No.616410

【短編】世界でいちばん強い、戦士達の王(世界でいちばん強くなりたい!×ザ・キングオブファイターズ)

三振王さん

この作品は10月にアニメ化される「世界でいちばん強くなりたい!」とKOF他SNK格ゲーのクロスオーバーSSになります。

2013-09-06 02:27:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4999   閲覧ユーザー数:4972

 【短編】世界でいちばん強い、戦士達の王(世界でいちばん強くなりたい!×ザ・キングオブファイターズ)

 

 

 

 

 

 とある体育館の中央に設置されたリング、そこでは今女子プロレスの試合が行われており、周りの観客席にはその試合を見に来た客の歓声や野次が飛び交っていた。そしてその声を一身に受けるのは中央のリングで戦っている二人の女子レスラーである。試合はゴリラのような体型をした、ヒールレスラー特有の凶悪さを表現したメイクを顔に施した大女が、白と赤のリングコスチュームを身に纏った年若い女子レスラーを一方的に打ちのめす展開になっていた。

 

「ほらほら反撃して見ろ! この糞アイドルが!」

「ぐ……!」

 

 コーナーポストまで追い込まれた年若いレスラー……萩原さくらは、リング上に尻餅をつきながら相手レスラー……ユンボ山本にコーナーポストに挟まれるように足で顔を踏み付けられていた。

 なんとか反撃しようともがくさくら、しかしこれまで蓄積した疲労とダメージに加え、相手レスラーの体重に押さえつけられ身動き一つ出来ない。しかし突然相手レスラーはさくらの顔から足を退けた。

 

「このまま終わってもつまらねえな……オラッ!!」

「きゃ!?」

 

さくらはそのまま相手レスラーに髪を掴まれて無理やり立たされ、筋肉で太くなっている腕で繰り出されたラリアットを喉に受けてしまう。

 

「がはっ! げほっ!」

 

 吹き飛ばされて地面に伏しながら息苦しさに咳き込むさくら、対してユンボは彼女をうつ伏せに転がすと、彼女の両足を両腋で抱え込んでそのまま彼女の身体をまたぐようにステップオーバーし、背中を反らせて背中・腰を極める。プロレスの代表的な技、逆エビ固めである。

 

「ああああ! くううう……!!」

 

 腰に来る凄まじい痛みに声を上げるさくら、彼女はそのまま体を這うように移動させ、目の前にあるロープを掴もうとする。

 

「させるかよ!」

「うああああ!!?」

 

 しかしユンボはさくらの体を引っ張り、嫌味ったらしく彼女の手とロープがギリギリ届かないところまで移動し、さらに自分の体重を掛けてさくらの腰にさらなるダメージを与える。

 

「い、痛いぃぃ……!」

 

 余りの痛さに歯を食いしばりながら涙を流すさくら、それでも諦めずにロープに手を伸ばそうと体を一気に動かす。

 

「させるか! やれ!」

 

 しかしユンボは不敵に笑うと、セコンドの後輩レスラー達にさくらが掴もうとしたロープを引っ張らせ掴ませようとしない。その時点でさくらの心は折れてしまった。

 

「おら!! とっととギブアップしな!!」

「ぎ、ギブアップ……!」

 

 その瞬間、試合終了のゴングが鳴り響き、ユンボはレフェリーに止められさくらの体を乱暴に打ち捨てると、仰向けに倒れる彼女の横顔を踏み付け自分の勝利をアピールする。

 観客席からブーイングが飛び交う、しかしそれは暴虐不尽な態度を取るユンボに対してだけではなかった。

 

「もう辞めちまえ!」

「いいかげんにしろ! いつも同じような負け方しやがって!」

「プロレスをなめるな! アイドルに戻っちまえ!」

 

 観客の半分以上がさくらに対し罵声を浴びせてくる。そんな中実況アナウンサーの実況が会場に響き渡る。

 

『萩原さくら敗れる! 今日も逆エビ固めでギブアップです! ついにデビュー戦から50連敗! ベルセルクワースト記録を更新であります!』

 

 そしてさくらはユンボの勝利アピールの材料として散々弄ばれた末に解放され、罵声や投げ込まれたゴミが飛び交う花道を歩いて控室の方に戻って行った……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 萩原さくら……日本の人気アイドルグループ“Sweet”のメンバーであった彼女は、ある日TVの収録で女子プロレス団体“ベルセルク”の女子プロレスラー風間璃緒と一悶着を起こして怪我をしたSweetのメンバーである宮澤エレナの仇を討つため、璃緒にプロレスで挑むが返り討ちに遭ってしまう。

大切な物を傷付けられたさくらはSweetの活動を休止し、プロレスに挑戦することを宣言しベルセルクに入団する。

しかし現実は甘くなく、さくらは璃緒にリベンジはおろか自分のウィークポイントを攻めてくる相手レスラー達に初勝利すら上げることが出来ず、苦しみ、悩み、もがいていた……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

「はあ……」

 

 花道を抜け、控室まで続く廊下をさくらは暗い顔をして俯きながら歩いていた。自分のわがままで沢山の人に迷惑を掛けてまで挑んだプロレス、しかし自分を待っていたのはプロからの洗礼、受けた技の激痛、リングに上がる事への恐怖、メディア、観客、そして自分を応援してくれていたファンからのバッシング、そして不甲斐ない自分への苛立ちからか、彼女の心は完全に折れ掛かっていた。

 

「もう……駄目なのかな……」

 

 さくらは瞳に涙を溜めながら呟く。彼女の心の中にはもうこの今の状況から逃げ出したいという気持ちで一杯になっていた……。

 

 

 

「あの……萩原さくらさん?」

 

 その時、さくらの背後から声を掛けてくる者が居た。さくらは咄嗟に腕で涙を拭うと、声がした方向を振り向く。そこには……青みが掛かった黒いロングヘアーに、星の形をした飾りのついたヘアバンドを頭に付けた、さくらと同じ17歳ぐらいの可愛らしい少女が居た。

 その少女に、さくらは見覚えがあった。

 

「麻宮……アテナさん?」

「あはは! やっぱりさくらさん! お久しぶりです! 前の歌番組の時以来ですね!」

 

 そう言って親しげに語り掛けてくる少女……麻宮アテナ、彼女はソロ活動する人気アイドルであると同時に、“サイコソルジャー”と呼ばれる超能力を扱って戦う格闘家でもある。さくらはSweetに所属していた時、歌番組の仕事で彼女と出会い親交を深めていた。

 

「アテナさん……どうしてここに?」

「知らなかったんですか? 私今日の試合解説で呼ばれていたんです。それにしてもさっきの試合……惜しかったですね」

「……」

 

 アテナの言葉に、さくらは再び暗い顔をして俯いてしまう。アテナはその様子を見て慌てて空気を換えようとする。

 

「あああ!? そ、そんな落ち込まないで! 次こそ絶対勝てますよ!」

「……いいえ、次はもうないと思います」

「え?」

 

 さくらの一言に顔色を変えるアテナ、彼女はそのまま傍にあったベンチにさくらを座らせ、彼女の悩みを聞いた。

 

「そんな……辞めちゃうなんて……」

「いいんですもう……私にこの世界は向いていなかったんです」

 

 そう言って自嘲気味に笑いながら言うさくら、そんな彼女を見てアテナはしばらく真剣に考え込んだ後、ある事を思いついた。

 

「あの……さくらさん、コレあげます!」

「え?」

 

 そう言ってアテナは一枚のチケットをさくらに手渡す。それはとあるドーム会場で開かれるプロレスの試合のチケットだった。プロレスはプロレスでもさくらたち女子プロレスとは違う、男子プロレス、それも海外団体の物だが。

 

「これって……男子プロレスの興行の?」

「はい! 実はその試合の解説の仕事が入っているんです! よかったら見に来てください! 絶対にですよ!」

「え、ちょ! アテナさん!?」

 

 アテナはそのままさくらの制止も聞かず、そのまま足早に去って行った……。

 そしてその場に残されたさくらは、一人でじっとそのチケットを見つめていた。

 

「男子プロレスの試合……」

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 一週間後、とあるドームの会場前、大勢の観客でにぎわうこの場所に、さくらはサングラスにハンチング帽というちょっとした変装をしてやって来ていた。

 

「ここがアテナさんの言っていた……」

 

 さくらはすぐ傍にあった看板を見る。そこには雷の模様が入った青いレスリングスーツに覆面と言った格好の男が描かれていた。

 

“暴走重戦車ライデン、日本上陸!”、そんなうたい文句が看板に描かれていた。

 

(そう言えば私、プロレスとか格闘技の歴史とか全然知らないな……)

 

 思えばさくらはつい最近プロレス……格闘技の世界に飛び込んだ身であり、こう言った有名選手の情報や世界大会が開かれているかなどの知識は全くなかった。それ故に、目の前の看板に描かれている選手がどれほどすごいのかいまいちピンと来なかった。

 

(どんな人なんだろう、この人……)

 

 そうやってさくらがぼーっと看板を眺めていた時、突然彼女の背後に何かが当たり、体がふらついてサングラスが地面に落ちた。

 

「ぶふふぉ、悪いな嬢ちゃん」

「あ、いえこちらこそ……うわっ!?」

 

 さくらはすぐさま後ろを振り向いて謝る、が……自分がぶつかった相手を見て驚いてしまった。その相手は身長2mをゆうに超え、かなりの肥満体で周りを圧倒するテコンドーの胴着を着たスキンヘッドの髭面の男だった。

 

「何をしているんだチャン君! 早くしないとアテナさんに会えないではないか!」

 

 その時、会場の方から銀の長髪の男がその肥満体の男に声を掛ける。手にはアテナの写真がプリントされており、一発でアテナのおっかけだという事が解る。

 

「ぶふぉー……もう勘弁してくれよ……」

 

 肥満体の男はウンザリした顔で銀の長髪の男の元へドスドスと走って行った……。

 

「い、色んな人がいるんだなぁ……」

 

 さくらは戸惑いつつも地面に落ちたサングラスを拾い上げようとする。しかしその様子を周りの人間に見られていた。

 

「あ! 萩原さくらだ!」

「サインくださーい!」

「50連敗に付いて何か一言!」

「あ、やば……!」

 

 さくらは自分に迫ってくる人々から逃げるように、自分もドームの中に入って行った……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 数分後、何とか会場の中に入れたさくら、しかし……。

 

「どうしよう……コンサートしたことないドームだから迷った……」

 

 逃げる事に夢中でさくらはいつの間にか人気の無い廊下に迷い込んでしまっていた。

彼女は道を聞くためスタッフがいないかキョロキョロと辺りを見回しながら歩き続ける。そしてとある控室の扉を発見し、ドアノブに手を掛ける。

 

「すみませーん、ちょっと観客席がどこか聞きたいんですけど……」

「あん?」

 

 控室の中には青いレスリングスーツに青いマスクを被った大男……看板に描かれていたプロレスラー、ライデンが居た。

 

「え!? うぇ!? あの……間違えました!」

 

 予想外の遭遇に慌てて控室を出ようとするさくら、しかしそんな彼女をライデンは呼び止めた。

 

「ちょっと待て! お前……確か萩原さくらだったな、ベルセルクの」

「え? 私の事知っているんですか?」

 

 有名人(らしい)のライデンが自分の名前を知っている事に驚き、思わず足を止め振り返るさくら。

 

「ああ、俺の知り合いに日本人の女子プロレスラーがいるんだけどな、そいつが最近面白いレスラーがデビューしたって言っておめえの事教えてくれたんだよ」

「ああ、ええ、そうなんですか……」

 

 “面白い”という単語に何だか引っかかるさくら恐らくアイドルから転身したことか、もしくはデビューから勝ち無しの50連敗の事を言っているのだろうか。その女子レスラーとやらは態々外国人であるライデンにその事を教えたのだろうか、ちょっと意地が悪いなあとさくらは思ってしまった。

 

「なんだあ? シケた顔しやがって! そんな顔してたら勝利の女神が寄り付かなくなるぜ!」

 

 そんなさくらの心境を知ってか知らずか、ライデンはガハハと笑いながら彼女の背中をバンバン叩く。あまりの威力に咳き込んでしまうさくら。

 

「ゴホゴホ!? す、すみません……」

「ま、戦うのが嫌になる事もあるだろうけどよ、そういう時はさらにファイトを重ねるのが一番だぜ!」

「え?」

 

 さらにライデンは予想外な事をさくらに言う。さくらは何故この人が自分がプロレスを辞めたがっている事を知っているのだろうと疑問を持った。

 

「ライデンさん、そろそろ出番……」

 

 その時、控室にTシャツ姿の年若い外国人のレスラーが入って来た。恐らくライデンの後輩だろうか。

 

「おうちょうどよかった! この嬢ちゃん迷子らしい、客席に案内してやんな!」

「あ、わかりましたー」

「あ、あの……」

 

 さくらはライデンに何か言おうとする。しかしライデンは彼女の言葉を遮るようにニカッと笑って親指を立てた。

 

「嬢ちゃん、今日の俺の試合はメーンイベントだぜ、しっかり見てってくれよな!」

「は、はい!」

 

 さくらはそのまま年若いレスラーに連れられて控室を去って行った……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 数分後さくらは若手レスラーに観客席まで案内された後、チケットに表示されている番号の客席がある前列にやって来た。

 

(アテナさんは……あそこにいる)

 

 さくらは一旦席に座り右側を見る。そこにはゴングが置いてある実況席があり、実況アナウンサーの隣にはアテナが座っていた。

 

「失礼、お隣よろしいですか?」

 

 その時、さくらの隣に若い金髪のアメリカ人が座席と座席の合間を掻い潜って歩いて来た。

 

「どうぞ」

 

 さくらは少し足を椅子側にひっこめながらそのアメリカ人を通し、彼を隣の席に座らせる。

 

「おや……? アナタはもしやベルセルクの?」

 

 ふと、そのアメリカ人はさくらの顔を見てハッとする。彼もまたさくらがプロレスラーであることを知っているようだ。

 

「は、はい、ベルセルクに所属していますプロレスラーです……」

「失礼、実は僕こういう者でして」

 

 そう言ってアメリカ人はさくらに一枚の名刺を渡す。その名刺には“デイリーセカンドサウス ケイン・ゴールドマン”と書かれていた。

 

「デイリー……新聞記者さんなんですか?」

「ええ、この国で取材の仕事があったんですが……今はプライベートで観戦に来ているんです。僕、ミスター・ライデンの子供の頃からのファンなんですよ」

「ライデンさんの?」

 

 首を傾げるさくらに、アメリカ人……ケインは目をキラキラさせながらライデンについて話し始める。

 

「はい、ミスター・ライデンは昔SWF(SNK Wrestling Federation)にベビーフェイスとして活躍していたレスラーなんですよ。ここ最近KOFに出るようになって人気になってましてね……ファンとしてはすごく嬉しい限りです」

「ごめんなさい……ちょっとそう言うのよく解らなくて……」

「そうなんですか? じゃあ……」

 

 そう言ってケインは自分の書いた記事が載っているスポーツ雑誌(日本語訳版)をさくらに手渡した。

 

「そこにミスター・ライデンのプロフィールが載っています。ぜひ読んでください」

「はあ……」

 

 さくらは試合が開始されるまでの間、雑誌に書かれたライデンのプロフィールに目を通した……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 暴走重戦車の異名を持つライデン、彼のプロレス人生はまさに波乱という言葉がぴったりであろう。

 SWFの善玉プロレスラーとしてデビューした彼は瞬く間に人気レスラーにのし上がる。しかし彼の人気を妬んだタッグパートナーであるビック・ボンバーダーの罠にはまり、八百長の疑惑を掛けられ団体を追放されてしまう。

 その後、酒場で自棄酒を浴びる彼に手を差し伸べたのは、当時サウスタウンで権力を欲しいままにしていた裏社会の帝王、ギース・ハワードであった。ギースは“ライデン”というリングネームを彼に与えると、自分が主催する黎明期のKOFに参戦させる。

 しかしある日を境にライデンはギースと袂を分かち、その後マスクを脱いで“ビッグ・ベア”というリングネームでクラウザーの主催するKOFに参加した。

 その後、ライデンはビッグ・ベアの顔を使い分けながら数々のプロレスリングや格闘大会に出場し、今日に至る。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

「……」

 

 記事を一通り読んださくらは、先程のライデンの自分に対する態度が何なのか、ようやく気付いた。

 

(あの人も……今の私みたいに苦しみもがいていたんだ……)

 

 今まで大切にしてきた物を失い、苦しみ、落ちるところまで落ちたライデン、彼はそんな昔の自分とさくらを自然と重ね合わせたのだろう。

 その事を悟ったさくらは、もう一つ生まれた疑念をケインにぶつけた。

 

「ケインさん……どうしてライデンさんはあそこまで這い上がる事が出来たんでしょうか?」

 

 するとケインはリングの方を見ながらポツリポツリと語り始めた。

 

「ギース・ハワードの子飼いの格闘家だったころ……彼は沢山の格闘家と出会ったそうです。ボガード兄弟、ジョー東……彼等と真剣勝負を繰り広げているうちに、本人曰く“アツくなった”そうです」

「アツくなった……?」

「多分、格闘家の間にしかわからない気持ちなんでしょうね、格闘家であるさくらさんが一番理解できる事なんじゃないでしょうか?」

 

 さくらは自分の事を“格闘家”と呼ぶケインに「まさか私が……」と謙遜を込めて笑いかけた。

 そうこうしているうちに、実況アナウンサーの第一試合開始を告げるアナウンスが会場に響き渡った……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 次々と前座の試合が消化され、観客の歓声が響き渡る会場の中で、さくらは先程のケインの言葉を心の中で反復しながら自問自答を繰り返していた。

 

(私にしかわからない……か)

 

 一方リングでは大阪弁の女子レスラーが大技でフィニッシュに移行しようとしていた。

 

「どりゃー!! 通天閣ドライバー!!」

 

 リングに轟音が鳴り響くと共に、レフェリーが相手レスラーの意識が無いのを確認してカウント無しでゴングを要求する。会場に歓声が響き渡る。

 

「さあ! 次はミスター・ライデンのメインイベントですよ!!」

 

 若干興奮気味のケインがさくらに話し掛けてくる。

 

「そう言えば相手は誰でしたっけ?」

「確かパトリック・ファン・ヒディングというオランダのレスラーですね、KOF出場経験は無いですが実力は折り紙つきです」

「そう言えばこのKOFって殆ど常連の選手ばかり出場していますよね、メンバーチョロっと変えたり年に一度1,2チーム新しく出るぐらいで……」

 

 さくらはケインがくれた雑誌に記載されているKOFに関する記事に目を通しながらケインに問いかける。

 するとケインはうーんと腕組みをしながらさくらの問いに答える。

 

「出場候補者は毎年色々と出るのですけどね、ベルセルクの豊田美咲も毎年候補として挙がっているんですよ?」

「そうなんですか!?」

 

 豊田美咲……さくらの所属するベルセルクの先輩レスラーであり、実力と人気は国内でもトップクラスを誇る格闘家である。さくらの尊敬しているレスラーであり、彼女の名前が挙がった事に若干の喜びを感じる。

 

「ただ……KOFは出場枠が少ないというのもありますし、KOFは基本チーム戦なので実力者が揃わずに出場できないという事も多いそうです。13回大会のB・ジェニーがいい例ですね」

「そうなんですか……」

 

 さくらはふと、美咲がKOFの舞台で活躍している姿を妄想し、顔を綻ばせる。それと同時に……自分がKOFに出場して活躍している姿を一瞬だけ思い浮かべ、すぐにその妄想を打ち払った。

 

(何を考えているんだ私は……まだ一勝も出来ていないのに……)

「あ! ほら! パトリック選手が出てきますよ!」

 

 さくらの暗い表情に気付かず、パトリックは青コーナーの方角を指さす。青コーナーの方向の花道には入場曲と共にスモーク難かれ煌びやかなライトが照らされる。

 

『青コーナー! 武力ONEからやって来たミスタープロレスラー! パ……』

 

 アナウンサーがパトリックの名前を読み上げようとした次の瞬間、、突然轟音と共に人間がものすごい勢いで花道の入り口からリングロープまで吹き飛ばされる。

 響く観客の悲鳴、吹き飛ばされた人影はその花道を渡る筈だった血達磨のパトリック・ファン・ヒディングだった。

 

「な、何が……!?」

 

 突然の事に動揺するさくら、一方ケインはこの状況の中でただ一人冷静だった。

 

「あれは……!」

 

 パトリックが吹き飛ばされた方角を見るケイン、彼の視線の先には黒い空手着をきた筋肉旺盛の隻眼の男が立っていた。

 

「ズィルバー……! 11回大会に乱入してきた謎の空手家!」

「あ、あのこれ大変なんじゃ……警察呼んで……!」

 

 一方、実況席の方ではアナウンサーが興奮気味に唾を飛ばしながら実況を続けていた。

 

『これは大変なことが起こりました! 乱入者です! メインイベントの試合に突然謎の空手家が乱入してきました! アテナさんいかがでしょう!?』

 

 話を隣にいたアテナに振るアナウンサー、一方のアテナは真剣な表情でズィルバーの方を見ていた。

 

(これは……場合によっては私が出ないといけないかも、あの人は危険だ……!)

 

 その時、どこからともなく現れた会場のスタッフがアナウンサーに一枚のメモを手渡す。

 

『え、ああ? はい! 皆様お待たせしました! 赤コーナーよりライデン選手の入場です!!』

 

 

 

「えええええ!?」

 

 実況の予想外のアナウンスに目を丸くして驚くさくら、一方ケインはというと……。

 

「おおおお!! ライデーン!!!」

 

 待ってましたと言わんばかりに両手を天高く突き上げて喜んでいた。

 

「えええええ~……!?」

 

 さっきまでの紳士的な態度とは違う。まるでホームランボールをキャッチできた子供の様な喜び方をするケインにさくらは面喰ってしまう。

 その時エレキギターの音楽……勇者雷電と共に赤コーナーから身長202cm、体重210kgの巨体がのっしのっしと声援を受けながら歩いて来る。

 

「「「ラーイデン!! ラーイデン!!」」」

 

 会場の観客達の熱い声援を一身に受け、ライデンはロープを潜りリングに入り、すでに入っていたズィルバーと対峙した。

 そして、スタッフに渡されたマイクを手に取ってマイクパフォーマンスを始める。

 

『よう、誰だか知らねえが中々派手な事をしてくれるじゃねえか、客も盛り上がっているしプロレスのパフォーマンスとしては合格だろうな、だが……』

 

 ライデンはそう言って担架で運ばれていくリング下のパトリックの方を見る。

 

『あの野郎はよう……今日の試合、7歳になる娘が見に来るからって張り切ってたんだぜ? それをお前……こんなことしてよう、ちょっと俺頭に来ちまったぜ』

 

 その瞬間、観客から会場が震えるほどの歓声が響き渡る。

 

「やったれーライデン!」

「パトリックの仇を討てー!」

 

 一方対峙しているズィルバーはというと、腕を組んで何も言わずに不敵な笑みを浮かべていた。

 

「てなわけでよ! 俺が少し灸をすえてやるぜ! ゴングを鳴らせ!!」

 

 そしてライデンはマイクを放り投げるとゴングを要求する。

 

 カァーンとゴングが鳴る。先に動いたのはライデン、彼はズィルバーとの距離を一気に詰めると、顔面目掛けて口から毒霧を履いた。

 

(先制攻撃!?)

 

 堂々としたヒールっぷりなライデンの戦いにさくらは思わず釘付けになる。

 一方ズィルバーはそれを右手で振り払うと、そのまま左の正拳突きをライデンの腹部にめり込ませる。

 ぐっとうめき声を上げるライデン、しかし退くことはせずズィルバーの体をガッチリつかみ、そのまま持ち上げて自分の後ろの方に叩きつける。

 

「カモンカラテマン!!」

 

 ダウンするズィルバーに対し挑発を行うライデン、するとズィルバーは突然立ち上がり、ジェット噴射の如く目にも止まらぬ速さでほぼ水平に飛んで、ライデンに飛び蹴りを浴びせた。

 

「は、早い!?」

 

 余りにも人間離れしたそのスピードに、さくらを初めとした者達は驚愕する。一方攻撃を受けたライデンはリングロープまで吹き飛ばされてしまう。

 するとズィルバーは再び先程の飛び蹴りの構えを取った。

 

「危ない!」

「いや!」

 

 さくらが思わず声を上げるが、それをケインが遮った。よく見るとライデンは陸上の短距離走で言うクラウチングスタートの体勢を取っていた。

 

「レディ……!」

「!!」

 

 技の発動はズィルバーの方が早く、ライデンの体に攻撃が当たる……しかしライデンはそれを肩で受け止めると、まるでズィルバーの攻撃をこじ開けるかのようにタックルを敢行した。

 

「っ!」

 

 ライデンの全体重を乗せた体当たりをまともに受けて、ズィルバーの体はふわりと宙に浮く。ライデンはその隙を逃さず、浮いたズィルバーの黒い胴着を片手で掴み、そのまま高く飛び上がった。

 

「トァ!!」

 

 そしてそのまま空中でズィルバーをマットに向かって投げつける。叩きつけられたズィルバーはカハッと血が混じった咳をした。

 

「出た! ジャイアントボムからのライデンボム!!」

「す、すごい……!」

 

 ライデンの巨体から繰り出される無駄のないコンビネーションに、さくらは思わず息をのんだ。

 

「よし……これで終わりだ!!」

 

 ライデンはトドメと言わんばかりに高く飛び上がると、ズィルバーに向かってフライングボディプレスを敢行する。喰らえばいかに鍛えていようと大ダメージは免れない。

 が、ズィルバーは素早く立ち上がると、ライデンがマットに体から着地すると同時に高く飛び上がった。

 

「くそっ! ロケット花火見てえな野郎だ!」

 

 ライデンはすぐさま起き上がり次の攻撃に移ろうとする。その時だった。

 

「立っちゃ駄目です!!」

 

 客席からきたさくらの声に、ライデンはすぐさまその場から離れようとする……が、遅かった。

 

「ズアアアア!!」

「がっ!?」

 

 ズィルバーは急上昇の後ものすごいスピードで落下し、立ち上がろうとしたライデンの脳天に強烈なカカト落としを叩きこんだ。

 

「や、野郎……!」

 

 脳天に大ダメージを受けてもなお立ち上がろうとするライデン、しかし目の前にはドロドロに歪んだ世界が彼の網膜に焼き付いていた。

 

「ドアアアア!!」

 

 ズィルバーはそのまま満身創痍のライデンに拳と蹴りの乱撃を加える。ライデンはそれを受けてもなお立ち、反撃としてドロップキックを見舞おうとする……が、当て身からの手刀振り降ろしでマットに叩きつけられた。

 

「あああ……」

 

 さくらはリング上のあまりの凄惨な光景に思わず目を逸らしそうになった。しかしリング上のライデンがそれでもなお立ち上がろうとしている事に気付き、目を凝らしてその光景を見続けた。

 

(ライデンさん……あんなボロボロになってまで立ち上がって……)

 

 一方ライデンは満身創痍ながらも立ち上がり、自分を見下ろすズィルバーを挑発する。

 

「どうしたカラテマン……俺を倒すならもっと魂込めて叩き込めや!」

 

 ライデンの脳裏に一瞬、かつて真剣勝負の末解りあった、戦友とも呼べる戦士達の顔が浮かび上がった。彼等から受け取った餓狼の魂が、今のライデンを過去のライデンよりももっともっと強くしていた。

 

「さあて、そろそろフィニッシュといくか!!」

「!!」

 

 ズィルバーはそのまま猛突進し、ライデンの右側頭部にハイキックを喰らわせる、しかし……。

 

「おいおい、ナックルシュートのほうが何倍も効くぜ!? オラァ!!」

 

 右側頭部に叩きこまれたズィルバーの左足を左手で掴んだライデンは、空いている右手でズィルバーの腹部に重いボディブローを叩きこんだ。

 

「がっ……!」

「十倍で返してやるぜぇ!!」

 

 ライデンはそのまま両腕で交互にボディブローを繰り出しながら前に突き進んでいく、そのまさに暴走重戦車の異名に相応しい猛攻に、ズィルバーの体はみるみるうちにダメージを蓄積させていく。

 

「すごい! クレイジートレインだ! そのまま……!」

 

 ケインが叫ぶと同時に、ライデンは左腕を高々と上げる。腕には稲妻が纏われていた。

 

「ライデンッ……ボンバァー!!」

 

 その稲妻を纏った腕で、ライデンはズィルバーに強烈なラリアットを叩きこんだ。

ズィルバーはそのままものすごい勢いで体を縦回転させながら、リングの外に放り出されていった。

 その瞬間、ライデンの勝利を告げるゴングが鳴り響いた。

 

「ハッハッハッハッハ! アイアムナンバー1!!」

 

 右人差し指を高々と上げて勝利を宣言するライデン、それと同時に地響きがするほどの歓声に包まれる会場。その時……リング外のズィルバーは瀕死の状態のまま立ち上がり、息を切らしながら何処かに飛び去って行ってしまった。

 

「へっ、逃げたか……次はKOF辺りで戦おうぜ!!」

 

 ライデンはこちらを一瞥せずに去って行くズィルバーに向かってそう言うと、会場の観客に向かって勝利のマイクパフォーマンスをし始めた……。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

 試合が終わった数時間後、誰も居なくなったリングの中央にさくらは立っていた。まるで……先程のライデン達の戦いの余韻を、体で感じ取ろうとしているかのように。

 

「こんな所に居たんですか、さくらさん」

 

 するとそこにケインが現れ、リング下から彼女に話し掛けてくる。

 

「はい……すごかったですよね、あの戦い……」

「ええ、なんてったって戦士達の王……キングオブファイターズの戦いですから」

「戦士達の王?」

 

 さくらの問いに、ケインは天を仰ぎながら答える。

 

「黎明期から昨今まで、KOFに出場した格闘家達の事を、僕達ファンは敬愛の意味を込めてそう呼んでいるんです」

「おいおい、なんだかこそばゆいな」

 

 するとそこに、スーツに着替えたライデンと、仕事着姿のままのアテナがさくら達の前に現れた。

 

「ミスター・ライデン! お久しぶりです!」

「おお! あの時のブン屋の兄ちゃんか、こんな所まで見に来てくれるとは嬉しいね」

 

 ケインはライデンと顔見知りらしく、久しぶりの出会いに会話を弾ませていた。一方アテナはさくらのいるリングに登っていた。

 

「どうですかさくらさん、悩み事……スッキリしました?」

「はい、それであの……少しアテナさんにお願いがあるんです」

「お願い?」

 

 アテナはワザとらしく首を傾げてニッコリ笑っていた。まるでこれからさくらが何を言うのかお見通しと言わんばかりに。

 

 

「私と……一戦交えてくれませんか?」

「……どうして?」

 

 さくらの提案に、アテナは質問で返す。さくらは胸元をギュッと掴みながら答えた。

 

「あのライデンさんの試合で感じ取ったもの……それが何なのか、戦えば何なのか解る気がするんです」

「そうですか……わかりました!!」

 

 するとアテナは超能力の光の粒子をまき散らしながら、くろっと回転して仕事着を脱ぎ捨て、一瞬で白のセーラー服に着替える。

 

「麻宮アテナ、いっきまーす!!」

 

 すると傍で話を聞いていたライデンがリングサイドに両腕を組んで乗せる。

 

「おっし、それじゃ俺が立会人をしてやる。存分にやれや」

「ありがとうございます!!」

 

 さくらはそう言って上着を脱ぎ捨ててTシャツにジーパン姿になると、そのまま低く構える。

 

「行きますよ……アテナさん!」

「はい!」

 

 さくらはそのままアテナに向かってダッシュし、エルボータックルを敢行する。しかし攻撃が当たる次の瞬間、アテナは突然姿を消してさくらの背後に移動していた。

 アテナはそのままさくらの背中にジャブを二、三発当てると、両手に超能力の光を集めた。

 

「サイコボール!」

「きゃ!?」

 

 そして両手を交差させてドッジボールサイズの光弾……サイコボールをさくら目掛けて放った。さくらは背中に強い衝撃を受けてそのままリング端まで吹き飛ばされてしまった。

 

「くっ……!」

 

 しかしさくらは再び立ち上がり、正面からアテナに向かってくる。

 

「もういっぱつ!」

 

それに対しアテナは迎え撃つように再びサイコボールを放った。

このままでは直撃コース……しかしさくらはそのまま前転して飛んできたサイコボールの下をくぐって回避し、アテナとの距離を一気に詰めた。

 

「これで……!」

 

 さくらはそのままアテナの横顔目掛けて裏拳を放とうとする……が、それよりも早くアテナにTシャツの脇部分を掴まれていた。

 

「はああああ!!」

「あぁ!?」

 

 次の瞬間、さくらはアテナの超能力によって宙に浮かされ、くるんくるんと回った後マットに叩きつけられた。

 

 

「おいおい、容赦ねえな……」

 

 さくらとアテナの一方的な戦いを見て、ライデンは思わず苦笑いをする。それを聞いたアテナは構えを解かないまま彼に話し掛けた。

 

「挑まれた以上、全力で答えないと失礼ですからね、それに……」

 

 アテナは自分が吹き飛ばしたさくらの方を見る。さくらは満身創痍ながらも瞳に闘志を宿らせてアテナの方を見ていた。

 

「彼女、まだ終わっていません」

「みたいだな」

 

 アテナはそのまま高くジャンプし、体を丸めて高速に縦回転し、そのままさくらの方に飛んでいく。

 

「フェニックスアロー!!」

「かふ!!」

 

 まるで掘削機のように削られるようなダメージを負うさくら。それでも辛うじてガードしていたためダウンはしなかった。そして今度こそとアテナに技を掛けようと掴みかかる。しかし……。

 

「はっ!」

「きゃっ!?」

 

 アテナの気合一閃により抜けられ、よろめいてしまう。アテナはその隙を逃すまいと腰を落としながら右手に超能力の光を収束させていった。

 

「サイコ……ソード!」

 

 そしてそのまま右手を高々と上げながら天高く飛び上がり、よろめいたさくらの前面を超能力で切り裂き、ついでに顎も打ち抜いた。

 

「かっ……!!?」

 

 さくらはTシャツを破られながら、後方に吹き飛ばされマットの上に大の字で倒れた。

 

「う……あ……!」

 

 さくらはもう一度立ち上がろうとするが、視界がぐにゃりと歪んでいる上に体が全然動かなかった。

 

「OK、そこまでだ、この勝負アテナの嬢ちゃんの勝ちだ」

 

 するとライデンが戦いを止めアテナの勝利を宣言する。アテナはすぐさま桜の元に駆け寄り彼女を抱き起した。

 

「大丈夫ですかさくらさん? ちょっとやりすぎました……」

「いえ、大丈夫です、ありがとうございました、私の我儘に付き合ってくれて……」

 

 するとそこにライデンがリングの上に上がり、不敵な笑みを浮かべながらさくらに問いかけた。

 

「どうだい嬢ちゃん? 何か掴めたか?」

「はい、手も足も出なかったんですけど、その……」

 

 さくらはぐっと立ち上がり、自分よりも背の高いライデンを見上げて堂々と答えた。

 

「戦っている間、何だか心の底が厚くなっていくのを感じて、もっともっと強くなって、またアテナさんと……そして皆さんと戦ってみたくなってきました」

「ガハハハハハ! そうかい!」

「やっぱり! さくらさんは何となくそう言ってくれると思いました!」

 

 さくらの宣言にライデンとアテナもまた笑顔で答える。さくらはそのままギュッと握った拳を見つめる。

 

「そのためにはもっともっと強くなって……いつか世界でいちばん強くなって、貴方達のいる場所に辿り着きます!」

「へへへへ! 言うな嬢ちゃん……KOFはそう甘くないぜ? なんてったって俺らレベルがゴロゴロしているんだからよ!」

「上等です! それまで首を洗って待っていてください!」

 

 そう言ってさくらは脱ぎ捨てた上着を再び着て、リングの上を去って行った……。

 

 

 そんな彼女の後姿を見て、ケインはとある疑問をアテナにぶつける。

 

「しかし彼女……いいんでしょうか? 風間選手にリベンジを果たしたらSweetに戻ると言っていましたが……」

 

 するとアテナはニッコリ笑ってそのケインの疑問に自信満々で答えた。

 

「大丈夫ですよきっと! 彼女にとってプロレスもアイドルも大切な物……どっちか片方なんてことはしないと思います! 私が言うんだから間違いありません!」

 

 アイドルと格闘家を両立させているアテナは、さくらはきっとアイドルもプロレスも両方投だろうという、ある種確信に近い予感を持っていた。その彼女の予感は見事的中するのだが、それはまた別の物語で。

 

そしてライデンもまた、近い未来自分達と同じ舞台に立つであろうさくらに無言のエールを送った。

 

(頑張れよ嬢ちゃん、お前にゃ共に高め合うライバルがいるんだからよ)

 

 

 

 

 

―――この数週間後、さくらは風間璃緒にリベンジを果たし、念願の初勝利を手に入れる。―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき

 

 はい、という訳でいかがだったでしょうかせかつよ×KOFのクロスSS。10月にせかつよアニメ化&KOFの新作制作中という事で、両方を応援する意味を込めてこのSSを書きました。

 

 没ネタとしてはこの話の後ライデンが他の仲間達と共に色々さくらに自分の技を教える~なんて展開も考えたのですが、体格差ありすぎてあまり意味ないんじゃないかというのと雷纏ったり気弾出すさくらが想像できなかったので没にしました。

 

 それにしても萩原さくら……本当にいいキャラです。彼女が悩みながら戦っている姿を見るとこちらまで頑張ろうと思えてきます。アニメ化で彼女の事を知る人がもっと増えればいいなぁ。

 

 それでは今回はこの辺で、ネタ思い付けば続編書くかも。

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
1
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択