No.620539

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 741

soranoさん

第741話

2013-09-18 09:25:21 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:792   閲覧ユーザー数:747

ディーター市長の提唱した『クロスベルの国家独立』の是非を問う住民投票の日が迫りつつあった。混乱していた二大国政府もようやく圧力をかけ始めていたが市民達の関心は非常に高く……アルカンシェルによるリニューアル舞台の公開と相まって市内の熱気は更に高まっていた。

 

―――そんな中、新たな問題が人知れず郊外で起きつつあった。

 

~オルキスタワー・34F・合同会議室~

 

「”幻獣(げんじゅう)”――――ですか?」

ある報告を聞いたロイドは不思議そうな表情をした。

「―――ええ、その通りよ。単なる魔獣とは言い難い、大型で不可思議なモンスター……そんな存在が、クロスベル各地で発見されるようになっているわ。」

ロイド達に説明したソーニャが促すとダグラスは装置を操作した。するとモニターに巨大な魔獣が映り

「あ……あたしらが見たヤツだ!」

「結局、止めを刺す前に逃がしてしまったけど……」

魔獣を見たリンは驚き、エオリアは考え込んでいた。

「こんな魔獣が……」

「結構大きいよね~?」

一方ノエルは真剣な表情をし、シャマーラは不思議そうな表情をし

「そういった情報は流れてはいましたが……」

「……こんな魔獣が人目に見つかったら大変な事が起きますね……」

ティオは疲れた表情で呟き、エリナは真剣な表情で言った。

「―――それだけじゃない。他のタイプも確認されている。」

そしてダグラスがモニターの画面を変え続けるとロイド達が旧鉱山で戦った巨大な魔獣や魔人化したアーネストに似た魔獣に加え、”僧院”でも戦った悪魔の姿もあった。

「こ、これは!」

「旧鉱山に現れた……!?」

「おいおい、また出たのかよ!?」

魔獣の姿を見たロイドとエリィは厳しい表情をし、ランディは声を上げ

「あの時の消滅の仕方からして、何か違和感を感じていたけど……」

「……俺達が戦った魔獣か……それとも同じ種族の魔獣……どちらなのでしょう?」

エルファティシアとリィンは考え込み

「……どこかで繁殖でもしているのでしょうか……?」

「―――繁殖の可能性はあまり考えられないがな。」

「……じゃな。こんなデカイ奴、絶対に目立つし、複数も存在していれば絶対に騒ぎになっているはずじゃ。」

「それにしても今までいなかったのに、どこから現れたのでしょうね?」

考え込みながら言ったセティの言葉にセリカとレシェンテは静かに答え、リタは不思議そうな表情をしていた。

「先日、同じタイプのものが北の山岳地帯に出現しやがってな。そちらのスコットたちに既に退治されている。」

「そうだったんですか……」

「もしかしてお2人で退治なさったんですか?」

ダグラスの説明を聞いたロイドは溜息を吐き、ノエルは目を丸くしてスコット達を見つめて尋ねた。

「ああ、不意を突いて何とか倒すことができたよ。これも君達の方から情報が回っていたおかげだな。」

「ただ、どうにも妙な手応えでな。アーツの効き方が異なる上に光るようにして消えてしまった。」

「やはり……」

「……俺達が戦った時とまったく同じみてぇだな。」

「……同じ倒され方をした……という事はまた出て来るかもしれないわね……」

スコットとヴェンツェルの話を聞いたエリィは呟き、ランディは目を伏せて呟き、エルファティシアは考え込んだ。

「しかし山岳地帯ということは……今度は”屋外”に現れたんだね?」

「ええ、これまでにも”塔”や”僧院”など異常な場所は確認されているわ。どうやら何らかの理由で”場の歪み”が発生していると推測されているのだけど……でも、これらの”幻獣”は山岳地帯や湖沼地帯などにも出現しているの。ひょっとしたら”場の歪み”がそうした屋外にも現れているのかもしれない。」

ワジに尋ねられたソーニャは真剣な表情で答えた。

 

「そ、そんな……」

「ゾッとしない話だなぁ。」

「では、私達をここに呼んだ理由というのは?」

「ああ、これらの幻獣への対応をギルドと特務支援課の双方に頼みたくてな。独立提唱がなされて以来、ベルガード、タングラム両門でやや緊張状態が続いている上、”結社”なんていう連中が司令やヴァイスハイト局長達……”六銃士”の暗殺を宣言したという……せめて住民投票が終わるまではそちらと司令達の護衛に集中しておきたいんだ。」

エオリアの疑問にダグラスは答えた。

「……わかりました。引き受けさせて頂きます。」

「分担に関してはこちらに任せてもらっても?」

「ええ、データはお渡しするからそちらにお任せするわ。それと……できれば”原因”の特定も頼みたいの。」

「原因……なぜそうした”幻獣”がいきなり現れたか、ですか?」

ソーニャの言葉を聞いたティオは疑問を口にした。

「ええ、魔獣の発生は昔から一定のサイクルで起きているけど……この”幻獣”に関してはそこから外れた”異常事態”と言っても過言ではないでしょう。」

「―――間違いなく何か原因があるはずだ。”場の歪み”を発生させて常識外れの大型魔獣が現れるだけの原因がな。」

「なるほど、確かにな。」

ソーニャとダグラスの話を聞いたランディは頷き

「ギルドの名に賭けて必ずや突き止めてみせよう。」

ヴェンツェルは静かな表情で言った。その後ロイド達はタワーを出た………

 


 
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