No.650357

真・恋姫†無双 巡る外史と仮面の魔神 二十一話

XXXさん

仮面編

火照ってる

2014-01-01 00:06:26 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1767   閲覧ユーザー数:1613

「みんな大好きーーー!」

「「「天和ちゃーーーんッッ!!」」」

「みんなの妹ぉーーーー!?」

「「「地和ちゃーーーんッッ!!」」」

「とっても可愛い」

「「「人和ちゃーーーんッッ!!」」」

「「「ほわぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!」

 

大広間に設置されたステージ…ここでは数え役満姉妹とそのファン多勢がいた。

広間に入りきらない人は近くの二階建ての店に行き、それもできない人は自作の台を持ってスペースを作る始末。

それだけ人気があるのだろう、その叫び声は耳が痛くなるようなものだった。

 

「今日はー、新曲を披露するねーーー!」

「「「ほわぁぁぁぁ!!!」」」

「みんなの聞いた事のない曲だから覚悟しなさいよねーーー!」

「「「ほわぁぁぁぁ!!!」」」

「しかも今日は一日だけ偶像の娘が来ているの」

「「「ほわぁ…あ?」」」

 

勢いに乗って叫びかけたが、地和の言葉にざわざわと騒ぎ出す。

三姉妹は顔をみせあって笑うと、ファンに出てくる時のコールを教えた。

 

「じゃあみんなで呼ぶのは――――――だよー!」

「じゃあ一緒に!」

「せーの!」

 

 

一週間前…

 

「俺の世界の歌を教えてほしい?」

「そうそう!」

 

一人の兵を説教している時に数え役満姉妹がやって来るなり歌を教えろと言い出した。

曰く、「みんなの知らない歌を歌ったら凄いと思うんだ」だそうだ。

まあ、理解できなくもないが……突然すぎる。

 

「いいじゃない、減るものじゃないんだし。それともちぃ達には歌えないって思ってるわけ?」

「うーん…実際英語とか聞きなれない言葉とかあるけどそれでいいんなら…」

「大丈夫です。そこは私達でなんとかします」

「そうか?なら、後で曲幾つか選んどくよ」

 

そう言ってリトは説教していた兵を帰らせる。

…実を言うとこの兵は数え役満姉妹のファンなのだ。

説教されていた理由も、真桜特製のカメラで撮った三姉妹のプロマイドを訓練途中で見ていたこと。

それをリト見られ、怒られていたのだ。

 

「ん~…複数の人数で歌う曲か……なんかあったっけ?」

「別に一人の物でもいいですよ?分担すればできますし」

「でもなぁ…あ、そうだ。今度やるのって一週間後だろ?教える代わりにお願いあるんだけど?」

「なになに?逢い引きだったら大歓迎だよ」

「スキャンダル起こすつもりはないよ。ただ……ちょっと一人を一日だけアイドル…偶像にしてほしいんだ」

 

そして現在…

 

「「「――火を噴く きっくッッ!!」」」

「「「ちーーんきゅーーたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッッ!!」」」

 

「はーいなのです☆」

 

そう言って出てきたのは、いつもの服をアレンジした音々音。

黒の部分はオレンジになっているし、他も数え役満姉妹の衣装と似たように作られている。

 

何故ここに音々音がいるのか、しかもリト以外に対してこんな態度なのか…幾つか理由がある。

一つは音々音がリトに憧れてこっそり宴の時にやった歌を練習していたこと。

これは真名を預ける前からやっていて、リトも歩くたびにその声を聞いていた。

そして何よりも、歌唱力もかなりのものだった。

二つ目はその歌を誰かに見せたいと思ったリトが三姉妹に提案したこと。

一日だけ新メンバーを入れればけっこう盛り上がるんじゃね?と思ったし、何よりも努力を無駄にはしたくなかった。

三つ目は…かなりシンプルだ。

音々音に一日だけ偶像にならないかと言い、最初は戸惑っていたのだがリトが「アイドルになって輝いてる音々音が見たいな」と言った瞬間即答した。

その後、音々音は三姉妹、沙和にアイドルのいろは、衣装の製作を依頼。

リト以外の男に真名を呼ばれたくないため、偶像:ちんきゅーとして出ることに。

 

「みーんなー!こんにちはーなのですーーー!」

「「「こーんにーちはーー!!」」」

「今日は一日だけ偶像だけど、ちんきゅーはたっくさん歌うので最後まで聞いててくだされー!」

 

…あれ、凄くノリノリじゃね?

舞台裏で見ていたリトはそう思う。

ちなみに他にも人数がいる。

小蓮、鈴々、季衣、流琉、恋、璃々、馬超に馬岱だ。

みんな音々音が舞台に出ると聞いた者で、馬超と馬岱はこれない紫宛の代わりの璃々の保護者。

 

「むー、シャオも出たかったー!」

「いけいけーなのだー!」

「わー、いつもと雰囲気違うねー」

(私も偶像になれば兄様は見てくれるのかな?)

「……………がんばれ」

「ねねおねーちゃん、かわいー!」

「たく…何であたしがここに…」

「でも平沢さんとこれて嬉しいんだよね、お姉様?」

「んな!?そ、そそそそそそんなわけあるか!?」

 

嘘つけ…リト以外の全員がそう呟く。

そんなこんなしている内に、一曲目が始まった。

曲は…『少女S』

 

「――さっきまでと言ってること違うじゃない」

「ちょっとだけ素顔、見せたけれど…♪」

「「「ほ…ほわぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!」」」

 

元々現代風な歌を歌っていた数え役満姉妹だが、今回は音々音もいて曲風も落ち着いているものだ。

ファンも一瞬戸惑うが、大歓声へと変わる。

 

「「「「誰かのせいにしては、逃げ隠れしてる日々…アテにならないわ。I'm sorry…取りあえずサヨナラ…♪」」」」

「「「ほわぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!」」」

「初めてにしては上手いな。マジでアイドルできるかも」

「そうなの?」

「本当に生き生きしてんな、ねねのやつ…」

「お姉様羨ましいの~?」

「そ、そんなわけないだろ!?」

 

「「「いつか心の奥のドアを叩く…♪」」」

「あなたを待っている♪」

「「「「他には何もいらないや  イヤイヤイヤ…」」」

「「「ほわぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!」」」

 

一曲目が終わり、少し一息つく四人。

だが、なおも歓声は収まらず響き渡っている。

そして、次の曲が始まった。

 

「「大丈夫、さあ前に進もう♪太陽をいつも胸に…♪」」

「「繋いだ手伝わる、Power願いをつかまえにいこうよ♪」」

 

二曲目は『ココロのちず』

そういやアニソンとボカロしか教えてねぇ…リトは苦笑いした。

 

「ははは…もうどうにでもなれ…」

「どうしたの兄ちゃん?」

「なーんでも?」

「兄様…その、私もやってもいいですか…偶像…」

「シャオはやりたいな~…あ、リトだけの偶像だけどね?」

 

…小蓮の台詞は置いといて、リトは再びステージを見る。

生き生きとしている少女達…それを見て笑うファン。

生きる、と言うことはリトのもといた世界と違い大変な事。

だからこそ、この時間は苦労を解消するためにある。

 

そして――――

 

(俺は…やっぱり、最低だ……)

 

これからの行動に嫌気がさす。

この世界を救うと言う行動が…自らを傷つける、大切な物を無くす事となる…その事に。

 

 

「「「「――ボクらは一つ、One Peace」」」」

「…ん?終わったか…」

 

いつの間にか曲が終わった。

思案顔をしていたリトはステージを再確認。

すると…ふと目に写ったのは四人がいる真横にある木材の一つ。

それはぐらぐらと揺れている…恐らく、天和達が歌ったときに出た音波で動いているのだろう。

そしてそれは傾き、天和達の元へ動く。

 

「やべっ…!」

「……………ッッ!」

 

事態に気が付いた恋と一緒にステージへ飛び出す。

恋は四人の安全の確保、リトは木材を全て受け流し始めた。

ふい~…と一息つくも、周りは突然出てきた男女に目を丸くしている。

 

「あ、これはこれでやばい…」

「……………?」

 

ファンはざわつき始め、恋はそれに対して首を傾げている。

これはこれで戻るのも気まずい。

どうしようか迷いかけたとき、音々音がマイクを持って近づいてきた。

 

「リト兄ィ!リト兄ィも歌いに来たのですか?」

「え…いや…」

「何か一曲歌ってほしいのです!」

「あ…うん」

 

音々音の勢いに押されてしまい、ついにはマイクを取る。

どうせだから中国っぽい歌にしよう…そう思いながらケータロスにある曲を流した。

 

「…I wanna fight your brother?…Let's kung-fu!」

「「「ッッ!?」」」

 

リトは歌を歌うスイッチが入ったのか集中しだす。

リトの声、そしてメロディーを聞きその場の全員から鳥肌がたつ。

曲は『Around The World』

 

「IT'S NOW AND ALWAYS…HOW DID WE GET THIS FAR…WE'RE MAKING A BRAND NEW START…NOTHING WILL HOLD ME DOWN…WAVE GOODBYE TO ME!」

 

「すごいすごい!すっごーい!!」

「なによこれ…上手すぎ…」

「…………」

「リト兄ィ…かっこいい…」

「……………♪♪」

 

「AROUND THE WORLD…新しいことに、フミダスチカラで、世界は変わるさ。BUT DON'T RUN AWAY 'CAUSE IF IT'S NOT OK!I'LL CHANGE THAT WORLD INTO SOMETHING BET TER HONEY…」

 

「意味わかんないけどおもしろい歌なのだ!」

「さっすがシャオのお婿さん!」

「…………………」

「流琉…何でシャオを睨んでるの…?」

「…?おにーちゃんすごいね!」

「はぁ~…」

「スゴいね~…お姉様も夢中になっちゃうのも無理ないね…」

「うん……ってたんぽぽ!?も、もって…」

「たんぽぽも平沢さんの事けっこう好みなんだよね…あ、でも正妻はお姉様に譲ってあげる!」

「そういう問題じゃ…」

 

馬超と馬岱の口喧嘩が終わる前に曲が終わり、次の曲に移る。

宴の時にやった…『五星戦隊ダイレンジャー』

 

「転身だァァァァァァッッ!!…気力だァァァァァァッッ!!」

「「「お……お…おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」」」

 

先程まで黙っていたファン達が雄叫びをあげる。

曲に触発されてかは分からないが、男として叫ばずにはいられないのだろう。

 

「天に輝け五つの星ー、五星戦隊…五星戦隊…!ダイレンジャーぁぁ!…ダイレンジャーぁぁぁぁ!!ワァァァオ!!!」

「せ、盛大に終わった…」

「彼、凄いわね…」

「リトかっこいいよー!」

「リト兄ィー!」

 

その後、何でかそのまま歌うことになったリトはステージの上に居続けた。

主に…アニソンを歌うために…

 

「いち、にっ、Sunshine、よんっ…ウィィィィ…」

「「「ゴォォォォオオオオオオオオオオオッッッ!!!」」」

「ウィーゴーッッッ!!!」

 

ファンのノリがいいのか、または曲がいいのか一体感が半端ない。

若い男が中心に叫んでいるところを見ると、そっちの趣味があるようにも見える。

そして、あ…やり過ぎたわ…と今さらながら気付き、ステージから降りていった。

 

「ただい…」

「お兄ちゃーーん!」

「兄ちゃーーん!」

「兄様!」

「リトーー!」

「おにーちゃーーん!」

「マンゴー?!」

 

すぐさま飛び出して来たのは今まで待っていた鈴々達。

鈴々は頭部に、季衣は鳩尾に体当たりもしくは頭突きしたので奇声を発してしまう。

他はいいんだよ、他は…

 

「ちょ…一回はなれて…特に鈴々…」

「こらーー!リト兄ィに何をしてるのですかーー!!」

 

離れてと言いかけた瞬間…こちらにやって来た音々音が叫び、空高くジャンプ。

そして――お約束の必殺技をやった。

 

「ちんきゅー…きぃぃぃっく!!」

「「「わっ!?」」」

「っあうっっ!?」

 

ただし、当たったのは…急所であるリトの股間。

金的には注意しろと修行時代に言われたが…まあ、今回はギャグ回なので当たる。

リトはそこを押さえながら地面にごろごろとのたうち回っていた。

 

「ふぉぉぉぉ…」

「り、リト兄ィ!ごめんなさい…ごめんなさいなのですぅ…!」

「いや…だい…丈夫…!火を噴くきっくはマジだった…」

「あの……責任はねねが取るので大丈夫ですぞ…?あ…呼び方は…旦那様?それとも…あなた…?」

「流琉…ねねが何か言ってるよ?」

「たぶん体と頭が火照ってるからだよ…だよね、ねねちゃん…?」

 

痛みを押さえているためか隣の音々音の言葉も聞こえていない。

リトの代わりに突っ込むと…それ、言う性別逆だろ。

そんなことも露知らずに音々音は約二名に睨まれ自重、その後三姉妹の歌を聞いていった。

 

 

「リットー♪」

「ボフッ!?」

「「「ああー!?」」」

 

ステージは終了し、三人が舞台裏から出てくる。

その際…天和がリトの頭を自分の胸に埋めさせて、一部から嫉妬の籠った声が上がった。

 

「やっぱり歌上手なんだね~。これから一緒に大陸回る偶像にならない?」

「まっ、最初は荷物持ちなんだけどね」

「ね、姉さん…!」

「~~~~~~!」

「その状態じゃなにも喋れないじゃない!」

「は、離れて下さいぃ~!」

「それにリト兄ィはやらないのです!」

 

チビッ子×3によってリトは解放される。

少し顔を赤くして深呼吸…そして、天和の提案を断っていた。

 

「止めとくよ。俺にはまだやることあるし、それにファンに殺されかねん…!」

「えー?」

「まあ……たまに歌おうな?お前らの歌好きだし」

「そ、そんなの当たり前でしょ!ちぃ達は大陸一の偶像よ!」

「では、今回はありがとうございました。お礼は後程」

 

丁寧に頭を下げる人和はやっぱり末っ子に見えない。

そんなことに戸惑ってるリトを横目に、小蓮と流琉、音々音はこっそりと話をしていた。

 

「…やっぱり胸?胸なの!?お姉ちゃん見たいな胸がいいの!?」

「むむむ…こうなったら朱里が作った貧乳党に入るのです」

「ねねちゃん…それ、私も入っていいかな?」

「ん?お前らなに話して…」

「「「巨乳には関係無いわよ(ですぞ/です)!」」」

「うえええ!?」

「あーあ、お姉様目の敵にされちゃったね」

 

 

翌日……

 

「ねぇねぇ…あの人って…」

「うん、昨日の舞台で歌った…」

「けっこうかっこいいね…」

 

「ちんきゅーたんだ!」

「ハァハァ…ちんきゅーたん…ハァハァ…」

「きっく!きっくしてちんきゅーたん!」

 

音々音と一緒に町を歩いていると、こんな風になっていた。

リトの場合は昨日の舞台で噂になり、音々音は一日限りのアイドルとしての人気が出たのだろう。

ちなみにハァハァしてたのは殴り飛ばしたのであしからず。

 

「…次から変装して町にでよ…」

「うう…やっぱりリト兄ィだけに見せればよかったのです…あの衣装…」

「「はぁ…」」

 

二人仲良くため息をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

XXX「作者と!」

一刀「一刀の!」

X一「「後書きコーナー!」」

 

XXX「えっ…今回…セーフだよね…?」

一刀「それは俺たちでは判断できないよ…見てくれる人に聞かないと」

XXX「そうかな…まあいいや。今回は歌回でした。特にアニソン中心の」

一刀「それはそうと作者がねねをヒロインにしようとしている件について」

XXX「しょうがないじゃん、ちんきゅー可愛いよちんきゅー」

一刀「衣装も考え無しの思い付きだろ」

XXX「でも、色ちがいもいいと思ったので反省はしない」

一刀「あと流琉のヤンデレ化進行について」

XXX「あれは…書いててああなっちゃった☆」

一刀「ガッデム!」

 

一刀「こんな作者で大丈夫か…次回、真・恋姫†無双巡る外史と仮面の魔神二十二話は!」

XXX「大丈夫だ、問題ない…仮面編 “優しくしてあげる”」

一刀「え…毎度ながら誰の台詞…?」

XXX「おいおい、ネタバレするきかよ。まあ、一言…リト、ドンマイ」

一刀「マジでなんなんだよ!?」

 

Ο△Οノシ再見


 
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