第壱話 閃光との出会い
キリトside
―カランッカランッ
「よぉ、エギル」
「よぉ、キリトか。何か用か」
黒人で強面だが高レベルな斧使いの男の名はエギル。
第50層の『アルゲード』で店を構えて商人をしている、俺のフレンドの一人だ。
「買収をしてほしいんだが、いいか」
「あいよ。キリトはお得意様だしな……」
俺はトレードウィンドウを開いて、先ほど手に入れた《ラグー・ラビットの肉》を入れる。
エギルは首を伸ばして俺が提示したトレードウィンドウを覗き込んだ。
「おい、これS級のレアアイテムじゃねぇか。キリト、おめえこれ自分で食おうとは思わんのか?別に金に困ってねぇんだろ」
「そうは思ったさ。だけど俺はそこまで料理スキルを上げてるわけではないしなぁ……」
正直、運よくドロップしたが扱いに困っている。
この世界で料理スキルを上げてるやつなんてそうそういない。
生産スキル系を上げている幼馴染の顔が浮かんだが、俺はそこで考えることをやめた。
――あいつに任せたら、何を作るか分かったもんじゃない……
そんな風に考えているとき、背後から肩をつつかれた。
「キリト君」
女性の声。俺の名前を呼ぶ女性プレイヤーは数えられるほどだ。俺は振り向きながら言った。
「珍しいなアスナ。こんなところに何か用か?」
少女は白と赤を基調とした軽鎧を着ており、腰には彼女の愛剣であろう優雅な白銀の細剣が帯剣してあった。
髪は栗色で、はしばみ色の瞳をした少女は二人のプレイヤーを連れて店の中に入ってきた。
「用って程のものじゃないわ。もうすぐ次のボス戦だからどうしてるのかなって思っただけよ」
彼女の名前はアスナ。このSAOの中でも最強ギルドである《血盟騎士団》の副団長を務めている。
彼女の名前を知らないものは少なく、「閃光」という二つ名を持つほどの実力者でもあった。
そういえば、最近料理スキルを上げてるとかどうとか……。
俺は彼女の手をつかんでこう言った。
「シェフ確保」
「い、いきなり何?」
おおっと、俺としたことが説明することを忘れていた。
「とりあえずこれを見てくれ」
「どれどれ……。っえ、これS級食材の《ラグー・ラビットの肉》じゃないの!!」
「ああ、ちょうど迷宮から帰る途中で出くわしてな。前に言っていた料理スキルはどこまで上がってるんだ?」
「ふふん。聞いて驚きなさい。ついこの間、完全習得したわ」
…今コイツはなんとイッタ?料理スキルを完全習得した?
いや、細かいことは今はどうでもいいか。
「まあ、いいか。とりあえずこれを料理してくれないか?」
「いいけど、私にも分けてくれる」
「ああ、半分でいいか」
「うん。私はそれでいいよ」
「っというわけだ。取引は中止だ」
今まで放置していたエギルにそう言った。
「おいおい、俺たち友達だろ。俺にも一口ぐらい……」
「感想を800字以内にまとめて提出してやるよ」
そういってアスナのほうに向きなおった。後ろから「Noooooo」と聞こえるのは放っておこう。
「いいの?あれ」
アスナが心配そうに聞いてきた。
「大丈夫さ。いつものことだから」
そういったら、アスナはすぐに笑顔になった。
「そうなんだ。じゃあいこっか」
「ああ」
俺たちは店を後にした。
キリトside out
To be continued……
●あとがき
少々長くなってしまいました。
とても会話文が多いなぁ、と思う方がいらっしゃるかもしれませんね^^;
感情って表現するのとっても苦手です……
でも書き始めたからには頑張らないと、ですね!!
では次のお話で~……
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キリト主体の物語になりますね^^;
最初はあまり原作と変わらないと思いますが、どうぞ……