「『かめら』っちゅーもんは凄いなぁ!流石は天の絡繰や!」
魏の国、王の間
普段なら評定に使われるその部屋は今、膨大な枚数の写真で埋め尽くされてた
三国の戦いは終わり、かつて将としてその名を轟かせた張遼は魏領を巡りカメラを用いて風景を写真に収めている
「三国の地図を作りましょう」事の発端は華琳の一言であった。魏、呉、蜀。それぞれの国に地図はあるのだが、詳細な地図が存在するわけではない
この「かめら」なる絡繰を用いる事で、より正確な地図が作成出来ると言うのだ
「うむうむ、天の国の技術には本当に驚かされる!まさか華琳様のお姿をいつでも見る事が出来るとはな!」
「そうだな姉者。そして『かめら』を複数作り上げた真桜にもな」
「今回霞が撮影してくれた分で、魏領の撮影は終わりです。後は呉と蜀ですが・・・近日中に撮影が終わるそうです」
書簡を読みながら桂花が報告をする
「そう、ありがとう。私は部屋に戻るわ。地図の件は任せたわよ」
彼女が崇拝し、敬愛する王はそう答えると王の間を後にする。
「華琳様・・・」
その後ろ姿を見つめながら桂花は呟いた
「ねぇ、一刀。貴方がいなくなってから四年経ったわ」
一刀がいなくなった日。毎年こうして部屋で一人、酒に酔い、一刀に語りかける
「大変だったのよ?ようやく平和になって、これからって時にいなくなるんだもの」
盃を傾ける
「貴方がいなくなって、皆悲しんで。立ち直るのに1年もかかったわ。あの桂花でさえ、泣いてしまったのよ?」
少女は自嘲気味に笑い、酒を進める
「学校を作ったわ。貴方が言った通りの物では無いかもしれないけれど、それなりに上手くやっていると思うの。」
「街に水路もひいた。何だが街が綺麗になった気がするのよ。清潔感があるわよね。」
「地図も作ってるのよ。貴方が残してくれた天の技術でね。『かめら』は真桜が用意してくれたわ。あの子、凄いわね」
盃が空になる
「ねぇ、一刀」
「皆、貴方に恥じないように生きているわ。春蘭なんて、学校の先生になったのよ?貴方が帰って来た時に驚かせるんだ、って」
「貴方は、いつ帰って来るの?」
「まだ、足りないのかしら?」
「頑張ったのよ?まだ、駄目?」
盃をぐい、と傾ける。少ししょっぱかった
「華琳様ーーーーー!!!!」
遠くから呼ぶ声が聞こえる。同時に胸が高鳴る。どうしてか理解出来ないけれど、確信があった
もう一度、一刀に会える
Tweet |
|
|
22
|
2
|
追加するフォルダを選択
この作品は真・恋姫†無双の魏伝のその後を書くものです
拙い文章でありますが、どうぞ宜しくお願いいたします
あたたかいコメント、ありがとうございます。とても励みになります
続きを表示