No.656059

恋姫無双 武道伝 3話

やはからさん

武道伝3話になります。仕事の合間にちまちま書いていたので話がブチブチになってます。少し落ち着いたら訂正しますのでお許し下さい。

以前コメントにあった、沈黙に・・・はよくないとのことですが、個人的に・・・より・・・の方が見やすいと思うので、これについては今後も・・・を使っていこうと思います。助言を頂いたのに申し訳ありません。

2014-01-19 22:34:20 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1680   閲覧ユーザー数:1525

「おかえりなさいー、おやおやお兄さん、星ちゃんにナニをしたんですか?」

 

宿に戻ると、戯士才と程立は出迎えてくれた。勘違いされそうな言葉で。

 

「軽く運動していただけだ。慣れない動きだったんで疲れたんだろう。星、寝る前に脚をよくほぐしておけよ」

 

どうも程立は人をからかうのが趣味らしい。まともに相手を相手をしないほうがいいと判断して、適当に流して後ろで荒い息を上げる星に声を掛ける。宿に戻るまでに何度か脚をつらせていたようなので、しっかりほぐしておかないと明日に残ってしまう。

 

「ところでその部屋なのですが、深刻な問題がありまして・・・」

 

「深刻な問題?」

 

「我々は金銭的に余裕がありません。そろそろ資金調達をしなければ旅を続けることもできません。そしてここが一番の問題なのですが」

 

「なんだ?」

 

言葉を区切る戯志才を促す。

 

「部屋が、二人部屋を二つしか借りられませんでした」

 

「それで?」

 

「李文殿は誰かと相部屋になるわけですが・・・」

 

なるほど、まだ信用されてない訳だ。信用以前に男女相部屋で寝ること自体問題ありな訳だが。加えて護衛役も兼ねてる星を倒してしまったのだから、その気になれば三人を襲った上に身ぐるみ剥いで殺してしまうわけだからな。

 

「ああ、それならこうしよう。星、夜はお前が部屋を使え。俺は昼使わせてもらう」

 

「どういうことだ?」

 

「俺は夜、見張りの仕事でもしよう。で、俺の仕事が終わったら交代で部屋を使わせてくれ。どの道資金稼ぎもしないといけないんだろ?俺もいつまでも頼ったままでは気分が悪いしな」

 

「なるほど、名案ですね。それならば無駄がありません」

 

「それにこの邑は危機感が無さすぎる。ちょっと活を入れてやろう」

 

「危機感、ですか?」

 

「そうだ。この邑の連中は、自分たちみたいな小さな邑は襲われないとでも思ってるんだろうな。見張りといっても名ばかり。防柵なんかの備えもない。もし襲われたらひとたまりもないだろう」

 

「邑が襲われればここの領地を管理する太守が黙ってないから襲われないのではー?」

 

普通ならそうだろう。だがここはどうだ?明確に誰の領地かわかるのか?

 

「この邑は公孫賛と袁紹の領地の境界付近にあるんだろ?なら邑が襲われたとき、最初に助けに来た方に対して、『自分たちの領地を襲いに来た』って大義名分で堂々と侵略を始められる訳だ。そうなれば被害はこんな邑程度では済まない。それならばこの邑が襲われようが見て見ぬふりをするだろうさ」

 

それに邑に入るときに見張りの若者が言っていた。『この邑は太守がはっきりしていないため、役人も滅多に訪れない』と。

 

「公孫賛殿は噂では民を思う太守とのことだが?見捨てるような真似はせんだろう」

 

息を整えた星が話に入ってくる。

 

「民を思うからこそ来ないのですよー。この邑を助けることで袁紹さんに攻め込まれてしまっては、この邑の何倍もの人間が死んでしまいますからねー。公孫賛さんがどんな人であろうと関係ないのですよー」

 

「むしろそれができない太守など太守たる資格はありませんね」

 

むぅ、と唸る星。それはそうだろう。これはどっちが正しいというわけではない。戯志才は資格がないと言ったが、劉備のようにそれを押し通して太守になるものもいるわけだからな。

 

「だからこそ、だ。しばらくこの邑に留まる以上、賊に襲われて滅びましたじゃあ困る。見張りの仕事ついでに守備兵を鍛えてやるさ。どの道公孫賛に会うなら、民を助けてきたと言える方が格好がつくしな」

 

「ならば昼は私が引き継ごう。可能なら義勇兵を募り、賊の討伐をしながら公孫賛殿にお会いしようではないか」

 

「義勇兵を募るとなると、まずはこの邑を襲われないようにしなければいけませんねー。自分の邑が襲われるかもしれないのについてくる人なんかいませんからー」

 

「長の話ですと、近くにいくつか賊の根城があるようです。それほどの大人数では内容ですが、そこを撃破できれば邑の人手も増え、復讐を恐れてこの邑を襲うこともなくなるでしょう」

 

賊に囲まれたような状態でこんなに警戒感がないとは、平和ボケにも程がある。だが方針は決まった。見張りの仕事をこなしつつ義勇兵を募り、それを鍛え賊を成敗する。あとは付いてくる者たちを連れて公孫賛のところへ向かうだけだ。

 

「ならすぐ行動だな。俺は見張りのやつらに挨拶してくる。星、一緒に来てくれ。お前さんらは俺たちのことをお偉いさんに話しといてくれ。」

 

「承知した。」

 

「めんどくさいことを風達に押し付けていくなんて、おにーさんはひどい人ですねー」

 

「違うぞ程立。ひどい人っていうのはな、もともとどう動くのか決めてたくせに、人の口から言わせることであたかもその人間が決めたかのように差し向ける人間のことを言うんだぞ」

 

「・・・ぐぅ」

 

「寝逃げするな」

 

ビシッとチョップを入れて起こしてやる。

 

「おおぅ!おにーさんが難しい話をするのでつい」

 

全くこいつは。邑についてすぐ長に会いに行ったのは、この邑の近状や警備体制について聴きに行ったのだろう。賊の話も聞いてきたということは。やはり俺が今口にしたことなどはお見通しだったというわけだ。もしかしたら公孫賛の人手不足も考慮して、この邑で義勇兵を募る許可ももらっているかもしれない。そう思うとこいつらも星同様、後世に名を残す人物なのではないだろうか。

 

「では李文殿、星殿、調練に関してはお任せします。我々は伝令の育成や説得を担当します。何かあればすぐに連絡しますので」

 

「わかった、ではお互い頑張ろう」

 

そう言って程立たちは宿に、俺たちは見張りの詰所に足を向けた。


 
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