No.640673 英雄伝説~光と闇の軌跡~ 外伝~トールズ士官学院制圧作戦~前篇(前半)soranoさん 2013-11-28 17:18:11 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:1419 閲覧ユーザー数:1302 |
同日、20:30――――
陽も暮れ、既に夜になったその頃、”トールズ士官学院”にいる士官学生や教官達を見張っている領邦軍の兵士達は次々と突撃して来るプリネ率いるメンフィル軍への対処のために大混乱に陥っていた。
~トールズ士官学院・1年Ⅶ組~
「何だ?やけにうるさいな…………」
「血の匂い……戦いが始まっている……」
眼鏡の男子―――マキアスは突如聞こえ始めてきた喧騒を聞いて眉を顰め、銀髪の少女―――フィーは静かに呟き
「みんな!あれを見て!!」
窓の外で景色を見ていた紅毛の少年―――エリオットは驚きの表情で叫んだ。そしてその場にいるクラスメイト達は全員窓に近づいて外の景色を見つめるとそこでは正門前でメンフィル軍と領邦軍の兵士達が殺し合いをしていた!
「あ、あれは……!」
「メンフィル軍だと!?馬鹿な…………もうここまで攻めてきたのか!?いくら何でも早すぎるっ!!ハーケン門から来たとしてもかなりの距離があるぞ!?」
メンフィル軍を見た眼鏡の女子―――エマは信じられない表情をし、金髪の男子――――ユーシスは目を見開いて声を上げた。
「あれ?メンフィルがここまで来たという事はクロウ達は負けちゃったって事だよね?クロウ達が操縦する”機甲兵”も全然姿を現さないし。」
その時ある事に気付いた帽子の少女―――ミリアムは首を傾げて呟き
「あ…………!」
「…………恐らくそうであろうな……」
「クロウ………………」
「空の女神(エイドス)……そして風よ……どうか彼の魂に安息を…………」
ミリアムの言葉を聞いた金髪の女子―――アリサは目を見開いて声を上げ、青髪の女子――ラウラは重々しい様子を纏って呟き、エリオットは辛そうな表情になり、褐色の青年―――ガイウスはその場で祈った。
「…………?ねえ、ラウラ。”光の剣匠”もいるけど。」
その時外の戦いの様子を見ていて何かに気付いたフィーはある方向に指を向け
「何だとっ!?―――――父上!?な、何故メンフィル軍と共に…………!?」
フィーの言葉を聞いたラウラは驚いた後、戦場で次々と領邦軍の兵士達を斬り殺しているヴィクターを見て信じられない表情をし
「うわ~……よく見たら凄いメンツだな~……”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”、”蒼黒の薔薇”、”剣帝”に加えて”魔弓将”までいるし…………こりゃ、完全に領邦軍の負けだね。」
「ええっ!?」
そしてミリアムが呟いた言葉を聞いたアリサは驚き
「ば、馬鹿な……皇族までいるという事は本隊と言ってもおかしくないぞ!?士官学院を落とす為に何故メンフィルがそこまで本気になる…………!?」
ユーシスは領邦軍の兵士と戦っているプリネを見つめて信じられない表情をした。
「うわ……!凄いな、あの女騎士の人……全然槍の動きが見えないよ…………」
リアンヌの戦いを見たエリオットは信じられない表情で呟き
「え、ええ……それにあの槍……どこかで見たことがあるような……」
エマは頷いた後リアンヌを見つめながら考え込み
(”鋼の聖女”!?一体何故彼女がメンフィルと共に戦っているのよ!?)
エマの近くにいる黒猫―――セリーヌは驚きの表情をし
「―――――!!あ、ありえない…………あの騎士殿はまさか……”槍の聖女”―――リアンヌ・サンドロット卿!?」
ラウラは目を見開いて驚きの表情で叫んだ。
「何だとっ!?」
「ええっ!?それって確か”獅子戦役”で活躍した……!」
ラウラの言葉を聞いたユーシスは声を上げ、アリサは信じられない表情をし
「……レグラムの町にある石像とよく似ている…………」
「確かにそうだね~…………って。まままま、まさか……幽霊なの~!!??」
静かな口調で呟いたフィーの言葉を聞いたミリアムは頷いた後表情を青褪めさせて混乱しながら叫んだ。
「クッ……これからどうする!?このままだとメンフィル軍がこの学院に突入してくるぞ!?」
「抵抗しようにも武器やアークスも全て、クロウ達によって取り上げられたからな…………」
唇を噛みしめて叫んだマキアスの言葉に続くようにガイウスは静かな口調で答えた。
「――――降伏するしかあるまい。」
その時ユーシスは重々しい様子を纏って呟き
「なっ……正気かっ!?」
ユーシスの言葉を聞いたマキアスは信じられない表情をしてユーシスを見つめ
「……かつての”百日戦役”ではメンフィルは軍人の命は奪っても民達の命は奪わなかった。士官学院生の俺達は微妙な所だが…………メンフィル軍を率いる将が無駄な殺生や血が流れる事を嫌うと言われている”姫君の中の姫君(プリンセスオブプリンセス)”ならまだ可能性はある。」
見つめられたユーシスは答え
「しかもラウラのお父さんもいるから、少なくても大人しくメンフィル軍の言う事を聞いておけば僕達や学院のみんなの命までは奪わないんじゃない?」
ユーシスの説明を捕捉するかのようにミリアムが続けた。
「クッ…………!まさか君が真っ先にそんな事を提案するとは思わなかったよ!?普段はあれだけ”貴族の義務”とほざいている癖にやはり命は惜しいのか!?君は他の貴族とは若干違うと思っていたが見損なったよ!」
その時マキアスは唇を噛みしめた後ユーシスを睨んで叫び
「黙れっ!!ならば貴様は武器もアークスもなく、満足な抵抗もできずに犬死したいのかっ!?それに俺は”貴族”だからこそ、地を這ってでも生き残り…………そして今回の内戦を起こした上、むざむざと他国に攻め入らせる隙を作った”原因”の一つである父や兄の”罪”を贖う為に必ず生き、侵略された事により立場が弱くなったエレボニアの平民共を守らねばならん!それも”貴族の義務(ノブレス・オブリージュ)”!貴様とて俺の兄や父と同じ”原因”の一人であるレーグニッツ知事の血を引く者!貴様には内戦のきっかけを作り、他国に侵略の隙を与えた者達の家族である俺達がエレボニアの平民共に対して責任を取る必要がある事がわからんのか!?」
対するユーシスは高貴な雰囲気を纏って叫び
「それは………………そう…………だよな………………」
ユーシスの叫びを聞いたマキアスは複雑そうな表情をした後肩を落として頷いた。
「父上……一体何故祖国を裏切ったのですか…………?それにあの方は本当に”槍の聖女”殿なのか…………!?」
「ラウラ…………」
「ラウラさん………」
愕然とした様子で呟いたラウラの様子を見たアリサとエマは心配そうな表情でラウラを見つめ
「空の女神(エイドス)よ…………どうか我らにお慈悲を…………」
「お願いします!僕達を助けて、女神さまあああああっ!!」
ガイウスはその場で強く祈り、エリオットは必死で祈り続けていた……………………
普段”平民”や”貴族の義務”とかなり上から目線な言い方をして自分が特別な存在である事を自覚しているユーシスだからこそ、今回の話のような判断をすると思います。彼なら例え慕っている兄が殺されても喚きも敵討ちもせず、自分の事よりまず平民の事を考えて行動していると思います。…………感想お待ちしております
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