No.629479

真・恋姫†無双―悲しき師弟―

ユウヤさん

羽生なのです。
今回は短編です。副題は・・・本作とは合ってない気もします
いえ、確実に合って無いでしょう
それでもいいかと思います
ではどうぞ

2013-10-19 14:59:21 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4391   閲覧ユーザー数:3529

                   真・恋姫†無双―悲しき師弟―

 

 

 主人公―北郷一刀

 

 

 

 ヒロイン―黄蓋公覆

 

 

 

 

 北郷一刀と黄蓋公覆。二人は赤壁の地で対峙していた。二人はお互いを知っていた。否、お互いを思い出したのだ。だが遅かった。思い出したのは策を看破し一刀が祭を追い詰めた時に二人同時に思い出したのだから・・・

 

 

  赤壁  

 

 赤く燃える船。だけどもそれは一部の船で、大半の船はまったくと言っていいほど被害が出ていない。当然である。鎖は堅く結びつけられていて尚且つ外れやすいからくりを用いていたのである。さらに船と同色の布を多く用意していてあらかじめそれを濡らしておいたのだから火が燃え広がるはずもなく・・・そこから少し離れた小舟でのやり取りである

 

 一刀「・・・祭。」

 

 祭「・・・北郷。」

 

 一刀「こっちに降ってくれ!!」

 

 祭「ふ、それは出来ん相談だのぅ」

 

 一刀「どうして・・・」

 

 祭「むしろ儂が降ってくれと言いたいんだがのぅ」

 

 一刀「それは・・・・出来ない。今の俺は曹魏の将軍、“神弓”北郷一刀だから・・・」

 

 祭「・・・お互い、思い出すのが遅かったようじゃ」

 

 一刀「祭・・・・」

 

 祭「ならばこそじゃ。・・・北郷、儂を討て。」

 

 一刀「!?」

 

 祭「このままでは儂は帰れん」

 

 一刀「そ、そんなの嫌だよ!!」

 

 祭「ならば儂が北郷を討つ!!」

 

 一刀「な!!」

 

 祭「討つんじゃ、北郷。それが・・・儂等の策を討ち破った者の責任じゃ。」

 

 一刀「・・・・」

 

 雪蓮『祭~~~~~!!』

 

 祭「ほれ、策殿が近づいておる。急がんかい。」

 

 一刀「大人しく・・・殺されるって言うのか?」

 

 祭「・・・・そうじゃ」

 

 一刀「う・・・・」

 

 祭「北郷、弟子とは師匠を超えていくものじゃよ」

 

 一刀「うわぁあああああああああああああ!!」

 

 ひゅ!ドス!!

 

 祭「・・・ふふふ・・・見事じゃ・・・取り乱しながらも矢を番え、引き、射る動作・・・お主の言う風流を思わせる綺麗な動作じゃったぞ・・・」

 

 一刀「祭・・・」

 

 祭「よくやったの・・・我が・・・愛でs・・・」

 

 その言葉が続く事はなく、祭は長江の中に消えていった。

 

 一刀「う・・・うわ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!」

 

 その後の記憶は曖昧なものだった。だが、功績は明確である。単身孫呉の船団に小舟で乗り付けた一刀(師である祭から教わった操船術は伊達ではないのである)。そのまま敵兵を薙ぎ払い、敵将である甘寧、周泰を捕縛の後孫策と一騎打ち、これを撃退、後に追いついてきた劉備の船団に跳び移ると同じ弓使いである黄忠を弓で負かし捕縛、それを救出しようとした魏延を捕縛し、関羽、張飛両命を一騎打ちにて撃退。さらに追撃を掛け鳳統、陸遜、賈詡、孫尚香、孫権、厳顔、趙雲、馬岱を次々と捕縛して行った。そして赤壁の戦いが終わり、陸に上がった一刀は華琳に呼び出された。

 

 

  曹魏大天幕

 

 華琳「お疲れ様、一刀。」

 

 一刀「どうしたんですか?華琳様」

 

 華琳「どうしたもこうしたもないわ。多大なる功績を上げた者へ恩賞を与えるのは当然よ?」

 

 一刀「・・・・恩賞・・・ですか?功績など上げたつもりが無いのですが・・・」

 

 華琳「あれが功績じゃなければなんなのよ。謙遜は時に煩わしい場合があるのよ?」

 

 一刀「・・・ただ・・・暴走しただけです。それは功績とは言えません。」

 

 華琳「暴走?」

 

 一刀「・・・大切な人を・・・殺したんです。自分の手で。殺せと言われて・・・」

 

 華琳「一刀・・・」

 

 一刀「・・・華琳様。こんな大事な戦の中恐縮ですが・・・・もう、俺は戦えません。暇を・・・もらえませんか?」

 

 華琳「・・・・・・」

 

 桂花「ちょっと!!そんな勝手が許されると思ってるの!?」

 

 風「華琳様、お兄さんに権力を与えすぎたんじゃないですか~?」

 

 稟「此処まで我が儘だと呆れてものが言えません。」

 

 華琳「一刀。一応理由を聞いてもいいかしら?」

 

 軍師3人「華琳様!!」

 

 華琳「黙りなさい。一刀は私と春蘭、秋蘭に旗上げ当時から一緒に居るのよ?あなた達には測り得ない物があると知りなさい!!」

 

 軍師3人「・・・・御意」

 

 一刀「・・・俺の弓は・・・誰に教わったか覚えていませんでした」

 

 華琳「そうね、それは旗上げ時に効いたわ。」

 

 一刀「それが・・・祭・・・黄蓋将軍だったんです。」

 

 3軍師「!?」

 

 華琳「・・・・」

 

 一刀「驚かないんですね」

 

 華琳「そうね、驚いてはいるわよ。ただ、やっぱりかと思っただけ。黄蓋を討った後の暴走。その後の暇の進言。情報は少ないけど十分よ。」

 

 一刀「・・・・だめ・・・ですか?」

 

 華琳「王としては・・・駄目よ。でも・・・・一個人、一友人として・・・いいわ。自由になさい。」

 

 一刀「・・・ありがとうございます。華琳様。」

 

 華琳「・・・春蘭、秋蘭には挨拶はしていきなさい。二人ともあなたの事を心配していたんだから。」

 

 一刀「分かりました・・・では俺はこれで。」

 

 そう言うと一刀は天幕を後にする。残った4人は話を続ける。

 

 桂花「華琳様、どうして北郷に甘いんですか?」

 

 風「華琳様はあの人にだけは厳しい処分などは課しません。そろそろ理由をお話し下さい。」

 

 稟「我等が華琳様を疑っているわけではありませんが・・・どうしても納得できないのです。」

 

 華琳「あなた達は一刀の治める街を見たことがある?」

 

 3人「?」

 

 華琳「あなた達が一刀に会ったのは反董卓連合の折よね?桂花も一刀の噂は耳にしてもそれまで会った事がなかった。」

 

 桂花「はい。」

 

 華琳「一刀はね・・・独断で街の政策を変更していたのよ。」

 

 風「それは重罪ですよ~」

 

 華琳「それだけならね。でも違った。街は私が治めるよりも発展していたわ。周辺には賊すら出なかった。街は活気に満ち溢れ、商人は町に定住するならこの街をって言っていたの。そこまで短期間で発展、安定させた人間を罰せる?ただでさえ一刀は住民目線で政事(まつりごと)をする領主で下手に罰したりすれば住民の反感を買い、あの街の自衛軍は私達に牙をむいたでしょう。あの街の軍人の質の高さは3人とも知っているはずよ。たった数百人で一万の我が精鋭を模擬戦で二度と戦いたくないとまで言わせたあの軍を・・・そんな人間を罰せて?勿論理由はそれだけではないわ。それだけならただ怯えているだけだもの。一番の理由、それは・・・」

 

 3人「それは?」

 

 華琳「一刀の境遇よ。あの子はね・・・異世界の人間なのよ」

 

 3人「は?」

 

 華琳「証拠ならあるわ。私達3人は証明されたわ。この世界の人間ではない、とね。」

 

 風「それを信じたとして・・・どうして許す理由になるんでしょうか~?」

 

 華琳「風、あなたは稟や他の家族、知ってる人間すべてが居ない世界に一人飛ばされた揚句、そこで御使いなんて祭り上げられてらどうする?」

 

 風「・・・・」

 

 華琳「頭のいいあなたでもたった一人右も左も分からない世界、それどころか真名もない世界で、戦争もない世界に放り出され、出生が判らない人間として捕まったらどうする?」

 

 風「それは・・・」

 

 華琳「他の二人も考えなさい。一刀はそんな境遇なのよ。」

 

 稟「待ってください。それが本当なら、一刀殿は何処で黄蓋将軍から弓の手ほどきを受けたのですか?」

 

 華琳「そうね・・・もし、私達と会う前に他の世界すら渡っていたのならどうかしら?世界を渡るのよ?記憶を失っていても不思議じゃないわ。本来の世界を覚えていても他の世界の記憶は忘れてしまう。都合がいいように聞こえるけど・・・酷いものなのよ。本人にとってはね。それが判らないようならあなた達・・・ちょっと人の心についての勉強がなって無いわよ。」

 

 桂花「・・・・・それが理由ですか?」

 

 華琳「ええ、そうよ。幻滅した?」

 

 桂花「いえ。華琳様の広い御心、人を見る目に改めて感服いたしました。この荀文若、一層精進しついてまいります。」

 

 華琳「ありがとう。」

 

 風「風も勉強不足でしたね~。反省します~」

 

 稟「さすが華琳様です。この郭嘉、自らの未熟さを痛感いたしました。」

 

 華琳「そう、ならばその成長の場を与えましょう。これから一刀なしで戦わねばならない。尚且つあの優しい一刀の生きる世界を守る為にも、この後の戦は勝たなければならないわ。出来うるだけ被害を抑え、勝利する策を3人で構築なさい。いいわね?」

 

 3人「御意!!」

 

 

  曹魏陣営 夏候姉妹天幕

 

 一刀「春蘭、秋蘭。居るかい?」

 

 秋蘭「ん、一刀か?ああ、居るぞ。」

 

 一刀「話があるんだけど・・・いいかな?」

 

 春蘭「珍しいな。一刀が改まって話があるなんて。」

 

 一刀「二人とも・・・もう華琳から許可はもらってるんだけど・・・俺は軍を離れようと思う。」

 

 春蘭「な!!なんだと!?」

 

 秋蘭「・・・そうか」

 

 一刀「秋蘭は驚かないんだね」

 

 秋蘭「お前と何年一緒に居ると思う?それぐらい・・・感じ取れるさ。おそらく華琳様も特に驚かれなかったんだろう?」

 

 一刀「ああ」

 

 春蘭「なぜだ?我等が嫌いになったのか??」

 

 一刀「そんな訳ないだろ?俺にとって華琳も春蘭も秋蘭も大事な女の子さ。」

 

 春蘭「ならなぜ・・・」

 

 一刀「・・・ちょっと・・・疲れてしまったんだ。」

 

 秋蘭「一刀・・・」

 

 一刀「ごめんよ・・・春蘭、秋蘭・・・グス・・・でも・・・もう・・・駄目なんだ・・・」

 

 秋蘭「一刀・・・もういい、もういいんだ・・・大丈夫。泣いていいから・・・」

 

 春蘭「一刀・・・・」

 

 一刀「う・・・・うわああああああああああああああああああああああ」

 

 それからしばらく一刀の泣き声は曹魏の陣の中に響いていた。

 

 こうして曹魏の軍は一刀を抜きにして最終決戦へとその足を進めていく事なった。彼女達がどうなったかは言うまでもなく、3軍師の策が大きくはまり、成都は陥落。籠城していた他の王や将は軒並み捕縛され曹魏の大陸統一がなされたのだった。

 

 一刀がどうなったかは華琳も知らない。だが、風の噂では長江付近の寒村に、その村には似つかわしくない豪華な二つ墓石と白い弓が供えられているという。

 

 

 

  長江付近の漁村

 

 ???「どうだい?その後の調子は」

 

 ???「ああ、問題ない。」

 

 ???「そうか・・・華琳も大陸統治を頑張ってるようだしね。少しは幸せに生きないと・・・さ」

 

 ???「だが・・・・もう行くんじゃろう?」

 

 ???「ああ・・・大陸の平和がなされた今、俺の存在は必要ないみたいだからね。」

 

 ???「そうか・・・なら・・・達者での“一刀”」

 

 一刀「ああ、ありがとう。“祭”」

 

 祭「次は・・・お主自身が旗印になれい。これは老いぼれからの進言じゃ」

 

 一刀「ああ・・・・今度は俺が王として皆を導いてみるよ。」

 

 祭「願わくば・・・儂と今度は味方同士であってほしいのう。」

 

 一刀「ああ、それは俺もそう思うよ・・・少なくとも・・・殺したりはしない状況にしたいな・・・」

 

 祭「ああ・・・・頑張るんじゃぞ、北郷。」

 

 一刀「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

               一刀『ありがとう・・・・・祭』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                祭『幸せにの・・・・一刀』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 また本編を書かずに短編を書いてしまいました。

 

 今回は祭をヒロインとしたお話です。

 

 一刀は祭の手ほどきで神弓と言われる弓使いになっていました。

 

 外史を渡った影響で記憶をなくし、赤壁の戦いの中で覚醒。

 

 二人は船上での悲しい別れをしてしまいます。でも・・・

 

 祭は生きていてしばらく長江付近の漁村で二人で暮らし

 

 別れの時も清々しい笑顔で別れを惜しむことなく旅立っていく一刀を見送る祭。

 

 そんな作品なのです。どうだったでしょう?

 

 前回の短編ほど熱いものではないですが・・・・

 

 まあ、言うなれば・・・本編を書かない事は反省するが短編の事は後悔も反省もないんだよ。

 

 と言う事で本編はいまだに執筆中です。ではまた次回。チェリオー!

 

 


 
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