闇夜の中、月光を身に浴び一人、城壁で佇んでいた。
下の中庭では先程行われていた、立食ぱーてぃーの楽しんだ余韻と、
足跡だけが残っている。
楽しかった。皆が心から大いに喜び、叫び、無我夢中の宴。
少し前までは考えられなかった、幸せの時。
幸せだ、こんなにも幸せな事はない…。
私は城壁に体重を掛け静かに座る。
そして、月を掴むが如く手を伸ばし、月の輪郭をなぞる。
酔っているのだろう、自分でも自覚がある。
でも、今はこの感覚が心地良い。
あの人と共に飲み、時間を共有できた幸せによる感情だから。
…声が聴こえる。私を呼ぶ優しい御声が。
その声の主は、私達の前から消え去り絶望を齎した罪深い御人。
でも、大切な御家族よりも私達を選び、
再びこの地に帰還してくれた、最愛な御人。
私は立ち上がり、その人の腕の中へと収まる。
貴方の前では私は女になってしまうのです。
幼少の頃から密かに憧れていた御伽噺に出てくる恋する御姫様のように。
だから、これくらい甘えても良いですよね。
それに、今日は貴方が教えてくれた特別な日。
想い人同士が愛を確かめ合う『くりすます』
なので、普段、消極的な私でさえ甘えてしまうのも当然なのです。
…ふふ、今決めました。今日はたっぷりと甘えちゃいます。
例え、沙和や真桜が邪魔をしても、絶対に貴方を渡しませんから。
覚悟してくださいね。
…あ、見てください。雪が降ってきました。
さっきまで、星が煌々と輝いていたのに。
えっ?『ほわいとくりすます』ですか?
…くりすますの日に雪が降る事を言うのですか、成る程。
クシュン!!…あの差し支えなければ、もう少し強く抱きしめて頂けますか。
貴方に…温めて……欲しいのです。ギュッ…ありがとう、ございます。
…私は幸せです。もう一度貴方に巡り逢え。再び寵愛を頂けて。
やはり、貴方の傍らこそが私の居場所。
ですが、時折、不安を感じてしまう事もあります。
また、貴方が消えてしまうのではないかと。
…その様なお顔をなさらないで下さい。別に責めている訳ではないのです
これからお話するのは、断金の誓い。
もし、もう一度貴方が去ったとしても、
私は…私は後を追い、共に貴方の道を歩きます。
過去の私は泣き続け何も出来なかった。
しかし、今の私は親友から希望を貰い、華琳様、皆様からは勇気を頂きました。
忌まわしい過去と決別し、貴方の隣に居られるのなら、
どんなに険しい道のりでも、直走り奇跡を起こしてみせます。
私は想いを伝える。この決意は成長の証、貴方への仁愛の心。
すると、貴方は私が欲しがっていた答えを口にしてくれた。
嬉しい…嬉しいです。最後にこれだけは言わせて下さい。
何時如何なる時でも……
―――――私『凪』は『一刀様』を愛しております―――――
この想いは、未来永劫、変わる事は御座いません。
ですから私の想いを受け取って下さい。
そう言うと私は一刀様に口付けする。
明日、明後日、遥か先の未来まで隊長と共に歩いて行くと
誓いながら……
―――――めりーくりすます、です。一刀様―――――
Tweet |
|
|
14
|
0
|
追加するフォルダを選択
こちらは真・恋姫†無双の二次創作でございます。
この作品はただいま、おかえりなさい。
の続編であり、所謂魏アフター。
書いてて思ったことはクリスマス要素が薄いという事。
まぁ、いいよね。
続きを表示