No.631957

真・恋姫†無双~赤龍伝~第122話「辻斬り捕獲作戦」

さん

主人公も含めてオリジナルキャラクターが多数出てきますので、ご注意ください。

2013-10-28 01:15:38 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:2546   閲覧ユーザー数:2397

真・恋姫†無双~赤龍伝~第122話「辻斬り捕獲作戦」

 

 

寝静まった成都の街。

 

赤斗と星が気配を消しながら、前方を歩く焔耶をつけていた。

 

赤斗「星さん。辻斬りは本当に現れますかね?」

 

星「辻斬りが現れるのは、街が寝静まった頃、必ず相手が一人の時を狙って現れる。ならば今の焔耶を見逃すはずがありますまい」

 

赤斗「現れたところを、僕たち三人で捕らえるってわけですもんね」

 

赤斗たちは藍里や朱里たちの作戦によって、三人一組で街で出ていた。

 

赤斗たち以外の武将たちも、同じように三人一組になって街に出ている。

 

一人が囮役で、他二人が網役となって、辻斬りが現れたら捕らえるという簡単な作戦だった。

 

だが、簡単な作戦ほど効果的と判断した藍里たちは、桃香に作戦を進言して実行に移していた。

 

赤斗「でも、他の班の方に現れるかも」

 

星「いえ。辻斬りは絶対ここに現れます。他の班の囮役は鈴々や翠。辻斬りが一人だけを確実に狙うなら、あんな騒がしい連中よりも、こちらをきっと選びます」

 

赤斗「……確かに、囮役としては目立つべきだけど、騒がしすぎると他の周りの人たちも巻き込みかねないですしね」

 

星「あの二人は、その事をあまり分かっていないみたいでしたからな。今頃、大声で辻斬りを呼んでいるでしょうな」

 

赤斗「あはは…」

 

赤斗には、鈴々が「辻斬り早く出てくるのだーーっ!!」と叫びながら、街中を歩いているのを容易に想像できた。

 

 

街に出て二時間が経過した。

 

だが、辻斬りは未だに姿を現していなかった。

 

星「現れませんな……」

 

赤斗「そうですね。他の班のところに現れて――」

 

 

 

鈴々「辻斬りーーーっ! いい加減、出て来いなのだーーーーーっ!!」

 

 

 

遠くからでも分かる鈴々の声が聞こえてくる。

 

星「…………」

 

赤斗「…いないようですね」

 

星「今夜は現れないのかもしれませんな」

 

赤斗「……いや、そうでもないようですよ」

 

星「何ですと?」

 

焔耶の方を見ると、いつの間にやら仮面を付けた男が、焔耶の前に立っていた。

 

 

焔耶「何だお前?」

 

焔耶は目の前に現れた仮面の男に尋ねるが、男は無言のままだった。

 

その代わり剣を抜き、焔耶へと向けた。

 

焔耶「お前が例の辻斬りだな」

 

焔耶も金棒を構え、男に向かって金棒を振り下ろした。

 

焔耶「どりゃああああああああっ!」

 

しかし、金棒は空振りとなり、地面にめり込んだ。

 

焔耶「ちっ!」

 

仮面の男が焔耶にすかさず斬りつけようとした瞬間、赤斗が割って入った。

 

赤斗「はあぁぁぁぁーーーーっ!」

 

焔耶「風見っ!」

 

赤斗「魏延さん、油断しないで下さいよ! 相手は愛紗さんを倒すほどの輩ですからね」

 

焔耶「ああ、そんな事言われなくても分かっているさ!」

 

仮面の男「…………」

 

焔耶と赤斗に前後を挟まれても、男には動揺は見られない。

 

焔耶「余裕のつもりか?」

 

赤斗「お前はもう逃げられないよ。観念するだね」

 

二人がいっせいに男に迫った。

 

焔耶「何だと!?」

 

男は凄まじい跳躍力を見せて、民家の屋根へと飛び乗った。

 

星「待っていたぞ」

 

男の背後から声が聞こえた。

 

仮面の男「!?」

 

さすがにそれには男も驚いたようで、とっさに後へと振り向こうとするが遅かった。

 

男が振り向こうとするも速く、星の強烈な一撃が男に加えられた。

 

仮面の男「ぐぅ……」

 

男は倒れるとそのまま屋根から赤斗と焔耶のいる路地まで転げ落ちた。

 

焔耶「死んだのか?」

 

赤斗「……いいえ。どうやら気を失っているだけのようですね」

 

すぐ様、男のもとに赤斗たちは駆け寄って、男の状態を確認する。

 

星「ははは。やりましたな」

 

星も下におりてきた。

 

赤斗「ご苦労さまです」

 

焔耶「おい、早くこいつを縛ってしまおうぜ」

 

赤斗「そうですね。暴れられても嫌ですしね」

 

赤斗たちは辻斬りを縛り、そのまま城へと連行していった。

 

 

翌日。

 

赤斗「はい? 自殺未遂って、あの男が?」

 

赤斗は藍里から昨晩捕えた辻斬りの取調べについて報告を受けていた。

 

藍里「はい。朱里から聞いた話ですと、昨夜捕えられた男が今朝、自殺未遂を起こしたそうです」

 

赤斗「……もしかして今回の件には黒幕が居るのかな?」

 

藍里「その可能性は大いにありますね。朱里もそう思っているようです」

 

赤斗「……男に会いに行ってくる」

 

そう言って赤斗は部屋から出て行こうとする。

 

赤斗が扉に触れようとすると、部屋の外から思いもよらない人物が部屋に入ってきた。

 

赤斗「思春!?」

 

藍里「思春ちゃん?」

 

亞莎「どうして思春様が成都に?」

 

思春「……雪蓮様のお供だ」

 

思春は赤斗を睨みながら答えた。

 

赤斗「何でそんなに睨むかな?」

 

思春「お前が天の国で見せた時代劇とやらの影響だそうだ」

 

赤斗「……なるほど」

 

思い起こせば雪蓮は、天の国では起きていればゲームをしているかテレビを観ているかのどちらかだった。

 

特に雪蓮が気に入っていたのは、天下の副将軍が諸国を漫遊して世直しをする国民的時代劇だった。

 

赤斗「それで、あと誰がお供できたの? 少なくともあと一人は居るはずだよね」

 

思春「あぁ、何でもスケとカクがどうしても必要と仰り、嶺上殿も一緒に来ている」

 

ご隠居=雪蓮。スケ=嶺上。カク=思春。という構図が赤斗の頭の中に浮かぶ。

 

赤斗「それにしても、蓮華と冥琳がよく許したね」

 

思春「世の中の人たちが不安になっているはずだから、見廻って人たちの不安を取り除くのだと仰り、お二人を説得されていた」

 

赤斗「……それで、ここまでの道中、何件の悪人の屋敷に乗り込んだの?」

 

思春「悪徳金貸しやら、人買いやらの屋敷などに五回ほど乗り込んだ」

 

思春は疲れた表情で答えた。

 

それを見た赤斗には、道中での思春の苦労が理解できた。

 

 

 

つづく


 
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