No.652592

九番目の熾天使・外伝 ~改~

竜神丸さん

狩猟:不正転生者狩り

2014-01-07 17:18:59 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1419   閲覧ユーザー数:901

楽園(エデン)、会議室…

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「不正転生者狩り?」」」」」

 

「あぁ、そうだ」

 

この場に呼び出しを受けた旅団メンバー達は現在、クライシスからある指令を受けようとしていた。

 

「不正の転生を遂げた者達がこの次元世界に流れ込んで来ていると、映姫殿から連絡があってな。その者達の魂を全て、地獄まで送り返して欲しいとの事だ」

 

「不正転生者、ねぇ」

 

「…おい、何故にこっちを見るかお前等は」

 

メンバー達が一斉にげんぶに視線を向ける。ちなみにげんぶも転生者ではあるが、彼の場合は正式な形で転生を遂げている為、不正転生者のカテゴリーには含まれない。

 

「不正転生者は皆、この次元世界に大きな悪影響を及ぼす可能性がある。見つけ次第、一人残らず排除せよ」

 

「排除か……強い奴がいれば、そいつはぜひ喰らい尽くしてやりてぇな…!!」

 

「うぅわ、また始まったよ。ZEROの悪い癖が…」

 

「暑苦しいのは勘弁願いたいですね、全く」

 

「……」

 

ZEROの浮かべる笑みを見たmiriとデルタが嫌そうな表情をしている中、二百式は無言で席から立ち上がり、それにガルムが気付く。

 

「おいおい、もう行くのか?」

 

「その転生者が不正であろうが関係ない。俺にとっても有害なら、誰であっても始末するだけだ」

 

「おや、相変わらずの一匹狼っぷりですねぇ。見ていて滑稽ですよ」

 

「…ふん」

 

デルタの嫌味らしき言葉には目もくれず、二百式は会議室を出て行く。それを見たUnknownと朱音も席から立ち上がる。

 

「まぁ何にせよ、不正転生者を全員始末してやれば良いだけの話だ。そこまで深く考えず、いつも通りにやれば問題はあるまい」

 

「まさにその通りよ。私も正直、その転生者共にアン娘ちゃんが負けるなんて考えられないもの」

 

「…まぁ、それもそうだな」

 

それを聞いて、他のメンバー達も立ち上がる。

 

「さて、では私はいつも通り仕事に戻りましょうかね…」

 

「okaka、今からグルメ界まで食材確保に向かうぞ」

 

「任せろ支配人、今日は今まで以上に調子が良いんだ」

 

「はぁ……また胃薬が必要になりそうだなぁ…」

 

「頑張れaws、俺も出来る限り突っ込みに回ってはみるからさ」

 

「ふぁぁぁ……眠い」

 

メンバー達は次々と退室していき、会議室にはクライシスと竜神丸の二人だけが残った。

 

「さて、私もそろそろ行くとしま―――」

 

「竜神丸」

 

「…んむ?」

 

席から立ち上がった竜神丸を、クライシスが呼び止める。

 

「何でしょうか、団長」

 

「…お前に一つ、頼んでおきたい事がある」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球、海鳴市。

 

ここでは早速、その不正転生者が活動を始めていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようアリサ、元気にしてるかい?」

 

「あ~もうしつこい!! そもそも誰なのよアンタは!? 馴れ馴れしいのよ!!」

 

「何を言ってんだよアリサ~。俺はお前のナイト、黒帝王牙だぜ? 俺とお前は一生を誓い合った仲じゃないか」

 

「今日初めて会ったばっかじゃ!! 勝手に捏造しないでくれる!?」

 

「いやぁ、やっぱりアリサはツンデレだなぁ~。本当は照れてる癖に」

 

「畜生こいつ海王星まで殴り飛ばしたい!!」

 

現在、アリサ・バニングスは街中で金髪オッドアイの男に絡まれているところだった。

 

この青年の名は黒帝王牙(こくていおうが)、不正転生者の一人である。転生前は自宅に引き篭もっていた所謂ニートと言えるような人物でお世辞にもイケメンとは言い難い容姿だったのだが、現在では物凄くイケメンな容姿になっていた。しかし二次小説を読んだ影響からか、自分がただ一人の最強主人公だと壮大な勘違いをしてしまっているのである。

 

今もこうして、アリサを自分の女にしてやろうと笑顔で接近している。アリサにどれだけ拒絶反応をされようとも、それが一種のツンデレだと思い込んでいる辺り本当にどうしようもない。

 

「なぁ良いじゃないか、一緒にデートでもどう?」

 

「行く訳ないでしょ!! 私はアンタなんかとデートなんて…」

 

「照れるなよアリサ~。本当は嬉しいと思ってるんだろ?」

 

「何を根拠に……ちょ、離しなさいよ!!」

 

黒帝によって無理やり手を捕まれ、そのまま引っ張られて行きそうになるアリサ。

 

万事休すかと思われたその時…

 

 

 

 

 

 

「あり、アリサちゃん?」

 

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

二人の前に、ヒゲを生やした青年が姿を現した。

 

「いよ、久しぶり!」

 

「ハルトさん!!」

 

「ぬごっ!?」

 

青年―――ハルトは右手で敬礼するようにアリサに挨拶し、アリサは黒帝を突き飛ばして彼の下まで駆け寄った。

 

「いや~元気そうにしてるねぇ、アリサちゃんも」

 

「ハルトさんこそ。あれ、ていうか何時から戻って来てたの?」

 

「去年のクリスマスの数日前くらいから、タカナシ家に泊めて貰ってたのさ。こっちの通りにはまだ来てなかったから、気付かなかったのも無理は無いな」

 

「あ、そういえばハルトさん。アキヤの奴に会っていませんか?」

 

「アキヤか? あぁ、あいつも結構楽しそうにクリスマスパーティー楽しんでたぜ? ケーキの食い過ぎで腹壊しちまったみたいだけどな」

 

「あんにゃろう、私を置いてけぼりにした挙句、クリスマスパーティーにも誘わないとは…!!」

 

「お、おぉう……オーラが凄いねアリサちゃん…」

 

一緒にクリスマスを過ごせなかった事が不満なのか、アリサは物凄い真っ黒なオーラを放ち、ハルトは若干引き攣った笑みを浮かべる。

 

しかし、そんな二人に対して不満そうにしているのも約一名…

 

「おいこらモブ、テメェ何気安くアリサに話しかけてやがんだ、あぁん?」

 

そう、黒帝だ。

 

アリサを自分の女にしたい彼にとって、ハルトは邪魔でしかないのだ。

 

「ん? おたく、どちらさんで?」

 

「とぼけんじゃねぇ!! テメェみたいなモブなんぞに、アリサは渡さねぇぞ!!」

 

「え、何? ボブ? 違う違う、俺はハルトだっての」

 

「うっせぇ!! モブの名前なんざどうだって良いんだよ!! とにかくアリサから離れやがれ!! 嫌がってんだろうが!!」

 

「あ~も~このアホはぁ~…」

 

「ん、お? どしたのアリサちゃん」

 

黒帝が散々ハルトに怒鳴りつけるもハルトは何処吹く風で全く堪えておらず、むしろアリサの方が精神的な意味で疲労が溜まっていく。

 

「大丈夫だアリサ、こんな奴は俺がぶっ飛ばしてやるから……という訳だ、とっととこの場から消え失せろやモブが!! デートの邪魔なんだよ!!」

 

「ん…うぉう!? よ、ほ、元気だねぇ…っと!」

 

とうとう黒帝は暴力まで振るい始める。しかしそれに対してハルトは、良い感じに攻撃をヒョイヒョイかわし続ける。

 

「チッ、避けんじゃねぇよモブが!!」

 

「いやいや、そう言われても…ほっ! 少しは落ち着いたら…よっ! どうなんだい…って!」

 

どれだけ一方的に殴りかかっても、ハルトには全く攻撃が当たりそうにない。痺れを切らした黒帝は、とうとう自分のデバイスまで取り出し始めた。

 

「ぶっ殺してやる……セイバー!!」

 

≪all right,Set up≫

 

黒帝は自身の剣型デバイス“セイバー”を起動し、黒いバリアジャケットを纏い出す。それと同時に周りには結界も張られ、街中には黒帝、ハルト、アリサしかいなくなった。

 

「ちょ、何やってんのよアンタ!?」

 

「モブはとっとと潰す!! そしてアリサは誰にも渡さねぇ!!」

 

「…ありゃ、これ俺も対抗しなきゃいけない状況か?」

 

≪ドライバー・オン≫

 

しょうがないと言いたげに、ハルトは服のポケットから指輪を取り出し、それをベルトの黒い手形部分に翳す。するとベルトの黒い手形部分から“ウィザードライバー”というベルトが出現する。

 

「んじゃま……付き合ってやりますかね」

 

≪シャバドゥビタッチヘンシーン! シャバドゥビタッチヘンシーン!≫

 

ハルトは左手の中指に指輪“フレイムリング”をはめた後、指輪のカバーを下ろし…

 

「変身!」

 

ウィザードライバーのバックルに、フレイムリングが翳される。

 

≪フレイム・プリーズ! ヒーヒー・ヒーヒーヒー!≫

 

音声が鳴り響いた後、ハルトの真横に赤い魔法陣が出現。魔法陣はそのままハルトの身体を通過し、ハルトを魔法使い“仮面ライダーウィザード・フレイムスタイル”へと変身させた。

 

「んな、仮面ライダーだと!?」

 

ハルトがウィザードに変身したのを見て、黒帝は驚愕する。転生前の記憶から、仮面ライダーの事も知ってはいるようだ。

 

「さぁて、ショータイムと行きますか…!」

 

ウィザードは両手を軽く合わせてから、右手にコネクトリングをはめてベルトに翳す。

 

≪コネクト・プリーズ≫

 

音声が鳴り、ウィザードは自身の真横に出現した小さい魔法陣から魔法剣銃“ウィザーソードガン”を取り出し、それを剣型のソードモードへと変形させる。

 

「はん、仮面ライダーだろうが俺の敵じゃねぇ!! セイバー!!」

 

≪Yes,sir≫

 

セイバーの音声が鳴り、黒帝の周りには複数の刀剣が出現する。

 

「(仮面ライダーなんざ所詮ザコだ、これで瞬殺してやる…!!)テメェはこれで終わりだ、モブが!!!」

 

「おぉ!? すっげぇ、なんかいっぱい出てきたぞ!」

 

「死ねや!!」

 

黒帝がセイバーを振るうと同時に、その複数の刀剣が猛スピードでウィザードに迫る。

 

「おっとヤバい」

 

ハルトは次のリングをベルトに翳す。

 

≪スモール・プリーズ≫

 

音声が鳴ると同時に…

 

 

 

 

 

 

-ズドドドドォンッ!!-

 

 

 

 

 

 

全ての刀剣がウィザードに襲い掛かり、大爆発を引き起こした。

 

「ハルトさん!?」

 

「ハハハハハハハハ!! 見たかモブ、これが俺の力だ!! 俺とテメェの実力差だ!!」

 

ウィザードがその場から動かないままだったのを見た黒帝は自身の勝利を確定し、大きく笑い声を上げる。

 

その時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~危ないところだったわ、セーフセーフ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

突如、聞こえない筈の声が二人の耳に聞こえてきた。

 

『ピーッ!』

 

「いやぁ~助かった、ありがとなガルちゃん」

 

「んな…!?」

 

黒帝の前に現れたのは、プラモデルらしき特徴を持った鳥型の使い魔“レッドガルーダ”に乗った小さなウィザードだった。刀剣が当たる直前、スモールリングによって小さくなる事で攻撃を回避していたのだ。

 

「クソが、俺の攻撃を避けやがっただと!? モブの分際で!!」

 

「そうは言われてもねぇ…っと!」

 

「な、ごふっ!?」

 

レッドガルーダから飛び降りたウィザードはすかさず元の大きさに戻り、黒帝の顔面をウィザーソードガンの柄の部分で殴りつける。

 

「悪いけどさ、俺も俺で負ける気は無いんだわ。そこんとこ、分かって頂戴な」

 

「この…クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

黒帝が力任せにセイバーを振るうも、ウィザードはすかさずウィザーソードガンで攻撃を上手く受け流していく。

 

「そぉい!!」

 

「ふが!?」

 

黒帝のセイバーを大きく弾いたウィザードは飛び上がり、黒帝の顔面に回し蹴りを炸裂させる。再び顔面を攻撃された黒帝が怯んだ隙に、ウィザードは離れた位置で青いリングを左手にはめる。

 

「んじゃ、次はこいつで…!」

 

≪ウォーター・プリーズ! スィースィースィースィー!≫

 

リングがベルトに翳され、今度は青い魔法陣が出現。ウィザードの身体を通過し、水を司る形態“ウォータースタイル”へとスタイルチェンジさせる。

 

「ほんじゃ、次はこれだ」

 

≪リキッド・プリーズ≫

 

「この……調子に乗ってんじゃねぇよモブがぁっ!!!」

 

ウィザードはすかさずリングを翳すが、そんな彼に向かって黒帝が思い切りセイバーを振り下ろす。

 

「オラァッ!!!」

 

「ほい、残念」

 

「な、何…のがぁっ!?」

 

しかし、攻撃は空振りに終わった。セイバーの刃が当たる直前でウィザードの身体が液状化し、素早く黒帝の身体に纏わりつく。

 

「よっと!」

 

「ぐが…痛ダダダダダダダ!?」

 

身体に纏わりついたままウィザードはすぐに元の姿に戻り、黒帝に関節技を決めた状態になる。

 

「クソ、卑怯なマネしやがって…!!」

 

「いやいや、戦いでいちいち手段なんて選べない……てぇの!!」

 

「ごはぁっ!?」

 

関節技を決められた状態から解放された黒帝を蹴り飛ばしたウィザードは、ウィザーソードガンを銃型のガンモードへと変形させ、黒い手のパーツを展開する。

 

≪キャモナ・シューティング・シェイクハンズ!≫

 

「んじゃ、フィナーレだ…!!」

 

≪ウォーター・シューティングストライク! サイコー!≫

 

展開した黒い手にウォーターリングを翳される事で、ウィザーソードガンの銃口に水流エネルギーが溜まり始める。

 

そして…

 

「うぉらぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

黒帝に向かって、強力な水流弾を繰り出した。

 

「モブ如きに……この俺がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

自分が良いようにやられている事で怒りが頂点に達したのか、黒帝は自身の周りにまた複数の刀剣を出現させ、ウィザードに向かって放つ。しかしウィザードの放った水流弾の方が威力で勝ったのか、刀剣は次々と砕かれていく。

 

「ば、馬鹿な!? この俺が、俺が……こんなモブなんぞにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!?」

 

結果、水流弾に飲み込まれた黒帝はそのまま流されて行き、建物の壁に叩き付けられたのだった。

 

「ふぃ~」

 

「す、凄い…」

 

ウィザードは変身を解除してハルトの姿に戻り、アリサは今の戦闘を見て呆然としている。

 

「…おいおい、まだ挑む気なのか?」

 

ハルトが振り向いた先では、息が絶え絶えながらもセイバーを杖代わりにして立ち上がろうとする黒帝の姿があった。

 

「黙れやモブが…!! オリ主の俺が……テメェみたいなザコにやられる訳が無ぇんだよ…!!」

 

「? ? ? そのモブとかオリ主とかって何なんだ一体…?」

 

黒帝の言っている事が分からないハルトは首を傾げるが……ある事に気付いた。

 

「…お~いアンタ」

 

「あぁ!? モブが気安く俺を呼ぶな!!」

 

「いや、そうじゃなくてさ……逃げた方が良いんじゃない?」

 

「あ?」

 

黒帝が振り向いた後ろには…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だ~れ~か~な~…? アリサに手を出そうとした馬鹿は~…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドス黒いオーラを放ちながら、両手をバキボキ鳴らしているルカの姿があった。

 

「な、何だテメェは!? モブが俺に楯突くんじゃ―――」

 

「問・答・無・用ッ!!!」

 

「ちょ…ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!??」

 

ルカによる鉄拳制裁が開始され、黒帝は何も抵抗出来ないままボコボコにされてしまった。

 

「フー…フー…!!」

 

「…お~い、落ち着いたか~?」

 

「フー…フー…はっ!? 僕は一体何を…?」

 

「アキヤ!」

 

「え、な、アリサ!?」

 

黒帝をボコボコにし終えたルカに、アリサが思い切り抱き着いた。突然抱き着かれたルカは危うく体勢を崩しそうになる。

 

「この馬鹿!! 少しは私に連絡しなさいよ、もう!!」

 

「あ、えっと……ごめん、アリサ」

 

アリサに抱き着かれる上に怒られてしまったルカだったが、アリサが妙に嬉しそうな表情をしているのを見て、素直に謝罪して彼女の頭を撫でる。

 

「ほぅ、結構大胆だねぇ…!」

 

そんな二人の様子を興味深そうに見ていたハルトだったが、ここで彼は見落としてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

黒帝が既に、その場から姿を消してしまっていた事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハルト達のいる場所から少し離れた、とある路地裏…

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ…!!」

 

隙を突いて逃亡した黒帝が、壁に寄り添ったまま苦しそうに座っていた。バリアジャケットはウィザードとの戦闘で既にボロボロで、彼の金髪も水に濡れた所為で髪型が崩れてしまっている。

 

「クソッ!! あのモブ共、絶対に許さねぇ…!! 次また会ったら本気で潰してやる…!! それで今度こそ、アリサを俺の嫁にして―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『残念だが、それは無理だろうな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッ!?」

 

低くて重い、無機質な声。

 

黒帝は素早く立ち上がって、声のした方へと視線を向ける。視線の先に立っているのは、黒い騎士甲冑を身に纏った謎の人物。

 

「な、何だテメェは!? 正体を見せ―――」

 

その瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒帝の身体から、首だけが刎ねられ宙に舞った(・・・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺の名は黒騎士』

 

その存在―――黒騎士は、右手に持った剣を腰の鞘に納める。その数秒後に黒帝の首が地面に落ちる。

 

『それ以外の、何者でもありはしない…』

 

それだけ呟き、黒騎士はその場から一瞬で姿を消すのだった。

 


 
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