「よく無事に帰った、レディー・サムス」
シップを停泊させるドックには、上官である司令官アダム・マルコビッチが待ち構えていた。捕獲するはずだった生物に襲われ、やむなしに撃退した私に、どんな怒声が飛ぶかと思っていた矢先の、相変わらずの調子のアダムに少々面食らってしまう。
「キミの判断が間違っていたとは私には一概には言い切れない。誰でもあんな状況に陥れば自らの命を優先させる。だが……」
途端アダムは眼光を険しくさせる。一瞬、私は身を硬くした。今は指令を出す側に回っているとはいえ、この男はかつて前線で戦い、銀河の悪人どもを震え上がらせていたことがあるのだ。
「命令違反には変わりはない。サムス・アラン。キミにはいずれ上層部からの処分通達が下るだろう。それは覚悟しておいてくれたまえ」
「……はい」
一言だけ、そうつぶやくのがやっとだった。
「……そう、硬くなることもない。なに、せいぜい一週間の謹慎といった程度だろう。近頃のキミは働きづめだったからな、休暇をもらえたと思えばいいさ。だろう? レディー」
「――レディーと呼ぶのはやめてくださいと、何度言えばおわかりになるのですか? マルコビッチ司令」
「そういうキミも、『マルコビッチ司令』はやめてくれと、何回私に言わせるつもりだね?」
皮肉を込めて、わざと慇懃な口調を使ってやる。けれど私もアダムも笑っていた。アダムは私の皮肉を知っていたのだ。いつのころからか、彼とはこんな冗談めいた会話をするようにすらなっていた。
私を「レディー」と呼ぶアダムを、はじめ軽薄な人物と蔑んでいたが、彼のすぐれた手腕には不思議な魅力を感じざるを得なかった。
やがて、私は彼を愛しているのだと知った。
(了)
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メトロイド、アダム×サムス。フュージョンのサムスの独白から推測されるアダムとサムスの話。