No.624693

【恋姫二次創作】死神の毒 師匠の策と弟子の策~後編~

書ききったどー。
正直、何番煎じだよって策だけどネー。
夜中の投稿は変なテンションになるなぁ……

2013-10-03 00:57:05 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:983   閲覧ユーザー数:914

~装 side~

 

出来事という物は複雑そうですが実は単純なのです。

 

例えば殺人が起きたとしましょう。

 

それが誰も解けない殺人事件だったとしても単純な事なのです。

 

ただ『人が殺された』という骨に『謎』という肉を付けただけなのですねぇ。

 

肉が覆いかぶさっているのに骨の中まで見ようとするのでは解ける物も解けませんねぇ。

 

肉から徐々に削って骨までたどり着き全てを知る。

 

まぁ何が言いたいかというと、最初に言った通り出来事とは単純なのですねぇ。

 

強く見える者でも所詮弱者です。

 

大きく見える者でも所詮小者です。

 

今、劉備軍のかかっている策も単純な物ですねぇ。

 

下手したら物事を知り始め、言葉を喋りだした子供ですら発想し、考え、連想し、推理できるでしょう。

 

それほど単純なのです。

 

単純故に肉を付け易い。

 

肉が付いているうえに、劉備軍の視野にはこの董卓連合しか見えていませんでした。

 

故に掛かり、掛かりすぎました。

 

意外と足元に大切な物、者があるのですねぇ。

 

大切な物ほど壊れると大きな影響を受けます。

 

影響を受ければ周りを巻き込み、落ちていきます。

 

何度も言うように、物事は単純です。

 

どんなに複雑そうに見えても、所詮は一本の骨でしかないのです。

 

そして、その骨が時に剣に変わるのですねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果から言えば、諸葛亮と鳳統の二軍師による策は失敗に終わりました。

 

大失敗です。

 

見事と言えるほど大失敗ですねぇ。

 

その分、華雄さんの方は大成功。

 

猪が大猪に変わりましたねぇ。

 

そんなに変わってないって?

 

そりゃあそうでしょう。

 

自分で考えたんじゃないんですからねぇ。

 

~汜水関での様子~

 

劉備軍は意気揚々と策を持ち、汜水関に挑んだのですねぇ。

 

愛紗殿と星殿は汜水関からギリギリ矢の届かない所まで前進しました。

 

そして朱里、雛里の作戦を実行すべく愛紗殿は、華雄を大声で罵倒して誘い出すはずでした。

 

愛紗殿が罵倒を始めようと名乗りを上げた後に、愛紗殿が何か言う前に華雄はこう叫んだそうです。

 

「こちらには天子様が居られるというのに、我が軍に攻め込むなどお前たち連合は全員逆賊である!!」

 

この台詞だけ聞くと、董卓が天子様を使って権力を悪用している、故に逆賊などと呼ばれる筋合いはない、とでもいくらでも返しが出来るでしょう。

 

でも、そんな返しなど誰にでも予想できでしょうねぇ。

 

そんな返しをされたら連合軍の士気は上がり、董卓軍の士気が落ちるだけです。

 

これだけの台詞なら董卓軍にも軍師は居ますから、そんなことは絶対させないでしょうねぇ。

 

「しかもそちらには天の御使いとやらが居るそうではないか!!これは天子様への反逆行為だ!!お前たちのやっていることは黄巾党と何ら変わりない朝廷への反逆行為だ!!」

 

愛紗殿や劉備軍、連合軍全軍にその言葉は響きました。

 

黄巾党は「蒼天已死 黃天當立 歲在甲子 天下大吉 (蒼天すでに死す、黄天まさに立つべし)」と言い続けていました。

 

天の御使いも黄巾党の張角と同じなのではないのでしょうか。

 

蒼天と呼ばれている天子様の天。

 

天の御使いがやってきた天。

 

その二つは同じものなのでしょうかねぇ?

 

答えは否。

 

故に天の御使いは、蒼天の天子様を脅かしていると考えてもおかしくは無いんです。

 

黄巾党のように天子様の蒼天を否定しています。

 

連合は天子様を助けるべく作られたもの。

 

しかし、その実態は天を脅かす逆賊。

 

少なくとも兵はそう思ってしまうでしょう。

 

さらに一番の被害は劉備軍ですねぇ。

 

白蓮殿の頃からついて来ている兵は、義のために劉備軍へと入りました。

 

ですがそれは天の御使いという、もう一つの天によって逆賊へとなっていました。

 

これで士気が落ちないわけがない。

 

総大将の袁紹、袁術軍は諸侯に興味が無く、気付きませんでした。

 

馬騰(馬超)、孫策軍は劉備軍のことを全く知りませんでした。

 

曹操軍は二軍師なら分かるだろうと思っていたし、助言も黄巾党の時に「本当に神輿となるのかしらね?」と、していました。

 

ですが、こんなところでそこを突かれ、僕が既に言っているだろうと思って自己解決してしまいました。

 

劉備軍は自分たちの担ぐ神輿であったがゆえに、近すぎた故に軍師でさえも気づきませんでした。

 

全軍の失態。

 

一つでも気づけば変わっていたかもしれないこの物語のみの出来事。

 

その後、士気の失った兵たちで汜水関を落とすことなど不可能。

 

連合軍で会議が行われ、劉備軍は後方へ。

 

そして今に至ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

装「なるほど、なるほど。それは大変でしたねぇ。」

 

まぁ、全部僕が仕組んだんですがねぇ。

 

朱里「先生、助けてくださぁい。」

 

雛里「助けてぇ。」

 

自分たちの策が行われる前に、敵の策に嵌りボコボコにされた教え子はまだ涙目です。

 

桃香殿も下を向いていて、一刀殿も僕に期待するような眼差しを向けてきます。

 

装「僕は何をすればいいですかねぇ?」

 

桃香「この状況を何とかできる策を教えて!」

 

朱里「お願いしましゅ……」

 

雛里「うぅぅ……」

 

腐ってんなぁ、この軍。

 

おっと素が出てしまいました。

 

まったく、今僕は一応、曹操軍の将なんですがねぇ。

 

装「言い方を変えましょう。曹操軍の将として何をしてほしいですかねぇ?」

 

桃香「だからこの状況を……」

 

装「それは今の僕にはできないことですよ?やるとしても曹操さんの許可を得てからやりませんと。」

 

朱里・雛里「うぅぅ……」

 

装「そもそも曹操さんの所より先にここに来ることさえ、褒められたことではないんですがねぇ。」

 

朱里や雛里は理解したようで黙ってしまいます。

 

桃香殿は何が何やら分かっていないようですがね。

 

装「……一刀殿。」

 

一刀「……うん。」

 

装「本当は駄目なんですが、助言だけはしてあげましょう。」

 

何度も言うように、全部僕が仕組んだんですがねぇ。

 

装「あなたは劉備軍……いや、桃香殿にとって神輿でいたいのか、支える一人の人間としていたいのか、どっちですかねぇ?」

 

一刀「……」

 

装「僕は別にどっちでも良いかと思いますよ?

 

最初は確かに神輿を必要としていました。

 

しかし、今はその神輿が邪魔となった。

 

ならば神輿の貴方が居なくなれば、この状況は良くなると思いますか?

 

否でしょうねぇ。

 

一刀殿、あなたは桃香殿と居て変わることが出来ましたか?

 

成長することが出来ましたか?」

 

一刀「……出来ていないと思う。だから俺は神輿のままだったし、神輿のままだったからこうなった。」

 

装「はっきり言いましょう。

 

一刀殿、貴方は武術も知略も人徳も指揮能力もほとんど無に等しいです。

 

武術では朱里や雛里よりは良くても、桃香殿とどっこいどっこい。

 

知略では愛紗殿の方が優れていますし、鈴々殿の方が考え方が良いと思いますねぇ。

 

人徳では劉備軍の中で最も人の心を扱えません。

 

指揮能力も皆無、星殿と比べると天と地でしょう。」

 

桃香「装さん!!それは言い過ぎだよ!!」

 

一刀「良いんだ、桃香。本当の事だし……」

 

桃香「ご主人様……。」

 

装「……まだ伝わりませんか?

 

貴方はご主人様などと呼ばれる価値さえないのに、今でもこうやって呼ばれているんです。

 

本当に無能ならば、さっさと劉備軍は貴方との関係を断ち切っていますよ。

 

なのにまだそうやって呼ばれている。

 

貴方は自分のことをただの神輿と言いましたねぇ。

 

これでもまだ本当にただの神輿と言えますか?」

 

一刀「……」

 

装「ただの神輿では無く、桃香殿や周りの人間を支えられるようになってきているとは思えませんか?」

 

一刀「……」

 

装「今まで、僕は一刀殿に学問を教えると同時に、誇りを持ってもらいたかったんですよ?」

 

一刀「……」

 

装「誇りなど無駄だという人間も居るかもしれませんが、最低限の誇りは持ってもらいたかったのです。」

 

一刀「……うん。」

 

装「愛紗殿も華雄に言われたときに反論できなかったのは、全てが愛紗殿の責任では無く、一刀殿を誇れる人間だと思えなかったことも原因です。」

 

一刀「……うん。」

 

装「最後にもう一度訊きますよ。あなたは劉備軍の皆さんにとって神輿でいたいのか、支える一人の人間としていたいのか、どっちですかねぇ?」

 

一刀「……………………………………………」

 

装「……………………………………………」

 

その沈黙は非常に長い時間だったかもしれません。

 

いや、一瞬なのかもしれません。

 

とにかく周りが無音で、こちらを見ていました。

 

一刀「……やってみるよ。」

 

装「ん?」

 

一刀「……神輿じゃなくて、この劉備軍の皆を支えている一人だって言えるように頑張ってみるよ。」

 

装「ケケッ、そうですか。ならさっさとこの空気を何とかしておいてください。僕が戻ってくる頃には以前より良くなってないと減給ですからねぇ?」

 

一刀「あぁ!!あぁ!!やってやる!!絶対に変わってみせるよ!!」

 

装「桃香殿も、董卓さんを倒して皆で笑える世を作るんでしょう?」

 

桃香「うん!!頑張る!!」

 

桃香殿がそう言うと、周りの朱里や雛里、愛紗殿や鈴々殿、星殿も思い思いにやる気を出します。

 

それが近くの兵にも伝わり、あっという間に士気は盛り上がっていきました。

 

これが普通に出来るようになれば、桃香殿や一刀殿も立派になるでしょうねぇ。

 

兵は自分の武器を空に掲げ、叫びます。

 

周りの軍は何事かと驚いています。

 

装「ケケッ、これは曹操さんに怒られそうですね。」

 

出来事というのは単純なのですよ。

 

その出来事を起こす人の心も単純なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華琳さん怒るだろうなぁ……

 


 
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