No.651151

屍食教典儀(Cults of the Ghouls)上編

Thyleさん

この本書は、アジア最大の古本屋街神保町で発見した書の翻訳・編集したものである。世界の真実を知り、精神が耐えられない者は本書を閉じ、この本の存在を忘却すべきが最善である。だが、世界の秘密を知り、一時的発狂を受けてでも本書の禁断の知識を知りたい者は本書の禁断のページをめくるべし。
汝に幸あらんことを……

2014-01-02 21:38:55 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:4961   閲覧ユーザー数:4912

屍食教典儀(Cults of the Ghouls)上編

 

 

1702年頃に、フランスのポール・アンリ・ダレット伯爵が 『屍食教典儀』を発行した。

フランス語版は余りにも神をも冒涜する内容の為、初版発行と同時に禁書となり、殆どが

燃やされ灰燼にきした。しかし、26年後、1728年魔法大国ドイツにおいてこの災難を免れた同書

のドイツ語版が発行された。

 

『屍食教典儀』は二部構成になっており第一部は人肉嗜食について、第二部は屍姦魔術について

記述されている。今回、編訳者が入手した原書は第2部が削除されたドイツ語版のため第1部の人肉

嗜食について編訳者の考察をまじえて本書の解説する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Chapter.1人肉嗜食

 キリスト教は一見食に厳しそうなイメージだが、意外にも食べ物に関するタブーはほとんどない。なお一部の宗派では、厳しい戒律があるほかは、どの肉についても比較的自由で、せいぜいローマ・カトリックで「馬肉食」が公式に禁じられたことがある程度である。しかしそれすらも、食べ物の比較的少ない農村地帯や修道院ではあまり守られなかったようで、敷地内に迷い込んできた馬を食べたという記録が残っている。

 

そもそも、イエス自身が「新約聖書」の中で次のように述べている。

 

「外側から人にはいって、人を汚すことのできる物は何もありません。人から出て来るものが、人を汚すものなのです」(マルコによる福音書第7章15節)

 

「そのような物は、人の心の中にははいらないで、腹にはいり、そしてかわやに出されてしまうのです」(同・第7章19節)

 

 

※中世ヨーロッパの飢饉(燃やされる教会と異端者殺害)

 

実質、キリスト教においてはタブーとされる食べ物は(人肉など普遍的なタブーを除いて)ほとんどないと考えて構わない。しかし、こと欧州においては古くから食人の習慣があったことが様々な文献から確認される。人類が食人をする理由として以下の行動パターンに分類される。

 

1.飢餓等による食人

2.呪術的目的による食人

3.快楽としての食人

 

1.飢餓等による食人について

 人類は急激に増加した背景としては小麦・米・トウモロコシ・馬鈴薯等の食料生産量の増加

により発展した。しかし、これらの穀物の栽培がされる以前は食料事情は厳しく、また耕作

より狩猟時代が長かった為に食料となる動物が狩れず度々飢饉が各地で発生していた。

 

 このような飢餓状態に動物を狩ることはとても難しい。そこで一番手短な獲物

それは隣人である 人間 であった。

 

 

 

 

 

 

 食料生産量と食人風習のある地域のデータを比べると食料自給量の少ない地域ではほぼ確実

に食人が行われている。特にラテンアメリカ・中央アフリカ・オセアニア地域等、これらの地域では

重要な動物性タンパク質となる生物(野豚等)が採れないことから人体を維持する為に必要な必須アミノ酸を取るために度々食人がなされていた。

 

 

※食人習慣のある地域の世界地図(色付が食人慣習)

 

 

 南フランスの親石器時代人にとって食人は一般的であってフランスヴァール県サレルヌに近いファンブルク洞窟の中で食べられた15人分の人骨が発見された。

 

 およそ300メートル四方の洞窟の中には骨髄を食べる為に長めに折った骨や脳みそを取るために下顎骨を折り顔面を破壊した頭蓋骨等が多数発掘された。これらの人骨からわかったことは、他の食用動物と同じ扱いで屠殺されている。また同時に発掘された土器から肉をローストするのではなく煮込む料理がされていたと推測されている。

 

 ダレット伯爵の調査では、人肉は食生活によって肉質の風味が変わり、酒を常時飲む人間の肝臓はフォアグラのように美味であり、逆にタバコを吸う人間の肉はヤニの味がして不味いとのことである。

 ラテンアメリカのネイティブインディアンのキニキニック(kinnikinnick)の呪術では10歳になると悪霊除けにタバコを吸わせ、呪術者がタバコを吸いその煙を対象者の全身に吹きかけるという呪術がある。このタバコはタバコの葉に何種類かの薬草[赤柳の皮、コケモモの葉、ラズベリーの葉等]のブレンドされてる。その調合は部族の呪術師しか知られていない秘術とされている。

また、このようなタバコを使った呪術は中央・東南アジアの少数民族での風習にも同様な呪術がみられる。

 

 

 

 

 

 

【近年の食人について】

 

ウルグアイ空軍機571便遭難事故のケース

1972年10月13日にアンデス山脈にてプロペラ機が雪山に激突、無線機は故障して食べるものは何もない。このような状態になって生存者がとった行動とは食人であった。

食べるという選択をした者は生存し選択しなかった者は衰弱したとのことであった。極限状態において人体を切り刻み、焼いてしまうと栄養素が減ってしまうことから基本として干し肉にして食した。優先順序としては墜落直後の死体の方が太って肉が多いことから優先的に食べられていた。

 

 食人開始前までは人肉を食らう禁忌があり、生きる為とはいえ比較的臀部・腕・足等の肉質部分を食べていたが、日数が進むにつれ禁忌感が薄れ、内臓・脳・最後には骨髄までも食べるようになった。

 生存者の証言では人肉は「牛肉に近い味がした」とのことだが、これは腕・足など脂肪分の少ない肉質部分を好んで食べたからと推測される。また中国では珍味中の珍味である心臓の周辺の脂肪を食べたとのことで、脂肪は表面がカラカラになるまで日に干して食べたり、腐った肉もチーズの風味がして焼くと旨かったとの証言があった。

 

 またより禁忌感がなくなると、肺・皮膚・頭・生殖器等も食べるようになったが顔は食べず頭の後ろを割り脳みそを啜った。顔の肉を食らわなかったのは良心の呵責があったためと考えられる。この遭難による飢餓日数は72日間であったことからいかに短期間で極限状態に陥ったときに人間は人肉嗜食を行うことが伺える。

 

 

 

 

<中篇に続く>


 
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