夜中の作戦といえどそこは華琳の精鋭部隊で、袁紹の連中相手は役不足の仕事だった。
…使い方あってるよな?
しかしこの一件を境に袁紹との関係は猛烈な勢いで険悪になっていき・・・
っていっても別に元からそんなに仲良くなかったんだけどさ。
事態は一触即発の状態にまでなっていた。
「この前の行軍はたいした被害はなかったんだが・・・やっぱりちょっと錬度が低いかな~・・・
なぁ凪、新兵教育に今余裕ってある?」
「最近兵も増えてきて少し厳しい部分もありますが・・・何をするかによると思います。」
「これから戦が増えてくると夜間の行軍が増えると思うんだ。だからその訓練をもうちょっと厳しめにやりたいなと思ったんだけどさ。
そしたら警邏隊の夜番の訓練にもなるし。どうかな?」
「今行っている訓練でも十分だとは思いますが・・・」
「そりゃ春蘭たちがきっちり仕上げてるからものにはなってるけどさ。
これからのこと考えると、もうちょっと早く仕上がっていかないと兵の生存率にかかわると思うんだ。」
「なら実験部隊つかったらええんちゃう?」
「確かにあっちの部隊なら夜間訓練も出来そうなのー」
「じゃあそっちで試してみて様子見だな。」
「わかりました。手配しておきます。」
「ところで今日の軍議ってなんなんだ?珍しく俺も絶対参加だって話だけど。」
「それはこれから行けばわかるんちゃう?」
だがしかし!
思っていたよりも事態は深刻なのであった!
「・・・敵軍が兵をまとめているですって?」
「はい、袁紹と袁術が官渡に兵を終結させているようです。」
「あれ?当初の予想だと二面作戦になりそうって話じゃなかったか?」
「えぇ、そうなんですけど何か思うところがあったのでしょうねー」
「ただ相手はただ人数が増えるだけですので恐れることはないと思います。」
「そうね。二面作戦を取らなくなったので逆にすこし楽になったわ。」
「・・・うーん、ねぇおじちゃん、それってどういうことなの?」
「あぁ、例えばだ。季衣と流琉が防衛に当たるとき、一緒に戦うのと別々に戦うのじゃどっちが強い?」
「そりゃ流琉と一緒のほうが強いに決まってるじゃん。」
「じゃあ逆に季衣と組むのが流琉じゃなくて張飛だったら?」
「あんなちびっこと組んだらやる気なんかでないよ!」
「つまりそういうことだ。こっちはみんな一緒に戦えるようになって、相手はお互いで足の引っ張り合いをするわけ。
それは俺達がばらばらに戦うよりもやりやすくなっただろ?」
「うん、確かにそうだね!ありがとうおじちゃん!」
「そういうわけで、私達には負ける要素は何もないのだけれど・・・一つだけ注意すべきことがあるわ。」
「孫策・・・ですね。」
「そういうことね。だから袁術に対しては春蘭、あなたに当たってもらうわ。第二軍の全権はあなたに渡すから
孫策がでてきたら好きに動きなさい。」
「御意!」
「第一陣は霞、あなたが率いなさい。補佐で欲しい子はいるかしら?」
「それやったら凪たちがええな。貸してくれへん?」
「あいつらがいいなら俺はかまわんよ。今回の戦はのんびり出来そうだな。」
「それは無理よ一刀。あなたには別に仕事を用意するわ。
風、今回の軍師はあなたに任せるわ。一刀は桂花、稟と一緒に風を補佐なさい。」
「おぉ!急に話題をふられましたねー。分かったのですー」
「華琳様!なぜ私ではなく風なのですか!?前に袁紹の元にいた私にお任せください!」
「それでは他の軍師が育たないでしょう。それとも、この私の言うことが聞けないというの?」
「い、いえ・・・けしてそのような事は・・・」
「ではしっかり風の補佐をなさい。
これより我らはこの大陸の全てを手に入れる。そのはじめの一歩を勝利で飾りなさい、いいわね!」
決戦の場は官渡。
官渡についた俺達を出迎えたのは想像以上の大軍であった。
「さすがは名門袁家といったところだな。」
「えぇ、まさかここまでの人数を集めてくるとは思わなかったわ。しかし風の作戦を聞く限りでは物の数ではなさそうね。」
「確かにそうだな。あの作戦だったらいけるだろうな。」
「あら、私はあなたが発案だと聞いたけれど?」
「いや、作戦自体考えたのは風だよ。俺の一言で閃いたとは言ってたけどどれのことだかまで教えてくれなかった。」
「それをあなた発案というのよ一刀。あなたはもう少し自分の功績を主張してもバチは当たらないわよ?」
「そんなこといったら春蘭とか桂花とかの方がよっぽどだろう?
俺ぐらいの奴がそんな偉そうなこといえないってば。」
「はぁ・・・まぁいいわ。麗羽のところへ行って来るからしっかりと準備していなさい。」
「了解しました。」
さて、舌戦後に備えて、陣でも整えに参りましょうかね。
「おーっほっほっほっほ!おーっほっほっほっほ!」
「・・・なんか腹が立つわね。」
「すでに勝ったも同然ですわね!みたところ私達の半分くらいしか兵がいないようですけど?」
「あなたを倒すのに十分な数なのだけど?もうちょっと少ないほうが良かったかしら?」
「ふ・・・ふん!減らず口を叩いていられるのも今のうちですのよ!この戦を制して大陸に覇を唱えるのは!
この!名門!袁!本初!なのですから!」
「せいぜい吠えることね。では後ほど。痛いほどわからせてあげるわ。どちらが覇王に相応しいか。」
陣に戻ってきた華琳は上機嫌だった。
舌戦を制したのか、それともこの作戦にさらなる自信をつけたのか。
きっと両方なんだろうな。
「一刀、総員配置についたのかしら?」
「あぁ、さっき風から連絡があった。春蘭も袁術たちに睨みを効かせられる位置についたそうだ。」
「ならあとは麗羽がでてくるのを待つばかりね。そうはいってもきっとすぐに・・・」
「申し上げます!袁紹軍が大兵力でこちらに進軍してきております!いかがなさいましょう!」
「誘いに乗ってくる・・・か・・・」
「えぇ、それが命取りということを教えてあげましょう。
総員抜刀!これより袁紹を打ち倒し大陸に覇を唱える!我らの力!存分に見せつけてあげなさい!」
オオオオオオオオオオオオオオオォォォォォーーーーーーーー!!!!
─── 官渡の戦い ───
~~程昱の奇策縦横~~
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