった十名だけじゃ……」

 

賊3「新たな敵が左から───!」 賊「右からも来たぞ!!!」

 

賊1、2「「なんだっ───!!!」」

 

春蘭「子供を襲うなど恥曝しが!」 ザシュ!

 

賊1、2「「ギャアァァァ────────!!!」」

 

李衣「な、何? 何が?」

 

鈴々「こらっ! そこの春巻き! ここから脱出するのだぁ!」

 

李衣「人を春巻き扱いするな!!!」

 

☆★★

 

愛紗「そこの者! 大丈夫かぁ!?」

 

流琉「………はい! 大丈夫です!」

 

愛紗「そうか! すぐにここから脱出する! 急げ!」

 

流琉「えーと、私の友達は!?」

 

愛紗「心配するな、私の妹が救いに行ったからな!」

 

流琉「ありがとうございます!!」

 

★☆☆

 

左翼

 

星「皆の者! 功を焦るな! 敵に負けない戦を心掛けよ!」

 

兵「おおおぉぉぉ!!!」

 

 

右翼

 

凪「行くぞ!『覇王蹴撃!』」

 

  ドォーン! 賊5、6、7「「「 グヘェ! 」」」

 

真桜「凪ぃぃー、遂に完成させたのやなぁぁ!」

 

沙和「凪ちゃん! 格好いいのぉ!」

 

本隊

 

一刀「よし! 20名程、俺と共に来てくれて! 突っ込むぞ!」

 

兵「おおぉぉぉ!!!」

 

一刀「チェェェイイィィィィ━━━━━!!」

 

★★☆

 

春蘭「救援は終わったか? ならば良し! 兵達は、この勇気ある二人の護衛を任せる! 我ら将は、後ろから突撃!!」

 

愛紗「ウオオォォォ━━━━━━!!」

 

鈴々「行くのだぁ!!!」

 

★★★

 

結果………曹操軍の大勝利!

 

賊…二百人以上死亡 捕虜二十名

 

曹操軍…死者は無し 負傷者二十名 軽傷ばかり

 

華琳「皆、ご苦労! 皆の奮戦のお陰で救出、勝利できた!」

 

『ウオオォォォ! ウオオォォォ!』

 

華琳「一刀……ありがとう! 貴方の見事な策で被害を抑え、勝利を得る事ができたわ! ……あの策も、『天の世界』の策なの?」

 

一刀「あぁ、俺の本家筋が使用した策でね。 『穿ち抜け』と言うんだが…」

 

[『穿ち抜け』………敵部隊を少数で通り抜け、敵後方を攻める ]

 

だが、今回はこれだけでは済まない。 

 

二人を救出するならこれだけでもいいが、敵の殲滅も入れなくては……。

 

そんな事を考えると、思い出したのは桂花が呟いた事。

 

『天城の策も包囲するから』………と。

 

これを聞いて、補完すべき右、左、前の部隊を用意して、包囲戦に持ち込んだ! ……『釣り野伏せ』ならず『穿ち野伏せ』?というのか?

 

曹操軍の三軍師は、興味深々に聞いていた。

 

華琳「それなら、貴方はもっと自信を持ちなさい! 貴方はその策を昇華して新しい策を編み出して、この危機を救った! 素晴らしい事よ!」

 

愛紗「ご主人様、見事な献策です。 確かに、将は一騎当千ですが、道標を作ったのはご主人様です! そこは誇っていただいてよろしいですよ!」

 

後に、助けた子達が『許仲康』、『典韋』だとわかり、大慌て華琳に仕官を勧めて参軍してもらったよ。 これで、曹操軍の戦力アップだ! 

 

勿論、住んでいた村の安全も確保するように伝令を出しつつ、一日休憩を入れてから、再度洛陽に向かった…………。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーー

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

一刀の話す『穿ち抜き』は、実際に九州島津軍が使用した策だそうです。

 

包囲戦に変化させたのは、作者の考えで編み出したオリジナルとなります。

 

次回はどうなるか検討が相変わらずつかない状態ですが、また、次回もよろしければ読んで下さい。

 


 
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