No.626083

今日も平和とカオスだらけ?の魔界物語

Minosawaさん

出来た…何とか…長かった…

モンハン4と3DSLL欲しい~

2013-10-07 23:02:33 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:591   閲覧ユーザー数:578

前回まであらすじ

 

親衛隊隊長ヤマト不在で国々へ訪問する事になったミノルとアキラの2人は獣人の国ビステリア王国と鳥人の国イカロス帝国を訪問した。

そこで言われたのはヤマトとその国のプリンセスと結婚して婿入りをお願いしたいことだった。

さらに王位継承も絡んできて2人は驚きの連発。そして2人はヘリコプターに乗って次の国に向かった。

 

 

 

ヘリコプター内

 

「「・・・・・・」」

 

2人はヘリに乗るなり無言で黙り込んだ。

 

「まさか…次もヤマト関連かな?」

 

「信じたくないけど…多分」

 

「「はぁーー」」

 

大きな溜め息をこぼして肩を落とす2人。

 

 

「次の国は…妖精の国・ファンタジアだよ」

 

妖精の国・ファンタジアとは森の奥深くにある主に魔法を全般で発達したエルフが治める国で、魔界の魔法はファンタジアで生まれたのが多いのである。

 

「ファンタジア…魔法の王国か…」

 

「確か現女王はアキラと…」

 

「ええ…まあ…」

 

アキラはヘリの窓で景色を見てため息を少しこぼした。

 

そしてしばらくすると全体の景色が森になり、飛び続けるとかなり広い湖が見えてきて、ヘリはその近くある野原で出来たヘリポートに着陸した。

 

「ミノル様、アキラ様お待ちしておりました…」

 

ファンタジア王国の使いが2人を出迎え、湖まで歩いた。

 

すると湖が光りだし、湖の上に大きな城が出現した。

「相変わらず変わってない…」現れた城を見てアキラは驚かずただ単に懐かしんでいた。

 

「では…御案内いたします」

 

城に続く橋を渡り城に入る2人。

 

「そう言うば忘れていたけど…何でアキラは女王と仲悪いんだっけ?」

 

「知ってるくせに…」

 

ミノルの問いに小声でボヤくアキラ。

 

しばらく歩くと大きな扉の玉座の間に到着した。

 

「開門!」

 

門番のエルフの兵士が扉の上に向かって叫ぶと…扉が重々しく開いた。

 

2人は玉座の間に入ると中央にある玉座にエルフ耳の絶世の美女が杖を持って座っていた。

 

「ようこそ我がファンタジア王国へ、魔王殿は相変わらず変わっていませんね?」

 

「いやいや…お互い不老同士なんだ…そっちも相変わらず美人だなセレス殿」

 

「ありがとうございます…」

 

ミノルの世辞に頭を少し下げて礼をするセレス。そしてセレスが目線を変えアキラを見る。

 

だがアキラはセレスを見ると視線を逸らした。

 

「久しいですわ?イケメン騎士団団長殿?」

 

セレスの言葉にアキラは眉をピクッとした。

 

「ええ…お久しぶりですね?その女とは思えない反吐が出る程の嫌味はお変わりないですね?」

 

笑顔で返すアキラに少しカチンと来たセレス。

 

「まあ…そのクール気取りも止めたらどうだ?キャラ作りも大変ですのに…」

 

「……」

 

セレスの言葉に顔を俯くアキラ。

 

「おや?黙ってますよ?アキラ?いや…魔界で女装大賞に選ばれたアキちゃん?」

 

『カチーン』

 

アキラの何かが弾けた。

 

『あ…黒スイッチ入った…』

 

ミノルは少しアキラから離れた。

 

「誰がアキちゃんだぁ?男いない癖にいい歳して谷間出しやがって…色目使う相手がいないこの年増の牝○(ピー)野郎が!?」

 

突如…アキラの人格と言動が180度変化した、ミノルはあちゃーと頭を抱えた。

何故ならアキラは戦闘に関しては滅多に無いが、それ以外でイライラが極限に達した時、超ドS黒アキラに変化するのだ。

 

「だいたいお前は何だ?ガキ産まれて旦那を腹上死させた淫乱エルフが!?構って欲しいのか?抱いて欲しいのか?ズボズボされたいのかえぇ!?」

 

黒アキラの言葉にプルプルと体を震わすセレス。

 

「あなた…黒になったからって調子に…」

 

「おお~怖ーい、皺(しわ)が増えるぞオ・バ・サン?(ニヤニヤ)」

 

「フフフ…甘ちゃん坊やの寝言にしか聴こえないわね?その寝言が二度と言えない様にしてあげるわ!」

 

「やれるもんならやってみな?年中発情してる年増エルフが…俺様専用のミート○○(ピピー)にしてやる!!」

 

セレスは杖を強く握って黒アキラは剣を抜いて、一触即発の場面になった。

 

「待て待て!!この無駄な勝負、この魔王ミノルが預ける!!両者武器を下げて落ち着け!」

 

2人の間に入って喧嘩を止めるミノル。

 

「チッ!!命拾いしたな年増の女王様?」

 

「寿命がのびましたね~可愛いアキちゃん?」

 

「はぁ~」

 

お互い睨み合う2人にミノルは安心出来なかった。

 

「んで?何で俺達呼んだのは一体何故?」

 

「その一件なら私の娘が…」

 

「娘ぇ?腹上死した男との間に産まれたガキか?」

 

黒アキラはおちょくった口調で話した。

 

すると…

 

『バコーン』

 

「痛っで!?」

 

「!?」

 

黒アキラが後ろから何者かに頭を鈍器の様な物で殴られ、ミノルは驚いた。

 

そこにいたのは緑の髪色にセミロングの髪型の10・11歳くらいの女の子が杖を持って立っていた。

 

「こんのガキ!何しやが…」

 

「アイスフォール」

 

「グゴッ!?」

 

女の子が早口で呪文を唱えると黒アキラの頭上からレンガのような大きさと形の氷塊が落ちてきて、的確に彼の頭に当てた。

 

「・・・・お母様の悪口言わない?」

 

「んだと…あんな年増の」

 

「アイスストップ」

 

今度は黒アキラの両手と足回りを凍りつかせて動きを止めた。

 

「くそ!呪文の詠唱と具現が速くて油断した…」

 

「もう一度言う・・・・お母様の悪口言わない?」

 

「くっ!この…」

 

「それじゃあ…」

 

そう言って杖を力強く持つ少女にさすがのミノルも危険と感じた。

 

「サヨナラ…しよっか?」

 

『マズイ…あれは本気で殺る眼だ!」

 

そう思ったミノルは女の子の前に立った。

 

「弟の事は俺が代わりに謝る!だから杖を!!」

 

必死になって話すミノルに女の子は杖を魔法で消した。

 

「兄貴!早くコレ何とかしてくれ!?段々感覚が無くなってきた…」

 

両手足が凍り付いている黒アキラはミノルに助けを求めた。

 

「・・・・メルト」

 

女の子が呪文を言うと黒アキラの足の氷が解けて無くなった。

 

「紹介しましょう…娘のアリスです」

 

「「えっ!?」」

 

2人がアリスを見るとアリスは丁寧にお辞儀した。

 

「いや…てっきりもっと大きい子かと…」

 

「大きくなる…将来…絶対…」

 

ミノルの一言にシュンと落ち込むアリス。

 

「ご、ごめん!悪気はないから!そう落ち込まないで」

 

「不老だから小さいままかもな?プププ…」

 

「大きく…なるのに…」

 

ミノルの弁解に黒アキラが横槍を入れてきて、少し涙目になるアリス。

 

「こんのアホ!!女の子泣かせるなんて最低だなおい!!」

 

そう言って黒アキラの頭を引っぱたくミノル。

 

「お前自分の立場わかってんのか!?ここは魔法発祥の国だぞ!!一歩間違えたらお前さっきの氷結魔法で死んでいたかもしれないんだぞ!少しは自重しろ!」

 

「はい、わかりました、もうKY発言しません、ごめんなさい。だからミシミシいってるから頭鷲掴みするの止めて!?」

 

ミノルに頭を鷲掴みされて謝る黒アキラ。さっきまでの威勢がミノルの前ではあまり無いようだ。

 

すると、アリスが何か探しているようにキョロキョロし始めた。

 

「どうしたのアリスちゃん?」

 

鷲掴みを止めてアリスにミノルが聞いてきた。

 

「2人の付き添い…ヤマト様は…」

 

「イテテ…ヤマトか?あいつはいねえよ…自分の部隊の遠征で」

 

「いない…ちょっと残念…」

 

黒アキラは頭を抑えながら言うと、彼女は落ち込んだ様子で母親であるセレスの隣に立った。

 

「どうしたの?まさかヤマトの奴アリスちゃんに不謹慎な事を…」

 

「ファイアボール」

 

「うわっ!?」

 

アリスが瞬時にミノルに向けて炎の球を放ち、ミノルは辛うじて避けた。

 

「俺なんか言った!?」

 

「ヤマト様の事…悪く言わないで…」

 

「だから…ヤマトが君に不埒な事…」

 

「例えあなたが魔王でも…ヤマト様の事悪く言ったら…許さない!」

 

そう言って無数の炎の球をミノルに放ちミノルも避け続けた。

 

「わかった!ヤマトの事謝るからゴメン!ごめんなさい!すみません!!、だから落ち着いて!?」

 

「アリス!お止めなさい!!」

 

そう言ってセレスがアリスの杖に魔法をかけると杖が石の様に固まり炎の球が出なくなった。

 

「はぁ…はぁ…それで…ゲホッ!ゲホッ!それで話は戻るけど…何で俺達2人を呼んだのかその訳を…」

 

「兄貴大丈夫か?」

 

息を切らせながら言うミノルにさすがの黒アキラも心配になっていた。すると呼吸を整えたミノルはある事に気がついた。

 

「あれ?俺達ここに来てからヤマトの名前を出していないのに、何で彼女は俺たちのいないはずの親衛隊隊長のヤマトの名前を知ってるんだ?」

 

「そういえば…確かにヤマトはいないのに何で嬢ちゃんが?」

 

「アリス、2人に説明を…」

 

「はい…では…トーンズ」

 

すると彼女の隣にアリスそのままの分身が出現した。

 

「うわっ!何だコレ!!」

 

「これはアリスが独自に作った魔法『トーンズ』自分の記憶とリンクして分身を作り、自分に代わって説明を代弁する魔法です」

 

「まさに口数が少ないアリスちゃんにピッタリの魔法だ…」

 

黒アキラが分身に驚き、セレスが魔法の説明をしてミノルがその魔法に仰天した。

 

『1ヶ月半前の事です…』

 

 

 

 

 

1ヶ月半前

 

『あの日…私は城の前にある泉で一息ついていた時でした。私は小鳥の囀(さえず)りを聞きながら休んでいたときでした…』

 

 

アリスに集まって羽を休む小鳥達や小動物達にアリスは笑みをこぼしていた。

 

その時。

 

『ドガッ!バキッ!』

 

突然何か殴った音と倒れる音がして、小動物と小鳥達が危険と察知して逃げていった。

 

そして…森の中から足音がどんどん近づいてきた。

 

現れたのは身長2メートルを超える緑の肌色をし、豚に似た顔つきの化け物数名が木の棍棒を持って現れた。

 

「誰…護衛は…」

 

「グヘヘ…ひ弱な兵士ならオネンネしてるぜ…」

 

「まあ…二度と起きないけどなぁ?」

 

そう言って高笑いするオーク達にアリスは恐怖を感じ、後ろに下がる。

 

「待てよお嬢ちゃん」

 

「俺達と一緒に遊ぼうぜ?」

 

「大人のな?」

 

「っ!!」

 

アリスは杖を召喚させ杖を握った。

 

「ストーンシュート」

 

アリスの杖の先端から岩が飛び出して1人のオークの顔面に直撃した。が…

 

「このガキ…」

 

額から紫色の血を出ているが効かなかったのだ。

 

アリスは別の魔法を唱えようとした時だった。

 

「捕まえた!!」

 

「!?」

 

別のオークが彼女の杖を持っている腕を掴んで杖を奪って投げ捨てられた。

 

「嫌!離して!!」

 

「うるせえ!!」

 

『バシィン!!』

 

腕を掴まれジタバタと抵抗するアリスに岩をぶつけられたオークが彼女にビンタして彼女を倒した。

 

アリスの口から血が出て、彼女はそれを見て涙を流す。

 

「この小娘…おい!俺から遊んでいいか?」

 

「おお!早くやれよ!!」

 

周りのオーク達が騒ぎ始めた。そして…オークがアリスの服に掴もうとした時だった。

 

森の中から石が飛んできてオークの腕に当たった。

 

「痛ッ!?誰だ!そこにいるのは!?」

 

オーク達は石が飛んできたところに視線を送った。

 

すると…黒のコートに白のTシャツ、青のジーンズを身に着けている180を超えた身長に鍛えてきた肉体を持つ男が現れた。

 

「まったく…女の子1人に集団で襲うなんて男として恥ずかしくないわけ?」

 

男がオーク達に向かって呆れた口調で言い放った。

 

「この野郎~なめてんのか!?バカにしてるのか!」

 

「バカにしてるよ?女の子襲おうとして下半身の汚物棒を勃起させてる奴をバカにしない奴なんているわけ無いだろ?」

 

人差し指で自分の頭をツンツンして言う男にさらに怒りに震えるオーク達。

 

そして男はアリスを見て驚いた顔をして顔を下に俯いた。

 

「確か…最近周辺で妖精の女の子が誘拐され遺体で発見される事件が多発してるって聞いたけど…まさか…」

 

「ああ…俺達がヤったんだよ」

 

「ガキ共の悲鳴と震える姿で余計に興奮してよ」

 

「んで、使い古した奴はストレス発散でボコって殺したんよ?」

 

「死体○も結構よかったな?」

 

「それ全て録画してよ、遺族の家に送ったっけ?」

 

「俺達を人間の形で加工したからわかるわけないもんな?」

 

『ブッヒヒヒ』

 

オーク達は自分達が犯した罪を自慢気に話して高笑いした。

 

「…酷い」

 

アリスもその事件の事を知らないわけがない。自分と同じ種族の女の子が殺されて、その犯人が目の前にいる事にアリスは悔しくなってきた。

 

「数は9人、いや9匹か…成立だな…」

 

『カシャ』

 

「あぁ?」

 

小声で喋る男に高笑いを止めるオークに男はデジカメを瞬時に取り出し、シャッターを押した。

 

「連続妖精少女誘拐殺人事件の犯人グループのオークらしき奴等と遭遇、抵抗するオーク達を回避して襲われそうになった少女を助けようとしたが、豚もどき同然のオーク達の激しい抵抗にあい…」

 

「やむを得ず全員殺した…」

 

そう言って男は少し口をニヤリと笑った。

 

「どう…筋が通ってんだろ?」

 

「ふざけんなぁ!」

 

「ぶっ殺してやる!!」

 

二匹のオークが男に向かって走って、持っている木の棍棒で男に殴りかかろうとした瞬間。

 

「ふん!」

 

『『バキッ!バキッ!!』』

 

男は瞬時にジャケットを脱いで、二匹のオークの棍棒を両手の突き一発で折ったのだ。さらに男はオーク一匹の首元に蹴りを当て、鈍い音と同時にオークはピクリとも動かなくなった。

 

「っ!てめぇ!?」

 

もう一匹のオークが男に殴ろうとしたが、男がオークの拳を軽々と掴み止めた。オークは男から離れようとしたが、まったく動かない。

 

「ヘビーグラヴィティ…」

 

男の拳から白いオーラが出現し、オークがそれを見て脅え出した。

 

「キャノンスマッシュ!!」

 

男が放った拳はオークの胸に直撃し衝撃がオークの体を貫きオークは一瞬で吹っ飛んだ。まるでオークが大砲に装填され、発射された弾のように…

 

「まずは2匹…」

 

「この野郎!」

 

「舐めんな!」

 

「敵討ちだ!」

 

今度はオークの4匹が男の四方同時に攻めてきた。

 

「ライトグラヴィティ…」

 

そしてオーク達は一斉に棍棒を男に当てようとした瞬間!

 

「フライホッピング!!」

 

オークたちの攻撃と同時に男が…飛んだ!バネのように真っ直ぐ、高く飛んだのだ。180を超える身長に筋肉質の体型の男が軽々と宙に浮いていた。オーク達とアリスはその光景に驚きを隠せなかった。

 

「マイウエポンサモンズ…ラヴァージ!ハンマーモード!!」

 

男が呪文を唱えると男の手からかなり大きいハンマーが出現し、男はそれを強く握りオーク4匹を見た。

 

「ヘビーグラヴィティ…」

 

すると今度はハンマーから白いオーラが発生し、ハンマーを包んだ。そして男はそのハンマーを大きく縦に振りかぶった。

 

「アドミックスタンプ!!」

 

男が振ったハンマーは4匹のオークの頭上を的確に当てた。4匹は地面に顔が刺さっているかのように動かなくなった。

男はハンマーを背中に背負うかのように構えて立っていた。

 

「これで残りは3匹か…」

 

そう言って男は残りのオーク達を見つめた。

 

「ま…まさかあの男は…」

 

顔に怪我を負っているオークが男を見て思い出した。

 

「体格に似合わず俊敏な動きにあの怪力…デストロイジュエルズのリーダーにして魔王親衛隊隊長…『破壊王』と呼ばれた…」

 

「ヤマト…デストロイジュエルズのリーダーであり…魔王親衛隊隊長、そして今は…」

 

「貴様らのような性根が腐った豚モドキのオークを殺す男の名だ…」

 

男は…ヤマトはオークに向けて言い放つと、オーク達は少し恐怖を感じた。

 

「嫌だーーー!!」

 

「し、死にたくねえぇーー!!」

 

オークの2匹がその場から逃げようと走ったが…

 

「ライトグラヴィティ…」

 

ヤマトは自分がいる反対側に逃げようとするオーク2匹に向かってバネのようにジャンプして一瞬で先回りしてオーク2匹の目の前に着地した。

 

「クラブモード…」

 

ハンマーから鬼がよく持つ棘がついている金棒に似た武器に変化してそれを軽々と持つヤマト。

 

「逃げるなよ…」

 

ヤマトが冷たく言い放つと逃げるオーク一匹の顔面に棍棒でおもいっきりぶん殴り、顔が原型すら無くなって血を噴出して動かなくなった。

 

「ヒィィ!!」

 

それを見たもう一匹があまりの怖さに尻をついて小便を漏らして震えていた。

 

「漏らしたか…まあ、無理もないな?これからお前もこいつの様にしてやるから…」

 

「ま、待ってくれ!…命だけは」

 

泣きながら土下座して謝るオークにため息をついて怒りを増すヤマト。

 

「殺された女の子もそう言っていたはずだ…」

 

「い!嫌だ!全て話すから、罪を償う!だから…」

 

そう言ってヤマトは血がべっとりついた棍棒を強く握り締めて大きく振りかぶった。

 

「なら…死んで償えぇ!!」

 

ヤマトは棍棒をオークの顔におもいっきり当て、首から上を粉砕した。

 

「後はテメェだけだ…」

 

そう言ってヤマトが最後の一匹を見ると…

 

「嫌ぁ!」

 

「動くな!動くと小娘の首をへし折るぞ!」

 

そこにはアリスの首を絞めるような形で脅迫するオークがいた。

 

「お前…俺をどれだけ怒らせれば気が済む?」

 

「うるせえ…へへへ…」

 

「こんな状況でも、いやらしい事考えてる顔してるな?」

 

「ああ…そういう事だ」

 

オークはそう言うとアリスの着ている服を破った。

 

「キャーーーー!!」

 

服を破られ上半身裸にされたアリスは泣いて悲鳴を上げた。

 

「ブヒヒ…いいね~その悲鳴にその身体、たまんねえな~」

 

ヤマトを他所に笑い続けるオーク。

 

すると…周辺の木々がまるで恐怖を感じているかのように騒ぎ始めた。

 

『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!』

 

ヤマトの凄まじい怒りが周りをざわつかせているのだ。

 

「もう遺言は済ましたか?お祈り完璧?地獄で鬼さんたちと戯れる準備はコンプリートかいぃ?デカ○ラ勃起してるとても可愛いオークちゃ~ん」

 

口は笑っているが目は血走り、顔に血管を浮かばせながら近づくヤマトに脅え出すオークとアリス。

 

『森が震えてる…殺気だけでここまで…』

 

心の中でアリスはヤマトの殺気に恐怖で身も凍る気持ちだった。

 

「いい子だから~その子を離してボクと一緒に…アソボウカァ?オークク~ン??」

 

「うわああああああ!!」

 

オークはアリスを置いて逃げて行こうとした。

 

「待てよ~」

 

フラフラ~とオークを追いかけるヤマト、だがオークは!

 

「クッ!くたばれーー」

 

逃げていたオークは落ちていた棍棒を持ってヤマトに襲いかかった。

 

だが…彼は逃げも避けもしなかった。そして…

 

『バキィ!!』

 

オークの渾身の一振りがヤマトの頭に直撃し、棍棒は折れた。

 

「ハァ…ハァ…どうだ!」

 

息を荒れながら言うオーク。

 

「イタいな~オークちゃ~ん」『ニコニコ』

 

オークの渾身の一撃を笑顔で話すヤマトはオークを魔法で浮かせた。

 

「何か自分…久しぶりにラッシュ決めたくなっちゃった~何発…何十…いや図体でかいから何百発入るかな~」

 

「や…やめて…」

 

 

「ハハハ・・・YU☆RU☆SA☆N」

 

 

「ドーラララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララァ!!」

 

ヤマトの早すぎる拳のラッシュがオークの全身(金的含め)にこれでもかっと言うくらい殴り、そして…

 

「トドメダァァァァァァァァァ!!!」

 

ヤマトの渾身の右ストレートがオークの顔面にヒットして、オークはぶっ飛ばされて森の奥の奥まで飛んで行った。

 

 

 

アリスの前にヤマトはジャケットを持ってきて彼女にかけてポケットからハンカチを取り出して彼女に渡した。

 

「大丈夫?これで口拭いて?」

 

「…はい」

 

「ここだと携帯とかも使えない…この先の近くに部下達がいるから、自分は殺された兵士達を運ばなくちゃいけないから…」

 

そう言ってオーク達が現れた場所に歩いて行くヤマトに彼女は見た。さっきまでの顔から悲しい顔をしている彼を見た。

 

 

 

 

 

『・・・以上です』

 

幻はすぅ~っと消えてなくなった。

 

「「……」」

 

2人は無言でアリスの方を見る。

 

「そうか…確かに1ヶ月半前の新聞に載っていたな」

 

「まさかそれがヤマトだとは…ハハハ…」

 

黒アキラとミノルは苦笑いしながら話す。

 

「んで?もしかして俺達を呼んで親衛隊隊長のヤマトが一緒に来るって思っていたのか…」

 

「そう言う事です…」

 

「だったら直接来ればいい話しじゃねえか?」

 

「まだ事件の件があるため…外出は極力控えている」

 

「あっ…そうだな…確かそいつらが一部らしいからな…」

 

セレスの言葉に納得の黒アキラ。

 

「それで?俺達が代わりにヤマトに用件を伝えるが…」

 

「その用件って何なんだぁ?」

 

少し声を荒げて言う黒アキラを無視して、セレスが口を開いた。

 

 

 

「ヤマト殿にアリスを嫁に貰ってくれませんかとお願いしてほしい!」

 

 

 

「「はぁぁ!!」」

 

セレスの一言に2人は驚いて絶叫した。

 

「ちょ!!ちょっと待て!?嫁に貰ってぇ?」

 

「逆じゃないのか!?彼女の目の前でヤマトのマジギレ姿を見たんだろ?」

 

黒アキラは驚き、ミノルは慌てた様子で話した。

 

「確かに私も彼の事を調べました…過去に国一つを1人で壊滅し、破壊者(デストロイヤー)と呼ばれている程の猛者であること…」

 

「だったらナゼ!?」

 

ミノルが言うとセレスが2人に手招きをした。2人はセレスの側にやって来た。

 

『これからは心中会話でお願いします…娘には気付かれずに』

 

『ああ…』

 

ミノル・黒アキラ・セレスの3人は心中会話を開始した

 

ここからは…心中会話(テレパシー)で会話でお送りします…

 

「実は…これが理由…なんです」

 

するとセレスの前に魔法で出来たモニターらしき物が出現した。

そして…そこに映っていたのは部屋の中でベッドの上に座りながらヤマトのジャケットとハンカチを手に持っているアリスの姿だった。

 

「これって…」

 

「盗撮かよ!!」

 

「違います!警備用としてつけた物です」

 

すると…アリスがヤマトのジャケットを羽織り、ハンカチを顔に当ててハンカチを嗅ぎ始めた。

 

「スンスン…ヤマト様…ヤマト様…」

 

ヤマトの名を口にしながら彼女は○○○ーを始めた。  

 

そしてセレスは映像を恥ずかしながら消した。 ミノルと黒アキラはあまりの内容に口を大きく開けてポカーンとしていた。

 

「最近のAVってそっくりさんが出演してるけど…盗撮系は珍しいな~」

 

「何現実逃避してんの兄貴」

 

「これは正真正銘本物です」 

 

セレスの言葉にゆっくりアリスを見るミノルと黒アキラ。

 

そしてミノルがあの質問をぶつけた。

 

「アリスちゃん、もしもお前さんと同じくヤマトの事を愛している女がいたらどうする?」

 

「「!?」」

 

ミノルの発言に驚く黒アキラとセレス。

 

「まさかヤマト殿に既に婚約者が!?」

 

「イヤイヤ!例えだ!シワが出てるぞ」

 

「何ですって!?」

 

また喧嘩が始まると思ったミノルだったが…

 

[ゾクッ!?]

 

突如背中に強烈な寒気を感じ鳥肌が立ったミノルはゆっくりと後ろを振り向いた。

 

そこには殺気を放ちながらブツブツと念仏のように呟くアリスがいた。

 

「ア…アリス?」

 

「何か聞こえるかどうかわからない位にブツブツ言ってるが…」

 

喧嘩が始まったと思った2人だったがアリスの様子を見て、それどころではなくなり…喧嘩を止めた。 

 

「ヤマト様は私の事好きのはず、なのに私と同じく好きな人がいるの…ヤマト様は私の旦那様になる事が決まってるのにヤマト様に色目で誘惑するなんて許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない…」 

 

「「ヤンデレだーーーーーー!!」

 

目のハイライトがなくなって呪文のように許さないを連呼する彼女を見て2人は叫んだ。

 

「怖いよ!さっきまで口数の少ない子が別の意味でペラペラと喋っているよ!?」

 

「執念という言葉が可愛いくらいだぞ!!」

 

「それで…魔王様?」

 

「はっ!何でしょう!!」

 

アリスに呼ばれてミノルは背筋をビシッ!!っとした。

 

「さっきの答えですけど…もちろん許しません…そんなクソビ○チ共は刺殺・撲殺・毒殺あらゆる殺し方で殺して殺して殺しまくってヤマト様を私の虜にさせるんです…フフフフフフフフフフ」

 

『言わなきゃ良かった…』

 

アリスの言葉に目から滴をためてぷるぷると震えながらミノルは思ったのであった。

 

 

 

 

 

「そうだ…」

 

少し落ち着きを取り戻したアリスはメイドからタブレット端末を受け取った。

 

「メールアドレス…交換を…」

 

「ああ…別に構わないよ」

 

「え~何でお前のようなヤン…」

 

「いい加減に元に戻れ!」

 

そう言って黒アキラの頭をおもいっきり拳骨をくらわせ、アキラの周りに小さい電気が発生し、元のアキラに戻った。

 

「まったく酷い目にあった~」

 

「早くアドレス交換しろ」

 

「あ、うん…解った」

 

アキラもアドレス交換を終え、アリスに期待の眼差しで見送られながら2人は部屋を出た。

 

 

 

 

ヘリコプター内

 

「アキラ、黒アキラの時の記憶は?」

 

「ええ…鮮明に覚えてるよ…まさかヤマトがあの事件の犯人グループを全滅させるとは…」

 

「そんで無口でヤンデレ王女を嫁に貰えって、どうする?」

 

「どうするって、姫君達にバレたら血の豪雨間違いなしだよ?下手したら戦争なんて…」

 

「一人の男を巡って大戦争か?・・・ありえるな」

 

「「ハァーーー」」

 

考えただけで有り得る事に2人は盛大に溜め息をこぼした。

 

「次で最後だ…」

 

そう言って最後のページを開いたミノルが固まった。

 

「最後はニュクス帝国か」

 

ニュクス帝国とはヴァンパイアやサキュバスなど、ジャンルで言えば西洋妖怪が集まる国で、もはや大国というくらいのもので、例えるならアフリカ大陸並みである。

 

「帰るぞ…魔帝城に帰還しよう」

 

そう言ってヘリのパイロットに魔帝城に帰ると言い出したミノル。

 

「兄さん、ニュクス帝国に何か不満でも?」

 

「ありまくりだ!まさか…アイツと会うなんて…」

 

そう言ってミノルはため息をついて外を見てある事に気がついた。

 

「パイロット君~ニュクスにはいつ頃到着する?」

 

「そうですね…到着は日没になりますね」

 

「っていう事は…夜になるかもしれないな…」

 

「そうなりますね…」

 

パイロットがそう言うと一同沈黙になる。

 

「行くなら全速力で行け!手遅れになる前に行け!GO!!」

 

「はっ!はい!!」

 

アクセルペダルを全力で踏んでスピードが上がるヘリ。

 

そしてヘリが雲の中を進み、雲を抜けると辺りが少しずつ暗くなっていて見えてきたのは大きくそびえ立つ大きい城が見えた

 

「着いた…ニュクス帝国」

 

「帰りたい…今すぐ帰りたい」

 

「もう遅いから…行こう」

 

そう言ってミノルの腕を引っ張って城に入って行った。

 

 

 

 

2人は城の王室の間が見えた時だった。

 

『・・・!、!!』

 

「手遅れか…(ボソッ)」

 

微かだが扉の向こうから声が聞こえミノルはため息をついた。

 

「さて…と…」

 

ミノルは懐から取り出したのは…C4、プラスチック爆弾だった。ミノルはそれを王室の間の扉までボウリングのように投げた。

 

「兄さん…何やって」

 

「ストップ…こういうことだ」

 

そう言ってミノルは走り出し、C4の起爆スイッチを押した。

 

『ドガァーーーーーーーーン!!!』

 

爆弾が爆発し扉に大きな穴が出来てミノルはそこから侵入し王室の間に入っていった。

 

「な!?」

 

兄の行動に驚きながらもアキラは後からついて行く形で王室の間に入ると、そこには…

 

「俺達が来るって言うのに何やってんだこのボケがぁぁ!!」

 

「グボァ!!」

 

アキラが見たのはミノルが王室の間にいた全裸の男の顔面に飛び蹴りをクリーンヒットさせていた。その隣にいたボンテージ姿の女性は口を抑えながら驚いていた

 

そしてアキラはその全裸の男とボンテージ姿の女性に見覚えがあった。

 

「あの…何でニュクス帝国の王と王妃がそんな格好している理由を聞きたいのですがぁ?」

 

眉をピクピクしながらアキラが言った。そう…この男女がニュクス帝国の王であり王妃であったのだ。

 

「簡単な答えだ…そういう趣味をお持ちだから、二人のな」

 

「はぁ!?」

 

ミノルの答えにアキラはかなり驚いた。

 

「僕達が来るのを知っていてこんな馬鹿げた事を!?」

 

「馬鹿げた事ではない!!両者同意の上での一種の愛だ!!」

 

「ボンテージ姿の王妃に馬乗りにされてる全裸の国王に全然説得力は無いけどなぁ?ヴェルク…」

 

ミノルは国王の名前を言ってため息をついた。

 

「ヴェルク様はいいとして、どうしてクレア様がそんな格好を?夜以外じゃあ大人しいサキュバスなのに…」

 

「それが…この人が毎回毎回誘ってくるんです…したらしたで癖で…それにお仕置きした後の夜が楽しみで…(ポッ)」

 

「ポッじゃありません!!」

 

頬を赤らめながら答えるクレアにつっこむアキラ。

 

「とにかく…さっさと服着ろ!!」

 

「断る!!まだ俺はイってないからダメだ!!」

 

「ふざけんな!!こっちも忙しいんだ!!」

 

「さぁ!クレア、早くその蝋燭に火を付けろ!!ミノル、その炎帝剣貸せ!!」

 

「SMプレイに使う蝋燭の火をつける為だけに俺の炎帝剣を使うな!」

 

ミノルが怒鳴ると、クレアが鞭を構えた。

 

「何断られてるのこの豚!!」

 

「『バチィィン!』ブヒィィ!!もっと!!もっとプリーズ!!」

 

クレアに鞭を打たれて興奮するヴェルク。

 

「俺達の前で何公開SMプレイしてんだ!?服着ろって言ってんだろ!?」

 

「お黙りなさい!私に命令するなんて100年早いわよ!!」

 

「んな!?」

 

クレアの変貌にミノルは驚いた。

 

「・・・・・」

 

すると、アキラが無言でヴェルク達の前まで歩いてきた。

 

「何~坊やもこの豚に鞭を打ちたいのかしら?」

 

「カモン!!」

 

そう言ってクレアがアキラに鞭を渡してアキラが無言でケツを向けているヴェルクを見た。

 

だが…

 

「『バチン!!』痛ッ!!何するのこの女王にむか『バチィン!!』痛い!!」

 

アキラがヴェルクではなくクレアのボンテージの肌が露になっている箇所に向かって鞭を打ったのだ。しかも反論しようとした彼女に対してもう一度鞭を打つアキラ。

 

「痛い?気持ち良いの間違いでしょう?家畜が家畜に鞭を打たないでください、女王ごっこはお終いです」

 

そう言うアキラの目はまるで死に底無いのクソ野朗を見下すような目で二人を見てヴェルグとクレアに鞭を連発するアキラ。

 

「ほら…言ってください…偉大なる魔王様とアキラ様に口答えした愚かな豚に唾を吐いて罵って下さいって男の○○をしゃぶるしか出来ないその口で…言え」

 

「女王の私に…『バチィィィン』」

 

「汚い口で口答えするな…股の穴全てに雷帝剣刺して電流流しますよメス豚女…」

 

もはや彼女の言葉に耳を傾けずに鞭を打つアキラにミノルはさすがにやばいと感じてアキラを羽交い絞めした。

 

「落ち着けアキラ!とにかく落ち着け!!」

 

ミノルの言葉に落ち着いたアキラ。

 

「兄さん…僕はね…気の強い女とか自分が正しいとか思ってる一点張りの女を…」

 

「うん…」

 

「調教(オシオキ)して奴隷(ペット)にするのが堪らないんだよ~(ハァハァ…)」

 

「今明らかにおかしいよね!文字がおかしいよね!?涎を垂らすな!!」

 

笑顔で頬を赤らめながら答えるアキラに顔を真っ青にしながら反論するミノル。

 

「放置プレイは好まん!早くオシオキを!!」

 

「いい加減嫁連れて着替えて行けーーーーーー!!」

 

ミノルはアキラを抑えながらヴェルクに向かって叫び、二人は一旦王室の魔を後にした。

 

「気持ちよかった…(ボソ…)」

 

小声で若干アキラの奴隷(ペット)になりかけたクレアだった。

 

 

一時間後

 

ミノルとアキラはニュクス帝国の大臣達が用意してくれた茶菓子と紅茶を頂きながら2人を待っていた。

 

そして2人が着替えてやってきたが、何故かクレアが頬を赤らめながらやって来たのだ。

 

「待ってたぞ…っていうか何で頬赤いの?」

 

「ああ!口に1回、中に1回出したから」

 

「ホントに自重しろやーーーーーーーーー!!」

 

「ヘブゥ!!」

 

ミノルの投げたティーカップがヴェルクの顔面にクリーンヒットした。

 

「んで!俺達を呼んだのは羞恥プレイを見せる為じゃないだろ?」

 

ミノルが腕を組んで言い放つとヴェルグがヒョイッと起き上がった。

 

「ああ…本題はヤマトに関してだ」

 

ヴェルクがそう言うと王室の間の扉が開いた。

 

「ママ!!ただいま!」

 

綺麗な色の金髪で後ろに羽と尻尾が見えて少し肌が露出した少女がクレアに向かって抱きついた。

 

「お帰りエリーゼ、旅行は楽しかった」

 

「うん!とっても楽しかった!!」

 

この少女がニュクス帝国王女エリーゼであり、母クレアと笑顔で会話している。

 

「お帰りエリーゼ!さあパパの胸に…」

 

「うっさいバカ親父」

 

エリーゼの冷たい返事にヴェルクがガァーンとへこんだ。

 

「エリーゼは相変わらずヴェルクに冷たいな」

 

「ミノル様とアキラ様、何故ここに?」

 

「我々はヴェルク様に呼ばれてここに来たんです」

 

「糞親父が?」

 

エリーゼの更なる追い討ちの言葉に更に落ち込むヴェルグ。

 

「あの…あの人の代わりに私が代弁します…」

 

落ち込んでいるヴェルクを見て話が始まらないと思ったクレアがミノル達に言った。

 

「娘エリーゼをミノル様・アキラ様の親衛隊隊長と婚約してニュクス帝国国王になって欲しいのです」

 

 

「「えええーーーーーーーー!!」」

 

 

彼女の言葉に驚く二人は声を上げた。今日二人は4回も驚いている。しかもヤマト関連で…

 

「ママ!私は結婚なんて考えてないわよ!?」

 

クレアの発言にエリーゼが強く反発した。

 

「どうして?あなたには今まであってきた男性の中でミノル様とアキラ様よりぶっち切りの人がいるって言っていたじゃない」

 

「確かに言ったけど!私はヤマトの事なんか全然思っていないわよ!!」

 

「あら?私はヤマト君の事なんか一言も言っていないわよ?親衛隊隊長と言っただけだけど?」

 

「!!!」

 

エリーゼは頬を赤くしながら言葉が止まった。

 

「あれがいわゆる『ツンデレ』って奴だな」

 

「そうだね、ハハハ…」

 

ミノルがニヤニヤしながら語ってその横にいたアキラは苦笑いして答えた。

 

「んで?どうしてエリーゼがヤマトの事が好きになった理由が聞きたいな~」

 

「言わないわよ!リア充魔王!!」

 

「誰がリア充魔王だ!誰に口答えしてんだツンデレ露出娘!!」

 

ニヤニヤしながらミノルが言うとムキになったエリーゼが暴言を吐き、ミノルがそれにカチンと来て反論した。

 

「まあほぼ正解だがな!」

 

「ドMヴァンパイアは黙ってろ!!」

 

復活して便乗してきたヴェルクにミノルは指をさして言い放った。

 

「とにかく…話を聞かせてもらいましょう?エリーゼ様、お願いします」

 

丁寧にアキラはエリーゼに説得すると彼女は少し落ち着いた様子になった。

 

「アキラ様が言うならしかたないわね…話します」

 

そう言ってエリーゼがその場に座って少しため息をこぼした。

 

 

あれは一ヶ月前に行われた私の誕生パーティーのこと…

 

「いやー相変わらず愛らしいお姫様だ」

 

「本当ね~」

 

『招待した方々は私の姿を見て称賛の声が聞こえていた…そしてある事が起きたのです』

 

エリーゼはシャンパングラスに入っていたジュースを片手にソファーに座っていた。色々な貴族や他国の王族関係の方々に挨拶しに周っていて少し疲れていたのだ。

 

すると彼女の隣にいかにもメガネをかけて小太りで、いかにもどこぞの貴族の坊ちゃんが座ってきた。

 

「エリーゼちゃん、お誕生日おめでとう~」

 

「…ありがとうございます」

 

丁寧な挨拶で返すエリーゼ。

 

「エリーゼちゃんにバースデープレゼントがあるんだ」

 

そう言って懐から小箱を取り出した坊ちゃんはそれを彼女に渡した。

 

「開けてみて」

 

彼女が箱を開けると中身は沢山の宝石がついた首飾りだった。

 

「早速つけてみて!」

 

グイグイと詰め寄る坊ちゃんにエリーゼは首飾りをつけた。

 

「グフフ…綺麗だね」

 

すると坊ちゃんがアリスの腕を掴んで引き寄せた。

 

「キャ!?」

 

「グフフ…エリーゼちゃ~ん」

 

顔を近づける坊ちゃんにエリーゼは空を飛んで逃げようとしたが、羽が思うように動かないのだ。まるで自分の羽が鉄か何かになったかのように重いのだ

 

「プププ…この首飾りは能力をを使えなくするんだぁ」

 

「えっ!?」

 

不適に笑う坊ちゃんに恐怖を感じ、力を振り絞って振りほどいてエリーゼは小走りで走った。

 

すると…

 

『ドン!』

 

「きゃっ!!」

 

彼女は前を見ずに誰かにぶつかって転んでしまった。彼女の前には身長が170を軽く超える身長の男だった。

 

「大丈夫ですか?お怪我は…」

 

男はエリーゼに手を差し伸べて彼女は男の手に掴まって立ち上がる。

 

「誰かに追われていたみたいですけど?」

 

「…」

 

彼女が無言で頷いたときだった。

 

「エリーゼちゃーん」

 

「!!」

 

「んっ?」

 

後ろから汗をかきながら坊ちゃんがやって来た。

 

「グフフ…さあ僕と一緒に…」

 

坊ちゃんがエリーゼに手を差し伸べようとした瞬間。

 

『ガシッ!』

 

横から男が坊ちゃんの腕を掴み止めた。

 

「彼女嫌がってるのに手を出すなんて…悪いと思わないんですか?」

 

「な!何を言ってる!!僕達は将来誓い合う仲なんだぞ!?」

 

すると周りが3人に注目し始めた。坊ちゃんが反論すると男はため息を吐いた。

 

「何となく…いや、確実に彼女が逃げる理由がわかります」

 

そう言って男は坊ちゃんに哀れな目で見る。

 

「あなたのような常識知らずで嫌がる女の子を平気で追いかける清潔0の塵糞ガキが、反吐が出る妄想を語ってんじゃねえ!!鏡見て現実を知れ!!」

 

「ヒグッ!!」

 

大声で坊ちゃんに向けて男が言い放つと坊ちゃんが涙目になって怯んだ。

 

すると…

 

「バリちゃん!!」

 

坊ちゃんの後ろから厚化粧に指には大きい宝石がはめ込まれている指輪をしている女性がやって来た。

 

「ママ!」

 

バリと呼ばれる坊ちゃんがママの後ろに行ってしがみついた。十代後半でメガネ、小太りの奴がママと呼んでしがみつくその光景に男はある意味痛々しく見えた。

 

「うちのバリちゃんを泣かしたのはあんたね!?」

 

「だとしたら何ですか?自分はお宅のマザコン息子がこの子を追い回していたので自分が止めて説教しただけですが何か?」

 

「何かではありませんわ!うちのバリちゃんがそんな事はしませんわ!それにバリちゃんをそうさせたのはその子ではありませんか?」

 

母親はそう言ってエリーゼに向かって指をさした。

 

「な…何で私が悪いのよ!?」

 

「あなたのいかにも誘惑しているかのような格好しているせいでうちのバリちゃんがメロメロになってしまったのよ」

 

余りにも理不尽な理由に男は大きく溜め息をついた。

 

「ああ…駄目、話になりません…」

 

男がそう言うと隣から一人の少女がやって来た。

 

「私見たよ!お兄ちゃん!!」

 

「サヤカ?」

 

男の妹のサヤカと言う少女が男の側に近付いた。

 

「このマザコンがエリーゼ様に変なプレゼントを贈ってエリーゼ様の腕を掴んで逃げたエリーゼ様を追い回したのよ!」

 

「なるほど…それで俺にぶつかって今に至るって訳だ」

 

周りの参加者達も明らかにバリが悪いと確信した。だが…

 

「何の証拠もないのに言いがかりは止めてくださいます!?大体あなたも胸部やらを開けて谷間を見せ付けてる小娘が生意気言うんじゃありません!!」

 

サヤカに指をさして怒鳴った母親、だがそれがこの状況を一変することも知らずに…

 

「・・・・・・・・った?」

 

プルプルと身体を震わせながら男は母親に近付いた。

 

「ババア…今、俺の妹に向かってなんつったぁ?」

 

「バ…ババアですってぇ!?」

 

いきなり豹変した男がバリの胸倉を掴んで暴言を言い放ち、母親が驚いた。

 

「俺の妹が谷間ちらつかせて男を誘惑している乳デカ変態女って言いやがったなぁぁぁ!!」

 

鬼の形相で睨みながら母親の体を揺らす男。

 

「妹はなぁ~コンプレックス抱えてんだよ?サイズが合う下着が無くて困ってんだよぉ!そのコンプレックスを汚ねえ色した口紅塗った口で喋るな!しかも無駄に香水匂わせて似合いもしねぇドレスと宝石身に付けやがって、恥ずかしくないのかぁ~?Eeeee!!」

 

「あ…わわ…」

 

男の放つ言葉に全く言い返せない母親。

 

その時だった、参加者達が続々と道を開けだしたのだ。まるで偉いお方が通るかのように。

 

「どこかで聞いたことがある声がすると思って来て見れば…」

 

黒いスーツを身に纏い、堂々とした風貌の若い男がやって来た。

 

「ミノル様…」

 

男は驚いて母親を放して背筋をビシッと真っ直ぐに直した。この若い男か魔界を統べる王、魔王ミノルである。

 

するとミノルはバリに近づいて、一礼した。

 

「ミノル様!何故コイツに謝罪を…」

 

「まあ!魔王様が庶民のために謝罪するとはねえ…」

 

母親はヤマトを見ながら嫌味を込めて言い放ち、ヤマトは唇を強く噛み締めた。

 

だが…彼、魔王はその逆だった。何と彼はバリの顎に跳び膝蹴りしたのだ。バリはその場で倒れ込み、母親は驚いて手で口を抑えた。

 

「あ、貴方謝罪したじゃあありませんか!!」

 

「ああ…したよ?これから汚い顎を蹴るから先に謝った…それだけだが何か?」

 

叫ぶ母親に悪気が全くないような様子で答えるミノル。

 

「大体お宅の息子の方が酷いんじゃないのか?その子に珍妙なプレゼントして息を荒れながら彼女に触ってきて、嫌がるその子を追いかけて『将来を誓う仲』って勝手に言い出したんだぜ?」

 

まるで今まで起こった事を知っているかのようにペラペラ喋るミノル。

 

「あの…ミノル様?何でそこまで知ってるんですか?」

 

「さっき頭下げた時息子の記憶を魔法で見て俺なりに分かり易く説明しただけ」

 

実は…ミノルは頭を下げたと同時に相手の記憶を見ることが出来る『ブックマークメモリー』を使用してバリの記憶を覗いていたのだ。

 

「それでもこの魔王の言葉が嘘というなら…この親衛隊隊長が黙ってはいないと思うが?」

 

ミノルの一言に一同が気になるあるキーワードが出てきた。

 

『親衛隊隊長』というキーワードに…

 

「そういえばまだ紹介してなかったな?この男がこの俺ミノル…つまり魔王の親衛隊隊長のヤマトだ」

 

「どうも…」

 

『ええぇーーーーーー!?』

 

ミノルの紹介で一礼するヤマトに参加者は驚いて声を上げた。

 

『魔王親衛隊隊長って確か…』

 

『たった1人で1つの国を滅ぼした『破壊神(デストロイヤー)』と呼ばれる男…』

 

周りの参加者達もヤマトの噂を耳にしているが、肝心の顔や人相は知らなかったため、騒ぐのは無理もないだろう。

 

「さて…バリとその母親…」

 

『『ビクッ!?』』

 

ヤマトに呼ばれてビクッと身体が硬直する2人。

 

「これ以上魔王様を嘘呼ばわりするなら、それなりの行動をとりますがぁ?」

 

ヤマトはそう言って指をポキポキと鳴らす。

 

「今すぐこの場から失せろ…さもなくばお前の一族、今すぐ滅ぼしてやろうかぁ?」

 

「「ヒィィィィィィ!!」」

 

バリ親子は一目散に会場を後にした。

 

「しかしお前の初めての紹介がこんな形になるとはな…」

 

「まあ仕方ないですよ、パーティーの作法は知っていますけど、他国のパーティーは初めてですから」

 

笑顔で答えるヤマトにエリーゼが近寄ってきた。

 

「あっ!さっきの子、どうしたの?」

 

「あの…ありがとう」

 

恥ずかしながらエリーゼがお礼を言うとヤマトがニッコリと笑った。

 

「こちらこそ、綺麗なお嬢様」

 

その言葉にさらに顔を赤くするエリーゼにミノルがある事に気づいた。

 

「ヤマト…お前彼女の事知らないの?」

 

「えっ?どういう事ですか…パーティーに参加したどこぞのお嬢様じゃあ?」

 

ミノルはヤマトの返答にミノルは少し笑い出した。

 

「お兄ちゃん…このパーティーは何のパーティー?」

 

「バースデーパーティーだろ?」

 

「誰の?」

 

「誰ってこの国のプリンセスエリーゼ様…」

 

ヤマトはサヤカの手が彼女に向けていた。

 

「お前が助けたそのお嬢様がこのパーティーの主役だ…もう解るだろ?」

 

「バースデーパーティー…主役…エリーゼ様…お嬢様…っ!!」

 

ヤマトは全てを理解した。

 

「も…もももももも申し訳ございませんんんんん!!あな、あなた様がエリーゼ様だとはわあわわわーーーーー!」

 

直ぐにヤマトは彼女の前で土下座をして謝罪した。

 

「まあ…しょうがないよな…あまり他国との交流は無かったし…けど、王女様をお嬢様ってwww」

 

「笑わないでくださいミノル様ぁ~勘弁してください!」

 

ヤマトは直ぐに立ち上がってミノルの言葉に真っ赤になる。

 

「それに…私は嬉しかったかな…お兄ちゃんが私のためにあの使い古された女の○○○のような顔したクソババアを叱って…」

 

「今明らかに言ってはイケナイ用語が飛んだんだけどぉ!?」

 

「本当はお兄ちゃんが私のためにデザインしたドレスを馬鹿にしたあのババアの穴という穴に…」

 

「もうやめてぇぇぇ!話は後で家でゆっくり聞くからもう言わないでぇぇ!」

 

ヤマトは自分の手を使って彼女の口を塞いで黙らせたが瞬時にその手を退かすサヤカ。

 

「後で家でゆっくりサヤカと兄妹の境界線を越える事するの!・・・私はお兄ちゃんとならいつでもいいよ!そのために色んなオトナの本を読んで勉強したから自信は大有りだよ!?」

 

「んな事言ってねえし、何だオトナの本って!?」

 

「決まってんじゃン!私の胸を使ったテ…」

 

「ちょっと失礼しますぅぅぅぅ!!」

 

今度は別の意味で恥ずかしいヤマトはサヤカを抱えて会場を抜け出した。それを見たエリーゼはただ呆然として彼の背中を見ていた。

 

 

 

 

「娘から聞いた話は以上でございます…」

 

「・・・・・」

 

アキラは無言で頷いた。

 

「まあヤマトに惚れるのもわかるな?」

 

「だ!誰があんなシスコン男なんか好きになるわけないじゃない!!」

 

ミノルの言葉に顔を真っ赤にしながら言い返すエリーゼ。

 

「お顔がイチゴのように真っ赤ですよ~www」

 

ミノルの冷やかしに更に真っ赤になり、頭上から煙が出ていた。

 

「兄さん…冷やかしちゃ駄目だよ…」

 

「かっかっか!いいじゃないか!若いねえ~」

 

『おっさんだ…若い顔したおっさんがいる…』

 

ミノルの性格に心の中で引いたアキラ。

 

「結局、理由は娘がヤマトに『ギガ』が付く程溺愛しちまった…だろ?」

 

「まあ…3姉妹の末っ子も結婚すれば好都合だがな…」

 

少しブラックな発言にエリーゼが凹んでしまった。彼女には2人の姉がいてそれぞれ結婚している。ニュクス帝国の次期国王は男と決まっていて、ヴェルクは男一人だけだったためそういう泥沼的にならなかったが、かなり前では血の雨が降るくらいで、アキラ率いる魔帝騎士団が止めに入るくらい問題になった。

 

「おいおい娘を物の様な発言したな~恋に好都合あるかよ絶倫野郎」

 

「ほぅ~同じ親友の閻魔大王の娘を好き好んでいるロリコン魔王が何を言う?」

 

不適に言い返すヴェルクに顔に血筋を立ててヴェルグに向かって歩き出した。

 

「マリは関係ないだろ~何話逸らそうとしてんだよ…閻魔と俺3人で、昔からの儀式とかを俺の代で終わらすって言ったお前が今じゃあ…フッ、所詮は同じ穴の狢(むじな)か…」

 

ミノルの言葉に無言で立ち上がりヴェルグはミノルに向かって歩き出した。

 

「ハハハ…そんな寝言を真に受けていたとはな…」

 

「約束を寝言と来たか…奥さんと昼にSM、夜はベットで合体しすぎでボケが始まってんじゃねえのぉ?」

 

「閻魔の娘と口付け交わしてその後のことも出来ない弱腰DT魔王が何をほざくか…」

 

「「ハハハハハハハハハハハ」」

 

不気味に2人が高笑いしたその瞬間、2人は瞬時に互いの剣を抜いて衝突した。

 

「だからマリは関係ねえって言ってんだろうが…テメェの性行為しか考えていないその脳天に響くくらい大きい声出して言わなきゃわかんねえのか…」『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

 

「貴様の様に魔界という世界の頂点に立っている奴に我々の苦労を馬鹿にされたくは無いわ…」『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

 

「約束を寝言と言ったド低脳野郎に説得力の欠片もねえよ…」『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

 

「だったら久しぶりに見てみたいものだな…貴様の鮮血をなぁ?」『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』

 

2人の目の色が変わり始めた時、2人の間に一本の剣が割って入る。

 

「2人とも…それ以上動いたら…手足の一本、斬る」『ドドドドドドドドドド』

 

鋭い目つきをしたアキラが2人を見た。

 

「チッ!」

 

「クッ!」

 

ミノルとヴェルクは剣を収めて戻っていった。

 

「次マリの事文句言ってみろ…二度と合体できないようにしてやる」

 

「なら私は貴様のナニを切り落としてDT魔王の烙印を押してやる」

 

2人はボソッと言ったつもりだが、丸聞こえだった。

 

「ヤレヤレ…仲良いのか悪いのか…相変わらずです」

 

そう言って剣を鞘に収めるアキラ。

 

そして2人が気持ちを抑えて本題に戻った。

 

「さっきはスマン…」

 

「いや…怒ったこっちも悪いしな…」

 

開始早々2人の謝罪から始まって、改めて理由を聞いた。やはりヴェルクもヤマトの事を認めていた。だがミノルがある問題に気づいた。

 

「ヤマトがエリーゼと結婚しても姉2人とその旦那…つまりどこぞの貴族か王族が黙ってちゃないだろうな…」

 

そうヤマトとエリーゼが結婚し、次期国王候補が三人となりその場合、戦って勝ち取らなきゃならなくなる…そう…魔帝騎士団が動き出すほどの戦争に…だがアキラは心配なさそうな顔をしている。

 

「その旦那2人は一応知ってるけど…ヤマトが勝つね」

 

「その理由は?」

 

アキラの答えにクレアが聞いてきた。

 

「秘密ですよ…言ったらつまらないじゃないですか?」

 

「何ですかそれ…」

 

アキラの答えに少し膨れるクレア。

 

「さてエリーゼちゃん…1つ質問があるだけど~」

 

『ま…まさか…』

 

例の如くミノルがお決まりのあの質問が出る事にアキラは恐怖した。前回のファンタジアではヤンデレプリンセスと豹変して恐怖を植え付けられたばかりだというのに…

 

「もしも…もしもだぞ…お前さんと同じくヤマトの事を愛している女がいたらどうする?」

 

ミノルの一言に固まるエリーゼ。

 

「何だ?彼は他に女がいるのか?」

 

「いや例えだ!たと、ってか何でお前が答えるんだよ!」

 

エリーゼかと思ったが先に言い出したのはヴェルクだった事にツッコむミノル。

 

「いや…うちの国では一夫多妻制あるから…」

 

「あっ…そうだった…」

 

ヴェルクの答えにミノルは気がつき思い出した。

 

だが…

 

「へぇ~ヤマトに恋人いるんだ~どうせ不細工でしょうけど…」

 

『全員可愛いんだけど…』

 

ミノルとアキラは心中思った。

 

「私の事見向きもしなかったら…その時は…」

 

 

かなりヤバイ表現と言葉が入っているため…省略します。決して手抜きではありません!

 

 

 

 

「・・・にしてやるんだから!」

 

彼女が言い終わるときには約一名を除いては顔がブルーと冷や汗と体ブルブルの恐怖表現の三点セットのミノル・アキラ・クレア。

 

「いや~いいSっ娘に育ってパパは嬉しいぞ~」

 

ヴェルクだけはハンカチで感激の涙を拭いて感動していた。ミノルはツッコミより恐怖で余裕が無かった。

 

 

「そうだ!タブレット端末持ってる?」

 

そう言ってエリーゼはバックの中からタブレット端末を取り出した。

 

「ああ…」

 

「持っていますが…」

 

「交換しましょ!」

 

2人はタブレット端末を取り出し、互いのメアドを交換した。

 

「返事はOKしか受け付かないからね!!」

 

「わーったよ…でも本人に聞かないと分からないからな…」

 

そう言って渋々王室の間を出たミノル一行はヘリコプターに乗り込み、魔帝城へと帰路に向かった。

 

 

 

「そういえば兄さん…」

 

「何だよ…」

 

「やっとマリさんとキスしたんだ…」

 

「まあ…なぁ!?」

 

アキラの発言に驚くミノル。

 

「兄さん気づくの遅い」

 

「ななななな何でお前えええええ知ってんのおおおおおお!!」

 

「さっきヴェルク様の発言の中に…」

 

「かぁ~もう口外するなと言ったのに…」

 

「まあまあ…どんな感触だの?」

 

「柔らかくてとてもよか…って何言わせようとしてんだぁ!?」

 

「機会があればもう一回したい?」

 

「うぐ…まあ…シタイ(ボソッ)」

 

顔を真っ赤にしながら答えるミノルに少し微笑むアキラだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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