episode221 命散る時
「くそぉ!!」
「っ!」
輝春は両腕のシールドライフルを放ってレギナの胴体を撃ち抜き、クラリッサは左手のバスターソードを横に振るってレギナ三体を真っ二つに切り裂く。
直後にレギナが突っ込んできてAGE-1の左腕のシールドライフルを掴むと、そこから侵食が始まる。
「ちっ!」
輝春はとっさに左腕のシールドライフルを切り離すと同時に右腕のシールドライフルよりビームサーベルを出して振り上げて真っ二つに切り裂く。
(束のやつ撤退してって言ったってなぁ!!こんな状況じゃ撤退所の問題じゃないだろ!!)
先ほど束より撤退命令が入ったが、状況から撤退するのはかなり難しい。
(ここからネェル・アーガマが居るドッグまでどのくらい居るかも分からないって言うのに!いや、それ以前にエネルギーだって持つかどうか)
ISのエネルギーは無限ではない。このまま戦い続ければ恐らくエネルギー切れは時間の問題。
「気をつけろ!侵食が進み過ぎたら手遅れになるぞ!」
フェニックスゼロはバインダーキャノンを放ってレギナと龍型を飲み込むも、いくつかが半身を焼かれて残り、その部分が白く発光して再生する。
(くっ!予想以上に再生速度が早い!確実にネウロイ化時に形成されるコアを破壊しないと倒せないか!)
すぐに両手にビームライフルを展開して放ち、レギナの胴体を撃ち抜く。
一夏はアロンダイトを振るいながら飛び出すと、レギナと龍型、人型を薙ぎ倒すようにして真っ二つに切り裂いていく。
「でぇぇぇぇぇい!!」
すぐに後ろを振り返ると同時に左手に右肩のビームブーメランを抜き放ってそのまま投げ、レギナを大量に切り裂いていく。
直後に背中左側の長距離ビーム砲を展開して高出力ビームを放ち、龍型と人型を大量に上半身を飲み込んで撃破する。
すぐに砲身を折り畳むとすぐにアロンダイトを振るって光波を放ち、人型の上半身を切り裂くも、下半身は消えて上半身の切り口から白い光が出ると新たに下半身が形成される。
箒は左手にビームライフルを持って的確にレギナの胴体を撃ち抜いていき、接近してくる人型を右手のビームサーベルを振るって真っ二つに切り裂く。
シャルロットは両腕のアーミーナイフで接近してくる龍型を切り裂くと、後ろから接近してくるレギナを後ろに振り向き際に回し蹴りで吹き飛ばす。
「さすがにきついかな・・・」
「・・・あぁ」
息を切らしながらも、シャルロットと箒は背中合わせになって取り囲むレギナや龍型、人型を見る。
「だが、大丈夫なのか?」
「どうかな。武器がコレだけじゃ、心細いってレベルじゃないよ」
と、両腕のアーミーナイフを見せる。
「・・・だな」
リフターを失っているとは言えど、自分はライフルとビームサーベル、シールドのリフレクターとビームブーメラン、両脚のビームブレイドとそこそこある。
しかし、シャルロットは殆どの武装が弾切れで、残っているのは両腕のアーミーナイフのみと言う絶望的状況。
「・・・まぁ、あいつらの攻撃を受けないようにするよ」
「今は、そうするしかないな」
二人はそこから飛び出すと、ネウロイ化したレギナの攻撃を避けながらそれぞれの得物を振るって切り裂く。
マスターフェニックスはクロスバインダーソードを振るうも、ネウロイ化したクイーンは後ろに跳び、頭よりビットを放っ赤いビームを放ってくるも、クロスバインダーソードを振るってビームを切り裂く。
「皮肉なもんだな。お前との戦いがまさかこんな形になるとはな」
そう呟くも、クイーンはお構い無しに飛び出して右手に持つビームウィップを振るうも、マスターフェニックスは上昇してかわす。
「まぁ、せめてもの手向けだ。俺の手で楽にしてやる」
クロスバインダーソードを振るい、ネウロイ化したクイーンへと向かっていく。
――――――――――――――――――――
「・・・・」
フェニックスは焼け焦げた通路を突き進む。
(ほとんどが吹き飛んでいる。それほど爆発の威力があったって事ね。
やはり駆動炉が爆発しただけあって、かなり酷い。こんなんじゃゼルノグラードは・・・)
と、考えていると、何かがフェニックス目の前から二つの何かが迫ってくる。
「っ!?」
気づいた時にはその二つはフェニックスの両脇を通り過ぎる。
一つは灰色のボディーを持ち、その形状はどういうわけかバンシィに酷似していた。
もう一体は白いボディーを持つISで、こちらもどういうわけか形状的に白式に酷似している。
「今のは一体・・・・・・」
振り返るも、その二体の姿は無かった。
「・・・?」
すると、何かを感じ取る。
「これは・・・」
一定のパターンに電子音が鳴っていた。
「・・・・」
フェニックスは警戒しながらもその音がする方向へと向かう。
「っ!」
しばらく進むと、唯一焦げていない箇所があり、そこに壁にもたれかかるティアの姿があった。
「ゼルノグラード!!」
とっさに近付くと、すぐに状態を確認する。
(かなり酷い状態。でも、こんな状態でまだ生きているなんて)
左腕と右脚が切り落とされて、頭が大きく切れて顔の半分以上を血で染まっている。普通ならグロイ絵面だ。
「・・・?」
1、5ガンダムの胴体に発信機が付けられており、フェニックスはそれを外して見つめる。
(これが彼女の場所を示していたのね)
発信機を置くと、ティアが一応生きている事は確認するも、フェニックスはティアの周囲を見る。
(どうしてここだけ影響がないの。それに、この発信機を誰が・・・)
色々と考えが頭の中を交差するも、フェニックスはすぐにティアを抱えるとそのままハルファスの元へと戻る。
――――――――――――――――――――
「・・・う、ぐぅ・・・」
「・・・・」
Gブレイドが胴体を貫き、隼人は震えながらもダークネスカイザーを睨みつける。
「自分よりも、二人の方を選んだか」
「悪いか」
「・・・ふっ。お前は本当に昔の俺と同じだな」
「お前に言われても、嬉しくねぇよ」
「ふん」
ダークネスカイザーはGブレイドを引き抜くと、隼人は貫かれた箇所から血の様にオイルを流しながらそのまま浮力を失って床へと墜ちる。
『隼人!!』
強制的にユニゾンアウトされて戦闘形態が解かれたリインフォースはとっさに隼人の元に向かう。
「・・・精々残された時間を二人に看取られるんだな」
そうしてレイは後ろを振り返ると玉座に左手を置き、そこが粒子となってバラバラになると、隠し通路が現れると、そのまま中へと入る。
『くっ!』
リインフォースはとっさにレイの後を追おうとするも、動きが止まる。
「や、やめろ・・・リインフォース」
苦しげな声を出し、隼人がリインフォースの足を掴んで止める。
『ですが!!このままやつを行かせるわけには!!』
「お前だけで、勝てるやつじゃないのは・・・分かっているはずだ」
『・・・しかし!』
「・・・うっ」
隼人は呻き声を出すと床に倒れる。
『隼人さん・・・!』
『・・・!』
不安な声でツヴァイが隼人の傍でしゃがみ込むと、リインフォースもすぐに傍に座り込む。
「・・・情けないな。無理をしても、こうなっては」
苦しい声を出すも、言葉を出す。
『なぜですか。なぜユニゾンを解除したんですか』
「・・・・」
『ユニゾンを解除しなければ、隼人への負担は軽減されます!なのに・・・!』
「・・・それではお前達への負担が大きい」
『だから、私達を助ける為に庇ったって言いたいんですか!!』
「・・・・」
『なぜなんですか!!どうしてあなたはそこまで自分を犠牲に出来るんですか!!』
泣きそうになるも、何とか堪えて隼人に言い放つ。
「・・・・」
『そうやって、私を助ける為に死んで・・・・・・それなのに・・・』
隼人は震えるリインフォースの顔に右手を添える。
「それが・・・俺なんだよ」
『・・・わけが分かりません』
「・・・・」
『・・・本当に・・・何も分かりません』
「・・・だろうな。普通に考えたって・・・理解出来るはずが無い」
あまりにも常識外れな事だ。むしろ狂っていると見える。
『・・・・』
『・・・お姉ちゃん』
「・・・だが、これだけは言える」
『・・・・』
「・・・命に換えたって、守りたい者達が居る」
『命に換えても・・・』
『・・・・』
「お前も、その一人だ・・・リインフォース」
『・・・・』
「・・・だが、死んでは意味が無い、よな」
『そんな事は!!』
『隼人さんは絶対に助かります!!だから、そんな事言わないでください!』
ツヴァイは涙を流しながら、隼人に言う。
「・・・無駄だ。やつに・・・・・・バンシィのコアを破壊された。もう、長くは・・・」
『っ・・・』
リインフォースは奥歯を噛み締める。
受け入れたくない現実だった。
隼人とバンシィは二つで一つの存在。バンシィのコアが破壊されたという事は、隼人の心臓が破壊されたのと同じ意味を持つ。
「みんなを・・・守るって・・・決めたって言うのにな。なのに、もう破ってしまうとはな」
『隼人・・・』
「・・・すまないな、リイン・・・フォース」
『・・・っ!』
リインフォースは添えられている右手を持つ。
「・・・悔しい、な」
するとバンシィのツインアイと金色に輝くサイコフレームが点滅し始める。
『っ!ダメです!!隼人!!』
『頑張ってください!!お願いですから!!』
二人は必死になって隼人を呼び起こそうとするも、点滅は止まらない。
「・・・守れなかった。何も・・・かも・・・・・・」
隼人はゆっくりと涙を浮かべるリインフォースを見る。
「・・・悔しい・・・・・・な・・・」
そしてバンシィのツインアイの灯が消える。
『『っ!!』』
それと同時にサイコフレームの光も消え、金色のパーツが色を失って灰色に変色し、リインフォースの顔に添えていた右手は力をなくして彼女の手の中を抜け、床に倒れる。
『あ、あぁ・・・』
リインフォースは目の前の現実が信じられなかった。いや、信じたくない。
『そ、そんな・・・』
ツヴァイは涙を流し、床に両手を付いて俯く。
『・・・嫌ですよ。こんな結末は』
『・・・・』
リインフォースは震えて、涙を流す。
『い、イヤァァァァァァァァァ!!!』
そして彼女の悲しい叫びが辺りに響き渡る。
『隼人!!隼人!!』
反応が消失したバンシィを揺さぶって隼人を起こそうとする。
『逝かないでください!!お願いですから・・・逝かないで・・・』
バンシィの胸部に顔を当てて、涙を流して、その涙がバンシィの胴体を伝って落ちる。
『・・・隼人』
――――――――――――――――――――
「「っ!?」」
その頃、外に居たユニコーンとバンシィは脳裏にある事が過ぎって目を見開く。
「・・・う、嘘でしょ」
「・・・こ、こんな事が」
あまりにも信じ難い事実に、ショックを隠せれなかった。
「隼人君の反応が・・・消失したって」
「・・・・」
「じゃぁ・・・隼人君は」
二人の頭には、もう絶望の状況しか思い浮かばなかった。
「っ!」
颯は脳裏にある感覚が流れて、とっさに周囲を見渡す。
「どうした?」
シノンは弾切れになった四連マルチランチャーを切り離すとビームキャノンを放って龍型の胴体を撃ち抜く。
「・・・分からない、けど――――」
「けど?」
「・・・嫌な予感がする。それも、今までにないぐらい」
全身装甲なので表情は見えないが、不安な色が表情に浮かんでいる。
「・・・・」
「誰かが・・・死んだような・・・」
「まさか・・・」
少なからず、シノンも少し嫌な予感を感じ取っている。
「っ?」
レギナをヘヴィーハンマーを振り下ろして叩き潰すと、簪はふと顔を上げる。
「どうしたの?」
楯無は蒼雷旋を突き出して人型の胴体を貫くと、簪の方を見る。
「・・・なに・・・この胸騒ぎは」
「・・・・」
(・・・隼人)
胸騒ぎを感じながら、隼人が居る最深部の方を見る。
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トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!