No.618918

機動戦士ガンダムSEEDSTRATOS 第一話 集いしは三人の騎士

以前書いていたのはリリカルメンバーによってキラたちの出番が奪われかねないと判断したため、再構築しました。
NEWSEEDSTRATOS、楽しんでもらえると嬉しいです

2013-09-12 23:24:44 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3020   閲覧ユーザー数:2873

太平洋上空。【織斑一夏】は、幼馴染みの【篠ノ之箒】を庇って〖銀の福音〗により撃墜された。

薄れゆく意識の中で、一夏は後悔で満ち溢れていた。最後に意識が途切れる寸前で見たものは、何かとても大切なものを失ったような、そんな顔をした幼馴染みの姿だった。

コズミック・イラ70。プラントと地球側との交渉の席で起こった爆発テロをきっかけに地球連合軍はプラントに宣戦布告。農業用コロニー【ユニウスセブン】に核が撃ち込まれ、二十四万人以上にも及ぶ死者が出た。

【血のバレンタイン】それが悲劇の始まりだった。

 

宇宙に浮かぶ資源コロニー【ヘリオポリス】の周辺に浮かぶ一隻の船があった。多目的輸送艦隊〖プトレマイオス〗である。

 

「……ハァ」

 

そのブリッジの艦長席に座る黒い短髪の少年、織斑一夏は腕を組みながら小さく溜め息をついた。

何故溜め息をつくのか?それは今、この船には早急に対処しなければならない問題が生じていたからだ。

その問題とは━━

 

「(食材は底を尽きかけ、それを買う金も同じく雀の涙程度……どうしたものか)ハァ……」

 

二度目の溜め息、それだけ今この船で起きている問題は厄介なことであることを示していた。

現在、プトレマイオスに乗り込んでいるのは自分も含めて同い年くらいの少年少女四名。十歳にも満たない子供たちが十五人ほどいる。大人は、一人もいない。

これまではジャンク屋として稼いだ金でどうにか持ち堪えてはきたものの、モビルスーツでも売らない限りこのままだと飢え死には避けられないだろう。事態はそこまで深刻な状況に陥っていた。

 

「やっぱりモビルスーツを売るしかないのか……?」

 

しかしそうなると問題点が浮かび上がる。それはプトレマイオス付近にあるコロニーが中立国【オーブ】に属している中立コロニー【ヘリオポリス】しかないという事だ。争いを毛嫌う為に中立コロニーに移住してきたというのにそこにモビルスーツを売りに行くなど彼らにとってはとてもいい思いをすることはない。作業用のモビルアーマーなら欲しがる者はわんさか出てくるだろうが、生憎ジャンク屋にとってモビルアーマーのような小型で作業用に特化したものは重宝されるために売ることは出来ない。

 

「どうかしたの?」

 

そんなとき、プトレマイオスのブリッジに長く黒い髪を二つに束ねて、赤いリボンでとめている。印象的なのは黄金石のような色の瞳をした少女がやってきた。

 

「あぁ、奏か……実はな」

 

【篠波 奏(ささなみ かなで)】

この世界(・・・・)で俺が最も信頼できるパートナーであり、今は亡き商業コロニー【クルジス】出身でコロニー崩壊前まではモビルアーマーとモビルスーツの大企業【イオリアス社】社長の愛娘だったが、崩壊の際企業の関係者たちとはぐれてしまい。偶々であった俺と共に逃げ出している途中でこの艦隊【プトレマイオス】と五機のモビルスーツを発見。それを使って当時引き連れていた子供たちと共にコロニーを脱出した。後に両親らと再会できたものの、どういうことか彼女は俺たちとジャンク屋を営むことを決めていた。無論、両親共に反対したのでムキになった奏は無断でプトレマイオスに乗艦。以来両親とは連絡すらしていなかった。

 

「そっか、それじゃあ運良く通りかかった連合かザフトに売り込むしかないんだね」

 

「ふつうに考えると、そういうことになるな」

 

そういえば確か先週【ヘリオポリス】の近くにあるコロニー【タオシュン】がザフトに襲撃されてたらしいな……中立に手を出すようなことはしないだろうけど通り過ぎる際に売り込みにはいけるかもしれない。

そう思いながら一夏はモビルスーツとモビルアーマーが保管されている四基のコンテナブロックに売却用のジンとシグーをフルカスタムに仕上げるよう念の為に連絡を入れておいた。

 

「じゃあさ!それまでの間ヘリオポリスで補給しない?食材以外のエネルギーとかは大型のGNドライヴでどうにでもなるけど子供たちに平和な中立コロニーを見せてあげたいもの!」

 

奏の言うとおり、プトレマイオスには大型のGNドライヴが搭載されていて、これより発せられるGN粒子によってプトレマイオスは機能している。そして子供たちに関しては通ってきたルートの関係上、彼らの故郷であった紛争コロニーが殆どだったので中立に行くのはこれが初めてになる。

 

「奏の言うことにも一理あるな……よし、船はスオウたちに任せて俺たちで中立に繰り出すとしようか」

 

スオウというのはこの艦隊に乗る整備士兼パイロットで一言で言うと不良っぽい奴だ。そのせいなのか、半年たった今でも子供たちには懐かれることなかった。因みにパイロットはあと二人、男と女の計二名いるのだがこちらは子供たちに懐かれてたりする。最も今回は艦隊にて留守番をして貰うことになりそうだけど

 

「やったぁ!」

 

まるで子供のようにその場でピョンピョンと跳ね回る奏。その際に大きく揺れる双丘についてはあえて何も言わないのが懸命な判断だ。

感想は……眼福だったとだけは言っておこう。

【ヘリオポリス】

L3宙域に存在する中立国【オーブ】の資源衛生コロニー。その中にあるとある公園のベンチに座りながら一人の少年が退屈そうに欠伸をする。まるで今、パソコンのディスプレイの端に映る出来事が他人事のように

 

「キラ~!」

 

ディスプレイを眺めていた少年【キラ・ヤマト】は声をかけられた男女二人組の方へ向く。

 

「こんなところにいたのかよ、カトー教授がお前のこと探してたぜ」

 

「えー?また?」

 

「見かけたら、すぐ引っ張って来いって」

 

彼らはキラの通っているゼミでの友人たちだ。少年の方が【トール・ケーニヒ】少女の方は【ミリアリア・ハウ】。ちなみに先ほど声をかけたのはトールの方だ。

 

「なぁに?またなにか手伝わされてるの?」

 

「全く、昨日渡されたのだってまだ終わってないのに……」

 

ミリアリアの伝言にキラは、一段とだるそうに肩を落とす。その手には一般辞書くらいの資料が握られていた。

トールはキラの隣に立つとパソコンのディスプレイを覗き見る。

 

「お、なんだ新しいニュースか?」 

 

「うん、タオシュンだって」

 

『こちら、タオシュンでは已然激しい戦闘の音が聞こえてきます』

 

「ひえ~、先週でこれじゃあ今頃はもう落ちちゃってるんじゃないのタオシュン?」

 

ディスプレイに映る一週間前のタオシュンの風景にはビルに黒い煙が立ち、巨大なモビルスーツ〖ジン〗が映っていた。

 

「タオシュンて結構近いじゃない、大丈夫かしら?」

 

「なぁに、それは心配ないでしょう。近いったってうちは中立だぜ?オーブが戦場になるなんてまずないって」

 

「そう?ならいいけど」

 

心配気味なミリアリアに対してトールはお気楽に手をヒラヒラさせて答える。それでもミリアリアの不安はあとを絶たなかった。だが彼らは知らない。あと数時間もせずにここが次の戦場になるということを……

キラは自分のパソコンの上をチョンチョン、と跳ねる鳥型ロボットを眺めていた。

〖トリィ〗かつて幼少時代を共に過ごした親友から別れ際に貰った親友の証。そしてキラはトリィのカメラの向こうに親友の姿を写し、あの桜並木での出来事を思い出す。

 

『本当に戦争になるなんて事はないよ。プラントと地球で』

 

この時、トリィはキラの手のひらに飛び移る。

 

『避難なんて意味ないと思うけど、キラもそのうちプラントに来るんだろ?』

 

そう言ってキラの想う少年は優しく笑っていた。

 

「キラ?」

 

「うわぁ!?」

 

しかし、それはトールの顔面ドアップにより、あえなくも現実に引き戻される。

 

「何やってんだ、早く行くぞ」

 

「う、うん」

 

そう答えてからキラはパソコンを鞄へとしまい、腰をあげようとしたその時だった。

 

『トリィー!』

 

「あ!」

 

トリィはトールたちとは正反対の方向へ飛び立つ、キラは慌ててトリィを追い掛けると、その後をトールとミリアリアが一旦不思議そうに顔を合わせてから自分たちもキラの後を追い始めた。そうして、キラは林のだいぶ奥の方に来ると、トリィが何かに止まった。

 

「っ!?」

 

トリィが止まっているものの正体を見た途端、キラたちは驚愕の顔に変貌した。

 

「な、何だよこりゃ!」

 

「酷い傷……」

 

そのトリィが止まっていたのは、妙にボディラインのわかるピッチリとしたスーツの様なものを着た全身傷だらけの少女だった。

 

今、ここ【ヘリオポリス】に後の英雄と呼ばれる三人の騎士が集った。

あとはただ、時を待つばかりである。

newSEEDSTRATOSはどうでしたか?

最後に出てきたのはオリキャラですが、実はある人物と意外な関係にあります。

次回は戦闘シーンに突入したいと思ってます。

 

それではっ!


 
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