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真・恋姫†無双 裏√ 第三十一話 孫呉編其四

桐生キラさん

こんにちは
孫呉編の四話目です
内容は、またお前か、って感じです

2013-12-15 20:54:07 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2521   閲覧ユーザー数:2189

 

 

 

 

 

孫呉編其四

 

 

 

 

 

 

私は冥琳、祭と共に、ある男の部屋に向かっていた。その男の名は黄祖。

母様の代から仕えている古参で、昔から欲の強い危険な男ではあった。

証拠はないが、何もしないよりはマシだろう

 

雪蓮「え?零士!?」

 

黄祖の部屋へ向かう途中、私たちとは反対側からやってくる集団がいた。

零士、亞莎、華雄だった

 

零士「やぁ、雪蓮ちゃん。君には救われたみたいだね。ありがとう」

 

雪蓮「なんで零士がここに?体はもういいの?」

 

零士「ふふ。見ての通りだよ。雪蓮ちゃんの血のおかげかな」

 

祭「心配したが、壮健のようで何よりじゃ」

 

冥琳「ふふ。雪蓮ったら、手術中ずっと東殿の手を握っていたんですよ」

 

ちょ!冥琳、いつから見てたのよ!

 

零士「そっか。心配してくれてありがとうね」

 

雪蓮「あぅ…」

 

私は零士に頭を撫でられてしまった。

それがなんだか無性に嬉しく、なんかどうでもよくなってきていた

 

祭「これでは虎ではなく、子猫じゃな」

 

零士「さて、楽しい談笑もここまでだ。君たちとここで会うという事は、同じ男が怪しいと見ているんだね」

 

零士の言葉でハッと我に返る。そうだ。私たちは黄祖を訪ねに来ていたんだ

 

雪蓮「零士は何故あいつだと?」

 

零士「強いて言えば、未来の知識かな。後は雪蓮風に言えば勘かな。そっちは」

 

雪蓮「強いて言えば、欲の強い奴だから。後は勘ね」

 

零士「そっか。雪蓮の勘なら、頼りになるな」

 

零士が私を雪蓮と呼ぶのは三年ぶりね。

確か咲夜が、零士がちゃん付けで呼ばない時は、深刻な時だなんて言ってたかしら。

零士は勘と言っていたが、恐らく犯人と確信しているのだろう

 

明命「雪蓮さまー!」

 

雪蓮「明命?どうしたの?」

 

もうすぐ黄祖の部屋というところで、明命が慌ただしく駆けてきた

 

明命「しゃ、小蓮様がいません!」

 

雪蓮「なんですって!?」

 

瞬間、頭の中で最悪の展開が駆け巡る。小蓮は既に捕まり、人質に…

 

明命「蓮華様は無事でした。今は蓮華様達にも捜索を手伝って貰っています!」

 

蓮華は無事か…なら

 

雪蓮「急ぐわよ!シャオが危ない!」

 

チッ!部屋に待機させたのが失敗だったか?あの時、玉座の間に連れて来ていれば…

 

私、零士、冥琳、華雄の四人は黄祖の部屋の前まで辿り着いた。

亞莎、明命、祭には、シャオの捜索に当てた。この四人が居れば十分と判断したからだ

 

零士「一つだけ約束してくれ」

 

扉を開けようとした瞬間、零士が語りかけてきた。こんな時に、一体何を?

 

零士「なにがあっても、冷静でいるんだ。わかったね」

 

その言葉の真意はわからなかったが、確かに今焦りがある。

零士の言うとおり、少し落ち着こう

 

そして私は扉を開ける。そこには二人いた。一人は初老の男で黄祖。

そしてもう一人は、寝台に横たわっている…

 

雪蓮「シャオ!」

 

小蓮がいた。しっかり確認したわけじゃないが、傷は見当たらない。

眠っているだけか、または気を失っているか…

 

黄祖「クッ!もう来おったのか。えぇい!役立たずのクズ共め!」

 

黄祖は小声だったが、確かにそう呟いた。バカなやつ、これで言い訳はできなくなった。

まぁ、ここにシャオがいる時点で、犯人と言っているようなものだが…

 

冥琳「黄祖、雪蓮の暗殺容疑がかかっているんだが、来てくれるよな?」

 

黄祖「こ、こいつが見えんのか!?」

 

クズが!シャオを人質に取りやがった。黄祖はシャオを抱き、窓に近づく。

逃亡する気だろう

 

零士「待て。お前にはもう一つあるだろう。何故孫堅殿を殺した?」

 

…え?零士は今、なんと言った?

 

黄祖「な!何故それを!」

 

零士「文官失格だな。カマをかけただけだ。証拠なんてない」

 

黄祖「なに!」

 

こいつが、母様を?何故?母様は賊との戦闘で毒矢を受け…

 

零士「悪いが、捕まってもらうぞ」

 

黄祖「だから!こいつが見えんのか!」

 

零士「……」

 

零士が手を後ろに持っていき、何か合図した。

あの手の動き、伏せていろ、と言いたいのかしら。

そして手の指を一本ずつたたんでいく。まるで数えるかのように…!!そうか!

 

指が全てたたまれると、今度は別の手から黒い丸いものが出現し、それを黄祖に投げつけた

 

黄祖「な!」

 

 

パァンッ!

 

 

破裂音と共に、突如辺りが明るく照らされた。

私たちは皆伏せているにも拘らず、それがわかるくらい凄い光だった

 

黄祖「クッ!目がぁぁぁっ!!」

 

 

がしゃーん!!

 

 

黄祖は小蓮を離し、そして窓から飛び出て行った

 

零士「よし!シャオちゃん確保。華雄ちゃん、この子を頼む」

 

華雄「わかった!」

 

冥琳「東殿、今の光は?」

 

零士「説明は後だ。黄祖を追いかける!

 

雪蓮「私も行くわ!」

 

 

 

 

黄祖「くぅぅぅそぉぉぉ!!えぇい!凌統!!こやつらの足止めをせい!!」

 

私が黄祖を追いかけると、その先には無数の兵士が待ち構えていた。

こいつ!兵を雇っていたのか!

 

凌統「チッ!めんどくせぇが、金貰った分は働きますよ~」

 

凌統と呼ばれたやる気の無さそうな女を先頭に、約二百はいるだろう兵が行く手を阻んだ

 

零士「雪蓮!先に行け!ここは僕が受け持つ」

 

雪蓮「零士!」

 

零士を信用してないわけじゃない。見たところ敵の兵も大した事はない。

だがそれでも、病み上がりの零士を一人にするのは…

 

 

チリーン

 

 

思春「付き合うぞ、東。雪蓮様。先をお急ぎください」

 

雪蓮「思春!」

 

鈴の音と共に、思春がやってきた。これなら…

 

雪蓮「すまない!任せたわよ!」

 

私は二人を残し、一気に駆け抜けた。あの二人なら何の問題もないだろう

 

零士「さて、悪餓鬼には仕置きだな」

 

思春「鈴の音は、黄泉路へ誘う道標と心得よ」

 

 

 

雪蓮「黄祖ぉぉぉ!!」

 

私は全速力で駆け抜け、黄祖を視認する。クッ!逃げ足の速い!だが追い詰めたぞ!

 

黄祖「凌統は何をしとる!?太史慈!!わしを助けろ!!」

 

すると屋根から一人の女性が現れた。

厳格な雰囲気、凄い威圧感、こんな子を隠し持ってたなんて

 

太史慈「…義理は果たすが…やるせないな。悪いな孫策殿、ここは通せない」

 

クッ!こんなとこで足止めを食うなんて!

 

祭「策殿ー!」

 

雪蓮「!!祭!黄祖を追って!あいつは、母様の仇だ!」

 

祭「なんじゃと!?…策殿。ならここは、わしが引き受けよう。策殿は黄祖を!」

 

雪蓮「!…祭、気をつけて。あの子、なかなかやるわよ」

 

祭「わかっておる。さぁ、行くのじゃ!」

 

雪蓮「ありがとう!」

 

太史慈「…」

 

私はこの場を祭に任せ、先を急ぐ。

その際、太史慈の横を通ったのだが、彼女は動くそぶりを見せなかった

 

祭「ん?追わんでよかったのか?」

 

太史慈「あんな小物、どうなろうと知った事じゃない。俺は、より強き者と戦いたいだけだ」

 

祭「ほぅ。なかなか楽しめそうじゃ!」

 

 

 

 

黄祖「チィッ!もう追いついたのか!」

 

雪蓮「逃がさないわよ黄祖!」

 

捉えた!私は南海覇王を抜き、黄祖の首を飛ばさんと薙ぎ払う…

 

 

ガギン!

 

 

雪蓮「な!」

 

止められた?私の攻撃が?こんなクズに?

 

黄祖「ふひ、ヒィーハハハハハァ!!素晴らしい!素晴らしい力じゃ!」

 

一体、こいつは何をした?

 

黄祖「フゥン!」

 

 

ガキィンガキィン

 

 

黄祖は凄まじい勢いで連撃を仕掛けてくる。

なんだこいつ!強い!

 

黄祖「ヒヒッ、目障りなんじゃよ!お前も、あの女も!」

 

雪蓮「なに!?」

 

黄祖「あぁそうじゃ!わしが孫堅を殺した!

あの日、賊に毒矢を提供し、指示を下したのは、このわしじゃ!

そしてすぐに、袁術に孫呉を吸収するように促したのも、このわしなんじゃよ!」

 

零士の言う通りだった。こいつが、母様を殺した。袁術を手引きしたのもこいつ。

こいつが、こいつこそが全ての…

 

雪蓮「元凶!!」

 

許さない!絶対に殺す!

こいつのせいで、みんなが悲しみ、みんながバラバラになり、みんなが悔しい思いをした!

 

黄祖「ぬぅ!」

 

 

ガキィンガキィンガキィン

 

 

私は必殺の一撃を何度も繰り出す。

怒りはあった、だが事前に零士の言葉を受けていたせいか、心は思ったよりも冷静だった。

攻撃は受け止められるが、うまく捌けていない。所詮戦闘は素人。これなら…

 

 

バキッ

 

 

私は黄祖の剣を折り、吹き飛ばした。そして南海覇王を突きつけた

 

黄祖「ぐぅ…ハッ!待て!なにも、殺す事はないじゃろ。金か?金ならあるぞ」

 

ここに来て命乞い?母様は、あの偉大な母様は、こんなしょうもない男に殺されたの?

 

 

ザシュッ

 

 

黄祖「ぎゃーーっ!」

 

私は黄祖の足を刺した。すぐには殺さない。こいつには、生き地獄を見せる

 

雪蓮「なぜ、母様を殺した?」

 

 

ザシュッ

 

 

黄祖「ヒギャーっ!」

 

 

ザシュッ

 

 

雪蓮「言え!」

 

 

ザシュッ

 

 

黄祖「うぎゃーっ!め、目障りじゃったんじゃ!あの女の光が!皆を惑わすあの輝きが!

あの女さえ、孫家さえおらんだら、ここはわしの…」

 

 

ザシュッ

 

 

雪蓮「もういい、喋るな」

 

そして私は、黄祖の首を刎ねた

 

 

 

雪蓮「…」

 

私は虚無感に包まれていた。先程までの怒りが嘘のように、なくなっていた。

あるのは、虚しさだけ…

 

「おやおや、袁紹よりも使えませんでしたね。力も、全然蓄えられていない。失敗ですね」

 

雪蓮「!!」

 

 

 

 

私が背後を振り向くと、そこには黄祖の死体から、なにか一冊の本を取り出す文官の男がいた

 

雪蓮「あなたは?」

 

張譲「これはこれは申し遅れました。私は張譲といいます。以後お見知りおきを」

 

張譲?その名、どこかで…

 

張譲「ふむ。今ここで孫策を殺せば、失敗を補えるかもしれませんね」

 

え?…!!

 

 

キィンッ!

 

 

雪蓮「なにを!」

 

張譲は凄い速さで短剣を振るってきた。

危なかった。もう少し反応が遅れていたら私は…

 

張譲「抵抗しないでくださいよ。疲れますから」

 

 

キィンキィンキィン!

 

 

クッ!凄い速さだ!うまく捌けない!それになんだか体が重く感じる…!マズッ

 

 

ダァン!ガキィンッ!

 

 

張譲の短剣は凄まじい音と共に吹き飛ばされ、張譲は距離をとった

 

張譲「……誰ですか?」

 

零士「ふん。お前が、張譲だな?」

 

零士が銃を張譲に向け現れた

 

零士「雪蓮、無事か?」

 

雪蓮「えぇ、助かったわ。あいつは一体誰?」

 

零士「僕や華佗が追っている男だ。悪いが詳しい説明は後だ。こいつはここで仕留める」

 

張譲「仕留める?私をですか?そんなボロボロの体で?」

 

こいつは何を言ってるの?零士に傷らしい傷は…まさか!まだ調子が…

 

零士「ふん。十分だ。あまり舐めない方がいいぞ」パシッパシッ

 

零士が銃をしまい、今度は二振りの剣が現れた

 

雪蓮「零士!私も手伝うわ!」

 

私が再び前にでようとすると、零士に止められた

 

零士「雪蓮、下がってなさい。君も、だいぶ疲れているだろ?」

 

雪蓮「でも!」

 

零士「いいから、信じて待ってるんだ」

 

瞬間、零士は凄まじい速さで張譲に接近し、そして苛烈な攻めを見せてくれた

 

張譲「なるほど。確かに強いですね。それに面白い術を使う」

 

だが張譲はそれをいとも簡単に捌いていった

 

零士「お前のその力、太平要術だな?」

 

張譲「えぇ。この書は素晴らしい。こんな事もできるんですから」

 

張譲が持っていた書が光ると、張譲の手から炎がでてきた

 

零士「!!」

 

零士はこれを躱すも、火炎の球体がさらに零士を襲い、そしていくつかは、こちらにも飛んできた

 

雪蓮「!!」

 

私はそれをかろうじて弾き返すことができた。

こいつは一体何なんだ?妖術か?それとも零士と同じ魔術?

 

零士「これは僕も、舐めてたかもな」

 

零士は左腕を抑えながら呟いた。

まさか、当たったの!?あぁ、そんな!血がまた吹き出してる。傷が開いたんだ

 

雪蓮「零士!大丈夫?やっぱりまだ本調子じゃ…私に任せて少し休んでて!」

 

零士「心配いらない。ちょっと油断しただけだ。まだまだ本気じゃない」

 

零士は笑ってそう答えてくれたが、額には汗をかき、明らかに無理しているようだった

 

張譲「ふふ。では、いきます……!!」

 

 

キィンッ!

 

 

張譲が武器を構えると同時に、私達の背後から氣の斬撃が飛び、張譲を襲った

 

張譲「誰ですか?」

 

華雄「忘れたとは言わせんぞ張譲!我が主を罠に嵌めた償い、ここで受けてもらう!」

 

雪蓮「華雄!?」

 

うそ!今の、華雄の技?この子ってこんな事できる子だっけ?

 

零士「いいところにきたね華雄ちゃん。少しだけあいつを足止めしといてくれるかい?

すぐに息を整える」

 

華雄「あぁ、足止めはいいが、別にあれを倒してしまっても構わんのだろう?」

 

 

ヒュンッ! キィン

 

 

張譲「今度は誰ですか?次から次へと」

 

祭「華雄よ。わしも付き合うぞ?」

 

雪蓮「祭!」

 

祭が屋根から弓で張譲を狙い来てくれた。後ろには先ほどの太史慈もいた

 

太史慈「孫策殿。先ほどはすまなかったな。これより加勢しよう」

 

 

チリーン

 

 

思春「雪蓮様、ご無事のようで何よりです。ほら、お前も挨拶せんか!」

 

凌統「へーへーわかりましたよー姉御。孫策さーん、助太刀しまーす」

 

雪蓮「思春!」

 

今度は思春が凌統を連れてやってきた。これだけの戦力なら、負けはしないはずだ

 

雪蓮「さぁ張譲。決着をつけましょう。仲間を傷つける輩を、呉は許さないわよ!」

 

張譲「さすがに分が悪い。仕込みなしで貴女方とやり合うほど、愚かじゃありませんよ。

ここは退かせていただきます。それでは」

 

雪蓮「な!待て!」

 

そんな私の声なんか聞こえていないように、張譲は凄い速さで離脱した。

その際、祭が弓で攻撃するも、当たることはなかった。あいつは一体何者なんだ…

 

零士「はぁはぁ…さすがに、血が足りない…な…」

 

 

ばたっ

 

 

雪蓮「零士!」

 

張譲がいなくなるのを確認すると、零士は倒れてしまった。

私はすぐにかけより、容体を確認したが、気絶しているようだった

 

雪蓮「誰か!早く医者を!華佗を呼んで!早く!」

 

お願い!死なないで零士!

 

 

 


 
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