ミノルとアキラは村の入り口に立っていた。

「あの砂塵か・・・数は？」

「聞いたけど・・・300近くだって」

「最低ノルマは100だな」

「相変わらずだね・・・兄さん、足手まといにはならないでね」

「その言葉そっくりそのまま返すよ」

入り口の前でのん気に話している二人。

「「「「いやっほーーーー」」」」

賊たちは走りながら叫んでいた。

「親分！入り口に誰かいますぜ？」

賊の一人が親分という賊の長に言った。

「あぁ？別にかまわねえ！やっちまえ！！」

「「「「「おおおおーーーーー！！！」」」」」

「来たぜ・・・心の準備はいいか？」

「もちろん･･･」

二人は武器を構えた。そして・・・賊に向かって走っていった。

「「行くぞおおおーーーーーーー」」

「おらぁ！」

「「「「うわあぁぁぁぁ」」」」

ミノルは一振りで４、５人をぶっ飛ばした。

「何だアイツは！？」

賊がミノルの行動に驚いている。

「よそ見している暇はない！」

「ギャアア」

その隙にアキラが素早い剣捌きで賊を次々と切り倒している。

「さすがは自慢の弟、そこにしびれるあこがれるぅ！！」

「またのん気に可笑しなこと言って！」

そう言いながら二人は次々と賊を倒している。

「何だこの二人、強すぎる！」

「だったら数で勝負しろ！」

半ギレ状態で手下に命令する親分。

「数で来るね・・・」

「しびれを切らしたんだろう・・・とっとと終わらすぞ」

お互い背中を合わせて言う二人。

「「「「死ねえーーーーー！！」」」」

数十人の賊の部下が二人に襲ってきた。

「封炎・・・」

「封雷・・・」

「「解放！！」」

「「「「ウギャアアーーーーー！！！」」」」

ミノルの持つ剣の周りから紅蓮の炎が、アキラの剣の周りに蒼い雷が賊たちを吹き飛ばした。

「何だ？何だ？」

「何だあれは！？」

ミノルの剣が赤いオーラを、アキラの剣が青いオーラを纏っていた。

「さあ、覚悟は・・・」

「おありですか？」

二人の殺気に下がる賊達、だが…

「そんなのハッタリだ！やっちまえ！」

「「「「うおおーーーーーーー」」」」

親分の言葉に反応した奴らが、襲ってきた。

「フン！」

「ギャアアアアア！！」

ミノルの剣から炎が噴出し、賊たちをなぎ払った。倒れた賊たちは身体の所々焦げている。

「遅い！！」

「オギャアアア！！」

アキラの剣から青い雷が発生し、早い剣捌きで次々と賊を倒している。

気がつけばもう賊の親分しかいなかった。

「はい、後はあんただけだ」

「ぐぐぐ・・・貴様ら・・・」

「さあ観念してもらいましょうか！？」

「うるせえ！これでもくらえ！！」

親分が手に持っていた棍棒で殴ってきた。だが、

「せい！」

親分が振った棍棒をミノルは剣で軽々と弾いた。

「な・・・んだと・・・」

「どうした？本気で来いよ？」

そう言って中指立てて挑発するミノル。

「調子に乗るなー！！」

親分は再び大きく棍棒を上から振り上げようとしたその時。

「隙だらけだ！」

ミノルは親分の腹をおもいっきり殴り、膝をつく親分。

「どうする？まだやるか？」

「うぐ・・・」

膝をつく親分に見下す態度をとるミノル。

「わかった！この村にはもう手をださねえ！だから見逃してくれ！」

突然態度を変え親分が土下座をしる親分。

「何をいまさら・・・」

そう言って親分を切ろうとするアキラを止めるミノル。

「わかった・・・」

「えっ？」

「兄さん！」

ミノルの一言に驚くアキラ。

「逃げんならさっさと逃げるんだな？」

「ありがてえ！」

剣を鞘にしまい、ミノルとアキラは村に戻ろうと親分に背を向けた。

「・・・・ニヤ」

親分は側にある棍棒に手を出そうとしたが・・・

『グギ！！』

「ギャアアーーー！！」

棍棒を手にした時、誰かが足で親分の手首を踏み断末魔の叫びを上げる親分

「逃げるのに棍棒は必要ないだろう？」

涙を流しながら親分が声をした方を見ると、血も涙もないような顔をしたミノルがいた。

「その棍棒で何をしようとした？大方後ろからその薄汚い棍棒で殴る魂胆だったんだろう・・・」

ミノルの言葉に顔を青ざめる親分。

「その顔色だと…図星だな？」

そう言って落ちている棍棒を手にするミノル。

「ま！待て！俺を逃がすんだろ！話が違っ・・・」

「おいおい・・・何勘違いしてんだ？俺は逃げていいとは言った、けど・・・」

ミノルは棍棒を振り上げる。

「殺さないとは言ってねえ…」

ニヤリと笑いながら棍棒を親分の顔めがけて振り落とした。

ミノルは顔についた親分の血を拭った。

「兄さん・・・もしも親分が普通に逃げ出したらどうしたの？」

「普通に逃がしてた・・・」

そう言ってミノルは親分の血で真っ赤な棍棒を投げ捨てた。

「はい…おしまい」

「ふぅ・・・」

『『『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおお』』』』』

「「何だ？？」」

二人が声がした方を振り向くと、村人達が歓喜していた。

「すげー！すげーよ！あんたら」

「炎と雷が出てたぞ！！」

「賊達が死んだぞー！」

「俺達は助かったんだー！！」

そう言いながら村人が二人のもとにやって来た。

「遣いだ！天の遣い様だ！！」

「「「「「「「「ははっ」」」」」」」」」」

二人を前に村人全員が何故か膝をついて、頭を下げている。

「天の・・・遣い？」

「どういう事でしょうか？」

「ある占い師が言っていたんだ『異界の彼方からこの戦乱に喘ぐこの世界を救う者現れる。』と」

「異界の・・・」

「彼方から・・・」

『『それって俺「僕」達の事かーーーーーーーー！！』』

二人は心の中で叫んだ。間違いなく自分達だと・・・

その後、賊らしきアジトを見つけたミノルとアキラはそれを鎮圧、盗まれたものは村の人たちに返したのだ。そして村では宴をやり、二人を盛大に祝った。

翌日

二人は賊が盗んだと思われる馬に荷物を持たせ、馬に乗っていた。

「遣い様・・・良いのですか？３日分の食料と水だけで？」

「ああ・・・俺達は異界から来た者、まだこの世界の事はわからないしな・・・」

「僕達はそれを見るために、旅をしていきます。もちろん『天の遣い』は伏せてね」

「何故です？」

「俺達が『天の遣い』だと知ったら、色々な国々が俺達を自分達の物にするため動き出す」

「そういうのはあまり僕達は好みませんから」

そう言ってミノルとアキラは馬に乗って、村を後にする。

二人は馬を操り、荒野を駆ける。彼らが向かう運命とは…

つづく