【 人和の嘆きと祈りの件 】
〖黄巾賊内大天幕にて〗
天和「ちーほーちゃん、お姉ちゃん達、どうなっちゃうんだろうね……。 ただ、皆に楽しんで喜んでもらいたかっただけなのに」
地和「…程達が『まかせろ!(ニカッ)』って出て行ってから、もう十日は経つんだけど…あの、バカヤロー共は!!!」
タッタッタッ バサッ!
人和「天和姉さん、地和姉さん! ……官軍が何か柵みたいな物を作り出したみたいだけど、どう思う?!」
天和「えぇ~~! お姉ちゃん、そんなの分からな~い~!」
地和「人和に分からないのを、私達に分かる訳ないでしょう?」
人和「はぁーー……………」
ここに止まり、もう十日も過ぎた。
水も食糧も少ないのに、どんどん私達を頼り人が集まる。
私達の歌や踊りで、一時の慰みなれば思い行っているが、もうすでに限界に達している…………。
姉さん達も、現状が変わらないのを悲観してか、私の質問を丸投げで返してくる。…まるで、他人事のように………。
なんで…なんで…こうなってしまったんだろう…!!
ーーーーーーー
…………始めは、全く売れない旅芸人だった……………。
いくら歌っても、いくら踊っても、貧しい生活に変わりは無く、果ては私達を手込めにしようとする輩も出る始末……。
こんな生活はいや! 早く早く抜け出したい!! と頑張るけど、何も変わらないまま続く毎日…………。
……そんな中、起点は、急に訪れた……。
客『お、俺、天和ちゃんを応援、し、してい、るよ!』
姉さんが、そんなお客さんより頂いた一冊の本。『太平要術』という
名は、後で知る事になった仙術書。
始めは、物凄く重宝した書だった。
私達の芸に関する新しい知識を教えてくれた。 地和姉さんが妖術を使えるようになり、舞台に凝りだしのは、この頃だ。
………でも、今この書物は、私達には足枷にしかならない………。
歌い踊るたびに、私達を応援してくれる人達が増えたが、その人達を利用して悪事を働く者も出てきた………。
やり方は、簡単………………。
私達が『欲しがっている』 『褒めてくれる』 『喜んでくれる』
妖術よりも簡単に、優しい人達を悪人の手先に変える『呪文』で
この私達を応援してくれた団体が、今では『黄巾賊』と言う名の反乱軍へと変貌してしまった…………。
私達は、一生懸命止めるように叫び続けた!
しかし、誰も信用してくれず、官軍を欺くために言っているに過ぎないと考えているようだった……。
それとも、既に心までも悪人となってしまったのだろうか………?
……………お願い、誰か……。救って………。
…この人達の罪は、私達の罪。 この人達の罪は私達三姉妹が償う。
………だから、だから! 救って……………!
◆◇◆
【それぞれの思惑の件】
〖 董卓軍陣営内 〗
策は、こう考えている。
俺は、図面を見て皆に話かける。
壱、我らが中央の柵より入り込み、潜入して張角達の場所を探し出し て、確保する。
弐、張角達の居る天幕を除く天幕に、火を放つ。
参、相手が騒ぎ出した時に、紛れ混ました兵と供に、左右の通路に誘 導。俺達は、真ん中の柵より脱出する。
◆ ①↓◎ ◆
┃ ーーー………ーーー ┃
┃⇧ ③↑※※ ⇨⇨⇧┃
┃⇩ ⇦⇦ ※※ ② ⇩┃
┃ ーーー………ーーー ┃
◆ ◆
潜入組……天城颯馬、村上義清、立花宗茂、程遠志、風魔小太郎
及び兵士約百人
柵の警護、軍の統率…董卓、華雄、武田信玄、武田信廉、立花道雪、 高橋紹運
道雪「四隅の将は、どの将が担当するのですか?」
右側が袁紹軍、曹操軍。左側を何進軍、孫策軍となります。
劉備軍は、反対方向より突撃するとの事。それ以外は教えてくれませんが、一応許可を月様から出してもらいました。
…多分、単独での救出活動を行うのでしょうね………。
紹運「私達、軍を率いる者達の具体的な動きは?」
各将、約二千名を率いていただきたい。 武田信玄殿、月様は柵の外で黄巾賊達の士気、兵を減らして下さい。武田信廉殿、立花道雪、高橋紹運殿は、真ん中の柵より合図が有り次第、突撃下さい。
信玄「わ、私は、何故、外へ向かわされ、信廉が突撃部隊にいるのですか? ………理由は分かりますが………納得できません!!」
………ですが、護衛である小太郎を必要ないからと、こちらに回し、尚且つお一人で部隊を率いるとなると、俺達の場所で比較的安全なのは、柵の外で指揮してもらう事だけなんです。
……それに、俺は完治されたと言っても、まだ心配しているんです。信玄殿に何かあったらと思うと、心配で、心配で………。
信玄「…承知しましょう。 軍師を不安にさせて、後の行動に支障を来して皆に迷惑ですから。 ………それだけですよ。颯馬が心配してくれた事が、べ、別に、嬉しかった訳では……ないんです…から!」
信廉「……………複雑です…………」
宗茂「………むぅ~……」
義清「…羨ましいのう」
小太郎「………………………………」
紹運「…何故か、自分の健全な体が悲しくなってきた……」
道雪「……颯馬殿、私が突撃部隊に入っているのは、如何なる理由ですか? 信玄殿と違い、私の足の治癒は難しいと言われているので、別に支障は無いとでも、思われているのですか?!」
いえ、道雪殿に不快な念を与えてしまい、申し訳ありません…。
道雪殿ならば、部隊の長として万全な態勢を取って下さると信じて、この場所に配置致しました。
確かに最もな意見です、俺の配慮が足りないばかりで………。
ですが、この突撃部隊の長をお任せ出来るのは、(この場では)道雪殿しかいらっしゃらないのです!
…もし、道雪殿が矢傷を負って、綺麗なお顔に傷が付いてしまったら、僭越ながら天城颯馬! 道雪殿を娶らせていただきます! 俺のような男で申し訳ないですが…おなごに傷を付けさせる事の重大さはわかっていますので!!
道雪「……………………………………」
道雪殿? 道雪殿! 道雪殿!!
道雪「…颯馬殿、その言葉に、嘘偽りは一切ありませんね………?」
えぇ、勿論です! この場の皆が証人です!
道雪「…そこまで申されるのあれば、お受けしましょう!」
☆☆☆
紹運「(ボソ)ちょ、ちょっ、義姉上! ほ、本気で!!」
道雪「(ボソ)ば、馬鹿な事を。戦場で矢傷など付き物。…少しだけ信玄殿に嫉妬しただけです……本気な…訳では…決して……」
紹運「(ボソ)…………義姉上。 何故、目を逸らすのです?」
★★★
信玄「(ボソ)…信廉、あの勇猛で名高い道雪殿ですから、万が一の事は無いとは思います。……ですが! もし、そんな事態になりそうになれば、なんとしても阻止するのです!!」
信廉「心得ました! 姉上!」
信玄「声が大きいですよ!! 信廉!!」
☆☆☆
月「私の統率する兵の皆さん、お願いします! 私に力を貸して下さい! この戦いを早く終わらせてもらうために!!!!」
董卓兵「おおおぉぉぉ!!」
兵A「………おおぉぉ! 董卓様の本気がみせるとは、何年振りになるのかのう!!」
兵B「…そんなに、凄いのか?」
兵A「羌族や胡族に対して、何度も戦い、そのたびに打ち破った御仁じゃぞ…。お主も、あの愛らしい容姿に油断すると、後悔するハメになる事受け合いじゃ!」
月「(ボソ)……私も、負けてはいられません! 北郷殿に対して言ってしまったケジメを! ………………道雪様が、お怪我をされないうちに、この戦に勝たせてもらいます! 」
◆◇◆
【華琳と桂花の密謀の件】
〖曹操陣営内〗
華琳「…桂花、私はこのように、あの軍師の策を読んだのだけど、貴女からみて、どう思うかしら………?」
※ 逃げ道を強制的に定めて置き、集合場所に火計で追い出す。
( 賊共は、張角達に忠誠を誓う者は少ないから、大部分は逃げ出すでしょうね。そうすれば、張角を守る部隊だけが逃げ残るはず。護衛をしながらの行軍だもの、早くは動けないわ )
※ 火計部隊に真ん中の柵から侵入してもらう。その後柵の周りに兵を配置し、敵の排除や士気を落とさせる。
( 火計部隊の侵入路は、即ち張角達を救出するための通路。柵の周りの配置は、別の意味を考えると、中に入った部隊の援軍及び監視と言うことかしら。 私達のように策に気づいた者達の阻止のためという事かも? )
※追い出した先に障害物を置き、敵の勢いを削ぎつつ、出口を小さめに作りあげて賊共の大軍の利を失わす。
(私達に功績と安全を餌に出口を固めさせ、賊共を始末させるためね。 全く、抜け目がない男だわ……………)
桂花「…私もそう思います。 董卓軍の狙いは『黄巾賊の首領、張角三姉妹の確保』で間違いないかと……」
華琳「……そう。私達以外にも、その正体を気付いた者がいるようね。 で、桂花? 私達の取る方針は……?」
桂花「はっ、楽進、李典、于禁の三名と兵三十名程で、中央の入り口から入り込み、張角達を逆に奪いとればいいかと。華琳様は、任命された場所で黄巾賊を討伐をお願いします」
華琳「花と実を両方取る作戦ね。兵の数が三十名というのは、大丈夫なの? もう少し割くことも出来るけど?」
桂花「私の得た情報では、劉備軍が不穏な動きを見せている模様。多分、私達と同じ中央から突撃することになるかと。 その中で多人数で行けば、混乱が増して兵の統率が難しくなるでしょう。 それに、あの三人の力量では、この人数が妥当と判断いたします」
華琳「そう、わかったわ。 では、そのように編成をお願い。 私は何進の御前に行くから…その策、上手く事が運んだら褒美を挙げるわよ、桂花」
桂花「はいっっ! 華琳様!」
◇◆◇
【孫伯符の思い出話の件】
〖孫策陣営内』
冥琳「…………以上が、董仲穎と御遣いとの会話の内容だ」
雪蓮「思い切った事を言ったものね。董仲穎も」
冥琳「だが、それは真実を突いている。 私も同じ事を頼まれれば断るさ………。 孫呉の大事な戦力を、人助けの理由だけで使えば、我らの目的も果たせず、亡くなった者達も浮かばれまい」
雪蓮「私は…………張角達の気持ち、少しは分かるのよ………」
冥琳「ちょっと、雪蓮!「今の私達の境遇に似ているな…って」…気持ちは分からなくてないけど………」
雪蓮「『籠の中の鳥は、空を眺めて口ずさむ。私はいつになれば仲間と一緒に歌えるかしら? 』だったかな………。冥琳と一緒に母様に
読んでもらった物語の一説…」
冥琳「あぁ、結局は籠の中の鳥は、逃げられず死んでしまうのだったか? ……文台様に『籠の鳥が可哀想だ!!』と二人で泣きついた事は、忘れてられない思い出だ………」
雪蓮「張角達も、黄巾賊の籠に入れられ出られない鳥。この鳥を救うには、死んでしまえば取り出す事もできるわよね?」
冥琳「………!」
雪蓮「冥琳……………」
冥琳「雪蓮、それは軍師として言わせてもらう。 それは無理だ。 周りは、董卓軍に囲まれ、更に介入しそうな部隊もいる。…それに我らは、袁術軍の名代だ。 勝手な行動が罰せられるし、疑われる事になる! …………ここは、耐えて欲しい…………」
雪蓮「………………」
◆◇◆
【劉備陣営の様々な思惑の件】
〖劉備陣営内〗
愛紗「ご、ご主人様! 大丈夫ですか? 」
一刀「………あぁ、すまない。……心配掛けたね、愛紗」
桃香「……ご主人様、良かった! 董卓軍に掛け合いに行って、戻ってきたら顔色が真っ青で意識がなかった状態だから………」
一刀「………ごめん、桃香。あぁー、俺も修行がまだ足りないないと言うことか…………。爺さんの教えが、まだ生かしきれていないんだ!! 自分自身に腹が立つ!!!」
愛紗「ご主人様、その、お爺様の教えというのは?」
一刀「…爺さんの? 簡単に言えば「意地」で負けるな!って事。『自分の持ってる全ての力を持って、敵対するものあれば滅しべし。己が一人、敵が数千人いれば、悉く切り捨てしまえ!』ってよく言ってたんだけど……。董 仲穎様の容姿に騙されたかな………?」
桃香「ふぇ~~! 凄い教えだねぇ!! 愛紗ちゃん?!」
愛紗「確かに。…ですが、今の話を総合すると、ご主人様は〔董仲穎様の容姿に、鼻の下を伸ばして油断された所を、気当たりで撃退された〕と言う事ですか?」
一刀「ひ、ひど!! どうして、そんな酷い取り方するんだよ!! ………確かに、儚げで可愛い容姿だったのは認めるけど!」
愛紗「ご主人様!!!」
桃香「まぁまぁ、愛紗ちゃん。追及するのは戦が終わってからでも出来るから後にして? 今は、張角さんを助けるのが先だから!」
一刀「…………まだ、説教続く予定なんだ」
愛紗「ご主人様が悪いのですから当然です! さて、朱里や雛里はどこにいます? 二人に策を提示して貰わななければ………」
ーーーーー
朱里「雛里ちゃん、聞いた? 董仲穎様の容姿にご主人様が興味を持ったんだって! ならば似たような体型の私達もご主人様に可愛いがって貰える……………」
雛里「…………ポォ~~~」
朱里「………雛里ちゃん? 雛里ちゃん! しっかりして!!」
鈴々「朱里~、雛里~、お兄ちゃん達が呼んでるのだぁ…?!」
朱里「鈴々ちゃん! 雛里ちゃんを桃香様達の下へ連れて行って!」
ーーーーーーーーーーー
桃香「じゃ、朱里ちゃん策の説明を」
はい! まずは状況報告です。
董仲穎様の軍師の献策により、現在柵が構築されつつあり、何進大将軍の号令で開始となります。
袁◆ 董◎ 孫◆
┃ ーーー……ーーー ┃
┃⇧ ※※⇨⇨⇧┃
┃⇩⇦⇦ ※※ ⇩┃
┃ ーーー……ーーー ┃
曹◆ 劉○↑ 何◆
配置は、この図の通り。
そして、義勇軍である私達は、正式な軍では無いため遊軍と言う事で何進大将軍と董卓軍双方の許可を得て、この位置に着きます。
私達の目的は、黄巾賊首領に祭り上げられている張角さん三姉妹の救出。私達の仲間になってくれた元黄巾賊の皆さんとの約束を果たすためです。
ご主人様にご足労お掛けして董卓軍との共闘を頼みましたが、断られてしまい、単独での行動になります!
愛紗「ご主人様の名声を妬み、共闘を避けたのに違いあるまい! 真の御遣いはご主人様ただ御一人だけだから、共闘すると化けの皮が剥がれると恐れているのだろう!」
鈴々「そうなのか? とっても強そうなお姉ちゃんばっかだったからそんな小細工しないと思ってたのだ!!」
雛里「…………………………」
一刀「……いや、愛紗。 その認識は改めてもらいたい。 董卓軍にいる『伏竜の軍勢』は間違いなく俺と同じ天の御遣い。俺自身が確認し、本物だという事が分かった」
愛紗「……………そんな! では、あの者達は、ご主人様の言っていた『戦国武将』なのですか?」
一刀「性別が違うのは、何でか分からないけど、本人達と話をして確信を得ている。しかも、この国では知らないはずの天の知識も収めているから、要注意だ…。それでも、俺の知識の方が遥に新しいのが救いだけど……」
桃香「………そう言えば、星ちゃんは? いつまで経ってもツッコミが無いからおかしいなーと、思っていたんだけど?」
おかしいですね? 先程見掛けたのですが………。
……刻限も迫っていますので、この場にいる方々に命じます!
張角救出隊…ご主人様、愛紗さん、私(朱里)と兵の皆さん二百人。
張角さんの場所は、元黄巾賊の皆が分かるそうですので、状況判断で救出可能でしたら、実行します。
もし駄目な場合は、即退却を致しますので! 皆さんを失う事は、私達の悲願が潰えるものと同じですから…!!
劉備軍…桃香様を中心として、鈴々ちゃん、雛里ちゃん、星さんと残りの兵の皆さんで方形陣を構築。 他の軍勢の対応と漏れ出てきた黄巾賊の応戦に対応してください!!
では、早急に取りかかって下さい!!
ーーーーーーーーーーー
……! 雛里ちゃん? 何か………ご用?
私に聞いてもらいたい事情があるんでしょう…? いいよ!
えっ? …確かに、刻限迫っているけど、話を聞くだけなら大丈夫だよ! どうしたの? 私に教えてくれないの?
だって、雛里ちゃんのその顔、余程深刻な事を抱えてるんだろう…と判断したからだけど…違うの?
私達、親友だから。 雛里ちゃんが苦しめば私は悲しいし、私が楽しければ雛里ちゃんも笑顔になる!と思ってるんだけどね……。
さぁ、教えて雛里ちゃん。 私の親友を苦しめる問題はなんなのか!
◆◇◆
【平常運転の袁家の件】
〖袁紹陣営内〗
麗羽「それでは皆さん! この高貴で気高く神々しい私のために力を尽くせる事を感謝しながら、黄巾賊を破ってくださいな!」
猪々子「あー、姫の言う事には気に留めなくていいから、皆、適度に頑張れ~~!!」
斗詩「文ちゃん! 一応将軍なんだから号令しっかりやって!!!」
◇◆◇
【黄巾賊殲滅戦の件 その壱】
〖何進陣営内〗
武官「何進様! 柵構築、軍の配置完了しました! 号令をお願いします!!」
何進「うむ……。 漢王朝に仕える忠臣達よ! 今から黄巾賊殲滅を開始する! 各々の忠義、その働きを持って示せ!! 」
ジャン! ジャン! ジャン!!
銅鑼の音が、戦場に響き渡る! 黄巾賊に取っては破滅の足音、俺達官軍に取っては、勢力拡大に繋がる飛翔への羽ばたきの音。
張角達には、何と聞こえるだろうか………?
★★★
颯馬「遠志! 張角達の居場所は中央の大天幕で良かったのか?」
程遠志「その通りだ、兄貴! 天和ちゃん達はあの天幕より外に出ない! いや、出れない! 熱烈の信者達が馬鹿をやる事があるので、中に入ってもらい俺達が護衛しているんだ!」
颯馬「それでは、俺達は大天幕に向かう! 道雪殿、紹運殿は、賊の足留めをお願いします! 小太郎は、速やかに放火を頼む! 念のため、張角達が居ないか確認して放ってくれ。信廉殿は退路の確保を!! 」
各将「「「「 はい! (承知!)」」」」
☆☆☆
愛紗「ご主人様! 行きますよ!」
一刀「…………………………………………………………」
愛紗「ご主人様!!!」
一刀「……………大丈夫。 まだ定まっていなかった覚悟を決めた。爺さん! アンタから教えてもらった「意地」を引っさげ、俺は行かせてもらう! …『敵、一度相対しすれば、八万地獄まで突き落とすべし!』… 行くぞ!!!」
朱里「はい!」
朱里(私は確かめたい……。雛里ちゃんが思い悩む程、惹かれる董卓軍の軍師『天城颯馬』。 ご主人様に似た雰囲気を持ちながら、軍師としての才覚を示す傑物。 あなたは、本当に天の御遣いか? それとも、戦乱を更に巻き起こす戦神の先触れなのか………?)
★★★
凪「……劉備隊が動いた! 我らも動くぞ!」
真桜「えぇ~~、はやっ、はやいでぇ~ もうちっとばかし、待ってもらへんか? 凪!」
沙和「もう~、真桜ちゃん! こんな所で油売ってちゃ駄目なの!」
真桜「そないな事言ったって、この絡繰り夏候惇将軍の改造が、結構難しくてっな? これを、もうちっと上に上げて………!」
凪「仕方ない! 私達で追うとしよう! 真桜の事は華琳様に報告を託して、沙和は兵を率いてくれ!!」
沙和「了解なの! それじゃ、良いかウジ虫共!! 我らが主、曹孟徳様がお前達ウジ虫共の成長のために、与えてくれた任務なの! 必ず成功させるの! 駄目な奴には、真桜ちゃん特性絡繰りの練習台にしてあげるから、楽しみにしているがいいの!」
曹兵団「サー、イエッサー!!」
真桜「凪、すまんかった!! 今行くから、勘弁してや!!」
☆☆☆
俺達は、程遠志の案内で大天幕に入る! 大部分は舞台会場となっており、数段高い高台と見物人が座ると思われる広場。 その奥に張角達がいる部屋になるとの事。
今頃、小太郎が放火を始めていると思うし、紹運殿や道雪殿の身が心配でもある。 確か数万人規模の軍勢がいるはずなのに、何故か兵が出てこない。 いくら道雪殿達の奮戦があろうとも、全く出てこないのはおかしい………?
愛紗「ここか? 張角殿達の居る所は。 …むっ! 貴様らは董卓軍! やはり……張角殿達を害しに……!!」
??「………何とか、抜け出だしたの!! って、あれ? この軍は…おーい、凪ちゃん! 他の軍が来ているの!」
なんだ? 劉備軍だけじゃないのか? どこの軍だ?
凪「自分は、曹孟徳様配下、『楽 文謙』。 こちらに居る張角三姉妹を保護するように命じれた! 大人しく引き渡していただこう!」
真桜「…………おーい、凪。ここは、双方戦っている内に、ウチらが張角奪っちゃえば、簡単じゃないかと思うんやけど?」
凪「何を言うか? 確かに双方の戦っている隙を付いていくのも武略だろう。 だが、今回は仲間内の争奪戦だ。 だから、正々堂々大音声で名乗りを上げて行くのが、将の正しき道であり、華琳様への名声に繋がるのではないか!」
わぁー、紹運殿の同じ………いや、義清、宗茂の二人が頷いてるし、向こうの関羽殿も、もの凄い勢いで頷いている。
だが、こちらも引くわけには行かない。
颯馬「その心意気は良し! だが、何を勘違いしている! 我ら黄巾賊首領、張角を打ち取りに来たのだ! それを手柄を寄越せというのは、盗っ人猛々しい!」
俺は、程遠志を先に行かせる! 心配顔をしながら、程遠志は仲間を連れ奥へ向かって行く。
一刀「颯馬様…………あなたを信じていた俺が馬鹿だった。俺は張角殿を救い出す! 愛紗は、俺と共に董卓軍へ! 朱里…無理を承知で頼む! 兵の皆を引き連れ、救出へ向かってくれ!」
愛紗「わかりました! ご主人様は私が御守りします!」
朱里「うぅぅ、怖いけど……行きましゅ! でも、でも、必ず合流して桃香様の下へ!!」
劉備軍の将?が、兵を率いて奥に向かう。
凪「ここは、自分が相手をする! 真桜、沙和は兵を連れ張角の保護へ向かえ! ……必ず三人揃って華琳様の下へ戻るぞ」
真桜「アホ………! ウチら三人揃っての三羽烏、誰一人欠けさせるなんて、許させえんからな!」
沙和「……凪ちゃん! ウジ虫共、今から張角の保護に向かう! 楽進将軍に笑われるような戦い振りのウジ虫は、即刻首にして宦官の仲間入りにしてやるの! わかったか! ウジ虫共!!」
曹兵団「サー、イエッサー!!!!」
曹軍も後を追いかける。 あの掛け声って、何なんだ?!?!
颯馬「こうなれば、戦うしかないだろうね。 義清、宗茂は劉備軍を頼む! 俺は曹軍に向かう!!」
義清「兄者、後ろを守る事は出来ないが、勝利する事信じておるぞ! ………私の認めた男なのじゃからな」
宗茂「力不足で申し訳ありません! 早めに切り上げ救援に向かいます! どうか、それまで辛抱を!!」
俺は、すまなそうにしている二人の頭を撫でて、励ます!
颯馬「こうなる事は、戦場に出ればなる覚悟はしているよ。 俺の心配より義清や宗茂の相手を警戒してくれ! 相手は軍神の『関雲長』と天の御遣い『北郷一刀』だ! どちらも一筋縄でいかない将だから気を付けて!!」
義清「わかっておるぞ! 兄者! では、私は関雲長に向かう。同じ長物だから間合いも計りやすい。それに、今までの鍛錬の成果を試せる絶好の相手じゃ!! 」
宗茂「はい! 頑張ります! では、私が北郷一刀ですね! ……あの構えは『蜻蛉』…ですか? ならば、こちらも容赦なく行かせていただきます!!」
◆◇◆
【希望を遮る者の件】
〖黄巾賊大天幕内〗
程遠志「すまねぇス、兄貴! 村上様、宗茂様方!」
オイラは、後方より付いてくる親衛隊の仲間と共に、天和ちゃん達の下に向かうスっよ!!! 早く合流、早く脱出して、兄貴達を助けなければ! 助けてくれた恩人に、仇を返す事になるス!
オイラは、急ぎに急ぎまくる!!!
………あの時、偽黄巾賊の輩を止められず、死に体の状態だったオイラ達を、兄貴は何故か助けてくれた………ス。 風貌も服装もあいつらと何も変わらない状態なのに。
後で聞いたら、根性が違うと笑われた…。 結局不明のままっスよ。
だけど、この人のために恩を返さなくては……と思わずにいられない程、良い笑顔の兄貴だったっス。
だから、天和ちゃん達を連れてきたら、オイラも兄貴の配下に……!
………なんだ? この咽せ返る血の匂いは………?
ものすげー寒気が湧き起こる……ス! なんでだ? なんで、天和ちゃん達の部屋からするんだス?!?!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
あとがき
読んでいただき、有り難う御座います!
後、誤字が多くすみません! 投稿した後も見つけたら訂正しますので………。
何とか今年最後の小説を仕上げれました。
続きは、出来れば新年始めには、出したいなと思っていますので
宜しく御願いします。
…因みに、恋姫の原作キャラ死亡はありません!
オリキャラと戦極姫のキャラは、何人か亡くなっていますが、次の作品も含めて、今後も死亡設定は無いと考えていただければ。
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義輝記の続編です。また、宜しければ読んでみて下さい。