No.625340 英雄伝説~光と闇の軌跡~ 766soranoさん 2013-10-05 18:04:18 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:810 閲覧ユーザー数:772 |
~旧市街~
「おう、お前ら!ランディのヤツ、一体どうしやがったんだ!?なんか尋常じゃねぇモンの整備を頼まれたんだが……」
ロイド達を見たジャンク屋の主人である親方は尋ねた。
「やっぱりそうですか……」
「今朝のことですね?」
「ああ、5時くらいにいきなり店を訪ねてきてな。ちょうど徹夜明けだったから勢いで引き受けちまったが……」
「それで……『尋常じゃないモノ』とは?」
「やっぱり……部屋に残してあった重火器の類いでしょうか?」
「ああ……と言っても、バラしたユニットだけだがな。しばらく使ってなかった機関部や排気ユニットやらを一通り整備してやったが……ありゃあ、組み立てたらとんでもねぇ化物になると思うぜ?」
「察するに部屋に残してあった特注のライフルあたりかな?」
親方の話を聞いたワジはロイドに尋ね
「ああ……間違いないだろう。」
尋ねられたロイドは頷いた。
「ギヨームさん、情報ありがとうございました。」
「ああ、いいってことよ。事情は知らんが……ずいぶんと思いつめた顔をしてやがった。仲間のお前達が出来る限り力になってやんな。」
「はい!」
「了解です!」
その後ロイド達は交換屋に向かった。
「おや……さすがというか、早速、辿りついたかい。」
ロイド達の気配に気付いたアシュリーは感心した様子でロイド達を見つめた。
「ということは……やはりランディはこちらに?」
「ああ、昨日の夜に連絡があって朝早くブツを受け取っていったよ。アンタらが訪ねてきたらシラを切って欲しいと頼まれたがそこまでの義理は無いしねぇ。」
「アハハ、確かに。」
「それで……結局ランディは何を注文したんですか?」
「やはり導力式のライフルとか?」
「いや、そんな真っ当なシロモンじゃなかったね。炸裂弾やら徹甲弾、グレネード弾なんかは勿論、火薬を使った旧式の弾薬まで……店にあった在庫を洗いざらい買い占めていったよ。それと闇に流れていた無登録の”エニグマⅡ”、それも2つだね。」
「なるほど……さすがに用意周到だな。」
アシュリーの話を聞いたロイドは考え込み
「ええ……無登録のエニグマではこちらも番号がわかりませんし。」
ロイドの言葉にティオは頷いた。
「でも、ここでも重火器の”本体”は購入していかなかったんですか?
その時ある事が気になったノエルは尋ねた。
「ああ、ウチもそれなりに強力な導力式・火薬式のライフルを扱っているつもりだったが……”赤い星座”の次期団長にはお気に召さなかったようだねぇ。」
「アシュリーさん……」
「ご存知だったんですか……」
「ハ、あたりまえだろ。こちとら情報が命だからねぇ。どうやら古巣に一泡吹かせるつもりみたいだが……”赤の戦鬼(オーガロッソ)”と”血染めの(ブラッディ)シャーリィ”といえば正真正銘の化物どもだ。半端な猟兵ごときじゃ間違いなく返り討ちだろうね。」
「……させません。」
「そうさせないために俺達がいるつもりです。」
アシュリーの言葉を聞いたティオとロイドは真剣な表情で答え
「フフ、さっきからずっとこの調子でね。挑発してもムダみたいだよ?」
ワジは静かな笑みを浮かべて言った。
「やれやれ、そうみたいだね。ま、あの若造がくたばろうがアタシの知ったこっちゃないが……お得意様が減ってもつまらない。せいぜい助けてやるんだね。」
「はい……!」
「情報、ありがとうございました。」
その後ロイド達は交換屋を出て話し合いを始めた。
「……昨夜から今朝にかけてのランディの動きが見えてきたわね。」
「ああ、軽く整理してみよう。」
エリィの言葉に頷いたロイドはメモにランディの動きをまとめてみた。
3時~4時 カジノバー”バルカ”
4時~4時20分 ”ラギール商会”
5時~6時 修理屋”ギヨーム工房”
6時~ 交換屋”ナインヴァリ”
「―――おそらく最初にドレイク・オーナーに預けていたトランクを受け取ったんだろう。そのトランクに入っていたのはランディの猟兵時代の得物……多分、IBCでウィルさんがランディにあげた特殊な導力ライフルじゃないかと思う。そして恐らくだがトランクを受け取ってから”ラギール商会”によって弾丸とかを購入したんだろう。」
「普通、そうしたライフルは分解した状態で持ち運ぶはずです。2年ほど使っていなかったため、ランディさんは分解されたユニットを修理工房で整備してもらった……」
「―――うん、間違いないと思う。武装の整備は、戦場での生死を左右するものだから……ランディ先輩なら絶対に線密にチェックしたはずです。」
「最後に、交換屋に寄ってさらに色々と仕入れたみたいだけど……火薬の弾薬も仕入れたってことはかなり特殊なライフルなのかな?」
「ラインフォルト社の中には導力式と火薬式を切り替えられるラインナップもあるし、魔術効果が込められた弾丸は火薬式と導力式、どちらにも対応しているそうだけど……いずれにしても、部屋にあったような相当特殊で強化されたライフルでしょうね。」
ワジの疑問にエリィは考え込んだ後真剣な表情で答えた。
「ああ、それに赤い星座の猟兵達も見たことのない巨大なライフルを使っていたからな。―――よし、これで大体、ランディの状況は掴めたけど……」
「最後にランディさんが交換屋を訪れたのが今朝の6時過ぎ……現在、10時くらいですから4時間近くも経っていますね。」
「今から先輩の足に追いつくのはかなり難しそうですけど……」
「……いや、ランディだっていくらタフでも限度があるはずだ。”赤い星座”に仕掛けるならさすがに仮眠くらいは取るだろう。」
「その上、地形の利を活かして一気に仕掛けてケリを付ける……ま、玉砕覚悟で特攻するつもりじゃなければそのあたりが妥当だろうね。」
「……いずれにしてももうそんなに余裕がないわ。」
「ああ、こうなったらもう一回ラギール商会に行ってエリザベッタさんに頼んでチキさんと連絡を―――」
エリィの言葉にロイドが頷いたその時、ロイドのエニグマが鳴りはじめた。
「まさか……」
「チキさんからなのでは……?」
そしてロイドは通信を始めた。
「―――はい、特務支援課、ロイド・バニングスです!」
「…………お久しぶりです………エリザベッタさんからは既に連絡がいっていると思いますが………」
「……やはり貴女でしたか。どこに行けばいいのですか?」
「―――タイムズ百貨店……そこの屋上にいます…………それではお待ちしております……」
そして通信相手は一方的に通信を切り、ロイドは黙り込んでいた。
「……ロイドさん、今の通信はやはり……?」
「やっぱりチキさんだったの?」
黙り込んでいるロイドを見たティオとエリィは尋ね
「ああ……中央広場のデパートの屋上で待っているらしい。」
尋ねられたロイドは頷いた。
「ええっ……!?」
「……本当にいいタイミングでかけてきたね。やっぱりランディの事を知っていそうだね?」
ロイドの答えを聞いたノエルは驚き、ワジは真剣な表情になった。
「ああ……エリザベッタさんの反応も考えると間違いないだろう。山道に行く前に寄ってみよう。」
「わ、わかったわ。」
「とにかく急ぎましょう。」
その後ロイド達は急いで中央広場のデパートの屋上に向かった…………………
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第766話