まえがき コメントありがとうございます。最近ちょっとずつ朝が寒くなってきて色々と萎えてきたsyukaであります。さて、今回は流琉ちゃんの拠点です。あまり料理をしない私の家に出張に来て欲しいですね。というより、お給料あげるからうちに住んで!それではごゆっくりしていってください。
「それでは皆さん、準備はできましたか?」
「はーい!」
始まりました、流琉によるお料理教室。昨日の夜、ご飯の時に桃香と愛紗が流琉に翌日の料理を教えてもらうよう頼んでいた。で、二人に同時に教えるのは大変なので俺も教えると提案。それなら翠たちにも教えてくれと馬騰さんが乗り出してきた。翠は拒否したが蒲公英がやりたいということで二人とも参加。それからそんなこんなで結構な人数が集まった。
「とりあえず・・・幾つかの班に分けよっか。 その方が効率良いし。」
という訳で班分け開始。
「一刀さん、お願いしますね。」
「あんたの料理の腕を信じてるんだからね。」
「頑張って教えるよ。」
俺の班は薔薇と百合。まぁいつもの二人だね。
「流琉ちゃん、よろしくね。」
「普段のとおり頼む。」
「はい、分かりました。」
流琉の班は桃香、愛紗。あっちもいつもの面子。
「お二人もお料理に興味があったんですね。 ちょっと意外です。」
「桔梗様が料理の一つでも出来るようになって来いと言われてきたんでな・・・迷惑をかけるが、よろしく頼む。」
「ねねは恋殿にご飯を作ってあげたいのです! 月にご教授を撓まりたいのです。」
「分かりました。 私の腕でどこまで教えられるか分かりませんが、できる限り頑張りますね。」
月のとこはねねと焔耶か。焔耶とねねって料理に興味あったんだな。焔耶は桔梗に何か言われたみたいだけど・・・。
「桔梗、焔耶に何言ったのさ?」
「あいつには女らしさが足りんのだ。 まぁ、私が言える立場ではないのかも知れぬのですがな。」
「そこは人の考え方次第じゃない? 桔梗も十分魅力的だよ。」
「ほう? それはわしが夜這いしても良いと解釈しても良いのですな?」
「・・・へっ? それはちょっと・・・。」
「はははっ、あまり深く考えなされるな。 軽い冗談ですぞ。」
「なんだ・・・ったく、心臓に悪い冗談だ。」
「お館様がお望みならいつでも大丈夫ですからな。」
俺にしか聞こえない声量でそう言った桔梗。・・・いくら心臓があっても足りないってば。
「明里ちゃん、今日はお願いね!」
「お願いしましゅ。」
「二人ともお菓子作れるんだから、普通の料理も出来るはずなんだけどなぁ・・・。 ま、いっか。 教えるからには厳しくするからね。」
「はい!」
あっちはいつもの軍師トリオこと朱里、雛里、明里か。今日も仲の良い事で、なんだか微笑ましくて心がホッコリしてくる。
「清羅さん、すみません。 先日からお世話になってばかりで・・・。」
「気になさらなくても良いのですよ? 私も教えることに関しては好きな方ですから。 ご主人様に美味しいものを食べさせて差し上げましょう。」
「分かりました。 ご指導ご鞭撻のほどをよろしくお願いします。」
清羅のとこには胡花が入ったんだな。なんだかんだで仲の良い二人だ。年が少し離てるから姉妹のように見えなくもないかな。
「・・・翠と蒲公英はともかく、なんでお袋まで教えられる側なんだよ? 料理なら充分できるじゃねえか。 盛り付け、味付けは男勝りだけどよ。」
「あんたの手腕でも今のうちに拝見しとこうと思っただけだよ。 それに、あんたの料理なんてこんな機会がない限りお目にかかれないからねぇ。」
「そりゃそうだ。 兄貴、姐さんに月ちゃんに流琉ちゃん。 それに明里ちゃんもいんだ。 俺の出る幕はねえよ。 それに、警邏があっから時間とれねえし。」
「蒼兄様が料理できるってこと自体、凄く意外だったんだけどね~。」
「そんなガラでもねぇもんな。」
「そこの愚妹ども、そこまで言うならきっちり料理できるまで仕込んでやるからな。 覚悟しとけよ?」
あっちは西涼組か。蒼の料理にも興味はあるな。蒲公英はまぁともかくとして、翠に料理か・・・大丈夫か?ま、馬騰さんもいるから大丈夫か。
「オーッホッホッホ! 白蓮さん、早速調理に取り掛かりますわよ!」
「それは分かったからとりあえず包丁を置け! まずはまな板とか道具を出す必要があるんだからな!」
「あたいはとっとと食いたいぜ。」
「文ちゃん、材料を摘み食いしないようにね?」
「・・・バレたか。」
「もう・・・。」
白蓮のとこは麗羽たちね・・・一番気に掛けとかないといけないとこだな。今のうちに胃薬持ってきたほうがいいかも。
「蕾はともかく、海未は普通に料理出来るじゃない。 私に教わることなんてあるの? それと管轤も。」
「私もまだまだ修行の身ですので。 吸収出来るものは吸収しとこうかと。」
「私はただの興味本位ですね。」
「私から吸収するところねぇ・・・。」
「菊璃様は美桜様と並ぶほどの料理人だと考えています。 料理の師とするならば菊璃様がもっとも適していると私は考えました。」
「お義母様と同列にされると荷が重いわねぇ。」
「うぅ、お二人の会話の次元が私とかけ離れてるよぉ・・・。 管轤さん、一緒に頑張りましょう!」
「はい、ほどほどに。」
海未さんと蕾姉も料理を教わるのか。まぁ、母さんは俺の料理の先生でもあるし、任せて大丈夫だろう。蕾姐はなんでかテンパってるけど・・・。そして問題の父さんのとこは・・・
「・・・なんだこの面子は。」
祝融さんは良い。残りの二人が問題だ。
「やぁねぇ、霧刀ちゃんったらそんなに恥ずかしがっちゃって~。」
「ぐふふ、ハーレム状態に興奮しておるんじゃな。 罪な男子じゃのぉ。」
「うげっ、こんなやつらとハーレム組むくらいなら崖から飛び降りるわ。」
「俺もやだよ。 というか料理なんかしないだろ。」
「何を言う。 漢女とは家事が出来てこその漢女。 料理も花嫁修行のひとつじゃしな。」
「貰い手がいるのかという問題が・・・。」
「霧刀ちゃんがもらってくれてもいいのよん?♪」
「冗談でも聞きたくなかったよ、そんな台詞・・・。」
父さんがげんなりしてるけど・・・貂蝉と卑弥呼の面倒をみなくちゃいけないなら誰でもあぁなるか。
「それでは皆さん、定位置に着いてください。」
それぞれ定位置に着く。桔梗や星、鈴々たちは食うか飲む専門のため少し離れたところから見ている。あっちは作る側より食い気だからな・・・。鈴々と恋がこちらをじとーっと眺めている。あれは早く飯を食いたい時の表情だな。今日はこれのために昼飯抜きなんだ。そろそろ我慢の限界なんだろう。
「一刀さん、まずは何から始めればいいんでしょうか?」
「そうだね。 とりあえず・・・二人とも、何を作りたい?」
「あんたねぇ、初心者の私たちに作る料理を選り好みできるはずないでしょ?」
「それもそっか・・・じゃあ杏仁豆腐でも作ろっか。 二人とも好きだし。 作るのもそんなに難しくないから。」
「分かったわ。」
「よろしくお願いします。」
「ほう、杏仁豆腐か。」
「お腹すいたの?」
「少々。」
「見本で作ったのあるから少しなら食べていいよ。」
「ふむ・・・お前たちのものが出来上がるまでしばらく待とう。 今私が食べれば鈴々や恋たちも動くことになりそうだからな。」
「・・・それでお願い。」
俺が作った見本がなくなりかけない。・・・いや、綺麗になくなるな。鈴々なんて滝のように涎が流れてるし。
「私はいつもどおり炒飯を作ろうかな~。」
「では私は・・・回鍋肉で。」
「分かりました。 では私は後ろで付いていますので、分からないところがあれば聞いてください。」
月のとこはいつもどおりみたいだな。・・・二人が変に個性を出さなきゃいいけど。
「胡花ちゃん、次は人参をいちょう切りにしましょう。」
「いちょう切り?」
「まず一本の人参を横から半分に切って。」
「はい。」
「その半分を縦にもう一度切って半分に。 それをもう一度繰り返します。」
「はい。」
清羅の説明は丁寧で分かりやすいようで、胡花の手も止まることなくスムーズに調理が進んでいる。
「翠、もうちっとくらい形を整えて切れねえのか? キャベツの千切り、あまりにムラがありすぎるぞ・・・。」
「んなもん、大して変わんねぇだろ。 腹に入っちまえば同じだし。」
「はぁ・・・こういうがさつなとこはお袋に似たんだろうな。」
「そうだね~。 姉様、もう少し綺麗に切ろうよ。 見栄えも大事でしょ。」
「兄様がきちんとしすぎなんだよ。 あたしはこんくらいでちょうどいいんだ。」
「あんたねぇ・・・。」
蒼のところはなんだかんで苦戦?してるみたい。
「管轤、ここの野菜をみじん切りにしてちょうだい。」
「御意。」
母さんのところは管轤さんが野菜切るの担当みたいだけど・・・なんで刀構えてるの?
「・・・ふっ!」
目に見えぬ太刀筋で野菜を切り捌いていく。瞬きをすれば見逃しそうなほどの速さだ。
「流石は管轤ね。 細さもわずかなズレもない。 けど、包丁も使いなさいね。」
「切れればどちらでも変わらないと思いますが。」
「料理するなら包丁くらい使えるようになりなさい。 それと蕾、じゃがいもの皮は剥けたかしら?」
「悪戦苦闘中ですぅ・・・。」
蕾姉ちゃんの剥いたじゃがいもは見事に凸凹。包丁で皮むいてよくあんな見事に凸凹になったな・・・。不器用すぎるでしょ。
「くっ・・・私がこのダルマどもに遅れを取るなんて・・・。」
父さんのとこは貂蝉と卑弥呼が華麗な包丁捌きを披露している。
「お前らは俺に教わることなんて無いだろ絶対。 その包丁捌きは絶対素人じゃない。」
「あらん、これは漢女修行の一つ、花嫁修行で学ぶことよん。」
「この程度なら朝飯前じゃな。」
「祝融はしてないのか? 花嫁修行。」
「それは言わないでください。」
「・・・分かった。」
父さんは何かを察したようで、うんうんと頷いた。祝融さんにも昔、何かあったんだろうな。
そんなこんなで皆の料理が完成し、お披露目会兼ちょっと遅いお昼ご飯となった。
「・・・愛紗の回鍋肉、真っ黒なのだ。」
「す、少し火力を間違えただけだ//」
少しの火力で肉だか炭だか分からないほどになるだろうか・・・。
「すみません、私が目を離した途端に・・・。」
「いや、月に落ち度はない。 私が不器用なだけだ。」
とりあえず愛紗の料理を一口食べてみる。・・・回鍋肉なのにしゃりって言ったよ。肉と野菜が炭になったんだろうか。辛うじて残っている肉もカッチカチになっている。正直、これを食べきるのは至難の業だろう。
「ご主人様、私のも食べてみて~♪」
桃香が持ってきたのはいたって普通な炒飯。見た目は全然いいな。
「じゃあ、いただきます。」
とりあえず一口・・・。
「うん、美味しい。 ご飯がもう少しパラパラになってたらもっと良いね。」
「良かった~。 マズイって言われたらどうしようかと思ったよ~。」
「良かったですね、桃香様。」
「うん♪ ありがとうね、月ちゃん。」
それと・・・
「明らかに作りすぎたわね・・・。」
「やっちゃったね~。」
3っつのボールいっぱいに入ってる杏仁豆腐。
「すまん、張り切りすぎちゃった。」
二人とも飲み込みが早かったから俺も楽しくなって・・・。
「ま、まぁ、人数はいっぱいいるし、大丈夫だよ。 多分・・・。」
3人で苦笑いを浮かべることしかできない俺たちであった。ちなみに、翠、蒲公英は蒼の努力の甲斐がありなんとか普通の料理を作ることに成功。胡花も筋が良かったのか出来は上々。母さんのとこ、父さんのとこも師が良かったのか無難に終わった。
「明里ちゃんの言うとおりにやったら美味く出来ました!」
「私でもこんなに美味しく出来たんですね・・・。 我ながら驚きを隠せません。」
「えっへん。」
どやっと胸を張る明里がいた。3人とも機嫌は良さそうだからいいでしょう。しかし残りの麗羽、白蓮組は・・・
「なんですの!? もはや食べ物とも言えませんわ!」
なんだか説明し難い料理が出来たようで・・・見えるのは明らかに火が通ってない魚の頭。海老。生玉ねぎ。芯の残ったご飯・・・カラッカラのタマゴとこんにゃく。・・・何を作ろうとしたんだろうか?
「作った本人が責任持ってたべろよ! 私は食べないからな!」
「・・・そ、そうですわ! 猪々子、お腹が空いているのではなくて!?」
「流石に無理っす。」
あれは俺でも無理だな。確実に翌日に響く。というか翌日で済めばいいほうだ。そんなこんなで立食パーティのような雰囲気のまま昼食を終えた。
・・・
「流琉、お疲れさま。」
「はい。 兄様もお疲れ様です。」
お互いに労いの言葉を掛け合いながら庭でお茶を啜る。食器も洗い終えたし、正直今晩はご飯入る気がしない。
「今日はごめんな。 せっかくのデートの日だったのにあんまり構ってあげれなくて。」
「いえいえ、こうして二人でお茶を飲めるだけでも私は満足ですよ。」
「そう言ってくれると助かる。 ま、今度市でご飯奢らせてよ。 そのくらいの甲斐性は見せておきたい。」
「そうですね。 その時は兄様のご好意に甘えることにします。」
次の約束も出来た。後はのんびりまったり過ごすだけ。
「兄様は・・・」
「ん?」
「兄様は料理人は目指されないのですか?」
「料理人?」
「はい。 兄様ほどの腕ならば店を構えてもいいほどだと思いますが。」
「確かにそれも面白そうだね。 だけど、今はそれ以上にやらないといけないことがあるからさ。」
「三国同盟・・・ですか。」
「そゆこと。 ま、料理人にならずとも料理はできるからさ。 流琉と一緒にご飯も作れるし、今のままでも充分だよ。 そういう流琉はどうなのさ?」
「私も武官でなければその道に進んでいたかもしれません。 ですが、今は兄様の家臣です。 こちらの仕事が優先的ですから。」
「ありがと。」
夕暮れどき、二人でそのまま陽が落ちるまでお茶を楽しんだ。いつか・・・いつか、小さな店でもいいから流琉と飲食店を構えるのもいいかも。と考えた一刀がいたのはまた別のお話。
あとがき 読んでいただきありがとうございます。今回の流琉拠点はいかがでしたでしょうか。流琉拠点というよりも番外編みたいになってしまいました。キャスト出しすぎましたね。反省。私もたまには料理しようかなと少しばかり思ったところです。次は少々拠点から離れます。他の人物たちの拠点もありますので心配はありません。次回、第八節:竜からの言伝・・・竜族の集い でお会いしましょう。
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何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。