No.616842

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!

2013-09-07 13:00:42 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:623   閲覧ユーザー数:609

 

 

episode209 突然の始まり

 

 

 

 それは突然訪れた。

 

 

 

「・・・・」

 

 隼人はエレベーターの中で「まだか」と苛立ったように呟いて腕を組む。

 その傍にリインフォースが立っていた。

 

 リインフォースよりある事を聞かされて、隼人は急いでIS学園の秘密区画に向かっていた。

 

 

 

「来たか、神風」

 

 隼人が秘密区画に到着すると、千冬が居た。

 

「バインドが本格的に動き出したって本当ですか!?」

 

「あぁ。太平洋上で異変が起き始めている。同時にその空域にバインドが次々と集結しつつある」

 

「・・・何を始める気なんだ」

 

 

 

「っ!?」

 

 すると突然モニターの全てにノイズが走り、何かが映り出す。

 

「・・・バルバトス」

 

 そしてノイズが消えると、そこには背後にハルファスベーゼやマスターフェニックスなどの幹部を従えるバルバトスが現れる。

 

 

 

『全人類に告ぐ。我々はバインド』

 

 バルバトスはゆっくりと言葉を綴る。

 

『度々お前達の世界を襲撃してきたシャドウと言う存在は・・・我々の事だ』

 

『これって・・・』

 

「宣戦布告か」

 

「・・・・」

 

 

『我々は今までお前たちの世界に襲撃を掛けてきた。そして、時が来たのだ』

 

 バルバトスが右手を前に出して手を広げると、後ろより多数の光が発光して、画面の一面を覆うほどに大量なレギナが姿を現す。

 

『下等なる人間共よ。余計な犠牲を払いたくなければ、我らに下るがいい』

 

「・・・・!」

 

『我らバインドは・・・これよりこの世界を破壊する!歯向かう者は、容赦なく排除する!』

 

 

 そうして宣戦布告が終了して元のモニターに戻る。

 

「何てことだ・・・」

 

「よくありげな宣戦布告だったが・・・」

 

 隼人はモニターに映る太平洋を見ると、さっきまでの異変の原因が姿を現す。

 

 

「・・・こいつは」

「・・・・」

『・・・・』

 

 それを見てその場に居た全員が息を呑む。

 

 

 太平洋上に、とてつもなく大きな反応が現れたからだ。

 

「冗談だろ・・・」

 

「くっ・・・」

 

『・・・・』

 

 それはあまりにも巨大な・・・方舟であった。

 

 

 

『あれがバインドが持つ最終兵器・・・・・・「ニューロ」だ』

 

 と、モニターにノアの姿が表示される。

 

『ノア?』

 

「あの巨大な船みたいなものを知っているのか」

 

『あぁ。忌まわしき禁断の兵器だ。この世界だけでは済まないほどの力を秘めている』

 

「なんだと・・・?」

 

 

「・・・ヴィヴィオから取り出された、あいつらが言う鍵で起動したのか」

 

『あぁ』

 

「・・・・」

 

『やつらはこの世界を破壊し尽すだけでは終わらんだろう。この世界を破壊し尽くした後は、別の世界に向かうはずだ』

 

「・・・・」

 

『何だと・・・』

 

『我々もそちらに向かっている。合流後、作戦会議だ』

 

「・・・分かった。メンバーを集めておく」

 

 そうして通信が切れる。

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

 

 その日の夜、の後グリッター、ハルファス、フェニックスが合流し、バインドのニューロについての情報と、その対策を話し合った。

 一つの中規模の国土並みに巨大な船体を持つニューロの攻略は一筋縄ではいかない。そこで、ハルファスとフェニックスが手に入れたニューロの構造データを元に対策を練っている。

 

 

 

 準備の為に隼人はネェル・アーガマの甲板上に出来上がったユニットの調整作業を投影型モニターとパネルで行う。

 

「はぁ・・・」

 

 ため息に近い息を吐くと、隼人は作業を一旦止めて両手を組み、腕を伸ばして背伸びをする。

 

(しかし、本当にアルタートゥムの製造性能には驚かされる)

 

 

 

 

「隼人」

 

「・・・・?」

 

 隼人が声がした後ろを向くと、そこに簪が居た。

 

「簪・・・どうした?」

 

「ちょっと・・・気になって」

 

「そうか」

 

 

 

 

 

「・・・調整の方はどうなの?」

 

「もう稼動できる状態だ。後はそれぞれの機体にマッチングさせるだけだ」

 

 簪が持ってきたジュースを飲みながらネェル・アーガマの隔壁にもたれかかって話す。

 

「・・・やっぱり、隼人は凄いね」

 

「そうでもないさ」

 

「で、でも、こんなに凄い物を作れて、その調整も出来ちゃんだから・・・凄い以外に何があるの?」

 

「・・・そりゃ、こんな物を造れるのは凄い事に変わりはない。・・・だが、俺自身はそうじゃない」

 

「・・・・」

 

「ヴィヴィオが連れ去られて、それからは身勝手ばかりに、理不尽にしてきた」

 

「隼人・・・」

 

 

「まぁ、みんなは許してくれたが、俺的にはあんまり許してもらえたとは実感できない。やった事がやった事だからな」

 

「・・・・」

 

「・・・少し湿気た話になってしまったな。みんなが許してくれたのなら、そうなのだろうな」

 

「・・・・」

 

 

「次の日の朝には太平洋に出発するようだ」

 

「そうなの?」

 

「今は出現地点から動いてないが、動き出す前にこちらから攻めるそうだ」

 

「・・・・」

 

「今までにないぐらいの激戦が予想される。・・・必ず死傷者も出るぐらいの」

 

「・・・・」

 

「でも、俺は必ず仲間達を守る。今度こそ・・・絶対に・・・」

 

「・・・・」

 

 

「・・・・・・その中に、私も含まれるの?」

 

「当たり前だろ?君は絶対に守る。何があってもな」

 

「・・・・」

 

 簪は頬を赤く染める。

 

 

 

「ねぇ、隼人」

 

「ん?」

 

 少ししてから、簪が口を開く。

 

「・・・こんな時に、言うのも何だけどね」

 

 頬を赤く染めながらも、言葉を綴る。

 

「私ね・・・ずっと・・・言いたかった事があるの」

 

「・・・・」

 

「は、隼人の事が・・・・・・す―――――」

 

 

 

 

『隼人。ノア達があなたを呼んでいます』

 

 しかし簪が言い終える前にリインフォースより通信が入る。

 

 簪はピタリと止まり、隼人は片方の眉がピクッと動く。

 

 

「・・・分かった。今行く」

 

『・・・?お話中でしたか?』

 

「・・・まぁ、そんな所だな」

 

「・・・・」

 

 

 

「・・・簪。すまないが、続きは別の時でな」

 

「う、うん」

 

 そうして隼人はすぐに移動する為にバンシィ・ノルンに変身して飛び出す。

 

 

「・・・・」

 

 簪は深くため息を付いて俯く。

 

(また・・・言えなかった)

 

 大胆に出来ない自分が恨めしかった。

 そしてさりげなく鐘の音がした気がする・・・

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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