No.621459

機動戦士ガンダムSEEDSTRATOS 第二話 ダブルオーセイバー

敢えて言わせてもらおう!今日の文化祭を乗り越えた翌日は部活とバイトの面接であると!!

2013-09-21 21:26:37 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2772   閲覧ユーザー数:2645

それは一夏たちがヘリオポリスに向かうことになったのと、キラたちが謎の少女に出会う数時間前にまで遡る。

ヘリオポリスの周辺に二つの艦、ザフト軍に所属している青色のナスカ級高速艦【ヴェサリウス】と緑色のローレシア級戦闘艦【ガモフ】がいた。

そのブリッジに白服を着た仮面の男と黒服を着た帽子の男が写真を見ながら考え込んでいるとふと仮面の男【ラウ・ル・クルーゼ】は苦笑気味な口を開いた。

 

「そう難しい顔をするなアデス」

 

「ハッ、しかし評議会からの返答を待ってからでも遅くはなかったのでは?」

 

【フレデリィク・アデス】は返事を返しながら厳しい顔つきのまま、写真に写っている問題のブツから目を離さずに作戦の再確認をする。この場合、上の判断を仰ぐのが当然の事なのだが彼自身も写真に写っているブツの詳細データを観覧してすぐに手を打たねば手遅れになることぐらいわかっていた。

 

「遅いな、私の勘が告げている。今ここで見逃してしまえばその対価、いずれ我々の命で払わなければならないことになるぞ」

 

「……ビーム兵器の小型化、変形機種に特殊装備、そして実弾を無効にする装甲……これらはおそらくオーブと共同開発されたものかと思われます」

 

クルーゼがそう言うと、少し考えたアデスは自身の感想を述べ、クルーゼはそれに頷いた。

 

「彼らも我々のように一枚岩ではないということさ、さて……」

 

「ヘリオポリスに接近する艦あり!数1!」

 

「スクリーンに出せ」

 

作戦を発動しようとしたクルーゼに、オペレーターの報告を聞いたアデスはすぐに指示をとばす。すかさずオペレーターは実行に移し、その艦を映した。

 

「何なのだ?あの巨大艦は……?」

 

スクリーンに映し出されたのは他でもない、一夏たちが乗っている多目的MS輸送艦【CBS-70 プトレマイオス】であった。

 

「初めてみるタイプですね……宇宙輸送艦のようですが、ジャンク屋でしょうか?」

 

「少なくとも連合のものでないと私の勘が告げている」

 

「どうしますか?」

 

正体不明の宇宙輸送艦。それをどのように対応するかをアデスはクルーゼに問う。

 

「ほうっておこう。民間人が乗り込んでいないとも言い切れんし、連合ならばヘリオポリスでまとめて始末してしまえばいいだけの話だからな」

 

それだけを言うとクルーゼはおもむろにヘリオポリスの方に顔を向け

 

「連合軍の新型モビルスーツとやら、我々がいただこう」

 

不敵な笑みを浮かべたのであった。

それは偶然だった。一夏率いるジャンク屋のメンバーが一人、狙撃型モビルスーツを駆る通信士【四宮優樹菜】がいつものようにレーダーを観測していた時に、レーダーが乱れた。その現象を彼女は知っていた。だが、それは有り得ないことであった。

 

「大変!!ザフト軍所属艦隊二つ、ナスカ級とローレシア級がヘリオポリスに接近中!」

 

「はぁっ!?ここ中立だろ!?」

 

砲撃型モビルスーツのパイロット【スオウ・ラケルス】は驚きのあまり聞き返した。

 

「ニュ、ニュートロンジャマーの影響でレ、レーダーが乱れたのだと思われましゅ!そ、それと管制しゃんたちが慌ただしく動いているのが確認されています!」

 

優樹菜と同じ通信士の少年【ロイド・スレイナー】は噛み噛み口調でブリッジに知らせる。

ニュートロンジャマーの副産物として電波妨害が挙げられる。これにより目視での戦闘を強いられ、国力で劣るザフト軍が戦ってこられた原因の一つでもある。

 

「ロイ君、今すぐヘリオポリスにいる一夏君たちに連絡を」

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

「スオウは念の為モビルスーツの最終チェックをお願い」

 

「あいよ!」

 

素早く指示をとばしながら優樹菜はプトレマイオスに備わっているGNフィールドの展開を開始する。

GNフィールドとはその名の通りGN粒子を使用したバリアフィールドの事で、ビームや実弾は勿論のこと、近接格闘攻撃すらも全てシャットアウトする鉄壁の防御力を誇る。しかしその代償に大量のGN粒子を使用する上にコントロールが難しい為、長時間の使用は理論上不可能に等しかった。

 

(なにが狙いなのかは知らないけど……この艦を襲ってきたりでもしたら容赦しないからね!)

 

尋常でないほどのスピードでキーボードを叩きながら優樹菜は後方より接近してくるザフト軍艦隊を睨み付けた。

同時刻《ヘリオポリス内部》にて

 

中央区まで買い物に繰り出していた一夏たちは現在車をとばしてプトレマイオスに帰還しようとしているところだった。

『ヘリオポリスに侵入しようとするザフト軍所属艦隊あり』こんな連絡を先ほどロイから送られてきた一夏はすぐさま子供たちを呼び戻し、車でプトレマイオスに向かったのであった。

 

「くそがっ!」

 

車の中で一夏はようやく子供たちに平和な世界というものを見せてあげられたのにそれをぶち壊したザフト軍に対して怒り心頭になりながら毒づいた。

 

(なんで、なんでいつもこうなんだよ!)

 

行く先行く先に戦闘が起き、そして大勢の人が死に、悲しみ、泣く……その繰り返しをこの一年間何度も見続けてきた一夏の心は怒りと憎しみに染まりつつあった。

今この車に乗っている子供たちは紛争コロニーだったり、地球またはプラントのような地域で生活していた者たちばかりだ。彼らの両親は皆死んでしまった。殺されたのだ、連合軍に、ザフト軍に、なによりも戦争によって……

 

「この世界に、神はいないのかよ……!」

 

隣に座っていた奏が辛うじて聞き取れるか取れないかの狭間の音量で一夏は口にする。

 

ズドォォォォォォ!!

 

コロニーが大きく揺れる。十中八九ザフト軍の攻撃が始まったのだ。その証拠に爆発したところからトサカの生えた一つ目の巨人【ジン】が姿を現した。さらにその後ろにはザフト軍新型モビルスーツ【イナクト】【ティエレン 宇宙型】がそれぞれ銃を構えていた。

そうこうしているうちにプトレマイオスが停泊している港付近まで辿り着いた一夏は車を乗り捨てて奏たちを避難させる。

 

「一夏君!早く!」

 

奏が叫ぶが一夏はそこを動こうとしなかい。一夏はそっと振り返るとなんともその場には不釣り合いなほどの優しい笑顔を見せた。奏は一瞬、思わずその笑顔にドキッとしてしまう。

 

「悪い、先に行っててくれ」

 

「っ!一夏君、あなたまさか!」

 

一夏がなにをしようと考えてるのか理解した奏は制止の声をあげる。だが、それを無視して一夏は腕のガントレットにそっと手を当てて、そして念じる。

 

(ごめんな奏、皆。でも……もうこれ以上見たくないんだよ。誰かが死んで悲しむのは)

 

これまで一夏は数多くの紛争コロニーを回ってきた。そこで見聞きしたのは無数の銃撃音、崩れた家々、銃で撃たれた大人や子供、親しい人を失って嘆く少年少女。その数はもう覚えていられないほどだった。

だから一夏は心に決めたのだ。せめて自分の目の届く範囲の限りだけでも、命を奪わせないと

 

「だから、俺に力を貸してくれ!━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白式(・・)!」

 

その時、一夏のガントレットからかつてないほどの輝きが放たれ、そして光はどんどん膨れ上がり巨人の姿へと変えていく。光が収まると一夏の目の前には白と青を基調としたV字アンテナを付けたモビルスーツが現れた。

それを確認すると一夏は白式、否正式名称【ガンダムダブルオーセイバー】のハッチから垂れ下がったワイヤーを伝い、胸部のコクピットへと乗り込む。

 

「もう、あんな笑顔向けられたら勝てないよ……」

 

そんな一夏を諦めたように見て奏は微笑ましいような笑みをそっと浮かべていた。

 

白式が生まれ変わった姿、ダブルオーセイバーのコクピットの中で、一夏は心を落ち着かせていた。

今の一夏はザフト軍への負の感情でいっぱいになっている。そんな状態では勝てる戦にも勝つことが出来ない。なので一夏は一旦そう言った感情を無に返すことで心を落ち着かせた。

 

「……よし、頼むぞ白式……いいや、ダブルオーセイバー!」

 

その言葉と同時に、ダブルオーセイバーはレーダーに映ったモビルスーツの位置に向かって飛翔した。一人目の騎士が戦場を駆けた瞬間であった。

一夏が最初に向かったのはジンが出現したすくそばの工場地帯だ。

何故ならザフト軍が何の理由も無しに中立コロニーを襲う可能性が低いのと、対立している連合軍が先に条約違反をしているのではないか?と考えての結果だ。

それから数分後、ダブルオーセイバーのレーダーにジンらのものとは別のモビルスーツ反応が浮き出た。機体は、地球連合軍のものだった。

 

「思った通り、連合軍が中立コロニーでモビルスーツを……これは条約に違反している」

 

映し出されたレーダーの周辺で爆発が引き起こされる。そちらにダブルオーセイバーの顔を動かしてみると、そこにいたのはダブルオーセイバーと同じガンダムタイプのモビルスーツが二機と、ジンそしてイナクトの計四機だった。

いくらGN粒子を纏ってるとはいえ、このまま空中でのんびり浮いていると見つかってしまいかねないのでビルの影にその身を隠して四機の様子を窺う。

そこからの出来事を要約すると、ガンダムタイプの一つが灰色からトリコロールに装甲の色を変え、跳躍したジンが振り下ろした重斬刀をその腕で防ぎ、それとほぼ同時にもう一機の方も灰色から赤に変色した。が、赤いガンダムはイーゲルシュテルンでミサイルが積まれていた車両を破壊し、そのままイナクトと共にヘリオポリスを脱出して行った。

OSが未完成なのか、もしくはパイロットが素人なのかはわからないが、動きの鈍いトリコロールのガンダムはジンの攻撃により滅多打ちにされ、トドメとばかりに突き出された重斬刀をしゃがんでで回避するとその反動を使って膝蹴りを叩き込んだ。ここからトリコロールの動きが変わる。

重斬刀を回避し、その顔面に拳で殴りつけた。それによりジンは吹き飛ばされ、ビルにめり込まされた。立ち上がったジンは突撃機銃を放つがトリコロールにダメージを与えることは出来ず、バーニアを吹かしたトリコロールに回避され、アーマーシュナイダーを右肩と首筋に差し込んだ。

次の瞬間、ジンのコクピットが開くとそこからパイロットが脱出、それと同時にジンが自爆して消滅する。

 

二人目の騎士が初めて戦った瞬間であった。

ダブルオーセイバーのモニターには、ガンダムがコクピットを開いて中から少年が連合の女性を抱えて降りていくところを映し出していた。それを学生らしき少年少女たちが手伝っている。

さて、俺の予報が正しければおそらくまたザフトがあのガンダムを狙ってやってくるだろう。あのガンダムのスペックや少年の腕前を見る限り、エースパイロットクラスでも来たら負けるのは火を見るよりも明らかだ。そうならないためにも連合に関わるのは正直不快だが、協力するしかない。

GN粒子の散布を中断し、背部と両肩から突き出た丸みを帯びた円錐形の推進部【GNドライヴ】三個の根本から放出されていた粒子が消えたダブルオーセイバーは隠れていたビルからガンダムに向かって歩いていった。

こちらを確認した少年たちが逃げようとするがその前にダブルオーセイバーの両手を上げてこちらに戦意が無いことを示してから外部スピーカーのスイッチを入れた。

 

「逃げなくていい、俺はザフトなんかじゃない。さっきの襲撃に巻き込まれた一般人だ」

 

一般人……。白々しいにも程があるが、今は少しでも少年たちの警戒心を解くことが先決だろう。

幸い俺の言葉を信じたのか、あるいは逃げても逃げきれないと思ったのかは判らないが六人共がその場に留まってくれた。というか逃げるときに寝かせていた軍人を置いていこうとしたのは民間人みたいだからしょうがない……のか?

 

「今から降りる。ちょっと頼みたいことがあるから待っててくれ」

 

コクピットのハッチを開き、乗降ワイヤーで地面に降りると未だに緊張している少年たちへと向かい軽く手を上げた。

 

「俺の名は織斑一夏。ジャンク屋をしている。このヘリオポリスには仲間たちと観光目的て来ていたんだけど、さっきの襲撃に巻き込まれたんだ」

 

俺の名前、正確には一夏というところに包帯をしていた少女がピクリと反応していたが、眼鏡を掛けた少年が一歩前に出たのでそちらに意識を向ける。

 

「サイ・アーガイルです。そっちからキラ・ヤマト、トール・ケーニヒ、ミリアリア・ハウ、カズイ・バスカーク、折野壱佳です。それで頼みたい事ってなんですか?」

 

なるほどな、包帯の少女……折野が反応したのは自分と同じ読みだったからか、まぁ字は違うみたいだけど。

それとどうやらサイがこのグループのリーダー格のようだ。

 

「さっきの戦闘、見せてもらったけど凄いな。軍人でもないのにモビルスーツを操るなんて……しかも途中から動きが変わったことから察するに、戦闘中にOSを書き換えたんだろ?」

 

「え?あ、はい」

 

俺の言葉に頷いたキラ。それを他の四人は驚きの表情で見ている。唯一OSが何なのか知らないのか折野だけは困惑した表情だった。

 

「悪いけどそのトリコロールでそいつの母艦と通信を繋げてくれないか?シェルターはどこも閉まってるみたいだし、俺の艦はここから結構距離があるからな、多分その母艦はこの付近に居るんじゃないかな?」

 

「あのっ!」

 

俺の言葉をミリアリアが遮った。そちらに視線を向けてみるとミリアリアは一瞬ビクッとしたがすぐに言葉を続ける。

 

「モビルスーツはコーディネイターじゃないと乗れないんですよね?キラもそうですし、じゃあ一夏さんもコーディネイターなんですか?」

 

「いや、遺伝子操作はされてないから少なくともナチュラルの筈だ」

 

もっとも、数ヶ月前からわけのわからない能力に二つも目覚めたのである意味コーディネイターに近い存在なのかもしれない……そうなったのは十中八九、一年前にあの変態が行った手術(という名の魔改造)が原因だろうけどな。

 

「そういうわけだから通信、頼まれてくれるか?」

 

「まぁ、そういうことなら……判りました」

 

そう応えるとキラはトリコロール……ストライクガンダムのコクピットに乗り込むとおもむろに内部の通信機を探し出す。

 

「あ、あの……一夏さん?」

 

手を上げたのはトールだ。一夏はどうした?と聞いてきたのでトールは一瞬、言葉を詰まらせるが━━

 

「この後、どうするんですか?」

 

聞いてきたのは今後の予定だ。全員の視線が俺に集まる。

 

「ひとまずストライクの母艦と連絡が取れたらうちの輸送艦と合流したいんだけど……」

 

「何か問題があるんですか?」

 

折野が頭を抱えている一夏に質問をする。

 

「仮に母艦が無事だったとしても、クルーが全滅していたら民間人がそれを操って脱出しなくちゃならない。うちから回せる人員はいないからな」

 

「そっか、それが原因でザフトに攻撃されたら……」

 

サイが続けて言おうとしたが続かなかった。その後の言葉は誰でも判っていた。撃沈であると━━

最近の艦隊にはコンピューターの補助で少数でも動かせるが、それでも数十人は必要になる。最悪の場合、彼らも手伝わされるかもしれないのだ。

 

それからキラが母艦に連絡を繋げようとする間に色々なことが起きた。

連合の女性【マリュー・ラミアス】が目覚めた途端銃を抜き出そうとしたのを蹴りでホルダーごと飛ばしたり、サイたちに残ったガンダムの予備装備やストライカーパックの置かれていたトレーラーを運んでもらったり……とにかく色々なことがあった。

 

「う~ん、駄目ですね……全然繋がりません」

 

何度も通信を試みているキラだったが、聞こえてくるのはノイズのみ。こうなると母艦の通信機能がやられているか、既に落とされているかのどちらかになってしまう。

本当なら確認に行きたいところだが俺はいつ来るかわからない敵に、キラは道中を襲われる可能性に、それぞれこの場を離れることが出来ずにいた。

 

「にしてもいいなぁストライクは、戦況に応じて武装を変えられるなんてジャンク屋の俺からすればお宝モンだぜ」

 

ランチャーストライカーの装備準備をしているキラに一夏はぼやいていた。

 

「一夏さんのダブルオーだって凄いですよ。全身の至る所に武装を仕込んでいる上に飛行変形機能、それにまだまだ謎の多いGN粒子を動力源にしたGNドライヴ。なによりもあの武装の数ですよ!15種類も所持するなんて普通じゃないですよね?」

 

GN粒子の事はゼミで習っていたらしい。そしてストライクを介して様々なモビルスーツの情報を一通り目を通したキラは俺のダブルオーセイバーの性能の異常さに感嘆の声を漏らしていた。

うん、まぁ自分でもあれはやりすぎじゃね?って週に七回は思うよ。だけどあの変態の技術力を考えればこれでもまだ優しいものだ。最悪の場合はコロニーデストロイヤーとかプラズマダイバーミサイルなんて物騒の度を越えた兵器をぶち込んでくるからな……

 

元々白式がモビルスーツに生まれ変わったのはダブルオーガンダムという機体で、そこから支援機オーライザーとドッキングする事でダブルオーライザーとなり、半年は活動していたのだがとある戦争屋との戦いで大破してしまい、新たにダブルオークアンタに再構築。いつか戦争屋と再戦をするため三個のGNドライヴを搭載したトリプルドライヴが上手く稼働しなかった事をどこからか嗅ぎ付けた変態が独断で魔改造したものがダブルオーセイバーである。

 

「バッテリーエネルギーは97%か……問題無くいけるな」

 

キラのストライクと違い、戦闘をしていないのだから当然といえば当然なのだが、とにかくこれなら余程の敵でない限り、負けることはないだろう。

ウー、ウー、という警告音がヘリオポリスに流れている中、突然ヘリオポリスのシャフトの一部が爆発し、その衝撃と爆音が周囲へと響き渡る。

コクピットから顔を出してそちらを確認すると、爆発のあったシャフトからザフト隊長機【シグー】と連合モビルアーマー【メビウス・ゼロ】が飛び出しているのが見えた。シグーには殆ど損傷が無いようだが、対するメビウス・ゼロはその最大の特徴ともいえるガンバレル4基全てを失っており、残っていたのは直接装備されているリニアガンのみとなっていた。

ストライクを確認したシグーは空中で姿勢を制御し、方向転換してこちらへと向かってくる。それを阻むかのようにメビウス・ゼロがシグーの進行方向へと割り込み、進路を強制的に変更させそのままシグーとメビウス・ゼロによる空中戦が開始された。

 

「キラッ!装備を!」

 

ストライクに通信を入れ、注意を促す。同時にダブルオーセイバーのトリプルドライヴを稼働。シグーに向けて飛び立った。

俺の声で我に返ったキラもトレーラーに置かれてあったランチャーストライカーを装備する。

メビウス・ゼロの本体に残っていたリニアガンが切断され、墜落したのはちょうどそのときであった。

 

「ほう?六機目のガンダムか……ならばそいつも頂かせて貰う!!」

 

シグーに搭乗しているクルーゼはダブルオーセイバーを見つけると左腕に装備されているバルカンシステム内装防盾に内蔵されているバルカン砲をダブルオーセイバーに撃ってきた。

 

「遅いっ!」

 

一夏はすぐに回避すると右腕のGNソードⅣフルセイバーをライフルモード(大出力&連射)で反撃するも、回避されてしまう。それならばとフルセイバーモードで切り込みにかかるが━━

 

「早いな、だが!」

 

クルーゼも重斬刀でこれに応戦。一瞬鍔迫り合いをしてから双方は距離をとる。

 

「なるほど、接近戦ではシグーより上手か……ならば!」

 

重斬刀から重突撃銃に持ち替えると、左腕のバルカン砲と併用してダブルオーセイバーに向けて乱れ撃ち出した。それを回避する一夏であったが次第に敵の狙いが銃撃戦で動きが鈍ったところを落とすと読めてからはすぐに機体に装備されている特殊武器を起動させる。ダブルオーセイバーにはメインになりうる射撃武装が少ない。そのせいか半年前までの戦闘では常に一気に距離を詰めて斬るという戦術一択を強いられてきた。

その弱点を克服するために一夏が作ったのがこの武器、その名も━━

 

「喰らえ、GNアンカー!」

 

「なに!?」

 

右腕のGNシールドとGNファンネル&ファングの裏に隠されていたアンカーがバシュッ!と放たれ、シグーの足にまとわりついた。そして一夏がそれを引っ張るとシグーは抵抗することが出来ないままダブルオーセイバーの前にまで引っ張り出された。

目の前の好機を逃すまいとGNソードⅣフルセイバー フルセイバーモードとGNソードⅤでシグーを切り裂かんとした。が、クルーゼはそれを機体を捻ることで狙いをコクピットから右腕に無理矢理変更させることで右腕を代償に、コクピットへの攻撃を避わす。そしてそのままクルーゼはダブルオーセイバーに激突した。一夏はその際の衝撃で思わずアンカーの拘束を緩めてしまい、結果シグーはアンカーから逃げられてしまった。

 

「なんとデタラメな……!」

 

アンカーを使うことで向こうから近付けさせる戦法はもちろん、機体の性能はほんの少しぶつかっただけで十分に理解できた。攻撃、防御、機動力、どれも現行のモビルスーツを凌駕していた。厄介な組み合わせだとクルーゼが舌打ちをしていると……

 

「あれは……?」

 

ヘリオポリスのドッグ方面から爆発が発生。そこから優美な白と赤の四つ足を持つ戦艦【アークエンジェル】が姿を現した。アークエンジェルを狙って突撃機銃で攻撃を仕掛けるクルーゼのシグーであるが、アークエンジェルはその艦体を斜めにすることで回避に成功する。この一連の攻防でアークエンジェルとダブルオーを単機で沈めることは不可能と判断したのか、シグーは地上にいるストライクへと狙いを変えて急降下して行った。突撃機銃でストライクを狙うがPS装甲を持つストライクに通じるはずもなく、一撃を与えて離脱していった。その隙を突くかのようにアークエンジェルからミサイルが発射されるものの、それらはシグーに撃ち落とされるか或いは誘導のミスによりコロニーを支えているシャフトに命中してしまう。

 

「馬鹿野郎がっ!」

 

思わず悪態をつきながら一夏はGNソードⅣフルセイバー ランチャーモードでシグーを狙い撃つ。だが、放たれた砲撃は最後までシグーに直撃することはなかった。

これ以上コロニーを破壊されてはたまらないと思ったのか、シグーに狙いを定めたキラの操るランチャーストライクガンダムが350mm高インパルス砲のアグニから赤いビームが発射され、クルーゼのシグーの左腕を消滅させると同時にコロニーの外壁をも貫通してしまった。

両腕から煙を上げながらも、そのままシグーはコロニーの外壁に開いた穴から宇宙へと脱出してしまった。

これ以上の追撃は不可能と判断した一夏は、隊長機を落とせなかった事に少々悔やみながら地面に転がっているシグーの左腕に装備されているバルカンシステム内装防盾を拾い上げる。

そしてこれから先のことを考えて、思わず溜め息を吐いてしまっていた。

敢えて言わせてもらおう!次回は一夏のライバルキャラが登場すると!!

 

※前にオリキャラとか言っておきながら蓋を開けてみれば実はオリキャラでなかったという真実……


 
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