No.637747

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 852

soranoさん

第852話

2013-11-17 21:18:49 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1057   閲覧ユーザー数:999

フロア内にいる人々の確認をしていたロイド達がある部屋に入るとその部屋ではシズクが一人で外を見つめていた。

 

~オルキスタワー~

 

(あ………)

部屋に入ってシズクを見つけたロイドは呆け

(シズク……)

(シズクちゃん……)

キーアとセシルは複雑そうな表情をしていた。

「………………………キーアちゃん…………お父さん……………どうして……………」

外を見つめていたシズクは悲しそうな表情で呟いた。

「シズクちゃん……!」

その時ロイド達がシズクに近づいた。

「あ……!」

「よかった………無事だったのね!」

「シズクさんもオルキスタワーに連れてこられていたんですね。」

自分達を見て驚いているシズクにエリィは安堵の表情を見せ、ティオは静かな口調で言い

「あのオッサンの事だから別の場所かと思ったが……とにかく無事でよかったぜ。」

ランディも安堵の表情で答えた。

「ロイドさん、ランディさん……エリィさんにティオさんも………それにセシルさんやツァイト君、リィンさんも……………また皆さんの顔を見る事ができましたね………」

「む……?まさか……」

微笑みながら言ったシズクの言葉を聞いたツァイトは不思議そうな表情をし

「シズクちゃん、ひょっとして。」

ロイドは目を丸くし

「目が……また見えるようになったの?」

セシルは微笑みながら尋ねた。

「………はい。キーアちゃんのおかげです。不思議な力で、目の神経を繋いでくれたみたいで……もう光だけじゃなくて……色と形もちゃんとわかりますし、以前ティア様に治して頂いた時と違って、視力も元通りです。」

セシルの疑問にシズクは明るい表情で答え

「ほう………?」

「”零の至宝”の力は生命活動にも影響するのか……?」

ギュランドロスは興味深そうな表情をし、ヴァイスは真剣な表情で考え込み

「凄いな………イーリュンの”神格者”とほぼ同等の治癒力を持つと言われているティア様以上の治療ができるなんて……」

「”至宝”の力が凄まじいという証拠ですね……」

リィンは驚き、エリゼは真剣な表情で言った。

「いや、なんにせよ良かったじゃないか!」

その時ランディは明るい表情で声を上げ

「ああ……こればかりはキーアもお手柄だったな。」

ロイドは静かな笑みを浮かべてキーアに視線を向け

「えへへ……」

キーアは無邪気な笑顔を浮かべていた。

 

「はい……本当にキーアちゃんにはいくらお礼を言っても足りないくらいで……でも……でもっ………うううううっ!」

明るい表情で答えたシズクは急に泣き出し

「シズクちゃん……!?」

「ど、どうしたんだ!?」

シズクの様子を見たエリィとロイドは心配の表情になった。

「キーアちゃん、笑っていたけどとっても辛そうでした……!これが自分の役割なんだ……自分の望みなんだって無理に言い聞かせてるみたいで!本当はディーターさん達に協力なんてしたくないのに……!ロイドさんたちのところに戻りたくてしょうがないのに……!」

「あ……」

「そっか……」

泣きながら答えたシズクの話を聞いたロイドは複雑そうな表情をし、ランディは疲れた表情で頷き

「………許せん。こんな幼い少女を泣かすとは。」

「さすがに俺もこれにはキレたぜ……」

ヴァイスとギュランドロスは怒りの表情で呟いた。

「どうしてキーアちゃんがあんな事に……?それに……どうしてお父さんは………わたし……わたし……」

「シズクちゃん………」

悲しそうな表情で呟いたシズクの言葉を聞いたセシルは辛そうな表情でシズクを見つめた。

「………ありがとう、シズク。キーアの事を想ってくれて。キーアもきっと喜んでいるよ……」

その時キーアがシズクに近づいてシズクを抱きしめ

「うううっ…………グスッ………えっと……貴女はキーアちゃんのお姉さんですか……?キーアちゃんにすっごく似ていますし………」

抱きしめられたシズクはキーアの胸の中で泣いた後、キーアから離れてキーアを見つめて尋ね

「えっと………そんな所かな。事情があって今まで会えなかったの。キーアの友達になってくれてありがとう。」

尋ねられたキーアは苦笑した後微笑みながら答え

「そ、そんな……私の方こそキーアちゃんには一杯お礼が言いたいですよ……!」

キーアの答えを聞いたシズクは謙遜した様子を見せて答えた。

「……シズクちゃん。俺達はキーアを取り戻しに来たんだ。あの子や、アリオスさんたちがどこにいるか知ってるかい?」

「ごめんなさい……わたし何も知らなくって……キーアちゃんは昨日から見かけていなくて……それと……お父さんからはロイドさんへの伝言を預かりました……」

「え……!?」

「アリオスさんが……!?」

(一体何を……)

シズクの話を聞いたロイドとセシルは驚き、ルファディエルは考え込んでいた。その後シズクはある包みを机に出した。

 

「この包みは……」

「お父さんがロイドさんに渡してくれって……どうぞ、開けてみてください。」

「あ、ああ……」

そしてロイドが包みをあけるとトンファーが出てきた!

「……これは……」

「ガイさんが使っていた……」

「ガイさん愛用のトンファーね………」

(”ゼロ・ブレイカー”。刀傷がついている所を見ると、これで自分の事が露見する事を恐れてガイが殺害された後持ち去ったのね……まあ当時の私が見たら真っ先にアリオスが関係している事は疑ったでしょうね。)

トンファーを見たロイドは驚き、ティオとセシルは複雑そうな表情をし、ルファディエルは目を細めて考え込んでいた。

「これは刀傷……?」

一方トンファーについている刀傷を見たリィンは驚き

「ということはロイドさんのお兄様を手に掛けたのは……」

エリゼは真剣な表情で呟いた。

「ロイド……………」

「………………………」

エリィに見つめられたロイドは黙り込み

「……ごめんなさい……本当にごめんなさい……………お父さんが……父がロイドさんとセシルさんに酷いことを……」

シズクは涙を流して謝り続けた。

「―――シズクちゃん。負い目を感じる必要はないよ。本当にアリオスさんが、兄貴を手に掛けたと決まったわけじゃないし……どうやら、まだ見えていない、隠された真相がありそうだ。」

「……そうね。」

その時ロイドは真剣な表情で答え、ロイドの言葉にセシルは頷き

「え…………」

シズクは呆け

「どういう事だ?」

ランディは真剣な表情で尋ねた。

「この刀傷を見る限り、兄貴とアリオスさんが激しくやり合った可能性は高いだろう。刀傷の数を見る限り……あの”風の剣聖”を相手に兄貴もかなり善戦したんだと思う。――――だが、兄貴の直接の死因は”背後から銃で撃たれた”ことだ。」

「ええ……だからこそおかしいのよ。」

「あの男がまだ真実を隠しているのか……」

真剣な表情で答えたロイドの言葉にセシルは頷き、ツァイトは厳しい表情で呟き

「あ………」

「それって……」

ティオは呆け、エリィは真剣な表情でロイドを見つめた。

「―――シズクちゃん。手紙も読ませてもらうよ。」

「は、はい……」

そしてロイドは手紙を読み始めた。

 

―――ロイドへ。長らく渡せなかった品をこれを機会にお返しする。

 

その品が全て――――釈明するつもりはない。全てが終わったその時、セシルと共に存分に俺を裁いてくれ。この身はどうなっても構わん。だからシズクにだけは危害を加えないでやってくれ。全ての責は俺にある。

 

なお、街に現れた魔導兵は白き神機が大鐘を通じて操っているものだ。白き神機を何とかすれば全て沈黙させられるだろう。

 

「………………………」

手紙の内容を読み終えたロイドは黙り込み

「……これは…………」

エリィは複雑そうな表情をした。

「……白き神機ってのは、あの映像で見たヤツか。ガレリア要塞をアイスみてぇにくりぬきやがった……」

「でも、空間を消滅させる力は使えなくなっているはずです。」

ランディとティオは真剣な表情で呟き

「でも”風の剣聖”は一体どういうつもりで……」

「わざわざ魔導兵の事を私達に教えてくれるなんて……」

リィンとエリゼは複雑そうな表情で考え込んでいた。するとその時ロイドは”ゼロ・ブレイカー”を手に取って装備した!

 

「おお……」

「ロイドさん……」

「フフ、ガイさんを見ているようだわ……」

(似合っているわよ。……さすがは兄弟ね。)

ゼロ・ブレイカーを装備したロイドを見たランディは感心し、ティオは明るい表情をし、セシルとルファディエルは微笑み

「まるでお前のために誂えたみたいだな……」

ヴァイスは静かな笑みを浮かべて言った。

「ええ……不思議と手に馴染みます。―――シズクちゃん、伝言、ありがとう。ここから先は、どうか俺達に任せてくれ。キーアの事も……そしてアリオスさんの事も。」

「……はい………お父さんはずっと……悩んでいたんだと思います。お母さんのこと……わたしのこと……色々なことを考えているうちに……後戻りができなくなって……それで……グス……」

「大丈夫―――後戻りができないなんてそんな事があるもんか。」

「お父さんのことはきっと連れ戻してみせるわ。特務支援課の名に賭けて。」

涙を流しているシズクにロイドとエリィは優しげな微笑みを浮かべて言い

「ま、こんな可愛い一人娘を泣かせるような不良オヤジは一発ぶん殴ってやらねぇとな。」

「……ですね。首に縄をかけてでも連れて帰りましょう。」

ランディは疲れた表情で呟き、ランディの言葉にティオは頷いた。

「でも…………例え戻ってきたとしても、お父さんはヴァイスハイトさん達に…………!お願いします、ヴァイスハイトさん、ギュランドロスさん!わたしはどうなっても構いません……!だからお父さんを許してあげて下さい……!」

ロイド達の答えを聞いたシズクは悲しそうな表情をした後ヴァイスとギュランドロスを見つめて頭を深く下げて叫び

「シズクちゃん………」

その様子を見たセシルは複雑そうな表情で黙り込み

「「……………………」」

ヴァイスとギュランドロスはシズクを見つめて黙り込んでいた。

「……局長。」

「シズクちゃんがここまでしているんですから、何とかアリオスさんだけでも許してあげてください……!」

そしてロイドとエリィが真剣な表情で二人を見つめて言ったその時、何かが割れる音と地震が起こった!

 

「な、なんだ……!?」

「何かがタワーにぶつかったみたいだぞ……!?」

異変にロイドは驚き、ランディは厳しい表情で叫んだ。そして少しの時間が経つと大勢の足音が聞こえ

「大勢がこっちに近づいてきます……!」

「何……!?」

「まさか国防軍か猟兵共か……!?」

ティオの警告を聞いたロイドは驚き、ランディは厳しい表情で呟き

「い、いや……この足音は恐らく……」

「一体どうしてここに……クロスベル解放作戦は個人的に参戦するレン姫を除いてメンフィル軍は参加しないはずなのに……」

リィンとエリゼは戸惑っていた。するとその時扉が真っ二つに斬り裂かれ、そこからリウイ率いるメンフィル兵達が次々と入って来た……………!

 

 


 
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