真・恋姫†無双―二つの呂旗― 第五話『南か北か』
汝南を発って数日、俺たちは汝陰入りしていた。
丁原「う~む、北に行くか、南に行くか・・・」
恋「・・・・おいしい方。」
一刀「・・・土地はおいしくないよ?」
恋「・・・・食べ物が。」
一刀「・・・ですよね。」
此処汝陰は所謂交通の集積点・・・クチに建てられた街だったので此処から北か南か果てはそのまま東に抜けるかなど道が多く存在するのだ。
一刀「丁爺、此処でしばらく休息してみたら?」
丁原「う~む、そうじゃの、そうするか。」
恋「・・・しばらく滞在?」
一刀「そうだよ。さて、まずは宿を取ろうか。」
こうして俺たちはしばらくの間汝陰に滞在する事になった。
一刀「さてと、俺は街を見て回るよ。意外と大きい街みたいだし。」
恋「・・・恋はご飯。」
丁原「じゃあ儂はs」
二人「禁酒。」
丁原「・・・はい。」
この前のすぐに素面に戻る能力が発動しなかった丁爺に禁酒を言い渡し、俺は街へと出かけた。恋は食堂に一直線だから一緒では無い。拠点?何言っちゃってるの?そんなの作者に求めるなよ、かわいそうに。(メタァ)
一刀「それにしても大きな町だなぁ。」
此処汝陰は歴史ではさほど有名じゃない。確かゲームでも城としては名前が上がってるのを見た事は無い。ただ此処では交通の要所として中立を保ってるみたいだ。丁爺に聞いたが此処を治めてるのは陶謙であるという。歴史では確か徐州いや、今はまだ幽州に居るはずの人だ。たぶん・・・
一刀「ま、歴史通りなわけじゃないな。」
そんな時、目の前に人だかりができたいた。
一刀「なんだ?」
???「ラ~♪ララ~♪」
一刀「旅芸人か?それにしては・・・・」
そう、それにしては騒がしい。歌を聴くときはまず静かになるものなのに・・・黄色い歓声・・・いや、悲鳴に近い何かが聞こえる。さらに歌声が・・・低い。
???「うふん、私の歌を聞いてくれてありがとうねん。」
観衆「きゃ~きもちわる~い」
観衆「でも歌うま~い」
観衆「面白いしな~」
一刀「・・・見なかった事にしよう。」
???「あ~ら、そこの白いお・と・こ・の・こ♪」
うん、捕まってしまったようです。観衆は「もう終わりか~」と蜘蛛の子が散るように居なくなってしまった。
???「でゅふふふ。ちょ~っとお話いいかしらん♪」
一刀「・・・俺には無いけど。」
???「・・・あなたの御家族についてって言ったらどぅ~かしらん?」
一刀「!?」
家族だと?こいつ・・・何者なんだ。
一刀「・・・分かったよ。俺はこの街に詳しくない、だから話す場所はあなたが決めてください。」
???「じゃ、すぐそこの飯店にしましょう?」
一刀「・・・ああ。」
こうして俺達は・・・恋にばったり会った。
恋「・・・・・一刀の馬鹿」
一刀「がはっ!!」
恋「・・・まさかの真実。」
一刀「違う!」
???「でゅふふ、そう見えるのねん。うれしいわん!」
一刀「吐くよ!?それ以上想像したら俺吐いちゃうよ!?」
恋「・・・・冗談。」
???「冗談よん。」
一刀「どっちも冗談に聞こえませんでした・・・」
恋「・・・・誰?」
一刀「分からない。俺の家族について知ってるらしい。」
恋「・・・・ジー」
???「そんな警戒した目で見ないでちょうだい、“呂布”ちゃん。」
二人「!?」
???「まずは自己紹介、私は絶世の美女、貂蝉ちゃんよん。」
一刀「歴史上の貂蝉に謝れ!!」
貂蝉「ごめんねん。正史の貂蝉ちゃん。」
一刀「意外と素直!?」
貂蝉「さて、コントはこのぐらいにしましょうねん。」
恋「・・・・こんと?」
一刀「漫才の事。」
恋「・・・・納得。」
貂蝉「本当は呂布ちゃんには聞かせられない話なんだけどねん・・・」
恋「・・・仲間はずれ?」
貂蝉「う・・・そんな目で見ないでちょうだい。はあ、分かったわん。今日あなたに会いに来たのはあなたのお爺さん。結刀さんの事よん。」
一刀「じいちゃんに何かあったのか?」
貂蝉「今もお元気よん。そこは安心していいわん。と言うかあの人は殺しても死なないような人だから安心してちょうだい。」
一刀「・・・・そうだっだね。」
貂蝉「ただ・・・あなたが行方不明になった責任を取れと言われてるわん。」
一刀「クソ親父か。でも・・・あいつの事だから俺を心配してんじゃないんだろ?」
貂蝉「そうよん。あなたの腰にある・・・『白銀』が無くなったからよん。あれは次期北郷家当主に送られるものだから戒刀きゅんも焦ったみたいねん。」
あのクソ親父、まだ次期当主を諦めてなかったか。
貂蝉「あなたが行方知れずと聞いて好機と見たんだと思うけど、浅はかよねん。あなたは外史に避難してさらに白銀はあなたの手の内。ま、あの坊やには北郷家は荷が重すぎるわん。」
一刀「・・・・外史?」
貂蝉「それを説明するためには・・・呂布ちゃん、あなたには席を外してもらうわん。これは・・・大事な大事なお話よん。それこそ一刀ちゃんにのみにしか伝えられない事なのよん。ごめんなさいねん。」
恋「・・・・目を見ればわかる。恋は丁爺を見てくる。たぶん・・・堕ちてるはずだから。」
一刀「うん、半殺しまでは許可するよ。」
恋「・・・了解。」
貂蝉「・・・意外と厳しいわねん。」
一刀「会ってもう一年近くなるけど・・・たぶんじいちゃんに似てるから容赦なく接する事が出来るんだと思う。」
貂蝉「そう。じゃ、まずは外史についてねん。実はあなたは外史について説明は受けて居るわん。それも・・・月詠ちゃんからねん。」
一刀「・・・ばあちゃんから?」
貂蝉「まずは・・・これを飲んでちょうだい。」
一刀「・・・何処から出した?」
貂蝉「四次元下着からよん♪」
一刀「そんなもの飲めるk!?げほ、ごほ!」
あいつ放り投げやがった!?飲んじまったよ!?
一刀「こ、殺す気か!?」
貂蝉「失礼ねん。冗談に決まってるじゃないのん。私でも口に入れる物の衛生面は考えるわん。」
一刀「一体何を飲ませ・・・・」
これは・・・なんだ?記憶?ばあちゃんが・・・俺に話をしてる。外史?管路・・・心が壊れる・・・・?ああ、だから俺は此処に居る。
一刀「・・・理解したよ貂蝉。お前も管理者なんだな。」
貂蝉「月詠ちゃんの言った通りいい勘してるわねん。」
一刀「知りたい事は知った。で、じいちゃんに何があった?」
貂蝉「本家を追い出されたわん。月詠ちゃんが力を使おうとしたんだけど、結刀ちゃんが止めたの。結刀ちゃんからの伝言はね、『一刀の決めた事だとしても、儂は一刀を乱世に付き落とした咎人じゃ、じゃから報いは受けねばならん』とのことよ。後、『これを聞いても自分を攻めるな。な~に、戒刀の事じゃからすぐ失脚するさ、その報告を首を長くして待っとれ』だそうよん。」
一刀「そうか・・・伝えに来てくれてありがとう貂蝉。」
貂蝉「いいのよん。それで行く先は決まったのん?」
一刀「いや・・・どうするかはまだ決まって無い。」
貂蝉「北は止めた方がいいわん。五胡の動きが活発らしいのよん。」
一刀「本当か?なら南だな。ま、しばらくはこの街でゆっくりするさ。」
貂蝉「そう、それじゃ私はこれでねん。他の外史のご主人様に会いたくなったからん。」
一刀「ご主人様?」
貂蝉「あなたの事よん。聡明なあなたなら予想はつくでしょう?じゃ、またねん。ぶぅらぁああああああああああああ!!」
奇声を上げて立ち去る貂蝉を横目に俺は思考の海へとその意識を投じる。他の外史の俺?つまり外史は一つじゃないし、俺も一人じゃない・・・ああ、そう言う事か。立体並行交差世界論。なにかの文献で読んだ事がある。似た世界似た人物がいるがそれは全くの別物であると。ならあいつの言ってた他の俺は・・・俺より幸せなんだろうな。そう願いたい。俺みたいなやつは他に居ちゃいけないんだから・・・
一刀「南か・・・」
その頃の恋
丁原「ま、待て恋。その武器を下すんじゃ!し、死んでしまう!!」
恋「大丈夫。・・・一刀から半殺しまで許可は出てる。」
丁原「さ、酒を飲んだだけで半殺しはさすがに横暴じゃろう!?」
恋「禁酒令・・・破った。」
丁原「・・・わ、悪かった。儂が悪かったかr、っあーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
一刀「・・・恋、半殺しまでって言ったじゃないか。」
恋「・・・抵抗するから。」
丁原「・・・・・」
一刀「・・・返事がない、唯の爺のようだ。」
丁原「そこは屍と言わんかい!」
一刀「ははは。丁爺、北は五胡が動きが活発らしい、もし出発するなら南にした方がいいって。」
丁原「そうか、なら一月後出発じゃな。」
二人「了解。」
汝陰の街の上空に立つ筋肉ダルマ貂蝉と白い制服の少年。
貂蝉「・・・ごめんなさいねん、ご主人様。あなたは・・・大きなものを失うわん。」
貂蝉はそうつぶやくと少年は声をかける。
???「貂蝉、もういいのか?」
貂蝉「ええ、もう大丈夫よん。後は此処のご主人様次第ねん。」
貂蝉の顔はいまだに優れない、しかし少年の言葉でその顔をいつもの顔付きへと戻す
???「大丈夫だろ。なんたってあいつも“北郷一刀”なんだから。」
そう、彼は北郷一刀なのだから、そう言われた貂蝉は世間話へと話の方向を変えた。
貂蝉「そう言えば・・・華琳ちゃんもおめでただって聞いたわよん。」
???「ああ、だから早く仕事を終わらせて帰って来いって言われてる。急ぐぞ、貂蝉。」
貂蝉「分かったわん。それじゃあね、一刀ちゃん。」
こうして貂蝉と少年は姿を消した。白い羽をその場に残して。
あれから一月、俺は旅支度をしている。え?ひと月の間の話?だから拠点なんか作者に求めるなって、かわいそうに(メタァ)。ドンブリだって?良いじゃないかそんな事。とにかく色々あったんだ・・・恋が一通りの飯店をその日の営業を出来なくなるまで食材を食い荒らしたり、丁爺が酒家の酒を手当たりしだい飲んでその日の営業を出来なくしたり、俺が武器屋をめぐって手当たりしだい職人の心を折って行ったり・・・そう、色々あったんだよ。
一刀「さてと・・・恋、丁爺を殺して・・・起こしてきて。」
恋「・・・了解。・・・首は繋がってた方がいい?」
一刀「出来れば。」
恋「分かった。」
丁原『恋?なんじゃそれは、ちょ、ま、起きてる、起きてるからその包丁を下せ!一刀、たすかてくれ!!昨日酒を飲み過ぎたのは謝る、謝るからゆr、っあーーーーーーー!!』
一刀「これでよし・・・と。」
悲鳴?聞こえませんでしたよ?そんなことより・・・
一刀「南か~、江東の虎とばったり会ったらどうしよう(ワクワク)」
実は俺は孫呉が大好きだ。と言うより孫堅が大好きだ。どんな人なんだろう。一代で江東の地を治めた豪傑だと言う。楽しみだ。
恋「一刀、丁爺連れてきた。」
一刀「お疲れ、恋。丁爺は生きてる?」
恋「・・・口から魂が出てる。」
一刀「・・・なら大丈夫だね。行こうか。」
丁原「その判断は間違っているんじゃよ・・・」
恋「丁爺、云い付け守らない。だからお仕置き。」
丁原「うぅ、ごめんなさい。」
一刀「丁爺、南に向かうのはいいけどどの街に行くの?」
丁原「そうじゃな・・・建業経由で
一刀「最終目的は海?」
丁原「中間目的じゃな。そこから交州経由で益州に戻り天水に帰還じゃ。」
一刀「なるほどね、分かったよ。」
丁原「ま、交州を抜けるのには時間がかかるじゃろうがな。意外と広いからのうあそこは。」
一刀「ああ、横に広いからね、あそこ・・・」
恋「出発。」
セキト「わん!」
一刀「よし、行こうか。」
こうして俺たちは建業にむけて馬を走らせた。そして半月後・・・
一刀「へ~、ここが・・・・」
丁原「うむ、建業じゃ。」
恋「おなか減った。」
二人(街につくたびにおなか減ってる気がする。)
恋「まずは宿。」
一刀「ごもっとも。丁爺はどうするの?」
丁原「む?古い知り合いがおるからな。ちょっと挨拶に行ってくるわい。宿の前に一刀の印を下げてれば分かるからの。頼んだぞ?」
一刀「了解。」
丁爺の古い知り合い?誰だろう・・・丁爺は天水の将軍だったはず、歴史上は官軍だったはずだけど・・・ま、いいか。
一刀「じゃ、行こうか恋。」
恋「・・・こく」
俺は、俺たちは此処で・・・大切なものを失うんだ。それを今の俺はまだ知らない。
???「・・・すまない、私の・・・責任だ。」
恋「・・・・・・」
一刀「俺たちも参加していいですか?」
二人「・・・・・海へ。」
第六話『大切なもの』
少年は失う、少女は怒る、二人の道はさらなる地へと向かう。
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展開がまた突拍子の無いものになってきました。
ま、彼らが出るのはここが最初で最後なのですが・・・
拠点は本気で考えてません。そこまで頭が回らないです。
では本編どうぞ。