「コン、ひっかく!」
「きゅっ……きゅーん!」
「ピチュ!」
リト達はシンオウ地方の211番道路付近の森の近くで特訓していた
何故特訓をしているのか……それはゾロアのコンの要望のためである
もっと強くなりたい……自分に自信を持ちたい……そういう願いがあったからだ
今はコンとミミの模擬試合中…と言ってもミミはほとんど受ける側だが
一方のコンは少し躊躇してミミをひっかくで攻撃する…が、当たってない
「よし、じゃあ休憩しよっか」
「ピッチュ!」
「きゅ、きゅーん…」
「ん?どうした、コン」
ポケモンフーズを取りだそうとするリトはコンがうつ向いているのに気が付く
「きゅーん…(自信が……ないの…」
「自信?」
「きゅ、きゅーん…(うん、ちゃんと技が当たるかなって…思っちゃうと…おれ、自信がないの…)」
「ピチュ!ピチュッピ!(そんなことないよ!ギリギリの所で当たりそうだったもん!)」
「きゅーん…(でも当たらなかった…)」
「……なあ、コン。俺の友達から聞いた言葉にこう言うのがあるんだ」
「きゅん…?(リトの…お友だち…?)」
リトはコンの目に前に膝を曲げ、どこか懐かしむような目で話した
「ああ……『自分を信じるな。俺を信じろ。お前の信じる、俺を信じろ』…めちゃくちゃな言葉だろ?でも合ってるんだ。自信って“自”らを“信”じるから自信何だろ?もし、コンが俺を信じてくれるなら…俺はお前を信じるよ。コンが信じる俺はコンを信じる……だから結果的にコンはコンを信じることになる」
「きゅ……(おれが…おれを……)」
「でもいつかは……俺を信じないで、自分を信じればいい。それまでは俺がお前を信じるよ」
「きゅっ…きゅーん!」
リトが言い終わった瞬間、コンはリトの懐にダイブする
相当嬉しかったのか…その顔は涙目になりながらも笑っていた
リトはそんな彼女を擦りながらやさしく抱きしめる
「ピ!ピチュッ!(あ!ズルい、私もぎゅーってして!)」
「ん?いいよ、おい………、!!危ない!」
リトはミミも抱き締めようとするが、それは成されなかった
――森の奥から何者かの攻撃が飛んできたのだ
リトはミミとコンを抱き抱えながら回避…
ミミとコンを安全なトライチェイサーの後ろに奥と攻撃してきた場所を見る
――そこには……目付きが鋭く、敵意が剥き出しのルカリオの姿があった
「―― 一体なんなのよぉおおお!?」
「ポォオオオチャアアアアア!?」
タマムシシティからセキチクシティまでの道のりで……ヒカリとその相棒のポッチャマはある怪物から逃げていた
全長25mはあろうかと言うほどの大きさのヤミー…オトシブミヤミーだ
ヒカリ達はハルカと同じ経由でカントー地方に来た
そしてサトシのもとへ行く道中、タマムシシティでの騒ぎを歩行者に聞き、警戒していた
もう少しでポケモンセンターに着くという所で草むらからガサゴソと音がし、驚いたポッチャマがバブル光線を放った
そしてそこから出てきたのは……ヒカリの腰辺りまでしかないオトシブミヤミー
ポッチャマは見たことのない生き物に驚いたのであろう……自分の出せる技の全てをオトシブミヤミーにぶつけた
だが、それがいけなかった
オトシブミヤミーは通行人のトレーナーの『あらゆる技術を吸収したい』という欲望を元に生まれたヤミー
つまり能力は吸収……ポッチャマの放った技は全てオトシブミヤミーに吸収され現在の大きさに至るのだ
「はぁ…はぁ……もう、…ダメ…」
「ポチャ!ポチャポ!ポチャポーチャ!」
『ギシャァアアアアアアアアアア!!!!』
「ポッチャマ……貴方だけでも逃げて…」
ヒカリは体力が尽きその場に座り込む
そして自分はもうダメだと思い、ポッチャマに逃げるように指示する
だが当のポッチャマはその気は全くなく、ヒカリを守ろうと前に出る
オトシブミヤミーはその巨大な腕を――無情にヒカリ達に叩き込んだ
「――セイヤァアアアアアッッ!!」
『ギェアアアア!!』
「…………え…?」
だが、その腕は当たることなく横から別の何かに弾かれる
その正体は仮面ライダーオーズ・タカゴリバ
バッタレッグの跳躍とゴリバゴーンによるパンチが炸裂……オトシブミヤミーの腕はほぼ90度曲がっていた
オーズはヒカリ達の前に立ち、逃げるように言う
「ヒカリ、ポッチャマを連れて早く逃げるんだ!」
「え…?何でアタシの名前…それにその声…」
「いいから早く!」
『ギシャァアアアアアアアアアア!!』
そうしている間にオトシブミヤミーは先程と反対の腕を振りかざして来る
オーズはゴリバゴーンを盾にするが元々攻撃用の腕……防御に特化している訳でもなく呆気なく近くの木まで突き飛ばされた
「ぐっ…!?」
「あっ…!」
「――サトシーー!」
「ピカピ~!」
それとほぼ同時にタケシ、カスミ、ハルカ、マサト、そしてピカチュウがやってくる
彼らはヒカリの近くまで来ると彼女を連れて木の影まで避難させる
この中で面識がないのはヒカリとカスミ…事前にヒカリのことは聞いていたためまだいいほうだがそうは言ってられない
ピカチュウはその間にオトシブミヤミーを挑発し、オーズから注意を引き離す
そしてその間、オーズはタケシにメダルの指示をし、それを受け取っていた
『クワガタ!クジャク!バッタ!』
「虫タイプには炎…ついでに電撃だ!」
「あっ、待って!」
オーズはガタジャタにコンボチェンジし、クジャクアームにタジャスピナーを着け、電撃と火炎弾をオトシブミヤミーに打ち付ける
だが、ヒカリはそれを止めようとした
何故ならばオトシブミヤミーの能力は吸収…あらゆる物理攻撃以外の攻撃を吸収するからだ
火炎弾と電撃を吸収し、オトシブミヤミーは曲がっていた腕を元に戻す
さらにその体を一回り大きくさせて
「なっ!?」
『ギシャァアアアアアアアアアア!!』
「くっ…!」
「サトシ!アイツは力は強いが動きは遅い…ここはチーターで翻弄させて…」
「いや…ここはコンボで行く」
「なっ…あれは反動が大きいんだぞ!それにまた今度倒れたら…」
「早くしないとここら辺の森が滅茶苦茶になる…早く済ませないといけないんだ!だから!」
「……無茶ばっかりするなよ!」
「ごめん…たぶんムリ」
オーズはオトシブミヤミーから距離を取り、タケシから受け取ったメダルをセットする
そして黄色く光るメダルを今――スキャンした
『ライオン!トラ!チーター!…ラトラタ~ラトラーター♪』
黄金色の光に包まれて現れたのは黄色いオーズ
ライオンのような頭部
トラのような腕
チーターのような脚
仮面ライダーオーズ・ラトラーターコンボ…生誕
『ギシャァアアアアアアアアアア!!』
「おぉおおおおおおお!!」
オトシブミヤミーはオーズに臆することなく攻撃する
だが、その攻撃が届く前にラトラーターはチーターレッグの高速移動でオトシブミヤミーを支える脚まで移動し、その脚をトラクローで切り裂く
バランスを崩されたオトシブミヤミーの攻撃は当然空振り……ラトラーターは間髪いれずにオトシブミヤミーの真正面に移動すると全身から熱線を放出する
――元々ライオンヘッドは頭から光を放つ能力がある
だがラトラーターコンボの場合、それは光というよりも熱線
ライオディアスを受けたオトシブミヤミーは目を潰され暫く悶えていた
「止めだ!!」
『スキャニングチャージ!』
ラトラーターはオトシブミヤミーのいる場所の正反対の方向へ走り出す
そしてあっという間に数百m離れた場所でトラクローによる急停止……そしてからのスキャニングチャージ
オトシブミヤミーとラトラーターの前に黄色いオーリングが現れ、ラトラーターはそれを通りながらオトシブミヤミーに近づいていく
そして頭部の目に前に来たとき…トラクローで一気に切り裂いた
【ガッシュクロス】を受けたオトシブミヤミーは爆発…大量のセルメダルを撒き散らしていた
「ヒカリ…無事……か…」
「「サトシ!」」
「あんたまた無茶して…」
「はは…」
前回とは違い、サトシは変身解除しても気を失うことはなかった
そして一番最初に思ったのは、どうヒカリに説明するかだった
今目の前にいるルカリオは……とにかく凄く悪そうな雰囲気だった
その場で所謂グレッグル座りでリトを睨み付けている
ちなみにこのにらみつけるは技ではないので悪しからず
「……ルカリオってあんなに目付き悪かったっけ?」
「ピチュ…(私に言われてもわかんないよ、マスター…)」
「きゅーん…(怖いよぅ…)」
「あれもうルカリオって言うより流火裏王だな」
「ピッチュ…(ワケわかんないよマスター…)」
突然のことにボケ始めるリト
しかし、その間にルカリオはリトがいる場所まで走ってくる
その手には骨の形をしたヌンチャクがある
恐らくボーンラッシュを使ったのだろう
ルカリオはボーンラッシュを使い、リトに襲いかかる
「うあっと!?いきなりなにすんだよ!」
「ガウッ!(るっせぇ、人間!ここに何しに来た!)」
「何しにって……ただ特訓したりしてるだけだけど…」
「ガアウッッ!!(そのあとはまた俺たちを傷つけんのか!ふざけやがって!)」
リトはボーンラッシュを避けながらルカリオと会話する
話を聞くとルカリオは人間を嫌っており、ルカリオの知る人間はこの森のポケモン達を傷つけたりしているようだ
「ガウッ…!(それに……テメェマジで人間か…?人間とは違う波導をしやがる…!)」
「!?」
「ガアア…!!(図星かよ……ふざけんじゃねぇ!テメェ何しにここに来やがった!また俺たちを傷つけるんならぶっ潰すぞ、この化け物が!!)」
ルカリオはリトから一旦離れ、つるぎのまいをする
そして、一気にリトの懐に迫りインファイトを打ち付ける
「ぐっ…!あっ……!!」
「ピチュピー!(マスター!)」
「きゅっ、きゅーん!(り、リト!)」
「ガァアア!(分かったらとっとと出てけ!化け物が!)」
ルカリオのインファイトを食らい、リトは膝をつきそうになる
そして、ミミとコンの叫びがこだました
「………おい、…ちょっといいか…」
「ガッ…!?(なっ…!?)」
だが、リトはゆっくり…ゆっくりと立ち上がり、ルカリオの前に立つ
当のルカリオは驚きと迫り来る謎の感情で動けない
「お前……この森から…出たことないだろ?」
「ガッ…ガウッ!(あっ…あたりまぇだ!生まれも育ちもこの森だけだ!)」
「じゃあお前の世界はそれまでだ……もっと周りをみろ。新しい発見があるぞ?」
「…………」
「あと、…もうひとつ……確かに…俺は人間じゃ無いかもしれない…いや、いずれそうなるんだと思うけど…」
「…………………」
「でもさ…でも……そんな化け物でもさ…誰かを…守ろうとしちゃいけないのかよ?」
「!!?」
「それが俺が一番したいこと……『欲望』なんだ…」
「ガッ…(欲望…)」
ルカリオは感情の正体を薄々感ずいてきたようだ
それは恐れ……何度も人間を追い返したルカリオが初めて人間を…リトを恐れたのだ
「お前のそれも欲望…俺と同じ欲望だ。だけど、一人じゃ何も出来ない事が絶対にある」
「………」
「今のお前じゃ疲れるだけだ…だから、もっと誰かに頼ってみろよ。色んな場所で色んな奴と会ってさ。世界はこんなに広いから…」
「ガウ…(世界……)」
「あと、……これはさっきの礼…っだ!!」
「ギャイン!?」
ルカリオの肩をガッチリと掴み、リトは大きくのけ反ってから渾身の頭突きを放つ
相当痛いのか…ルカリオから小さいアチャモが何匹も回ってる
「っって…!そう言うことだ。悪いな、お前らの迷惑にならないように別の場所に移るよ」
「ガウ…(あっ……)」
リトは頭を抑えながらトライチェイサーの場所に戻る
そしてミミとコンを座席に乗せると何処かへ行こうとする
「ガッ…ガウ!(ま、待て…待ってください!)」
「ん?何?ケンカはしないよ?」
だがその進行を阻むようにルカリオがトライチェイサーの前に回り込む
リトはケンカか、と思ったが当のルカリオはリトの前に片膝をつき、頭を下げた
「ガウウ…(俺は…ちっちぇ奴です…ここを守るためとはいえ、人間を悪もんにしてた…)」
「……………」
「ガウ!(だから!俺も旅のお供にさせてくれませんか!?世の中を…世界を見てぇんです!)」
「この森は…?」
「ガウ!(俺の仲間に頼んで強力するように頼んで見ます!)」
「そっか、じゃあ…いいよ。でもその仲間と離れないといけないけどそれでも…」
「ガウウ!(いいんです!俺は…あなたと共に!)」
「ふぅ…分かったよ…じゃあよろしくな。俺はリト」
「ピッチュ…ピチュ!(ちょっと恐いなぁ…ミミだよ!)」
「きゅーん…!(こっコココココン!)」
「コン…テンパりすぎじゃね?」
コンのテンパりはさておき、一通り自己紹介は終わった
そして、なぜか恒例のニックネーム決めに入っていた
「ピッチュ~…ピッ!(じゃあニックネームは~…ルッチ!)」
「ぶるっ!?(ルッ…!?)」
「いやダメだろ…ここは…やっぱ流火裏王で」
「きゅーん…?(リト…それさっきも言ってたよ…?)」
「ブルル…(何だろ…凄い親近感が…)」
「チュ~…ピッチュ(む~…じゃあコン決めてよ)」
「それいいかもな。コン、決めてやれよ」
「きゅっ!?(おれが!?えっ…でもぉ…)」
「いいからいいから」
「きゅーん…?(じゃあ…リオウ…は?)」
「リオウ…うん、決まり。お前はリオウな」
「ブルル…ガウ!(リオウ……オス!これからよろしくおねがしゃっす!)」
ルカリオ…リオウはリトに頭を下げながら返事をする
もうヤンキーでいいんじゃね…?、とか思ったのは秘密だ
「ブルル…(さっきはニックネーム決めてサンキューな、これからヨロシク…)」
「きゅっ…(ふぇっ…)」
「「「?」」」
「きゅっ~~~~ん!!!(ふぇえええん!やっぱり怖いよぉ~~~~!)」
リオウがコンに礼を言った時、コンは泣き出してしまった
コンは基本怖がり……今まで我慢してたのだろう
リオウ…普通のルカリオより目付き悪いし
「ピッチュ~…(な~かせた、な~かせた。せ~んせ~に言っちゃお~…)」
「ぶ、ブルル!?(お、俺のせいかよ!?てか先生って誰!?)」
「きゅーん…(ぐしゅぐしゅ…)」
「よしよし……うそなき覚えたらこんな感じなのかな…?」
リトはコンを擦りながらそんなことを考える
新しい仲間ができて色々大変だと思う反面、賑やかだからいいやと思い、良しとしたリトだった
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