No.636639

The Enemy

i-pod男さん

とある民間軍事会社に勤めていた傭兵は、僅か二十六でその生涯に幕を閉じたが、次に目を開けた時には、赤ん坊として生まれ変わっていた!

チートな特撮の武器も『神の介入』と言う事で出します。

2013-11-13 22:53:52 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:700   閲覧ユーザー数:690

「河で阻止出来た・・・・・訳じゃないみたいね。」

 

沙耶が双眼鏡を覗いて辺りを見渡しながら呟いた。

 

「世界中が同じだと、ニュースで伝えていた。」

 

「でも、警察が残ってたらきっと・・・・」

 

「大丈夫よ。日本の警察は仕事熱心だから。」

 

心配そうな麗を元気付ける沙耶。

 

「皆、これからどうするの?」

 

静香が運転席から頭を乗り出して来た。

 

「とりあえず計画としては、沙耶の家に行く予定だが・・・・もしかしてあのデカい要塞みたいな家がそうか?」

 

「ええ。」

 

「ここからは一番近いですから、まずはそこに行きましょう。」

 

友人同士ならそう言う事も分かるってか。ま、孝がそう言うなら間違い無いだろう。

 

「決まりだな。後、何人かジープの方に乗れ。流石に全員はハンヴィーの中には収まらないだろうし、万一振り落とされでもしたら死亡確定だ。コータ、ほれ。」

 

警察の無線機をちょこっと弄って作った即席のトランシーバーを渡した。

 

「これで車間での連絡が取れる。行くぞ。」

 

ジープの方には沙耶、孝、ジークそして昨日助けた小学生、たしか、ありすだったか?まあ、後で聞けば良いか。兎に角、俺を含めた四人と一匹が乗って先導した。車内が静かなのは面白くないので、俺は内蔵されているCDプレイヤーの電源を入れた。リズム感が良い英語のラップが流れ始める。実は俺が動画等をmp3に変換してCDに焼いているのだ。サングラス掛けて膝丈のジャケット、更には武装、もうまるっきりヒットマンだ。

 

天気は快晴、開いた窓から吹き込む風が気持ち良い。ルーフを開けて小室はハンヴィーに乗ってるコータ同様、見張りをしている。

 

「うわぁ〜〜、おっきいバイクが沢山ある〜!」

 

「あそこは輸入物とか軍の払い下げがある。このジープもあそこで買ったんだ。」

 

助手席に座ったありすはジークを膝に乗せて道路脇のモーターショップを見てはしゃいでいた。

 

「滝沢さん、前から聞こうと思ってたんだけど、あんた何者?」

 

いずれは来るだろうと思っていたが、まさか沙耶からとはな。

 

「どう言う意味だ?」

 

「馴れ過ぎてるし、順応が早くない?普通こんな状況に置かれてるのに冷静な判断で的確な指示を出せる人間はいないわ。それこそ、軍人でもなければね。」

 

「この手のB級映画は結構見てたからな、大体何をすべきか、何が必要かは分かる。後、忘れてるかもしれないが、俺は元SAT隊員、突入部隊の隊長をやっていた。ある時期俺の行動が問題になって首を切られてね。」

 

「行動?」

 

「基本的に日本はアメリカみたいに犯罪者を見つけたら即発砲、なんて事はしないだろ?俺の場合は、突入時に出くわす奴全員が銃を向けて来るから撃ってる。上の奴ら、発砲許可出しておいて殺すな、なんて生温いと思ったんだよ。銃は傷つける為じゃなく、殺す為に作られた道具だ。立てこもり、人質事件、ジャック事件、こう言う物に俺は常に駆り出されて、突入の都度犯人グループを皆殺しにした。今更殺す人数が増えた所で、何も変わらん。寧ろ、もの言わぬリビングデッドが相手だから尚更気が楽だ。」

 

「滝沢さん!<奴ら>です!」

 

『右前方、距離、300メートル!凄い数です!』

 

ルーフの孝と無線機からコータがほぼ同時に叫んだ。

 

「右に行って!」

 

「了解。静香、右だ!」

 

急カーブを右折したが、ここにもさっき以上の数の<奴ら>がいた。

 

「ここもかよ、糞!」

 

「じゃあ、そこ左!左よ!」

 

「静香、次の角左だ!」

 

沙耶の言葉に従って運転しながら無線機に向かって怒鳴る。

 

「二丁目に近付く程増えてる・・・・」

 

「静香、隣に並べ!このままコイツらを押しのける!」

 

俺のジープとハンヴィーが並んで<奴ら>を吹き飛ばした。

 

「待って!駄目、駄目!止めてーーー!」

 

無線機から麗の叫び声が聞こえる。止まれ?何を言ってる?

 

「滝沢さん、前!ワイヤーが張られてます!」

 

「Dammit(畜生)!」

 

喋り馴れた英語で思わず悪態をついた。ワイヤーか・・・・流石に車は刻めないだろうがタイヤが危ないな。俺はハンドルを大きく切って車体を横に向けた。ハンヴィーも同じ様にドリフトして<奴ら>をワイヤーに押し付ける。ウィンドーに血飛沫が待ったが、咄嗟に沙耶がありすの目を覆う。その瞬間、ウィンドーが血飛沫で赤黒く汚れた。

 

「見るんじゃないわよ、ガキンチョ!」

 

「糞、数が多いな・・・・・戦闘開始だ。コータはハンヴィーからの援護射撃、冴子、麗、孝は近距離で近付く奴らを潰せ。こっちは非戦闘員が三人もいる。不必要にカバーする距離を伸ばすな、時間を稼ぐだけで良い。非戦闘員三人は荷物を持って、ワイヤーの上を超えろ。俺達が支える。」

 

リュックとショットガンを背負ったまま俺はジープを飛び出し、指ぬきグローブをしっかりとはめると、マシンピストルを引っ張りだして剣に変形させた。反りの無い真っ赤な刃が日の光に照らされてギラリと光った。FMGを右手に持ち、俺は深呼吸をすると、何百とも付かない大群との戦争に飛び込んだ。


 
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