「ライオトルーパー部隊!!」
支配人の後ろから、隊を組んだ複数の仮面兵士“ライオトルーパー”が姿を現す。
「第1小隊と第2小隊は、子供達を地上まで避難させろ!! 残りの小隊は俺達と一緒に、あのポンコツ共を殲滅する!!」
「「「「「ハッ!!」」」」」
支配人の指示を受けたライオトルーパー達はすかさず行動に移り、一部の小隊は牢屋にいる子供達を連れて地上まで避難させ始める。
「うし、やるとしますかね」
-ブゥゥゥゥゥゥン!!-
支配人が左腕にブレスレットを装着すると、一匹のスズメバチ型コア“ザビーゼクター”が飛来。そのまま支配人の手に収まったザビーゼクターはブレスレットに装着される。
「変身」
≪Henshin≫
支配人の身体をアーマーが覆い、ハチの巣を彷彿とさせた仮面の戦士“仮面ライダーザビー・マスクドフォーム”への変身を遂げる。
「見せてやるよ、俺達なりの
ザビー率いるライオトルーパー部隊が、アンドロイド達を迎え撃つ。
「俺も向かうとしよう……デュナメス!!」
げんぶの身体に装甲が纏われ、射撃型ガンダムへの変身を遂げる。
「ガンダムデュナメス、目標を狙い撃つ!!」
ホルスターから抜いたGNビームピストルを両手に構え、向かって来るアンドロイドを一機ずつ確実に撃ち抜き始める。
「…それ、俺の台詞だと思うんだが気の所為か?」
「うん、気の所為だ」
「さっさと殲滅するぞ。ロキとディアーリーズの邪魔になるといかん」
「それは良いが……アン娘さん、今回は巫女服ですかい」
「ほっとけ」
巫女服を纏ったUnknownは、突撃して来たアンドロイドをすれ違い様に薙刀で一閃。そのまま手に持っていた手榴弾のピンを口で引き抜く。
「宴の時間を楽しもう……盛大にな!!」
手榴弾が投げ込まれ、アンドロイド達を一斉に吹き飛ばすのだった。
「おらぁっ!!」
「…!!」
ロキの繰り出してきた回し蹴りに、No.91が同じ回し蹴りで迎え撃つ。
「パワーエネルギー、上昇」
「な…ぬぉわ!?」
パワー上昇したNo.91の蹴りがロキの蹴りを打ち破り、大きく吹っ飛ばす。そんな彼女の右側からディアーリーズがレオーネで斬りかかる。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「右87度、攻撃確認」
攻撃が当たる直前に、No.91は真横に防御用魔法陣を展開。それにより、レオーネの攻撃が完璧に防がれてしまう。
「駄目か…!!」
「エネルギーフィールド、展開」
No.91とロキ、ディアーリーズの足元に、巨大な碧色の魔法陣が出現。そこから張られる結界によって彼等は魔法陣の中に閉じ込められる形となる。
「燃え盛る
ディアーリーズは炎の長剣を出現させ、No.91の振るうブレードと打ち合いを繰り返す。
(胸部の制御コア、それさえ破壊すれば…!!)
「GH-06シューター、起動」
「!?」
互いの武器を打ち合っていた中、No.91の背中に装備されているブースターから8基の遠隔操作型ビーム砲が展開。それぞれがバラバラに動き、ロキとディアーリーズ目掛けてビーム射撃を開始する。
「GNファング!? いや、してくるのは射撃だけか…ッ!!」
ロキは飛び回るシューターを見て目を見開くが、すぐにシューターの性能を判断。すかさず魔力弾を繰り出して迎撃に回る。
「フォルテ!!」
≪Yes,sir≫
ディアーリーズは放たれるビーム射撃を回避して回り、ロキは魔力弾を繰り出してシューターを1機破壊。しかし他のシューターは彼等の周りをバラバラに飛び続け、錯乱しつつビーム射撃を繰り返す。
「あぁもう、キリが無ぇな畜生!!」
「チィ…!!」
『奇遇ですねウルさん、私も花が大好きなんです♪』
「ッ!?」
優しい表情で微笑む、金髪の少女。
そんな映像が、脳内に浮かび上がる。
「く、また…!?」
「ディアーリーズ、どうした!!」
「ッ…何でもありません!!」
ディアーリーズは目元を腕で拭ってから、前方に立っているNo.91を見据える。
(何故だ…!? あの子と戦っている度に、さっきから“彼女”と重なって見える…!!)
『また会いに来て下さいね。私達はいつでも待っていますから』
(!? まさか、彼女は…!!)
「目標、捕捉」
「!? くっ!!」
No.91が光線銃で射撃し、ディアーリーズは向かって来るビームをレオーネで上手く弾く。
(やはり、直接確かめるしかない…!!)
「
ディアーリーズの周りを、水の障壁が覆う。シューターから放たれるビーム射撃を防ぐが、何機かのシューターが水の障壁を打ち破るべく一箇所に集中射撃を繰り返し始める。
「させるか!!」
≪Red break lancer≫
ロキの展開する魔法陣から紅い槍が放たれ、シューターを2機貫いて破壊。その隙に水の障壁から飛び出したディアーリーズは、素早い動きでまた更に1機のシューターを一閃して破壊する。
「炎獄神我ッ!!」
灼熱の炎が、レオーネの刀身に纏われる。
「全てを……焼き尽くせぇっ!!!」
ディアーリーズは身体を回転させる際の遠心力を利用し、シューター目掛けて炎の斬撃を放つ。ビーム射撃を繰り返していたシューターは炎に包まれ、跡形も無く焼き尽くされた。
「ハァ、ハァ…」
「ディアーリーズ、上だ!!」
「ッ!?」
ロキの呼ぶ声を聞いたディアーリーズが真上を見上げると、既にNo.91は両腕を振り上げたままディアーリーズに接近していた。
「パワーエネルギー、上昇」
「く…!!」
ディアーリーズが構えると同時にNo.91が両腕を振り下ろし、ぶつかり合いにより火花が盛大に飛び散るのだった。
「第3小隊と第4小隊は左右から挟み撃ち、第5小隊と第6小隊は退路を塞ぎつつ攻撃しろ!!」
「「「「「ハッ!!」」」」」
ロキ達のいる階とは別の階にて、ザビー・マスクドフォームはライオトルーパー部隊に指示を出しつつ、自らもアンドロイドを殲滅して回っていた。彼の的確な指示により、ライオトルーパー部隊も着々とアンドロイドを破壊していく。
「さぁ、狙い撃つぜ!!」
「砕けろ…!!」
少し離れた位置では、げんぶの変身したデュナメスがGNスナイパーライフルでアンドロイド達を纏めて狙い撃つ。Unknownは優雅に薙刀を振るい、アンドロイド達を一閃して回っている。
「たく、無駄に多いな…」
「「「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!?」」」
「!?」
突如、何人かのライオトルーパーが吹っ飛ばされる。
「隊長、動きの速いアンドロイドが!!」
「動きの速い奴は俺が殲滅する!! お前達は動きのノロい奴を確実に殲滅して回れ!!」
そう言って、ザビーは左腕に止まっているザビーゼクターに手をかけようとする。
「チッ、面倒臭い……ぬぉっ!?」
しかし一機のアンドロイドが仕掛けた突撃により、ザビーは壁まで吹っ飛ばされてしまう。やはりマスクドフォームの体系上、動きの素早い相手には不利なのかも知れない。
「くそ…!!」
『ピピピピピピ』
立ち上がろうとするザビーに、再びアンドロイドが攻撃を仕掛けようとしたその時…
「神霊『夢想封印』」
-ズドドドドォンッ!!-
「!?」
別の方向から、複数の光弾が飛来。アンドロイドを粉々に粉砕した。
「あれ、皆いつの間に来てたんだ?」
「すまんガルム、助かった!」
駆け付けたのは、No.88を撃破したガルムだった。ガルムは光弾を次々と放ち、アンドロイド達の動きを鈍らせる。
「さて、仕切り直しだ」
ガルムがアンドロイドを足止めしている間に、ザビーはザビーゼクターの羽を上げて展開し、ゼクターニードルを前方へ向けるように内側に回転させる。
「キャストオフ!!」
≪Cast Off≫
「うぉ危なっ!?」
ザビーの身に纏っていた装甲が全て弾き飛び、周りのアンドロイド達を巻き込んで何機か破壊する。その際、ガルムも危うく当たりそうになったのはお約束である。
≪Change Wasp≫
「さぁ、覚悟しろ…!!」
装甲を弾き飛ばした事で、ザビーはよりスタイリッシュな体系の第2形態“ライダーフォーム”としての姿を現した。
「クロックアップ!!」
≪Clock Up≫
ザビーがベルトの右腰部分をスライドすると、能力“クロックアップ”が発動。そこからは猛スピードで動きアンドロイドを次々と撃破する。
「なら俺も……トランザムッ!!」
デュナメスの身体全体が、赤く発光し始めた。その直後、デュナメスも同じように猛スピードで通路内を飛び回り、アンドロイド達を狙撃して破壊していく。
「…ふむ、そろそろ決めるとしよう」
Unknownは手放した薙刀を転送し、代わりに弓矢を手元に転送。弦に矢をかけてから、ゆっくりと引き始める。
『『『『ピピピピピピピピ』』』』
「ポンコツ達よ。そのノロマなボディ、この私が撃ち抜いてくれよう」
Unknownの足元に魔法陣が展開し、矢の先に魔力エネルギーが収束される。
狙いは、直線上にいるアンドロイド全て。
「射殺せ―――」
「破魔の矢ッ!!!」
そして、矢が放たれる。
直線上にいるアンドロイド達を次々と貫き、更にその余波で周りのアンドロイドも巻き込まれて爆破される。
そのまま…
「「「え…ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!??」」」
ザビー、デュナメス、そしてガルムをも巻き込んでしまった。
「…あ」
Unknownが気付いた頃には、時既に遅し。その視線の先には一機残らず破壊されたアンドロイドと、盛大に巻き込まれたガルム達が白目を向いて気絶してしまっていた。ザビーとデュナメスもそれぞれ支配人とげんぶに戻っており、ボロボロの状態で気絶している。
「「「「「……」」」」」
ライオトルーパー部隊も全員が唖然としており、一斉にUnknownの方に振り向く。ライオトルーパー達の視線を受けたまま、Unknownはボソッと口を開く。
「ごめんちゃい☆」
「「「「「またアンタはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」」」」」
今日の戦犯が、Unknownに確定した瞬間であった。
「…今、下の階で凄い音がした気がする」
一方で、ロキも施設がズズゥンと揺れたのを感じ取っていた。もちろん、Unknownがやらかしてしまった事については知る由も無いだろう。
「MH-65、エネルギー収束」
そんなロキを他所に、No.91は左腕の光線銃を構えてエネルギーを収束。ロキ目掛けて放とうとする。
「チャージ完了、砲撃発射」
「ん…うぉ危なっ!?」
繰り出された砲撃をロキは身体を逸らして回避。その間にディアーリーズは両手に纏った水を操って水流弾を生成する。
「
「チャージエネルギー、放出」
ディアーリーズの放った水流弾とNo.91の放出した魔力エネルギーがぶつかり合い、爆発して周りが煙に包まれる。
「……」
煙で周囲が何も見えなくなったからか、No.91はその場に一旦立ち止まる。
「…目標、ロスト。MGサーチャーを発動します」
No.91のモノアイが赤く発光、煙で何も見えない周囲をゆっくり見渡していく。
「…! 目標、捕捉」
-ドシュンッ!-
「が、ぁ…!?」
ディアーリーズの居場所を察知し、No.91はビーム射撃で彼の心臓を正確に狙い撃った。
「く、そ……やられ、た―――」
「とでも思いましたか?」
「!?」
その直後だ。
「鏡花水月」
心臓を撃ち抜かれた筈のディアーリーズの身体が、突如液状化。再び光線銃を向けようとしたNo.91の身体に素早く纏わり付き、後ろから彼女を羽交い絞めにした状態で液状化を解除する。
「ロキさん!!」
「OK、よくやったディアーリーズ!!」
煙の中からロキが飛び出し、バインドを発動。ディアーリーズが離れると同時にNo.91の身体が赤いバインドで何重にも拘束される。
「…!!」
それでもNo.91は、自身の身体を縛り付けているバインドを無理やりにでも引き千切ろうとするが…
「雷鳴轟く
「!? ッ…!?」
そんな彼女の身体を、ディアーリーズの雷撃魔法が襲う。しかし殺傷力は無く、麻痺して動けなくなる程度の威力だった。
「ごめんね。ちょっとだけ、我慢して」
そう優しく告げてから、ディアーリーズは彼女の胸元にあるコア目掛けてレオーネを突き立てる。
-バキィィィンッ!-
「ぁ…」
コアを破壊されたNo.91は、赤く光っていたモノアイが消滅。彼女がその場に倒れそうになるのを…
「おっと」
ディアーリーズがしっかりと抱き止める。そのままお姫様抱っこの要領で、ゆっくりと床に優しく寝かせた。
「ディアーリーズ、彼女は…?」
「…大丈夫です。気を失っただけみたいですから」
「はは、そうか。そりゃ良かった…」
「はい。何とか上手くいきま、し…た…」
今までの疲労が一気に襲ってきたのか、ロキとディアーリーズはフラリとその場に倒れ、大の字になって寝転がる。
「あぁ~…今回、今まで以上に疲れた気がする…」
「僕だって疲れましたよ、はい。本当に…」
二人は倒れたまま、互いに顔を見合わせる。
「…あの子の手、ちゃんと掴めたみたいだな」
「…はい、掴んで見せました」
二人は寝転がったまま、笑顔で互いの拳をぶつけ合うのだった。
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決着:射殺す矢と掴む腕