No.639952

Need For Speed TOHO Most Wanted 第二話 接触

 二話になります。書き溜めてあるのはここまでなのでこの先の更新ペースは落ちますのでご了承ください。

 ブラックリストとの接触。リーダーは「あのお方」にやっていただきました。
 ちなみに、劇中に登場するロリ系キャラ(レミリアetc.)については、クルマに乗るための補正(大人成長など)は、ご想像にお任せします。

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2013-11-25 21:42:13 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:577   閲覧ユーザー数:577

 ゴールした港に入ると、たくさんのカスタムマシンが並んでいた。ここがこのエリアのレーサーの溜り場なのだろうか。

(面白い奴がいるといいな)

 そう呑気に考えていた私の目の前をスープラが横切った。とっさに私は急ブレーキを踏む。

「あっぶないな・・・!」

 おそらく余所者である私に負けた腹いせだろう。まぁ敗者が何をしようと所詮遠吠えなので私も気にしない。

 スープラはグループの駐車場の中へ入って行った。余所者の私はあまり歓迎されないだろうから少し離れた位置にM3を停めた。

 

 このエリアは女性レーサーが多いようだ。過去の遠征やベイビューの雰囲気と比べると圧倒的に女性が多い。これはこれで面白そうなところだ。

 するとグループの中から一人、やけに小奇麗な格好をした女性が数名の取り巻きを引きつれて出てきた。赤い瞳に水色のセミロングの髪。やや桃色のかったドレスみたいなワンピースにナイトキャップ?みたいな変な帽子をかぶっている。タンクトップやショートキャミのようなラフな格好が多いこの場ではかなり浮いている。

 小奇麗な女性は降りてきたスープラのドライバーにまっすぐ歩み寄る。

「出しゃばるなと言ったでしょう」

「ミス、聞いてよ。あいつが・・・」

「お黙り!」

 威圧でスープラの女を黙らせる小奇麗な女。どうやらこのグループでは結構権力を持っている奴のようだ。スープラの女は「ミス(お嬢様?)」と呼んでいるようだが。

 ミスと呼ばれた女は私の方へ歩いてくる。

「あれに勝ったくらいでいい気にならない事ね。貴女なんて私の足元にも及ばないわ」

 やはり余所者の私はあまり歓迎されてないらしい。いきなり挑発的な発言を浴びせられてしまった。ここでは力のあるやつみたいなので、こいつとやり合うならなかなか面白い勝負ができるかもしれない。

「それはどうかしらね?」

 突然、私のM3の正面から声が聞こえた。私を含めたその場にいた全員が声のした方へ振り向く。

「少なくともあなたよりはいい線いってると思うわよ」

 そこにいたのは、私がこのエリアにたどり着いたときに私を嵌めてくれたあのFDの女だった。

 FDの女はゆっくりと私の方へ歩いてきた。

「お前・・・!」

「この前はごめんなさいね」

「・・・?」

 あの一件があって私のコイツに対するイメージは決して良くはないのだが、予想外に、いきなり謝罪の言葉をかけられた。

「ふん、貴女に何が分かるというのかしら?」

「あなたのクルマじゃ勝てないわ」

 ミスに真っ向から否定の言葉を投げるFDの女。こいつの立つポジションがイマイチよく掴めない。私を嵌めたり擁護したり・・・。一体何なんだ?

「はっ、何を言っているのだか。私のクルマを知らないのかしら?どんなクルマが来たところで、私が負けるなんてことは有り得ないのよ。勿論、この女にもね」

「そう?じゃあ賭けてみるかしら?」

 なんか本人そっちのけで二人が話を進め始めている。エリアの中でもこの二人は仲が悪いのか?それとも別グループの反発か?

「5000ドル。5000ドルよ。私の仲間がこの女を負かすわ」

 なんか勝手に金額まで決められている。しかもこの女が走るんじゃないのか。

「何、あなたが走るんじゃないの?」

「私が出るほどの奴じゃないわ。どこの馬の骨とも分からないような奴と、バトルなんてするわけ無いじゃない」

「そうよ。ミスはこのロックポートのブラックリストのナンバー15なのよ?こんな奴、敵うわけないわ、10年早いのよ」

 ブラックリスト。ベイビューでは無かった風習だ。事前に調べておいたのだが、どうもここのレーサーは速さだけではなく、警察が名指しで賭けた懸賞金でそのレーサーを評価しているらしい。その中でも特に懸賞金の高いレーサー15名が、ブラックリストと呼ばれる、地位の高いレーサーとして認められるそうだ。

「・・・忠告ありがと」

 またスープラの女がしゃしゃり出てきた。ミスが彼女を一睨みすると、再びすごすごと奥へ引っ込んでいった。

「では、私がお相手致しましょう」

 そう行って出てきたのは・・・、メイド?こんな奴までレースをやってるのか。ネタに尽きないエリアだなここは。

「咲夜。そうね、貴女に任せるわ」

 ミスの従者なのだろうか。こいつの家は相当な金持ちなんだろう。メイドがいることも、「ミス」というあだ名も納得がいく。

「ねぇ。いっその事、1万にしたら?」

 FDの女の提案。私の意思関係なしに掛け金を上げるのは勘弁してもらいたいのだが。一万ということは私とあのサクヤというメイドとで5000ずつ。ベイビューでの蓄えもこのクルマにつぎ込んでいるのでそこまで金があるというわけでもないのだが・・・。

「そう、盛り上げたいのね。なら私にいい考えがあるわ」

 そういってミスは携帯電話を取り出してどこかに電話をかける。

「・・・ああ、警察の方かしら?港付近でレースとやろうとしてる人たちがいるのだけれど、直ぐにパトカーを出動させて貰えないかしら?・・・そう、直ぐによ。良いわね?」

 ミスが電話を切る。周りのレーサーが楽しそうに飛び跳ねたり騒いだりしながらそれぞれのクルマに乗ってその場から逃げだす。

 電話を終えたミスが私M3の窓から顔を乗り出す。

「貴女の実力見せて貰うわね。せいぜい私を楽しませて頂戴」

 それだけ言い残してミスは自分のクルマに戻って行った。あれは・・・、フォードGTか?また大層なクルマに乗ってるな・・・。

「なぁおい、私一言も喋ってないんだが何で勝手に話がここまで進んでるんだ?」

「細かいことは気にしないの。じゃあ、バトル頑張ってね」

 M3のドアを軽く二回叩いてFDの女もクルマに戻っていく。その場に残されたのは私のM3とあのサクヤとかいうメイドのSLRマクラーレンの二台。このメイドもまた立派なクルマに乗ってやがるな。

「この空き缶のバウンドでレースを始めます。宜しいですね?」

「ああ」

 高々く缶コーヒーの空き缶が宙に舞う。乾いた音でバウンドした音で、バトルがスタートする。

(さすがのパワーだな、メルセデスエンジンは。直線では置いてかれるか・・・)

 さすがのBMWのV8でも5リッターオーバーの排気量を持つベンツのパワーには敵わない。

(だが、それだけじゃあバトルに勝てないぜ!)

 ほぼレース用の仕様である私のM3の利点は何より「軽さ」。速さのチューニングにおいて最大の利点を持つ軽量を武器にしてクルマを振り回すのが私のスタイルだ。重い車重でコーナリングに手こずるマクラーレンをあっさり抜き去り、バトルは私の優位で進んでいく。

「っと・・・!?」

 そしてやはり来た。さっきのミスの通報を受けてきた数台のパトカー。私とサクヤの姿を見るなりサイレンとパトランプを作動させ、私達を追う。

『猛スピードで走るコード6グループを発見!現在通報のあった車両かどうか確認している。・・・あーこのクルマだ、間違いない!コード3で追跡を開始する!』

 とはいうものの、追ってきているパトカーは市販のセダンにちょっとを色を付けた程度の市警察のパトカーだ。M3とマクラーレン相手では到底敵いっこない。

『クソッ、どんどん引き離されていく!なんてスピードだ!』

 ハイウェイを利用して警察を引き離す。バックミラーからあのまぶしいパトランプは見えない。どうにか撒いたようだ。

『全車に告ぐ。被疑者を見失いました。これより緊急配備を開始します。タック3にチャンネルを切り替え、無線調子体制を強化願います』

 盛り上げるためとかどうとか言っていたが、これでは余興にもならない。程なく無線で追跡中止の指令が通達された。

 バトルはハイウェイを下り、市街地へと降りていく。ここに来れば私の独壇場だ。重いマクラーレンでは私のM3に回答性で劣る。じわりじわりとその差は開き始め、バックミラーに映るシルバーのマクラーレンの姿は次第に小さくなっていった。

(従者だか何だか知らんが、クルマの割には大したことない奴だったな。この調子じゃあのミスとやらにも、あまり期待はできないな)

 ゴール地点には、さっき港から逃げ出した数名のレーサーが待っていた。先に現れた私のM3を見て、かなり驚いている様子だった。

「・・・っ」

 サクヤは無言で私に掛け金を渡す。

「悪いな。頂くぜ」

 バツが悪そうにサクヤは自分のマクラーレンに戻り、その場を去った。

「流石ね。あなたならやってくれると思ってたわ」

 あのFDの女だ。哀愁漂うマクラーレンの後姿を見て「ざまぁみなさい」とゲンのよさそうな表情を見せる。

「で、一体あんたは何なんだ。私の敵なのか?味方なのか?」

 胡散臭さが抜けないコイツのことをどうも私は信用できない。

「ああ、ごめんなさい。自己紹介がまだだったわね。私はアリス・マーガトロイド。少し前にここに来た、あなたの先輩レーサーよ。この前はごめんなさい」

「・・・、霧雨魔理沙だ」

「魔理沙ね、よろしく。私は一応あなたの味方のつもりよ。最初がアレだったから、信用できないのは分かってるけど、信じて」

 どうやらこのアリスという女の言葉は真実らしい。こんなどこの馬の骨とも分からないやつのために、ここまで地元仲間と対立するのは考えにくい。

「あのメイドにも勝ったことだし、しばらく町で走ってれば、ミスは絶対あなたにケンカを吹っかけてくるわ。あなたの腕なら、勝てない相手じゃないわよ」

「・・・それはいいけど、なんで私に?私が走ってあんたに何の得があるんだ?」

 そう聞くと少しアリスは寂しそうにこう答えた。

「あいつらのあの我が物顔の態度が、私もちょっと気に入らなくてね。楯突こうにも、私ひとりじゃあの大きなグループには立ち向かえなくて。一緒に立ち向かってくれるセンの良いレーサーを探してたってワケ」

「要するに厄介押しつけだろ」

「そう後ろ向きに受け取らないで。私はあなたの腕を、高く買ってるんだからさ」

「・・・まぁ、いいけどよ」

 細かく考えるのはよそう。頭がいくつあっても足りない気がする。

 こうして、私と謎の女アリスはミスのグループを倒すべく、同盟を組んだ。


 
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