No.621326 ジョジョの奇妙な冒険、第?部『マジカル・オーシャン』piguzam]さん 2013-09-21 12:45:06 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:5494 閲覧ユーザー数:4775 |
前書き
もしなのはさんがスタンド使いだったら。
その①初めてのレイハさん展開。
『んむむぅ~~んぅ。馴染む、実に良く馴染むの。レイジングハートは最高だね』
その②フェイト最終戦。
『片を付けるッ!!スターライトブレイカーなのぉおおッ!!』
その③フェイト戦勝利。
『砲撃ッ!!収束砲ッ!!スタンドパワーッ!!』
スタンド使ってねぇじゃんwww
「ふぁ~あ……眠い……」
欠伸をしながら通学路を歩く俺の名前は城戸定明。
少し変わったスタンド使いってヤツだ。
今の時間は休みが空けた月曜の朝。
所謂登校途中なんだが、辺りには俺以外に小学生は見当たらない。
まぁ今はまだ登校時間じゃねぇし、俺が少し早く家を出たのが原因なんだがな。
その原因……というか理由は、今朝のテレビでやってた占いだったりする。
……おい誰だ今俺の事メルヘンチックな奴だとか思った奴?
正直に名乗りでたら全力のオラオラで勘弁してやる。
名乗り出なかった野郎はクレイジー・ダイヤモンドで岩と一体化だからな?
占いを見てたのは母ちゃんで俺を家から放り出したのも母ちゃんなんだよ。
何でも俺の今日の運勢は最高、朝早く家を出たら良い事があるって話しだった。
それを見た母ちゃんはニッコニコしながら俺を家からサッサと追いだしやがった。
正直占いとか信じてねぇおれからしたら有難迷惑以外の何物でもねぇ。
「朝早く家を出たって、別に何も無ぇじゃねぇか……」
もうすぐ学校に着く所まで来たが、特に何か変わった事もなくここまで来てる。
やっぱ占いなんて当たるも八卦、当たらぬも八卦だよなぁ。
そう考えながら何か無えモンかと振り向いて歩いてきた通学路に視線を向ける。
しかしそこには特に変わった光景は特に見当たらない。
犬の散歩をするオッサン、ランニングをするお姉さん――。
後は精々『バンに無理やり乗せられてるアリサ』って光景ぐらいだった。
特に何時もと変わらねぇ健やかなあ、さ……?
…………ん?
おかしいなと思って再度違和感を感じた方へと目を向ければ……。
ブロロロロロッ!!
数人がかりでアリサを掻っ攫った車が猛スピードで走り去っていく光景だった。
「はぁああああああああああああああッ!!!?」
余りにもブッ飛んだ光景に俺は柄にも無く大声を出して驚くが、直ぐにハッと意識を取り戻す。
さ、叫んでる場合じゃねぇッ!?アリサが攫われたッ!?
何で隣町のこんな場所にこんな朝早くアリサが1人で居るんだとか、何でスタンドを使ってなかったとか、色々とおかしな部分があったが、この時の俺は余りにも唐突な出来事にその辺りが考えてられなかったんだ。
「くそッ!!ハイウェイ・スターッ!!!」
俺は直ぐに頭を切り替えてハイウェイ・スターを呼び出す。
背後から現れたハイウェイ・スターは俺の命令に従って、時速60キロのスピードで今のバンを追跡する。
その後俺も直ぐにバンの向かった方向に走りだした。
今からじゃどれだけ時を止めても間に合わない。
考えるのは後だッ!!今はアリサを救う事だけをやんねぇとッ!!
とりあえず、車が向かった先の道路は狭い細道なので俺より先行したハイウェイ・スターがその車を発見するのは直ぐだったんだが……。
「(60キロ以上出てやがるッ!!ハイウェイ・スターが追いつけねぇッ!!)」
相手の車が出してるスピードを感じ取り、俺は歯をキツく食い縛る。
ハイウェイ・スターが追い掛けるスピードは時速60キロ。
ソレ以上のスピードはハイウェイ・スターに出すことは出来ない。
追跡は決して止めねぇが、相手の臭いを覚えてないのはマズイ。
もし見失いでもしたらハイウェイ・スターでも見つけ出す事は無理だ。
今の状況でハイウェイ・スターを消す事は出来ないし、
そうこう考えてる内に車は国道を外れて細いうねり道に入り、更にスピードを上げて爆走しだした。
ヤバイッ!?もう向こうのスピードは80キロは出てるッ!!
このままじゃ本気で見失っちまうぞッ!?
気持ちは焦りが出始めるが、俺は自分の足で走ってるだけで向こうは車。
このままじゃ絶対に追い付けない。
ハイウェイ・スターも懸命に追いかけているが、どんだけあがこうと60キロ以上は絶対に出ない。
それがハイウェイ・スターのルールだからだ。
逆にどれだけ離されても、相手の臭いさえ覚えていれば例えどれだけ離されようとも相手の近くにテレポートする事が出来るが、今回は相手の臭いを覚えていないからそれも無理。
このままじゃアリサは……。
「ッ!?」
ガンッ!!!
「…………ふざけんなよ、城戸定明……」
後ろ向きな事ばかりを考え始めた自分を叱責する為に、俺は走りながら自分の頬を力いっぱい殴りつける。
相馬に言ったばかりじゃねぇか……アイツ等を守るぐれーの力はあるってよぉ。
それがちょっとヘマこいたらこのザマか?
俺には数々の異能を持ったスタンドがあるじゃねぇか。
弱音を吐くな、吐いてる暇がありゃ足を動かせ。
ダチを守るって口に出したなら、俺がやる事は一つだろ。
「あぁ、チクショー……面倒事は大っ嫌いだってのによ……」
もうハイウェイ・スターの視覚でも豆粒並に小さくなってきた車を、俺は必死に追い掛ける。
相馬にも言ったが、俺は別に面倒事に進んで首突っ込むつもりは無い。
俺に関係無え場所で起こった理不尽な事を無くしたいとか、苦しむ人を助けたいなんて御大層な事は考えるつもりは一切無え。
「――でもなぁ……こんな俺でも……」
人より優れた力があっても何もしない俺を非難する奴なんざ幾らでも居るだろう。
俺は人の為になんて聖人みてぇな考えは持ち合わせてない。
だから誰に何と言われようと、俺は自分の為にこの力を使おうと考えてる。
――だから。
「ダチを見捨てる考えは、一片も持ちあわせてねぇんだよ……ッ!!」
俺のダチになったアリサやすずかの笑顔を奪おうってんなら、覚悟してもらうぜ。
アリサを攫ったのが何処の誰かなんて事はどーでもいい……。
俺のスタンドで死んだ方がマシだと思わせてやる。
覚悟を新たに、俺はハイウェイ・スターの視覚を共有させて辺りを見渡す。
このままじゃ追い付くのは絶対に無理だ。
だから奴等の行き先を特定出来そうなモンを探してるんだが…。
「……ん?……これは……」
辺りを見渡していると、アイツ等の入った道の側に看板が立っているのを発見。
急いでハイウェイ・スターを側に近づけると、『この先廃墟。行き止まり』と書いてある看板があり、俺はその看板に書いてある廃墟に覚えがあった。
ここは学校から少し離れた位置にある廃墟で、先生達から近づかない様にと言われてるが、俺や学校のダチは何度か遊んだことのある場所だ。
「しめたッ!!奴等はこの先に居るッ!!距離もそんなに離れてねぇッ!!」
やっとこさ相手の終着点を見つけた俺は、ハイウェイ・スターに追跡を再開させて奴等の向かったであろう廃墟へと進んでいく。
そのまま俺は今まで走ってきた道から脇道に逸れ、道なき道を走る。
奴等の向かったルートは、山をぐるりと回る車用の大回りなルートだ。
廃墟までの裏道は皆で遊んだ時に把握してる。
コッチを通れば廃墟までの時間は15分ぐらい短縮出来るッ!!
待ってろよアリサッ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・
「…………良しッ!!見つけたぞクソッタレッ!!」
道無き道を走り続けながら、俺は先行させているハイウェイ・スターの視覚が車を捉えたのを確認する。
既に車は廃墟の前に止まっていて、車の中には誰も乗っていない。
どうやらアリサは既に連れ出されて廃墟の中に居る様だ。
俺は車をスルーして、ハイウェイ・スターを廃墟の中へと進める。
ハイウェイ・スターは例えどんな状況からでも時速60キロに加速してくれる。
0キロから一気に60キロ。
だから相手が人間で、且つ乗り物に乗っていないなら……。
『いやあッ!!止めてぇッ!!離してぇえッ!!』
『へへッ!!ジタバタしたって助けなんか来ね(ドボギョッ!!)うごぇっ!?』
『……え?』
この距離で、逃す事は100%有り得ねぇんだよッ!!
人間では不可能なスピードで廃墟に侵入したハイウェイ・スターは、廃墟の2階にある部屋の中で服を破かれて男達に抑え付けられてるアリサを発見。
逆光で顔は見えないが声からして間違いないだろう。
そのままアリサに覆いかぶさってる屑デブの1人に入り養分を吸い取らせる。
『お、おい?何やってんだよお前?』
『こぺっ……か、か……』
周りの奴等が仲間の雰囲気がおかしいと感じて声を掛けるも、男は口から変な悲鳴を出す事しか出来ず、ハイウェイ・スターに根こそぎ養分を取られていく。
オリ主にやった時の加減はいらねぇ……死ぬ寸前まで吸い尽くしちまえッ!!
『何だッ!?なんかヤバイぞコイツッ!?』
『ほ、細くなってねぇか?……腕が、枯れ木みたいに……』
『顔も痩けてきてるぞッ!?』
デブがおかしくなっていく事に違和感を感じた仲間達はアリサを押さえつけてた手を離し、部屋の隅っこの方へと逃げていく。
『ヒ……ヒ…………(パタリッ)』
やがて、ほぼ辛うじて生きているという状況になるまで養分を吸い取られたデブは軽い音を立てて廃墟の床にその身体を沈める。
その身体は最初と比べると見る影も無く、痩せ細りすぎて危うい状態になってた。
ダイエットの手間を省いてやった事に感謝しやがれ。
そうこうしてる内に、本体の俺もやっとこさ廃墟に到着。
奴等をハイウェイ・スターで監視しつつ、俺は廃墟の中へと足を踏み入れて2階まで全力で疾走する。
既に目標の部屋は俺の目の前だ。
加減なんてしてやらねぇから精々覚悟しやがれッ!!
「エアロスミスッ!!!」
俺は部屋の前に着いた瞬間ハイウェイ・スターを戻し、ラジコン飛行機の様なスタンド、エアロスミスを呼び出す。
エアロスミスは俺の命令に従って部屋の壁まで飛行し、壁の前で急旋回する。
「ブチ抜いてやらあッ!!!」
ボッ。
俺の掛け声とともに、エアロスミスは腹の部分に装着してる爆弾を投下。
それは部屋の壁にヒットし……。
バグォオオンッ!!!
映画でしか聞いた事の無い様な爆発音を奏で、部屋の壁を吹き飛ばした。
「うわぁああッ!?」
「な、何だよ今度はッ!?」
「ば、爆弾ッ!?」
突然の爆発音にビビッた誘拐犯の声が木霊する中、俺は開いた壁の穴から部屋の中へと侵入していく。
そして、侵入して直ぐに、俺は誘拐犯達と目が合った。
アァ……コイツ等だな?俺のダチに手ぇ出そうとしやがったクソ共は?
「は?……ガ、ガキじゃねぇか?」
「な、何でガキがこんな所に?ここは誰も近寄らねぇんじゃなかったのかよ?」
「ンな事どーでも良いだろッ!!おいクソガキッ!!お前が今のをやりやがっ」
「うるせぇよダボッ!!撃ちまくれ、エアロスミスッ!!!」
バリバリバリバリバリバリバリバリッ!!!
俺を見て犯人達の2人が慌てふためく中、一人の犯人が俺に怒鳴り声を挙げて近づこうとしてきたので、エアロスミスの機銃を掃射してやる。
スタンド使いにしか聞く事の出来ねえ機銃を撃つ甲高い音が鳴り響き、俺に近づこうとした犯人の足に30を下らねえ風穴が刻み込まれた。
「へ?……うぎゃぁあああああッ!?あ、足がッ!?俺の足ぃいいいッ!?」
それとは一拍遅れて自分の足の痛みを感じ取った犯人は汚らしく喚き声を挙げて足を抑えたままエアロスミスに撃たれた足を抑えて転げまわる。
本来ならココで止めておくべきだろうが、頭に沸々と沸騰した血が昇ってる俺がそんな事を考える筈も無く……。
「うるせぇっつってんだよこのクソ野郎がッ!!ザ・ワールドッ!!」
『ムゥンッ!!(ボゴォッ!!)』
即座にエアロスミスを収納。
代わりにザ・ワールドを呼び出し、糞野郎をアッパーで宙にカチ上げる。
もはや悲鳴も挙げずにザ・ワールドのアッパーを喰らった犯人の顎はグチャグチャに潰れ、間抜けな顔を晒す。
……まだ足りねぇからオマケにラッシュもくれてやる、ありがたく思いやがれ。
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァアアッ!!!』
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
宙から地面に降ろされる事も無くザ・ワールドのラッシュを喰らった犯人は、まるでマリオネットの様な気持ち悪い動きを見せつつ、トドメのストレートで開いた窓をブチ破りながら外へと飛んでった。
外でガシャァアアンッ!!とかいう音がした辺り、コイツ等の乗ってきた車の上に落ちたようだ。
別にあんなクソの事なんざどうでも良いがな。
「ヒ……ひぃやぁああああああッ!?」
「お、おいッ!?」
と、窓をブチ破って外にフッ飛んでいったクソの次をどうしてやろうかと考えていたら、残った2人のウチ1人が俺がブチ開けた壁の穴から外へ逃げ出そうとしているのを発見。
「逃さねぇよボケッ!!
俺は赤い人型の身体に鳥の様な頭を持つ、炎自在に操るマジシャンズ・レッドを呼び出して、逃げようとしてるヤツに照準を合わせる。
ここまで来て逃げるなんざ往生際が悪過ぎんだよッ!!
「焼け爛れやがれッ!!クロス・ファイヤーッ!!!」
ゴォウッ!!!
俺の合図と共にマジシャンズ・レッドは頭の部分が丸い
「ぎッ!?あ、熱ッ、ぎいゃぁああああああああああッ!!?」
クロス・ファイヤーに飲み込まれた生ごみは、十字架の形に身体が固定され、部屋の外の壁にそのまま貼り付けられながら、その身を炎に焼かれていく。
人間は酸素を口だけでなく皮膚でも摂取しているから、うっかり殺しちまわねー様に加減はしてある。
まっ、どっちみち3ヶ月は病院のベットの上で苦しむ羽目になるだろーよ。
兎に角、逃げようとした奴は動けない様に封じ込めたので、俺は最後に残ったクソへと視線を向ける。
ソイツは目の前で起きた事の非現実的な光景に思考が付いて行っていないのか、口を半開きにして呆けていた。
しかし、それも俺が視線を向けているのを理解すると恐怖に震えたモノに変わる。
「な、何だ……何なんだよお前はぁあぁあ~~~ッ!!?」
「……」
汗を大量に搔きながら喚き散らす最後の1人。
だが、俺はその叫びには何も答えず、『次の準備』を終了していた。
「ど……どうしたよ……俺が怖いのか、アァッ!?それともさっきみてーなのが出来なくな……う?……な、何だ?……の、のどが……」
「……」
俺が何も言わないで黙っていた事に、犯人は逆上するかの様に叫んで自分を鼓舞するが、俺にはそれがとても滑稽に見えた。
何せもう『出来上がっている』んだからな……テメェは。
「の……のどの中が…………おげえぇええええええええッ!!?」
突如として苦しみだした犯人は、自分の喉を抑えて膝から崩れ落ち吐血する。
しかも……。
「うげけッ!?カ、カミソッガミゾリィッ!?
血と共に、大量の『カミソリ』を『口の中から吐き出して』だ。
この現象は、俺の体内に潜む極小のスタンドが引き起こした現象だ。
磁力で動物や人間、更には地球上の鉄分を操る能力を持つスタンド『メタリカ』。
奴の口からカミソリを吐き出させたトリックは、俺がメタリカを使って奴の身体の中にある鉄分を凝固させ、カミソリを体内で作っただけの事。
喉から口の中を傷だらけにされて苦しむ犯人を見ながら、俺は口を開く。
「……「なんだ」なんて考えなくても良いんだよ」
「ぐげげぇ……ッ!?ま゛、ま゛っ!?」
俺を見ながら口を抑えて涙を流す犯人に近づきながら、俺は再度言葉を紡ぐ。
「二度と俺のダチにこんな真似が出来ねえ様に――」
「ひ、ひぃっ!?」
奴には見えてないが、俺はそう言いつつ背後にスタープラチナを呼び出していた。
俺のダチに気概を加え、俺の平穏な日常に影を落とそうとしたクソ野郎。
その判決は言うまでも無く――。
「――グチャグチャにしてやるだけだからよぉ~~~~ッ!!」
『有罪』に決まってるよなぁああッ!!?
「ヒイィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!?」
俺のメンチを切った『判決』を聞いて、クソ野郎は涙を零しながら叫び――。
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァアアアアッ!!!』
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォッ!!!
スター・プラチナの時を止めた中、そして普通の世界でのラッシュをその一身に浴び続け――。
『オラァッ!!!』
ズドォオッ!!!
トドメのストレートを喰らい、部屋の壁を3つ突き抜けてブッ飛んでった。
あれだけしこたま殴ってやりゃあ全身骨折ってトコだろう。
今回はコレで許しといてやる。
「ッ!?そうだ、アリサッ!?無事かッ!?」
俺は直ぐに奴等の事を意識から追い出してココに来た目的であるアリサの居る方向へと顔を向ける。
「……」
俺が視線を向けた方向、部屋の端にアリサは居た。
破かれた服を手で何とか上に手繰り寄せて肌を何とか隠すアリサ。
その表情は部屋の窓から差し込む逆光の所為で窺うことが出来なかった。
俺は返事を返さないアリサの態度におかしなモノを感じつつも、そちらへと走って駆け寄る。
「大丈夫かよアリ…………サ?」
そして、駆け寄ってアリサの無事を確認しようと思った俺だったが、その動きは彼女の顔を覆っていた逆光が無くなって完全に見える様になった瞬間止まる。
突如動きを止めた俺に対して『彼女』は少し怯えを見せる。
「だ……『誰』?……何で、『私』の名前を知ってるの?」
何時もの俺なら何をボケてんだよ?と軽口を返してたかも知れねぇが、今は無理。
何故かって目の前の『女の子』が誰なのか俺も解らねえからだ。
アリサの太陽の様な輝きを持つ金髪……ではなく、明るめの『茶髪』。
エメラルドを彷彿させる翠の瞳……じゃあなく暗めな『灰色』の瞳。
そんな、何処までもアリサに良く似た少女が、ソコに居た……あれ?
え?ちょっと待て?この子アリサじゃねぇよな?でも『私の名前』っつったよな?
「……すまねぇ、お名前を聞いても?」
若干混乱の淵に足を踏み入れかけていた俺はそれだけ何とか口から絞り出す。
これってまさか……いやいや、ンな事ある訳がねぇよな?
俺の言ってる事が良く理解できなかったのか、彼女は少し怯えながらも口を開く。
「……アリサ……アリサ・『ローウェル』」
THE・人違い。
「……」
「……」
沈黙。
いや、コレってつまりアレだよな?
俺がアリサだと思った子はアリサであってアリサじゃ無いって事で……。
じゃあ俺が必死こいてココに来た事は無駄足であって、いやいやでも目の前の女の子がとりあえず悲惨な末路を辿りそうだったのを未然に防ぐ事が出来たって意味では全然無駄足じゃなくて……。
「……はぁ~~~~」
色々考えた末に、俺は脱力した。
またぞろ自分から面倒くせえ事に首突っ込んだって事かよ。
いやまぁさすがに彼処で見捨てる選択肢は無かった訳だし……まっ、良いか。
兎に角、この子が無事ならそれで良しとしとこう……はぁ。
「あ、あの?……」
と、自分の間抜け加減に疲れていると、目の前のアリサ……ローウェルが俺に不安そうな視線を送ってきていた。
まぁ知らない奴が自分の名前知ってる上に、そんな奴と二人っきりなんて落ち着かねぇよな。
少しづつ冷静な考えが出来る様になってきたので、俺は彼女に苦笑を見せる。
「あぁ、すまねぇ。俺が呼んでたアリサって名前は、アンタに良く似た別の女の子の名前なんだ」
「私に、似てる女の子?」
俺と同じ言葉を言いながら聞き返してくるローウェルに、俺は頷く。
「髪の色と瞳の色が違うだけで、後は名前も顔もそっくり……本気でビビッたぜ」
世の中には自分にそっくりな人間が3人は居るっていうが、幾ら何でも確率良すぎだろ?しかも何で俺がアリサのそっくりさんに会ってるんだよ?
この場合はどう考えてもアリサが会って驚く方だろうが?
今日は早く出たら良い事あると占いで言ってたが……いや、良い事には違いねぇ。
勘違いだったとしても、人を助けるってのは良い事だしな。
「……その子が攫われたって思ったから、貴方は助けに来てくれたの?」
「ん?まぁ理由としてはそうだけどよ……まぁ、どっちにしても目の前で女の子が誘拐されてるのを放っとくのは、寝覚めが悪すぎるからな。そういう意味では、何とか間に合って良かったと思ってるぜ?」
「……そう、なんだ…………ありがとう、助けてくれて」
「なぁに、気にすんな」
俺がココに来たのは勘違いだって言ったら、悲しそうな表情を浮かべたローウェル
だったが、その後に正直に俺の気持ちを話すと、彼女は笑顔を浮かべて俺にお礼を言ってくれた。
汚い廃墟で少しばかり和やかなムードに包まれる俺達だったが、それはローウェルの次の言葉で霧散してしまう。
「それにしても……貴方は、一体何をしたの?私には何も見えなかったけど、アイツ等が見えない力で飛ばされたり、カミソリをアイツ等の口から出したのも……突然、私を襲ってきた男が苦しみながらやせ細ったのも、全部貴方がやった事なんでしょ?」
「そ、それは……」
ローウェルの聞いてきた素朴な疑問に、俺の表情は強張ってしまう。
すっかり忘れてたが、彼女は俺の知ってるアリサ・バニングスでは無い。
だから、俺のスタンドの存在は知らないんだ。
なのに俺はこの子がてっきりアリサだと勘違いして、バンバンとスタンドを使ってしまった。
つまり、俺の持つ力が知られてしまったって事になる。
ローウェルの言葉に何も返さずにいると、彼女は表情を寂しげなモンに変えた。
「……教えられないんだ……これでも私、口は固い方なんだけど……駄目?」
まるで縋る様な言葉を寂しそうな表情で出されると何と返したモンかと迷うが、俺としてはローウェルにスタンドの事を喋る訳にはいかねぇと思ってる。
俺は偶々彼女を助けただけだし、アリサやすずかみたいに友達って訳でも無い。
あの時はすずかの秘密を知ってしまった事で、なし崩しに月村家と交友を持ってる訳だが、今回はそう簡単に喋る訳にはいかねえ。
「すまねぇけど、アンタにはこの場で見た記憶を忘れてもらうぜ?」
「ッ!?」
俺の言葉に驚くローウェルだったが、俺は無言でヘブンズ・ドアーを呼び出す。
今回の出来事そのものを無かった事にして家に帰してやる方がローウェルの為だ。
こんな事件の記憶を持ってたら、下手すりゃ男性恐怖症になりかねねぇ。
それなら今の出来事は全て忘れさせる。
そう思って彼女に手を伸ばせば、ローウェルは俺の手から逃れて距離を取る。
「大丈夫だ。アンタが誘拐されたって記憶を消すだけで、別に害は無ぇよ……」
警戒を解く為にそう言っても、彼女は無言で首を横に振ってしまう。
「……私ね、友達が居ないの」
「……は?」
逃げるローウェルをどうやって平和的に同意させようかと考えていたら、何か独白が始まった。
その脈絡の無い独白を聞いて俺は素っ頓狂な声を漏らすが、ローウェルはそれに構わず言葉を続ける。
「私の見た目、外国人でしょ?だから皆敬遠する……それに、私に親が居なくて孤児院の人間だっていうのも理由の一つだと思うの……」
悲しむ様に自嘲しながらローウェルはそう語り、続いて俺に真剣な表情を見せる。
「今日、アイツ等に攫われた時、考えたわ……どうしてこうなるんだろう?私が何をしたっていうの?誰とも話さず、お母さんとお父さんに遺されて、何時も独りで居続けた私がどうしてこんな目に遭うんだろうって……もう、諦めてた」
「……」
ローウェルの語る言葉には、体験してきた者が醸し出す重みってヤツを感じた。
声に感情が入ってるというか……目尻に浮かぶ涙が決定的な証拠だ。
もしこれが演技だっていうなら、俺は一生女性不信になっちまう。
でも……。
「貴方が助けに来てくれた時、本当に嬉しかった……勿論、何で私の名前を知ってるの?どうしてそこまで真剣に私の名前を呼んでくれるの?って疑問はあったけど……結局は人違いだっただけなんだけどね」
このアリサ・ローウェルって子が語ってるのは間違いなく『真実』だ。
幾ら学のねぇ俺でも判る……もう涙が隠せてねぇしな。
彼女の言葉を聞いていると、彼女は一度目元を拭って再び俺に笑顔を見せる。
「それでも、『間に合って良かった』って嘘の無い笑顔で言ってくれた貴方の言葉は忘れたくない……だから……私から『大切な記憶』を奪わないで……お願いよ」
そう言って俺に縋る様な、懇願の篭った視線を送ってくるローウェルを見て……俺はヘブンズ・ドアーを消してしまう。
駄目だ……こんな事言われたら、この子から記憶を消すなんて出来ねえ。
もし俺が強引にローウェルの記憶を消したら、俺は自分のエゴの為に彼女の大切な思い出を『取り上げる』って事になっちまう。
それは間違いなく、テメーの欲の為だけに力を振るうゲス野郎。
俺の為にローウェルの思い出を奪い、踏み躙ったら、俺は只の『悪党』だ。
ハァ……仕方ねぇ。
こうなったらローウェルに俺のスタンドの事は喋らない様にお願いしとくか……。
『コッチだッ!!ここに1人倒れてるッ!!……まだ息はあるぞッ!!』
『これは……全身が焼け爛れてる……何をやったらこうなるんだ?』
『槙原刑事ッ!!この男、通報にあった容疑者と特徴が一致していますッ!!』
『何?じゃあコレは誰が……考えても仕方ない。上の階を捜索するぞッ!!』
『『ハッ!!』』
「「ッ!?」」
そう考えていた俺の耳に、下の階から数人の男女の大声が聞こえてきた。
『通報』と『刑事』って単語からしたら間違いなく警察だろう。
ってかヤベエッ!?ここに居たら俺まで質問攻めの対象になっちまうッ!!
さすがにスタンドの事は解らねぇだろうけど、あんだけボロボロにしたのが俺みてえなガキだってバレたら色々面倒になる。
ブッ飛ばした犯人達の記憶を書き換えてる暇はねぇし、兎に角逃げるしかねぇ。
俺は下の階から聞こえてくる声に安堵してるローウェルに視線を合わせる。
ここで頼んでおかねぇとマジにヤバイからな。
「すまねぇローウェル。警察には俺の事は誤魔化しといてくれ。じゃあな」
俺はそれだけ言って犯人を吹き飛ばした窓の穴に向かって走る。
何時までもモタついてる暇は無いからだ。
「ま、待ってッ!?な、名前ッ!!貴方の名前ッ!!」
しかし俺が窓から飛び出そうとすると、ローウェルは後ろから声を挙げて俺に名前を聞いてくる。
急いでいた俺はその声に足を止める事もせずに、只一言。
「――――ジョジョ」
自分のアダ名だけポツリと呟き、窓から外へと飛び出し、獣道を突っ切る。
もうローウェルと会う事はねぇだろう。
彼女の事は学校でも見た事ねぇし、俺も探すつもりは無い。
何より、俺にはそんな事を長々と考える時間は無かった。
何故なら――。
「SHRまで後15分……間に合ってくれよ……ッ!!」
今日までの皆勤が全てパーになりかけてるからだ。
密かに皆勤賞を狙ってる俺としては是が非でも間に合わなきゃならねぇ。
「こうなったら使える手は全部使うぜ……ザ・ワールドッ!!時よ止まれッ!!」
傍から見たら無駄無駄無駄過ぎる事に時を止める力を使いつつ、俺は学校まで文字通り全力を持って疾走した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「……あ~……チックショ~……ゴリ山めぇ」
只今昼休み、そして机に倒れこんで絶賛項垂れ中の俺。
理由は単純明快、間に合ったけどマジでギリギリだったのさ。
後10数秒ってトコで体育のゴリ山が門を閉じやがった所為だ。
何とか皆勤賞は守れたけど、マジ疲れた。
追い打ちの如くかなり本気で走ったのにギリギリだった徒労感。
それが昼休みになってドッと押し寄せてきやがった。
「あんちくしょう……こうなったらストーン・フリーの糸で硬貨の粉を飲ませてトイレ地獄に……ってストーン・フリーは今アリサが持ってんだった……」
名案だと思ったのに実行できないと悟った疲労感、プライスレス。
二度と占いなんて信じねぇぞ俺ぁ。
もう良い、今日の昼休みは寝よう、それが良い。
では、おやす「お、おいジョジョッ!?お客さんだぞッ!!」み……ハァ。
いざ夢の世界へ、と思っていた所で、俺はクラスメートから来客を知らされる。
その声に頭を引き起こせば、見慣れたクラスメートが焦った表情を浮かべてた。
「客ぅ?一体誰だよ?」
「お、俺も知らないけど、女の子でかなり可愛いぞ」
「女の子ぉ?……人違いじゃねぇの?」
今まで他のクラスの女子に呼び出された事なんて一度も無かったぞ?
「人違いじゃねぇって。「ジョジョって人は居る?」って聞いてるんだ。ウチの学校でジョジョってアダ名はお前しか居ないよ」
「ふーん?……まぁ良いや。サンキュー」
「おう。そっちの扉の方に居るからな」
伝言を伝えてくれたクラスメートにお礼を言って、俺は自分の席から立ち上がる。
今日はもう疲れたし、早いトコお引取り願うとしますか。
そう考えながら、俺はクラスの入り口に足を運び、コッチに背中を向けてる女子生徒を発見したので、声を掛けた。
「へいへい。俺がジョジョだけど、どちら様……」
しかし、眠たそうに喋っていた俺はそれ以上言葉が続けられず、訪ねてきたという女子生徒に視線が釘付けになる。
腰まで届きそうな程に長く、綺麗な『茶髪』のロングヘアー。
そして俺の良く知る少女と同じ様に左右にピョコンと縛られた髪の一部。
ふわりと振り返って俺に笑顔を見せる彼女の瞳は、薄い『灰色』だった。
余りの衝撃に呆然とする俺に、彼女は笑顔を送りつつ――。
「こうして貴方と会うのは二度目ね……御機嫌よう――ジョジョ?」
アリサ・ローウェルは、悪戯に笑いながら、早すぎる再会の挨拶をしてきた。
oh……ウチの学校だったんかい。
後書き
以上、アリサ・ローウェル救済回でした。
何とか彼女を出してくれって要望があったので書きました。
クォリティの低さはご勘弁下さいwww
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『学校』には遅刻しない。『女』も守る。お前等如きに、両方やらなくちゃあならないってのが、『目撃者』の辛いとこ(ry