「目が覚めるとそこは視界一面の平原でした」
……うん。自分で言っといてなんだけど意味が分からない。突然こんなことを言い出すやつがいたら俺なら正気を疑う。
「……けど、ほんとのことなんだよなぁ」
昨日は部活で疲れ果てて、自分の部屋についた途端ぶっ倒れてしまったはずだ。俺に寝ている間に歩き回る様な持病でもない限り目が覚めるのは自分の部屋のはずだ。……そんな持病をもってた覚えはないし、仮に持っていても今の状況は少し突飛すぎるけど。
あたり一面に見えるのは見たことないようなゴツゴツした山と岩、地平線、そして異常に青い空。……ホント俺、なんでこんなトコにいるんだ?
「……ていうかここ、どこ?」
「ん?ここはねぇ、涼州にある天水の近くだよ」
「あぁ、ありがとう……ってえぇ!? どこから声がっ!?」
「ここにいるぞ~」
声の聞こえてきた方へ振り向くと、じゃーん!!なんて効果音が聞こえてきそうなドヤ顔で元気に手を挙げている可愛らしい女の子がいた。すぐ後ろに近づかれても気が付かないほど考え事に夢中になっていたってことか……
「……びっくりしたよ」
「んふふ、ごめんね? お兄さん、なんか考え事してて全然こっちに気が付かないから」
「そんなに?」
「うん、なんかぶつぶつ言ってて気づく気配もなかったよ」
「あぁ……聞かれちゃってたか。ちなみにどの辺から?」
「ん?『目が覚めると~』のあたり?」
……最初からじゃねえかっ!! よく見ると後ろのほうにある岩陰に馬がつながれている。あのあたりに隠れてこちらを観察してたようだ。
……ん? 馬? なんで、馬?
「そりゃあ、お城からこの辺じゃちょっと遠いし」
どうやら最後のほうは口に出てたらしい。お城? またよくわからんな……
「あ、あぁ……」
「それよりお兄さん誰? どうしてこんなとこで寝てたの?」
「えぇと……自分でも何が何やら……」
どう説明したもんかと悩んでいると、今頃になって女の子の突飛な服装に目がいった。
可愛らしくてよく似合っているが、どう見たってふつうではない。そう、まるで……
「コスプレ? どこかでイベントでもやってるの?」
「こーすーぷれ? いべんと? よくわからないよ?」
「え? それって……」
「おーい!! 勝手に一人で行くなよー……ん? 誰だ? そいつ」
「あ、お姉さま。すっかり忘れてたよ」
「忘れてたってお前なぁ……で、そいつ誰だ?」
どうやらこの娘のお姉さんが遅れて追いかけてきたようだ……雰囲気も似ているところ が結構あるし。
「んーとね……ここで寝てて、起き上がった途端にぶつぶつ言い始めた人」
「ちょっ!?」 「マジかよ!アブないやつじゃないだろな……」
なんか距離とられたぞ……こりゃあちゃんと説明しないと変質者確定だぞ……
どうするべきか頭を抱えてしまいそうになったところで先ほどの自分の質問を思い出し た。
「ねぇ、さっきも聞いた気がするんだけど、ここってどこかな?」
「うん? だから涼州の天水の近くだって」
涼州……たしか歴史の授業かなんかでみた気がするぞ。ってことはここは中国なのか?
んな馬鹿な……とは思ったもののどうみても日本の風景じゃないしなぁ。
でも中国だったとして、今こんな風景残ってるのか? それに涼州って昔の地名で今は
甘粛省っていうんじゃ……
「じゃあここは中国の甘粛省なんだね?」
「ちゅうごく? かんしゅく? なに言ってんのか全然わかんないぞ。 涼州は涼州だ って」
あとからやってきた女の子が答えてくれた。おい、どういうことだ? 中国じゃないの か?
「今って西暦2008年だよね?」
「せいれき? なんのことだ?」
どういうことだ? なにかが決定的に噛み合わない。別の星の人と話してる気分だ……
「? なんかよくわかんないけど……今度はこっちが質問してもいいか?」
「あ、あぁ」
「お前、名前は? どこから来た? 見たところこのあたりのやつじゃないみたいだが。 変な服着てるし」
俺の服装変か? 普通の制服だと思うんだけど……
「ええと……俺は北郷一刀って言うんだ。どこから来たっていうか、なんでここにいる のかよくわからないんだけど……」
「はあ? 自分のことだろ?」
あ、なんか呆れられてる。
「まあいいや。どこの出身だ?」
「東京の浅草だけど。」
「とうきょう? あさくさなんて知ってるか?」
「知らなーい」
まじかよ……聞いた地名的には中国みたいだけど、違うのか?
「姓が北、名が郷、字が一刀か?」
「いや、姓が北郷、名が一刀、字っていうのはないよ」
「ふぅーん。変な名前だな。あたしは馬超ってんだ。こいつは従妹の馬岱」
「よろしくね~」
「よろしく……」
馬超に馬岱ね……って、ん?
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「うひゃう!? なんだよ急に大声出して」
「ご、ごめん!。ええと馬超の字って孟起…であってるかな?」
「そうだけど……なんで知ってんだ? どっかで会ったことあるか?」
「い、いやないはずだけど。ごめん、本当に馬超っていうの?」
「しつこいな……そうだって」
マジかよ。馬超っていったら三国史の超有名人じゃねぇか……従妹の馬岱も聞いたこと ある名前だし……タイムスリップでもしたっていうのか? 目の前のこの娘達はどうみ ても女の子だぞ? でも嘘を吐いてる様に は見えないし……どうなってんだ?
……でももし、この娘たちの名前が本当で俺の知ってる武将たちだとして、ここが三国志の 時代だとすれば、日本の地名が分からなかったり、制服を珍しがったりするのにも納得 がいく……のか?
「ちょっと確認してもいいかな? 今の皇帝って霊帝?」
「そうだけど……」
「マジか……」
「うん」
どうやら本当に1800年近く前の世界みたいだ……どうなってんだホントに。
あとがき
なんとか書いてみたものの会話が無駄に長すぎてテンポ悪いかも……気のせいかな?
もし読みづらいなーとかあったら言っていただければ次から気を付けます。
でも、ふつういきなりそんな状況ならもっと混乱する気もして長くなっちゃいました。
キャラ同士の掛け合いもむずかしい!!
でも書きたいんだからしょうがないっ!!ってことで次も頑張っていきたいと思います。
次あたりで序章何としてでもおわらせたいな……
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早く仕上げるとか粋がっといて早くねえじゃねえかとおもいながらの投稿です。
会話が長すぎて終わんない……