No.634512

司馬日記40

hujisaiさん

その後の、とある文官の日記です。

ところで例の落書き帳はなんだか幾らでも書けそうな気がしますので(←大きく出た)、見たいスレがありましたらリクエストお受け致します。(ただスレタイ次第ではTINAMIでは部分削除かも?)

2013-11-05 21:27:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:12866   閲覧ユーザー数:7942

2月28日

後宮関係者への通知で、文烈(曹休)様らがいらっしゃる酒楼に自由記入の冊子がおかれ、それを閲覧・記入する為の暗証番号が配布された。子丹御嬢様に伺ったところ、既に殆どの者に内々に配布されていたらしい。

民営の施設ではあるが文烈様が管理を行うとの事でありそれならば一応差し支えないのだろう。匿名であれば上下関係を気にせず述べられる意見もあると思われるし、私も今度一度見てみよう。

 

3月1日

詠様が公達様のもとを訪れ、二人で暫く会議をされていた。

詠様が魏の総務部を辞されたあと子丹御嬢様と私が公達様に呼ばれ、「これからちょっとした抗争が始まるかもしれないわ」とにやりと笑われたので驚いた。

公達様のお話によると、仲徳様と呉の周瑜様が詠様の地位を狙われており、それを察知した詠様が公達様を総務室に引き込もうとされているらしい。

「要は一番ずっと長く一刀様と居られるあの立ち位置が欲しいって話よ。でもこれお互いに結構難しくてね、風たちとしてはこないだ蔡文姫の話が孫策に漏れたっていう不祥事を楯に詠に譲歩させたいんだけど、詠は詠で渡りに船なところもあって仕事は嫌いじゃないけど一刀様にしがみついてたいって思ってるから、風たちとしては月さんに「では詠ちゃんはメイドに専念で」とか介入されたりすると総務室の分の仕事が増えるだけで旨みが無いのよ。風は稟と桂花も引き込んで、周瑜は陸遜と蜀の二枚看板に声を掛けてるみたいね。とは言ってもね、実際に押さえればいいのは風だけよ、周瑜は自動的にうちの弓が迎撃するしね。ただどう動くかよく分かんないのがあのニヤニヤ女ね、楓(曹真)は袁術の伝手があるでしょ?ちょっと探りをいれといて」

と言われて散会となった。

 

…一刀様のお心を乱すようなことにならなければよいのだが。

 

3月2日

子丹御嬢様に一席お付き合いをお願いした。昨日公達様から伺った話について詳しい御事情と今後について伺ったところ、

「まず稟様と桂花様を余り問題視されてないのは、稟様は一歩引いたところがあるといいますか、自分の立ち位置に納得されていて他人をおしのけてまでその立場に行きたいとは思われていないからだと思うわ。逆に桂花様は一刀様の特別であることをかなり強く自負されていると思いますけど桂花様はほら、ああいう喋り方しか出来ない方だから月様と相性が悪いし、加えて部下になる貴女とも相性良くないから多分自分が詠様の位置には来れないだろうと思ってらっしゃるんじゃないかしら。周瑜さんは余り御事情が分からないけど仮に正面切って挑んでくるとして、その時は同じくらいかそれ以上に一刀様の姉としての自負がある秋蘭様に情報を流しておけば是が非でも阻止しに来られるでしょ?それと陸遜さんはって言うか呉の大体の人は、孫権様に遠慮してうっかりすると孫権様以上の立ち位置になりかねないこの場には突っ込んでこないって公達様は読んでるのよ。で、詠様が公達様に話を持ってきたのは、今後ずっと立場を狙われるよりも多少公達様に言い方は悪いけれど利権と言うか、一刀様との時間を譲る代わりに総務室の仕事もやらないかっていう取引のためよ。公達様は性癖はアレですけどそのおかげもあって月様と相性悪くはないし、なにしろ仕事は出来るけど扱いづらい貴女をうまく使えてるってことで白羽の矢をたてたんだと思うわ。それに貴女を総務室に置いておけば臥龍鳳雛避けにもなるしね」

と解説してくださった。確かに文若様は多少苦手ではあるが何故私が居ると諸葛亮殿、龐統殿を締め出すことになるのか気にはなったが、さらに張勲殿とはどのようなお話をされるのでしょうかと伺うと

「んー…、どう隠しても多分なにかしら察知されるだろうからもう端的に聞いてみようかしらって。七乃さんは七乃さんで一刀様について独特な自負を持ってると思うんだけど、今回みたいな政治のど真ん中には首を突っ込んでこないような気がするのよね」

とのことだ。

 

…閨房の乱れは亡国の兆しとはならないだろうか。どうか、一刀様の御世は安泰なものであってほしい。

 

3月3日

どうにも落ち着かず、元直、子敬と一席設けて相談してみたが、元直は

「考えすぎじゃない?政治が閨房を利用してるんじゃなくて閨房が政治を利用してるんだから大事にはならないと思うけど。それにいざとなったら一刀様がどうにかしてくれるでしょ」と言うが、子敬は

「でも詠の話じゃないけど仕事減らしてイチャコラしてたいですみたいなのが罷り通るようになっちゃったら皆じゃあ私もってなってこの国一気に終わるわよ?雪蓮様みたいな楽隠居が認められてるのは跡継ぎに蓮華様が居るのもあるけど、隠居してから一刀様との時間が急に増えたりしてないから周りも許してるんだと思うわよ。あんまり女のわがままを一刀様が甘やかすみたいな前例作っちゃうわけにはいかないと思うけど」

と言う。

いずれにも理はあるとは思うが…。

 

3月4日

ところで昨晩例の冊子集をぱらぱらと見てみた。

鍵の無い方では

・〇〇と××、なぜ差がついたか…慢心、環境の違いについて語る章

・昇進試験全般について語る章

・最悪の暗黒部署はどこか決定する章

 

などとあり、また鍵付きの方はとりわけ多くの章が立てられており多事多様な事柄について語られていたが、相当生々しい内容もかなり含まれていて驚いた。

 

・後宮の人々について語る章

・一刀さんのお気に入りですけど何か質問あります?の章

・【統一後の女限定】新参者集まれの章

・お前らの一番好きなプレイ、やりたいプレイについて語る章

・貴女の妄想を短編小説風にしてあげる章

・白なんとかさんと共に苦難を乗り越える章

・【関係者限定】あいつが私にしたことを自ま…糾弾する章

・【広き門?狭き門?】後宮を目指す女が集う章

 

しかし何か足りないと思い思案したところ、一刀様御自身の事が語られている章がなかった事に気づいた。

早速「今日の一刀様について語る章」という章を立て、一刀様について気づいた事を酒楼に行った日に記すことにした。些細なことでも皆の一刀様についての理解が深まれば喜ばしいことだろう。

通り名を記す欄があった為、「仲子」という名を使うこととした。

 

3月5日

子丹御嬢様に休憩時間中に庭に連れ出された、例の詠様の件だった。七乃さんに探りを入れるって言うか、もうどっちかって言うと相談したんだけどと御嬢様が仰るには、

「難しい事になる前に一刀さんの腰にモノ言わして収めちゃったほうがいいんじゃないですかぁ?まず詠さんの方には『メイド業だけになったら実質一緒に居られる時間減りますよ、それに一刀さんの仕事の入れられ方次第でどうとでも減らされちゃいますよ?それに月さんと仕事半分こにして月さん納得します?』、風さんには『本気で詠さんの位置に立って月さんとやっていけます?精神的負担で一刀さんとヤっていくどころじゃなくなりますよ?』ってちょっと脅かしとくんですよ。で一刀さんが風さんを風風俺の風くらい言いながらどぷっとまみれにして宥めておいて、詠さんの方も詠とは長く一緒に居たいんだとかほざいて軽く一発かましておけばまあ大体収まりますよ。周瑜さんは別に総務室に入りたいんじゃなくて姉的立ち位置確保出来れば文句ないんですから、あのデカいおっぱいモミモミしながら『冥琳が後ろで見ててくれるから俺はやってけるんだ』くらい囁いてやればコロリでしょうし、荀攸さんは女同士で話させると面倒ですけど一刀さんが苦い飴でもしゃぶらせながらこうしてくれとか言えば絶対逆らわないでしょう?で最後に風さんとかになんか適当な役職つけてちょこちょこ顔出せるようにしてやりゃそれで納得して御終いですよ」

と言ったという。

現実的な案だと思うから、桐花様にも伏せて一刀様にこの線で御報告と御提案するわと言われたので、総務室にも籍がある私の方からお話致しましょうかと申し上げたが言下に「ううん仲達じゃどう伝わるか分からないから駄目」とぴしゃりと言われてしまった。

ただ、その足で一刀様の御部屋に向かおうとして「やだ私ったら、下着換えてかなきゃ」と言って更衣室の方へ踵を返されたのを見たときは多少釈然としないものがあった。

 

3月7日

総務室で勤務していたところ、困惑された御様子の劉備様が泣かれていたのか目を赤く腫らした蔡文姫殿を伴って月様を訪ねて来られ、会議室へと入って行かれた。

珍しい取り合わせと思ったがすると直ぐに詠様が呼ばれて入っていかれ、暫くすると曹操様と袁紹殿も呼ばれたらしく首をかしげながら入って行かれた。

その後、詠様と曹操様が「元はと言えば華琳が」「だからってこれは脅迫よ脅迫!」等と言い争う声が漏れていたが、退勤時刻間際になって皆会議室から出てこられた。

袁紹殿、月様と劉備様は御機嫌の御様子で、特に劉備様は蔡文姫殿を「ご主人さまだから絶対大丈夫だよ!」と励まされていた。

一方曹操様と詠様は悄然とされており、「なんで私がこんなことを」「自分が蒔いた種でしょ諦めて」等とぶつぶつつぶやきながら退室されていった。

 

3月9日

新人事が発表された。総務室付き非常勤担当参与に仲徳様他各国から数名が任命された。先の御嬢様のお話の通りなのだろう。

 

3月10日

公達様に、総務室の参与になられたそうですがと伺うと、

「んふん、だってしょうがないじゃない…普段お願いしないと苛めてくれない一刀様が、自発的にあたしのことひん剥いて頭掴んでがくがくしながら『俺の言う事を聞け』ってドス利かした声で言ってくれたのよ?言いなりになる以外無いじゃないの雌犬的に」

と言って妖しい目つきで何かを反芻するように唇を舐められた。それを見ていた御嬢様が「仕事中に変な自慢されても面倒だから放っておきなさいよ」と耳打ちされ自席に私を引っ張られたので、私も仕事に戻る事とした。

 

 

3月11日

本日はちょっとした事件があった。

月例の御前会議の開始間際、皆が着席すると大会議室に蔡文姫殿が飛び込んで来られて一刀様の前に平伏し、

「一刀様!今宵、私をお召しになって下さいませ!」

と叫んだ。呆気にとられた一刀様が何か言おうとされる前に袁紹殿が進み出て、

「下がりなさいこの田舎娘!一刀さんは貴女のようなどこの馬の骨とも知れぬ女などお召しになりはしませんわ!」

と妙に得意顔で大見得を切ると、いやちょっと麗羽と言いかける一刀様に被せる様に曹操様が

「そうよ蔡文姫。ここは皆の会議の場、貴女がしゃしゃり出て一刀にお願いをする場ではないわ。出て行きなさい」

と言った。するとお間髪入れずに劉備様が

「ううんちょっと待って!文姫ちゃんは本当にご主人さまのことを知りたくて、仲良くなりたくて本気でお願いしてるんだよ?ご主人さま、文姫ちゃん気持ちを分かってあげて!」と叫ぶと、月様が文姫殿の手を取りながら

「ご主人様、彼女は私の恩人の忘れ形見なのです。どうか、お情けを…」

と静かに一刀様に頭を下げた。

一刀様は口をぱくぱくとされていたが、何か言いたげに周囲の詠様、稟様、仲徳様、文若様を順に見られたがどなたも目を細めるばかりで口を開かれない。困った御様子で振り返られて私と目が合うと直ぐに目を逸らされたが、助け舟をお求めなのだろうと思い

「文姫殿は才媛にして容姿も優れ、一刀様をお慕いする事も一方ならずまた一刀様の御為に努力する事を厭わぬ方と思います。是非お召し頂けますよう」

と申し上げたところ、ごめん今は仲達さんには意見求めてなかったんだと言われてしまった。そうこうしていると文姫殿らが

「一刀様!今宵、私をお召しになって下さいませ!」

「下がりなさいこの田舎娘!一刀さんは貴女のようなどこの馬の骨とも知れぬ女などお召しになりはしませんわ!」

「ソウヨサイブンキ。ココハ」

と始め、一刀様が「その学芸会もういいから!華琳も無理すんな!」と制止された。そののち一刀様が一つ息を吐かれ、「じゃとりあえず今晩飯でも食いながら、ゆっくりお話し合いから…」と呟かれると蔡文姫殿と劉備様、月様らはぱっと笑顔を見せて有難う御座います、良かったねと喜び合って退室していった。

なお劉備様だけは曹操様に「いやいい話だったみたいな雰囲気で出て行こうとしてるけど、貴女は会議に残らなきゃ駄目でしょ」と言われ、頭を掻きながら戻って来られた。

 

しかしその後の会議は妙に刺々しい雰囲気で、既に増額を認められていた害獣駆除事業の予算の報告であったのだが

「(予算が)また増えたのですか」

「(予算を)どれだけ増やせば気が済むのですかねー」

「(事業を)やることしか頭に無いからじゃないですかぁ?」

「(地元と)お話し合いしてからとか言って、どうせやること(事業)やっちゃうんならさっさとやればいいじゃない」

「(相手が)ケダモノだから仕方ないんじゃない?ケダモノだから」

等と稟様、仲徳様、張勲殿、文若様、詠様らから厳しい御意見が出されていた。


 
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