No.614696

豪(27)「なあ、兄貴。 いい加減もうミニ四駆やめようぜ」

offeredさん

無修正

2013-09-01 01:44:16 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4833   閲覧ユーザー数:4827

烈「豪か、良く来たな。 今丁度ソニックが仕上がったところなんだ。 見ていってくれないか?」

 

豪「兄貴、いつまでこんな事やってるんだよ。 皆もう就職して、TRFビクトリーズも解散したんだ」

 

烈「今度のソニックは凄いぞ、今までのとは段違いなんだよ」

 

豪「兄貴、いい加減にしろよ」

 

豪「俺も就職して会社員としてやってる。 皆だってそれぞれ仕事があるんだ」

 

豪「でも、兄貴は何だよ? いつまでもこうやって夢追いかけて……情けないと思わないのかよ」

 

烈「……豪」

 

豪「俺も係長だからさ、一緒に何か出来ればと思って、会社の資料を持ってきたんだ」

 

烈「会社か……豪も立派になったんだな。 それに比べて俺はまだ……」

 

豪「兄貴……一緒に凄いのをを作らないか」

 

籐吉「烈君、居るでゲスか?」 ガチャ

 

籐吉「おっ、これはかなり出来ているでゲスね」

 

豪「籐吉、お前からも兄貴に言ってやってくれよ。 夢なんか見てないで、俺と現実を生きようって」

 

籐吉「まぁまぁ豪君。 個々は野暮なことを言うのは無しでゲス」

 

豪「……」

 

烈「丁度いいや、今日は実践でやってみよう。 ほら、豪も外に行こう」

 

籐吉「合点承知でゲス」

 

烈「ほら、豪もローラーブレード履いて」

 

豪「ああ」カチャカチャ

 

籐吉「じゃあこっちはスピンバイパーで行くでゲス」ガラガラ

 

豪(ガレージから籐吉のバイクが……あれは籐吉のところの最新の250CCバイク、スピンバイパーか」

 

烈「籐吉、そっちの整備もついでにやったけど、感想を聞かせてくれないか?」

 

籐吉「期待しているでゲスよ」

 

豪「……兄貴、準備は出来たのか?」

 

烈「当たり前だろ、レディー……GO!」

 

豪「うわっ……マシンも凄いが、兄貴の加速なんなんだよ!」ガッガッガッ シャーッ シャーッ

 

籐吉「さて、行くでゲスか」ドゥルルン……ロロロロロ

 

烈「凄いぞ! 最高の出来だ! ソニック!」

 

豪「クッソ、おいつかねえ! なんていう速度なんだよ」

 

籐吉(ソニック、良い感じでゲスね)

 

烈「凄いぞ、ソニック。 お前は地上を飛ぶマシンだ!」

ドゥロロロン

 

籐吉「良い仕上がりでゲスね。 今回のデータはちゃんと取れ……てるでゲスね」 ドッ ドッ ドゥルン

 

豪「ハァッ、ハアッ……運動不足が堪えるな……ハァハァ」

 

烈「豪、お前もブランクあるけどなかなかじゃないか!」

 

豪「……うれしくねえよ、1分以上遅れてる」

 

豪「……これは、スピードスケートにでも生かせないのか?」

 

籐吉「データは貰ったから、そろそろ帰るでゲスね」

 

烈「ああ、またな。 あと……チイコにもよろしく言っといてくれな」

 

籐吉「もちろんでゲス。 じゃあまた週末に会うでゲス」 ドロロロロン……

 

烈「またな」

 

豪「籐吉のところのスーパーカー、スピンオロチか……格好いいな」

 

烈「豪、汗かいたな。 シャワー浴びてけよ」

 

豪「ああ」

 

豪「ということで、スピードスケートの大会に参加して貰おうと思ってさ」

 

烈「まぁ……たまにはこうやって付き合うのも悪くないな」

 

豪「ああ、うまくいくと良いんだけどな」

 

烈「だけど豪、こんな代表を決めるような大会になんで僕が?」

 

豪「ははは、籐吉にちょっとな」

 

烈「なるほどな、ははは」

 

------

ザワザワ……ザワ… ザワ……

 

豪「……兄貴の記録、日本新記録抜いて……るんだよな?」

 

烈「なんだかんだで決勝に来たけど、どうもしっくりと来ない」

 

烈(……そうか、ソニックが)

 

豪「兄貴ぃ、ほんとすげえ! このまま勝っちまえ! それでうちの会社とCMしようぜ!」

 

烈「? あまり興味ないけど……」

 

 

------間もなく、決勝戦が始まります。

 

烈(ああ、なんだか懐かしいな。 WGPを思い出す……)

 

3,2,1,ピーン

 

烈「いっけええええソニックウウ!!」ギャアアアアア シュイイイイインン

 

豪「」

 

 

 

豪「結局、世界記録を1秒塗り替えで、ミニ四駆を持ち込んだことにより失格……」

 

烈「豪、悪かったよ、あまり怒らないでくれ」

 

豪「兄貴、続ける気はないのか?」

 

烈「まさか、ははは。 ソニックの氷上テストが出来ただけで満足さ! 興味ないしな」

 

豪「……」

 

豪(兄貴を更生させるには……どうすればいいのか)

 

チイコ「烈様ーーぁぁん!」 ガチャッ

 

 

チイコ「烈様、お兄様が先日のデータが良かったって。 チームの勝利に貢献できたって」

 

烈「そっか、良かったな。 SUPER GTで優勝なんて……凄いな」

 

豪「それにしてもチイコちゃん、美人になったなー」

 

チイコ「烈様、それで……今日のご予定は?」

 

豪(兄貴しか見てねえ……)

 

烈「今日はその……豪が居るから」

 

豪「……俺はいいから、デートして来いよ」

 

チイコ「豪様……お心遣い感謝します」

 

豪(資金の出所が謎だったが……そういうことだったのか)

 

「続いてのニュースです。 本日、空港にセリエAのスター、カルロ選手が来日しました。

 今回はバカンスに来たのでしょうか。 空港はファンで混雑しており…………     」

 

 

豪「兄貴! カルロが来たんだってよ! すげえなー! 今やあいつはファンタジスタ! 負けてられないな!」

 

烈「ああ、楽しみだな」

 

カルロ「セイバレツ、いるか」ガラッ

 

豪「」

 

豪「うわっ、スゲーカルロだ! 懐かしいな! 何しに来たんだ!?」

 

カルロ「勝負だ」

 

烈「ああ、準備は完璧だ」ニヤッ

 

豪(……すげえ……カルロのミニ四駆、兄貴のに喰らいつけてる……俺も)ゴクリ

 

カルロ「うふふふふ」

 

烈「あはははは」

 

豪(俺も……俺のマグナムも)ハッ

 

豪「ダメだダメだ、今の俺にはジュンがいる……守っていくんだ」

 

烈「おーい!豪! なに難しい顔してるんだよ! 一緒にミニ四駆やろうぜ」

 

豪「ハハハハッ!兄貴、今の俺にはマグナムは……」

 

烈「……黙ってたんだけど、豪のマグナムはもう調整してあるんだ」

 

豪「実家にあった……兄貴、俺も……いや、いいんだ」

 

烈「豪…… やっぱりお前自身で手を加えるほうがいいんだよな」

 

豪「ははっ、ちげえよ! 俺は……」

 

烈「そうだよな、次はカルロに付き合ってサッカーでもするか!」

 

カルロ「アディオ!ダンツァ・トレ!」

 

烈「何をっ! ソニックゥゥ!」

 

豪「……俺は」

 

カルロ「やるな」

 

豪「俺もいくぜええええ! マグナムッ! トルネエエエエド!」

 

烈「……」ニコッ

 

豪「カルロ……帰っちまったな」

 

烈「あいつはさ……サッカーで悩むとミニ四駆やりたくなるんだってさ」

 

豪「しっかし、兄貴。 セリエAについていけるとかどういう鍛え方してるんだよ」

 

烈「? カルロはミニ四駆の練習のためにサッカーやってるんだけど」

 

豪「」

 

烈「今日はリョウ君のところに行こうと思うんだ」

 

豪「で、なんで兄貴はローラーブレード履いてるんだよ」

 

烈「豪もだよ、ほら」ガシャッ

 

豪「正気か?300kmあるんだぞ」ゾクゾク

 

烈「藤吉のところのマシン、リョウ君のところで作ってるのは知ってるな?」

 

豪「ああ」

 

烈「苦労して作ってるんだからこっちも苦労するべきだろ?」

 

豪「兄貴……その理屈はおかしい」

 

リョウ「烈、豪。 よく来たな。 タオルを使ってくれ」

 

烈「ありがとう、リョウくん。 調子はどう?」

 

リョウ「ああ、かなりいい出来だ」

 

豪「これがカーボンナノチューブモノコックのスピンオロチボディか……すげえな」

 

リョウ「そっちじゃない、こっちの部屋だ」

 

烈「ワクワクする」

 

豪「もしかして……ワクワクするぜ!」

 

リョウ「昨日焼きあがったんだ、見てくれ」

 

烈「凄いや、リョウくん」

 

豪「ああっ……これは、リョウ君、まさかこれは俺のマグナムのボディなのか?」

 

リョウ「ああ、鉄心先生の力を借りない、俺の自信作だ」

 

豪「すげえ……」

 

烈「なあ豪。 また、勝負しないか?」

 

 

烈「……豪、やっぱりお前は速いよ」ハァハァ

 

豪「何言ってるんだ、勝ったのは兄貴じゃないか」ハァハァ

 

烈「いや、ブランクをあっという間に埋めるんだもんな、凄いよ。 なあ、僕と一緒に……」

 

豪「いや……俺は俺の家庭を、ジュンを守っていこうと思うんだ」

 

烈「ああ、そうだよな」

 

豪「でもさ、兄貴。 また、時々こうやって俺と勝負してくれよ」

 

烈「ああ、またやろうか」

 

おわり


 
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