No.654598

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 901

soranoさん

第901話

2014-01-14 13:02:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1327   閲覧ユーザー数:1263

~戒の領域・最奥~

 

「ほう……?」

ロイドの質問を聞いたアリオスは目を丸くし

「……確かにおじさまやベルは経済や金融、クロイス家に関係する教団の情報には詳しそうだけど……」

「エレボニアとカルバードの水面下での暗闇……そのあたりの事情にまで通じているのは違和感があるな。」

「お互い接点が無い両名……なのに大統領になったディーターさんはアリオスさんを国防長官に指名した……」

「……なるほど、そう言う事か。その両者を結びつけたのがイアン先生だったという訳か。」

エリィ達の話を聞いたダドリーは推理し

「互いの欠点を補うため……そして利害が一致しているからか……」

「各方面の情報に詳しい者だからこそ、できた事ね……」

ヴィクターとルファディエルは真剣な表情で呟き

「ええ……―――違いますか?」

ダドリー達の話に頷いたロイドはアリオスを見つめて尋ねた。

「フフ……その通りだ。警察時代、お前達と同じく、俺とガイもイアン先生の情報には随分と助けられたものだった。教団のロッジ制圧作戦でも民間のアドバイザーとして協力していたくらいの情報通だ。そして遊撃士になった後も……彼とは頻繁に情報交換していた。一方で先生は、IBCの法務を通じてクロイス父娘と昔から親交があった。そして――――あらゆる情報と要素は先生のところに集約・統合され……クロイス氏は彼に誘導されるまま、様々な政治工作と”至宝”の力によるクロスベル独立を成し遂げた。その裏で、彼とマリアベル嬢によって真の計画が進められているとも知らずに。」

「真の計画…………」

アリオスの説明を聞いたロイドは真剣な表情になり

「『碧き零の計画』ですか……」

エリィは複雑そうな表情で呟いた。

「そう……サヤたちの事故についても先生はいち早く真相に気付いていた。そして俺に事情を打ち明け……俺も計画に協力する事となった。これが経緯(いきさつ)だ。」

「……………………」

アリオスの答えを聞いたロイドは考え込み

「全てはイアン先生とマリアベルさんの掌(てのひら)の上……」

「…………とんでもねぇ話だぜ。」

ティオは疲れた表情で呟き、ランディは目を細めて呟いた。

 

「……これも同じく、疑問に思っていた事ですが……キーアを”太陽の砦”の地下から連れ出したのはアリオスさんですね?そして”黒の競売会”に出品されるローゼンベルク人形と入れ替えたのも。」

「そ、そういえば……」

「確かにその問題も完全には明らかになっていませんね。」

ロイドの質問を聞いたエリィは目を見開き、ティオは疲れた表情になり

「ああ、その通りだ。そてに関しては先生ではなく、マリアベル嬢の主導だったがな。どうやら彼女はヨアヒムの動きを完全に把握していたようでな……彼女の転移術で俺達は容易く最下層の祭壇に辿り着き、あの子を揺藍(ゆりかご)から解放した。そして俺は、レミフェリア方面から運ばれてきたローゼンベルク人形とあの子をすり替えた。そのローゼンベルク人形自体もルバーチェ側に気付かれないようにマリアベル嬢が用意したものだがな。」

アリオスは頷いた後説明をした。

「……そんな事まで……」

「……だからあの日はギルドに帰って来なかったのですね……」

アリオスの答えを聞いたエリィは信じられない表情をし、エオリアは複雑そうな表情で呟き

「……待て。その説明だと女神像と入れ替わったエルファティシア・ノウゲートの件はどうなる?」

ある事に気付いたダドリーは真剣な表情で呟いた。

「あ……!」

「そういや、そっちもあったな……!」

「……唯、あのエルフ王は過去の時代の者だという話ですが……」

ダドリーの言葉を聞いたエリィは目を見開き、ランディは厳しい表情で呟き、フェミリンスは真剣な表情で考え込んでいた。

「―――悪いがその件についてはわからない。あの件については俺もあの事件の後に知った。……まあ、マリアベル嬢は何か知っている様子だったが……」

「ベ、ベルが!?」

「一体どうして…………」

アリオスの答えを聞いたエリィは驚き、ティオは信じられない表情をした。

「―――その件については大体予想はできているわ。私やメヒーシャたちが貴方達の前に現れたように…………エルファティシアも”キーアの力によって”連れて来られたのだと思うわ。」

「へっ!?」

「キ、キーアちゃんが!?」

静かな表情で答えたルファディエルの説明を聞いたロイドとエリィは驚き

「……まさか。”並行世界で既に覚醒したキーア”が”至宝”の力を使ったのか……?」

ツァイトは真剣な表情でルファディエルに尋ねた。

「ええ、その可能性が一番高いと思っているわ。―――下手をすれば異世界の者達―――メンフィルや”英雄王”達、そして”六銃士”や彼らの仲間達が一斉に転生してこの時代に……このゼムリア大陸に現れたのも”キーアの力”なのかもしれないわ。」

「なっ!?」

ルファディエルの推理を聞いたロイドは驚き

(………因果の操作で”あの時の戦い”で死んだはずの私達を蘇らせると共にこの世界に呼び寄せたのか………)

(確かにその可能性が一番ありえそうだな……)

(クク、なるほどねえ?つまりあのガキは下手したらあたい達の命の恩人って訳かい?)

(くかかかかっ!まさか悪魔が”神”に命を救われるとはな!)

メヒーシャとラグタスは重々しい様子を纏って呟き、エルンストは口元に笑みを浮かべ、ギレゼルは陽気に笑った。

「で、でも……どうしてキーアちゃんがそんな事を……?」

その時エリィは不思議そうな表情で呟き

「―――以前ツァイトがロイドに説明し……貴女達にも説明した話があったでしょう?”幻の至宝(デミウルゴス)”は高度な人格を持ち……因果を操る能力を持っていた事を。」

「!!つまり”異世界の者達を呼び寄せる事”が”正しいと思った”のか…………!」

ルファディエルの推理を聞いたツァイトは目を見開いた後真剣な表情で呟いた。

「!?」

「キー坊が…………」

一方ルファディエルの推理を聞いたロイドは目を見開いて息を呑み、ランディは呆けた表情になり

「そうなると……私がティナの転生した人物である事やティオちゃんに翼がある事……イリーナさんが生まれ変わってエリィさんのお姉さんになって、リウイさんと再会できた事もキーアちゃんの力という事になるわね……」

「その可能性も高いと思いますわ…………でなければ、何の前触れもなく異なる世界同士が繋がる等、普通に考えてありえませんわ。(そして私が”影の国”に巻き込まれ、エステル達に救ってもらえた理由も恐らくは…………)」

「「……………………」」

セシルとフェミリンスの話を聞いたエリィとティオは複雑そうな表情で黙り込み

「とんでもないわね…………」

「…………まさに”神の奇蹟”だな……」

エオリアとヴィクターはそれぞれ重々しい様子を纏って呟き

(………という事は”彼女”にとって彼ら……いや、特務支援課が有利になると思われる状況にしたのか…………だとすれば、俺やマリアベル嬢達は彼らの”踏み台”――――つまり”必ず彼らに敗北する運命”という因果を作ったのか…………)

ある事に気付いたアリオスは真剣な表情でロイド達を順番に見回した………………

 

 


 
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