No.629106

真・恋姫†無双 裏√ 第四話 黄巾編其三

桐生キラさん

黄巾編は次回で終了予定です
今回は中二設定とご都合主義が飛び交います。それでも良ければ、楽しんでいただけると幸いです。

2013-10-17 22:57:47 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3218   閲覧ユーザー数:2772

 

 

黄巾編其三

 

 

 

華佗からの依頼を受け数日が経った。

この数日の間に、いたる所で発生していた黄巾党の連中も、名のある諸侯が次々と打ち破っていった。

中でも頭角を現したのは陳留の曹操、呉の孫策、そして義勇軍として活動している劉備の勢力だった。

先の二人は元々名のある方だったが劉備は聞かない名だった。

その劉備がどうして頭角を現して来たのか調べたところ、理由は二つあった。

一つ目は、弱小ではあるもののどうやら戦を選び、勝てる戦を確実に勝ち、着々と成果を挙げていること。

そしてもう一つ、これはまだ不確定事項だが、どうやら劉備には天が味方したらしい。

これを知った零士は「一刀君は劉備についたか」などと漏らしていた。

 

そして今日

 

零士「さてみんな、準備はいいかい?」

 

咲夜「おう」悠里「おー!」華佗「おぉっ!」

 

数を減らされ、勢いを削がれた黄巾党本隊がようやくその姿を見せた。

 

零士「じゃあ行こう!」

 

私達は街を出てしばらく歩き、ひと気のないところまで移動する。

そしてついたところで、零士は魔術を使う。

こいつの魔術、物の構造を理解していればそれを自在に出現させる事ができる、

零士曰く想造主〈クリエイター〉と呼ばれる技らしい。

 

ガシャン

 

作ったのは二台の二輪車。バイクと呼ばれるものだ。

 

悠里「かー!相変わらず摩訶不思議ですねー」

 

零士「はは。まぁ人前じゃ絶対見せれないよね」

 

私と零士がそれぞれバイクに跨り起動させる。ブウゥンと言う音を立ててバイクは目覚めた。

 

悠里「あたし咲夜姉さんのうっしろー!」

 

そう言った悠里は後ろに飛び乗り抱きついてきた。

仕方ないとは言え、こう密着しているとドキドキするのは何故だろう

 

咲夜「振り落とされるなよ」

 

華佗「では、俺は零士の後ろだな」

 

そういい華佗は零士の後ろに乗った。

仕方ないとは言え、男二人があんな密着するのはいかがなものなんだろう。

 

零士「じゃあ動くよ。かなり長い距離になる。予定通り途中何度か止まって休憩を挟もう。

疲れたら言ってくれ」

 

私達はバイクを走らせ黄巾党本隊へ向かう。作戦内容としてはこんな感じだ。

まずバイクで本隊まで接近する。次に、本隊が見えたらバイクから降り、思いっきり突っ込む。

この時、曹操軍らが本隊と当たる情報を事前に耳にしていたので、その混乱に乗じ太平要術の書を探す。

一定時間が経過しても見つからなかった場合、最悪火を付けて離脱する。

目的はあくまで書の確保または処分だ。火を付ける事に関しては既に華佗から了承済みだ。

 

 

バイクに乗り、しばらく走っていると

 

悠里「いやっほぉーい!!あたしは風になっているー!!」

 

悠里の士気は最高潮に達していた。

零士の国の言葉を使うのであれば、テンション振り切っているってやつだ。

とても今から戦地に行くものとは思えない様子だった

 

華佗「相変わらず便利だよな。このばいくとやらは」

 

零士「今さらだけど、みんなもうバイクについては驚かないんだね。

いやそりゃ、今回が初めてじゃないけどさ…」

 

なんてことを、零士は苦笑いで呟いていた。それも仕方ない。

それほどまでに、華佗と悠里との付き合いは長い。

逆に言えば、魔術を大っぴらに人前で使うのも、この二人以外にはいない

 

 

 

 

途中何度か休憩を挟みつつ、バイクを走らせること数刻、数里先で砂塵が上がっているのを確認する

 

咲夜「零士!」

 

零士「あぁ!黄巾党を捉えた!もう少し接近した後、バイクから降りて突入する!

ここは戦地だ、あちこちで戦闘が行われているし襲われる事もあるはずだ。

それを返り討ちにしてもいいが、なるべく殺してはいけない。これは華佗からのお願いだ」

 

華佗「俺は医者だ。さすがに目の前で人を殺されるのはあまり見たくない。だから可能な限り頼む!」

 

零士「ということだ。わかったね?」

 

悠里「りょーかいしましたー!」

 

咲夜「わかった。零士、もうすぐだぞ!」

 

零士「よし!10秒後、バイクから降りて突撃する。総員戦闘準備!10、9…」

 

秒読みが開始される。悠里は愛用の長い鉄の棍を取り出す。

普段からは想像できないが、こいつはこいつでなかなかの手練れだ

 

零士「4、3…」

 

私も片手でナイフを握る。

零士の訓練である程度なんでも使えるようになったが、中でもナイフは一番の得意武器だ

 

零士「1、0!行動開始!」

 

私達は一斉にバイクから飛び降りる。またその際、バイクは消えていた。

 

 

悠里「はぁぁーっ!」

 

悠里の鉄棍での薙ぎ払いを皮切りに、私達はその勢いで周りの黄巾党を蹴散らした。

 

悠里「とうっ!絶好調!!」

 

悠里は鉄棍を振り回し突撃していった。悠里の最大の武器は速さだ。

足の速さはさることながら、一つ一つの攻撃がとても速い。そこらの三下ではまず捉えられないだろう

 

華佗「全力全開!」

 

華佗も、医者のくせしてかなりの手練れだ。

拳や蹴りを使って吹き飛ばしたり、鍼で相手のツボを突き動けなくしたりしている

 

黄巾1「余所見とはいい度胸だな!」

 

黄巾の一人が私に襲い掛かってくる。まったく、来なければ助かっただろうに。

私は敵の攻撃が来る前に、相手の懐に入り、そして目の前の男を刻んでやった。

刻むといっても、切れてはいない。華佗から殺すなと言われていたんだ。

ナイフも鍛錬用の切れない奴にしてある。傷もせいぜい濃い痣ができるくらいだろう

 

それにしても…本当に数は減ってきていたのか?かなり多いぞ

 

零士「目的はあくまで書だ。不要な戦闘は避けるんだ!」

 

零士は今回、悠里に習ってか槍を二本使っている。

その二本の槍を使い、周りを吹き飛ばして私たちに呼びかけていた

 

零士の言うとおりだ。いちいち相手にしていたら、こっちの体力が持たない。

 

黄巾の連中をある程度蹴散らしつつ、黄巾党の中枢に進んでいく。

曹操軍がいい感じに働いているおかげで、奥に行くほど手薄になって行く。

そしてしばらく進むと野営があったであろう場所に着く。

 

咲夜「あるとしたらこの辺か?」

 

零士「恐らくね。しかし…」

 

思っていた以上に広かった。これは骨が折れるぞ

 

咲夜「あーくそっ!とにかく探すぞ!」

 

私達はしらみつぶしに探し始める。

手薄とはいえ、黄巾の連中も相手にしつつなのでかなりしんどい

 

咲夜「ここにもない。そっちはどうだ?」

 

華佗「ダメだ。ここにはない」

 

零士「張三姉妹の姿も見当たらないね」

 

悠里「うーん…こりゃ本当に火を付ける結果になりそうですねー」

 

悠里の言うとおりだ。このままじゃ私達がジリ貧だ。そろそろ退き際を…

 

黄巾1「そうか火か!野郎ども火をつけろ!その隙に逃げるぞ!」

 

なに!?

 

黄巾2「兄貴!それじゃあせっかくの食料が!」

 

黄巾1「馬鹿野郎!命あっての食料だろうが!さっさと火つけてずらかるぞ!」

 

そして黄巾の一味は瞬く間に火をつけ撤退し始める。辺りは火の海になりつつあった

 

悠里「えーっと…これ、私のせいですかね?」

 

零士「いや、どっちにしろあのままじゃ火をつけてたよ」

 

華佗「クソ!まだ見つかっていないというのに…」

 

咲夜「はぁ。とりあえず私達も撤退だ。早くしないと火に巻き込まれるぞ」

 

そして私達は火の手のあがっている戦地を離脱。近くに丘があったのでそこまで避難する。

高地の丘なので、さっきまで戦場だった地が見渡せた。しばらくすると、華佗が口を開く

 

 

華佗「すまないみんな。結局無駄足になってしまった」

 

華佗の表情には、わかりやすいほどの罪悪感の色が広がっていた。

そりゃあそうだろう。ここまで来て書は回収出来なかったからな。まぁでも

 

零士「確かに回収は出来なかったけど、あの火の勢いじゃ恐らく燃えたよ。だから気にしなくていい」

 

咲夜「そうだぞ華佗。それに書を回収出来なかったのは、どこぞの馬鹿のせいだしな」

 

私は悠里に視線を向けてわざとらしく言ってみる

 

悠里「ちょ!馬鹿は酷くないですか?」

 

小さいながらも、笑い声が起こる。華佗の表情も少し柔らかくなったようだ

 

華佗「はは。…本当にありがとうみんな。このお礼は必ずするよ!」

 

咲夜「気にしなくていい。それに…」

 

しばらく戦場周辺を見ていた私は、ある姿を確認する。

少し離れたところで、女の子三人が青い髪の女性に連れられていく姿を。

距離があるせいで、流石に顔までは見えず確証はないが、確信はあった

 

咲夜「よかった。ちゃんと保護されたみたいだな。夏侯淵さんには感謝しないとな」

 

私はボソリと、誰にも聞こえないくらい小さな声で呟いた

 

零士「ん?どうかしたかい、咲ちゃん」

 

華佗、悠里と話していた零士が私に尋ねてきた。聞こえてたのかな

 

咲夜「いや、なんでもない」

 

まぁいい。少なくとも、私の目的は達成した。それで十分だ

 

 


 
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