No.654021

北郷一刀の外史紡ぎ 第五話

ユウヤさん

第五話なのです
美羽マジ天使
美羽は私の中で一番器が大きい子扱いなのでそこは譲りません
では本編どうぞ

2014-01-12 17:58:25 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:4384   閲覧ユーザー数:3564

第五話―鎮魂歌

 

 

 

 趙雲「さて、人的被害は少ないようだが・・・これはひどい。」

 

 一刀「・・・なるほど、火事の原因は火矢か。よく届いたな。」

 

 趙雲「いえいえ、奴らはあの場所よりも近くに寄っていたのですよ。私が押し戻しました。」

 

 一刀「一人で!?本当にすごい武だね。」

 

 趙雲「なに、あの程度朝飯前です。」

 

 一刀「ふ~ん、でも驕りは駄目だよ?例え賊でもそれは命を奪わんとする意思を持った者だからね。」

 

 趙雲「ふ、肝に銘じときましょう。」

 

 一刀「袁術。君が城で笑ってる間にもこんな事が多く起こっていたんだよ。そしてこうして死んで行く人がいる。分かる?」

 

 袁術「・・・わ、妾が歌ってる時も、蜂蜜水を飲んでいる時でもかえ?」

 

 一刀「ああ、君が“我が儘”をしていた時もこんな事が起きていたんだ。」

 

 その言葉を聞き袁術は再び焼かれた村を見渡してある場所に目が行った。子供が家の前で泣いている。おそらくそこがあの子の家だったんだろう。それよりも印象的なのは・・・

 

 一刀「・・・あの子だけだね。親は・・・どうしたんだろう。」

 

 趙雲「あの子には足の不自由な母親がいた筈ですが・・・」

 

 一刀「・・・そんな人近くに居る?」

 

 袁術「・・・のう・・・あの瓦礫の中から出てる・・・物は・・・なんじゃ?」

 

 一刀「!?」

 

 とっさに一刀は袁術を抱き目を隠した。本当にとっさのことだったのだ。それでも一刀の行動は間違っていはいないだろう。

 

 袁術「な、なにをするのじゃ一刀!?」

 

 趙雲「・・・むごい・・・これは、むごすぎる。」

 

 一刀「・・・なあ、趙雲。あの黄色い布を巻いた賊はよく出てくるのか?」

 

 趙雲「いえ、私の知る所今回が初めてですが?かなり特徴的な賊でしたが・・・」

 

 一刀「つまり・・・今は黄巾党立ち上げの直前だったと言う事か・・・」

 

 趙雲「黄巾党?」

 

 趙雲の何気ない疑問の声は袁術の一言でかき消されることになった。

 

 袁術「か、一刀、苦しいのじゃ。」

 

 一刀「あ、ああすまない。・・・袁術、君はあれを見る覚悟があるか?」

 

 袁術「な、なんなのじゃ?」

 

 一刀「・・・」

 

 趙雲「あれは、人の手ですな。」

 

 袁術「・・・え?」

 

 一刀が言葉を詰まらせていると趙雲はそれはあっけらかんと言ってのけた。しかし、その顔は優れなかった。

 

 一刀「あの子の・・・お母さんだよ、きっと。」

 

 袁術「・・・わ、妾は・・・どうすればいいのじゃ?」

 

 一刀「え?」

 

 袁術「のう一刀、妾は何をすればよい?何か出来る事は無いのかえ?」

 

 予想外な言葉に一刀は驚きを隠せないでいた。趙雲もまさかあの袁術からその様な言葉が出るとは思っていなかったらしい。

 

 一刀「・・・そうだね。少しこの村にとどまって復興に手を貸そうか。」

 

 趙雲「それがよろしいでしょう。これから何をするにしても必要な事でしょう。」

 

 それから俺達は復興の相談をする為趙雲の連れと七乃が居るであろう村の中央に向かって歩き出した。

 

 

 村の中央では村長であろう人物と七乃、そして二人の女性が話をしていた。

 

 一刀「七乃、お疲れ様。」

 

 七乃「あ、一刀さん。お疲れ様です~。どうやら賊は無事撃退できたようですね。」

 

 一刀「元々小規模だったし、趙雲が居てくれたからね。俺一人じゃ押し返されていたよ。」

 

 七乃「こちらの消火作業はこのお二人のおかげもあって殆ど鎮火してました。」

 

 一刀「そうか・・・趙雲、彼女たちがもしかして?」

 

 趙雲「ああ、私の連れだ。稟、風。お前たちも良くやってくれた。お前たちが居てくれたおかげで私も安心して賊に当たれたぞ。」

 

 ???「いえ、星も無事でよかったです。」

 

 ???「ですね~。・・・星ちゃん、そちらの方はどなたですか~?」

 

 ???「まさか姉ちゃんのいい人か??」

 

 ???「風、そんな人がいたら私達が気がつくでしょう。」

 

 ???「風ではなく、宝譿が言ってるのですよ~」

 

 女性2人(と頭の人形)のやり取りを見てちょっと不安な顔を見せる一刀はひとまず自己紹介する事にした。

 

 一刀「えっと、ひとまず自己紹介だ。俺は北郷一刀、姓が北郷で名が一刀に当たる。よろしく。」

 

 ???「珍しいお名前ですね~。風は程立、こちらが宝譿です~」

 

 宝譿「へっ、よろしくな兄ちゃん。」

 

 ???「・・・戯志才と言います。よろしくお願いします。」

 

 一刀「・・・程立さんに、戯志才さん・・・ね。うん、覚えたよ。」

 

 一刀(・・・程立・・・戯志才・・・程立は分かるけど戯志才って若くして亡くなったからあまり伝わって無かった気がしたけど・・・)

 

 七乃「それでは力仕事は一刀さんにお任せして、私達は村の区画をどうするか考えましょう~」

 

 程立「そうですね~」

 

 戯志才「よろしくお願いします。北郷殿」

 

 趙雲「男手があると違いますな~」

 

 一刀「・・・言いたい事は分かるが理不尽だ。」

 

 袁術「妾は一刀に付いてもうちょっと村を見て回りたいのじゃ。」

 

 一刀「そっか、それじゃ行こうか袁術。」

 

 袁術「・・・美羽じゃ。」

 

 一刀「へ?」

 

 袁術「妾の事は美羽と呼んでたもれ!」

 

 一刀「・・・ふふ、分かったよ。美羽。」

 

 美羽「う、うむ!」

 

 一刀「それじゃ、まずはあの子の所に行こうか?」

 

 美羽「・・・わかったのじゃ。手伝えることがあれば手伝うのじゃ。」

 

 一刀「ああ、分かったよ。行こうか。」

 

 そう言って一刀と美羽はさっきの少女の所に向かって歩き出した。

 

 

 七乃視点

 

 お嬢様と一刀さんが瓦礫の撤去の手伝いに行ってから少し考えていた。あのお嬢様が村を見て回ると言ったのにも驚いたけど、手伝うなんて言葉が出てくるとは思わなかった。何があったか後で聞いても大丈夫だろうか?

 

 趙雲「張勲殿でよろしかったか?」

 

 七乃「え?あぁ、そうですよ~。そう言うあなたは趙雲さんですね?程立さんと戯志才さんから話は聞いてますよ~」

 

 趙雲「それにしても・・・あの袁術があのような可愛らしい少女とは思いませんでした。」

 

 七乃「そうですよね~。可愛いですよね~。」

 

 趙雲「ああ、それでいて・・・大した器を持っていたようでもあった。」

 

 七乃「へ?」

 

 趙雲「なに、焼けた家や沈む村人を見て何か出来ないかと話していたからな。噂に聞いた袁術とは全く違かったのでな」

 

 七乃「そんな事があったんですか。」

 

 趙雲「正直なところまだまだだがこれからが楽しみな方ではありますな。」

 

 七乃「そう言っていただけるとありがたいですね~」

 

 趙雲「さて、我等も復興作業を手伝うとするか。」

 

 七乃「はい。そうしましょう。」

 

 私が思っているよりもお嬢様はいい子だったって事ですかね?さてさて、私もこの村の為に一肌脱ぎますか。

 

 

 一刀達が村に留まって十数日、一刀の本来の物作りのスキルと此処に来て目覚めたであろう指揮スキルがあって前よりも頑丈な家が出来上がっていた。

 

 一刀「その角材はそっちに持っていって、その土はそっちの土台に使って・・・」

 

 美羽「のう一刀。鉋かけはこんな感じでいいのかえ?」

 

 一刀「お、良い腕してるじゃないか美羽。」

 

 美羽「そ、そうかえ?」

 

 美羽は相当嬉しそうに笑っているが、周囲の村人はいい顔をしていない人間もちらほらと存在した。当然ではあるとは思う。美羽は自分たちを苦しめてきた袁術その人なのだから。

 

 一刀「皆さん、そろそろお昼にしましょう。」

 

 美羽「そうなのじゃ。今日は妾が調理を手伝ったのじゃ。」

 

 一刀「なるほど・・・その形がひときわ歪な奴が美羽の手作りだな?」

 

 美羽「そ、そうだけどそんな率直に言われると傷つくの・・・」

 

 一刀「あはは、ごめんごめん。それじゃ、いただきます。」

 

 そう言うと一刀は真っ先に美羽の作った饅頭を頬張った。

 

 一刀「・・・うまい。うまいよ、美羽。本当に美羽はなんでもできるようになるな。」

 

 美羽「な、なんかくすぐったいのじゃ//////」

 

 二人のやり取りを見て自然と村人にも笑顔が出始め、皆一様に用意された昼食を食べ始めた。

 

 美羽「ふう、ごちそうさまなのじゃ。・・・こほん、の、のう一刀。」

 

 一刀「ん?どうした??美羽。」

 

 美羽「すこし・・・歌を歌ってもいいかの?」

 

 一刀「歌?いいよ。聞かせてよ。」

 

 美羽「うむ!で、ではいくぞ?」

 

 そう言って美羽は立ち上がり少し開けた場所に出ると、少しの咳払いをして歌い始めた。その歌声は澄んでいて美しく周りのみんなも目を閉じその歌声に耳を傾けていた。

 

 美羽「~~♪~~~♪♪・・・終わりなのじゃ。・・・・??なぜみんな目を閉じておる?」

 

 皆、目を開けようとしなかった。その感傷に浸りたかったのだ。美羽はどうやら鎮魂の歌を歌ったらしく、村人はそれこそ涙を流す者もいる様子だったのだ。

 

 美羽「な、なんじゃ。妾はまた何かしてしまったのかえ!?」

 

 一刀「そうじゃないよ、美羽。君の歌が皆の心に響いたんだよ。」

 

 村人「ああ、あんたは俺達にとっては酷い主だったけどその認識は改めるよ。これからは良い主になってくれよ?」

 

 村人「そうだね。これからは私達は孫策様が領主さまだけど、これからあんたが治める土地の人間は幸せだと思うよ。」

 

 村人「そうだな・・・きっとこれから大変だろうけど、頑張れよ。俺達は応援してるからな!」

 

 そんな村人の言葉に一刀も美羽も涙をこらえながら礼を言うのだった。そのまま日が暮れるまで美羽と共に一刀は復興作業を進めて行き、さて本日の作業が終わりだなと思ったとき村に早馬が来て賊に襲われた村に孫策が復興のための人員を向かわせていて2,3日後に到着する旨の事を伝えてきたのだった。その伝令で一刀達のその村での日常は終わりを告げたのだった。

 

 

 あとがき(と言う名の人物紹介)・・・紹介できる人が居ない!?

 

 羽生「と、言う訳で完全なあとがき(と言う名の痛い会話)が始まるのです。」

 

 結璃「いや、痛いと分かっててやらないでよ。」

 

 羽生「ま、一応言いたい事があるので丁度いいと言えばちょうどいいのです。」

 

 結璃「言いたい事?」

 

 羽生「はい、北郷一刀の外史紡ぎ(裏)を書いてみようかと思うのですがどうでしょう?」

 

 結璃「・・・それをやって頭は大丈夫か?」

 

 羽生「大丈夫だ。爆発する程度だ。」

 

 結璃「大丈夫じゃなかった!?」

 

 羽生「どうなのですか?出番は増えるのですよ?」

 

 結璃「やってもらおうか?」

 

 羽生「上から目線なのです・・・」

 

 結璃「・・・まって、私視点ってこと?」

 

 羽生「そうなるのです。」

 

 結璃「・・・駄目駄目駄目!そんな!見せられないよ。見せられる訳ないじゃない!!」

 

 羽生「そうなのですか。それは仕方ないのです。それではあとがきはこの辺で。」

 

 結璃「よ、よかった・・・それではみなさん。また次回お会いしましょう!」

 

 羽生「ばいばいなのです。」

 

 羽生(・・・ま、隠れて書くから良いのです。)

 


 
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