No.639878

IS インフィニット・ストラトス BREAKERS 第十話 調査で分かったのは――。

raludoさん

IS インフィニット・ストラトス BREAKERS 第十話 調査で分かったのは――。

約半年ぶりの投稿です。

2013-11-25 17:37:09 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1551   閲覧ユーザー数:1527

「結局、奪取には失敗したみたいだね。まあ、分かっていたけど」

 

とある研究室、鳶色の髪を伸ばし切っている女性が唐突にそう言い放った。

 

「せっかく、ワンオフの機体を二機も用意してあげたのにこの体たらく。やっぱりあいつらは使えないね」

 

無表情にそうつぶやくと、女性はありえないスピードで投影型キーボードを叩く。

 

すると、いくつもの投影ディスプレイが浮かび上がり、データを映し出す。

 

「まあ、あのコアは元々人間用じゃなかったからね、武装も最低限しか持たせてなかったし、凡人どもじゃ仕方ないか。一応、四機のコアもちゃんと回収させたから問題は無いかな」

 

そして、一つのディスプレイがとある映像を映し出す。

 

「ふふふ、やっとここまで来たよ。ああ、早く会いたいな……」

 

女性はその映像を恍惚とした表情で見つめる。

 

ディスプレイには島……IS学園が映し出されていた。

 

 

 

場所は変わって、ここIS学園生徒会室。

 

そこに集まっていたのは、生徒の長である更識楯無、そして二番目のイレギュラー黒咲紅牙、その妹である黒咲氷華であった。

 

「それでだ。例の奴らの情報は洗えたのか?」

 

紅牙が楯無――刀奈に話しかける。

 

「それが全く。驚くほど何にも残っちゃいないのよ」

 

刀奈がそれに対してこれは異常だと言わんばかりに答える。

 

そもそも、更識家は暗部でも指折りの家系だ。その暗部が調査にあたっているのに全く何も出てこないのはおかしな話だった。

 

「全く?兄様が落とした四機のISはどうだったのですか」

 

氷華が頭に疑問符を浮かべながら尋ねる。

 

「全部回収されていたわ」

 

「「え?」」

 

刀奈の返答に意表を突かれたとばかりに目を見開く兄妹。

 

「待ってくれ。あの海域周辺はすぐに侵入禁止海域になったはずだ。その中をどうやって……」

 

紅牙の言う通り、戦闘があった海域はすぐに刀奈と織斑先生が海上封鎖したのだ。そこを掻い潜り、しかも誰にも気づかれずにIS四機を回収するなど不可能なはずなのだ。

 

しかし、刀奈は何かを確信しているかのように言い放つ。

 

「ええ、謎だらけよ。でもね、ここまで完璧に何もわからないと逆に不気味なのよ。驚くほど綺麗すぎる。このレベルの隠蔽は亡国企業でも無理。なら、残っている可能性は一つだけよ」

 

「一つだけ……ですか」

 

「そうよ。それは天才的ハッカー。それも篠ノ之束の再来と言ってもいいほどの。もしかしたら亡国企業と手を組んでいるのかもしれないわね」

 

その場を沈黙が支配した。刀奈の意見に誰も言葉を発さなかった。

 

すると突然、

 

「悔しいけどその猫の言う通りなんだよ、コウ」

 

ここにいないはずの人物の声が聞こえた。

 

――天井から。

 

「な、なんてとこから出てきているんですか、束さん」

 

驚愕。天井の板をパカッと外し、そこから顔を覗かせる天災、篠ノ之束。(天災は間違えではない)

 

「むふふー。この束さんに常識は通用しないんだよ」

 

そのまま、床に着地し、コウに抱き付こうとする束。

 

だが、それを刀奈が見逃すはずなかった。

 

「させないわ」

 

ガッ!

 

ありえないほどの速さで紅牙の位置まで移動し束の足を払う。

 

すると当然、束の目の前には床が広がる。

 

「へぶ!?」

 

顔面から床に着地した束はそこから動かなくなる。

 

「私の紅牙には触れさせないわよ?」

 

刀奈は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、元の席に戻った。

 

ちなみに余談だが、氷華がこっそりと気絶して動かなくなった束を介抱していた。

 

 

 

「で、話をまとめると、束さんと肩を並べられるほど科学者がいるってことですか?」

 

俺は束さんが回復したのを見計らって、確認の意味を込めて尋ねた。

 

「まあ、私ほどじゃないけど、凡人じゃないのは確かだね。何せ完璧なステルスを実現させたんだからね」

 

「というと?」

 

俺は束さんの言うことの意味を測りかねてそう尋ねる。

 

「コウが私の研究所に到達した時、すでに侵入者がいたでしょ?それがその証。さらに言えば、私の居場所が特定されたのもたぶんそいつが原因」

 

……つまりは篠ノ之束という世界最高峰の科学者の目を掻い潜り、居場所の特定、そして完全ステルスでISを送り込む。そんな芸当をやってのけたというのだ。俺達からしてみれば、それだけでも相手がどの程度凄いのかは伺い知ることができる。

 

「では、IS四機の回収もその人が細工した可能性がありますね」

 

氷華の言う通り、その件に関してもそいつが関係しているとみて間違いないだろう。

 

「とりあえず、調査の報告は以上よ。そちらでも何かわかったら連絡して頂戴」

 

「了解だ」「了解です」

 

俺と氷華が頷くと、途端に意地の悪い笑みを浮かべ、

 

「兎さんはこれに懲りたら紅牙に手を出さないように。もし手を出したらまた床とキスさせてあげるから、そのつもりでね」

 

「そっちこそ、ちょっと有利に立っているからって油断しないことだね。すぐに思い知らせてあげるから」

 

二人がフフフ、と黒い笑みを浮かべているのをよそに俺と氷華は巻きこまれる前に生徒会室を後にした。

 

 

 

あとがき

 

いや、本当に半年間放置してしまい申し訳ありません。

 

創作意欲が激減していたのが原因です。まあ、IS二期が始まり、楯無さんが想像以上に可愛かったので、やる気を出して更新しようと思ったわけです。

 

この先も不定期更新で行こうと思いますので、それでもよろしければ見ていってくれると嬉しいです。

 

それから、うちの束さんは武力ゼロです。あと、想像以上に善人です。原作とは違う設定になってしまいますがご了承くださいませ。

 

設定資料のことですが、思うところというか、大幅に設定を変更するところができたので、一度削除しました。機を見てもう一度上げていこうと思います。

 


 
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