No.610983 英雄伝説~光と闇の軌跡~ 694soranoさん 2013-08-21 19:33:19 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:824 閲覧ユーザー数:780 |
~特務支援課~
「緊急度が高そうなのは両警備隊とウルスラ病院からか……でも、あのギュランドロス司令とダグラス教官から呼ばれることになるなんてな。」
「ダグラス教官?警備隊の少尉になった方よね?」
支援要請の内容を見て呟いたロイドの言葉を聞いたエリィは不思議そうな表情で尋ねた。
「ああ、少尉になられる前は警察学校の教官をされていたんだ。基礎体力の向上から格闘訓練、トンファーによる制圧術なんかをみっちりたたき込まれたよ。」
「元々、警備隊のホープとして期待されていた方だったんです。でも、あの前警備隊司令に疎まれて閑職に回されたらしくて……」
「俺も演習で世話になったが凄まじくタフな兄さんだよな。戦闘力でいったら多分、ギュランドロスのオッサン達の次くらいなんじゃないか?」
「なるほど……ずいぶん凄そうな方ね。でも、警備隊との関係を考えると一度お会いしておきたいわね。」
ロイド達の説明を聞いたエリィは頷いた後言った。
「ああ、挨拶がてら行ってみよう。……けど、ギュランドロス司令の支援要請か…………何だか無茶を言われそうで、ちょっと怖いな……」
「まあ、あのオッサンの事だからこっちが予想もしていない事をさせると思うぜ。例えばオッサンやルイーネ姐さん達と手合わせ……とかな。」
ロイドの言葉を聞いたランディは口元に笑みを浮かべて言い
「あ、あの司令達と手合わせって……」
「どう考えても無謀としか思えないわよね……IBCの戦いの時も、全員凄い戦闘能力を見せていたし……」
「ギュランドロス達と戦闘なんて、私も正直遠慮したいわ。」
「ア、アハハ……できればそうならないように祈っておくしかありませんよね……」
ランディの言葉を聞いたロイドとエリィは表情を引き攣らせ、エルファティシアは溜息を吐き、ノエルは冷や汗をかいて苦笑していた。
「……だが、もしそんな事になったらなったでいい機会だと思うぜ?……あくまで俺の予想だがギュランドロスのオッサンは叔父貴と同じか、それ以上の強さだ。叔父貴とやり合う前に一度やり合って、どれほどの強さか経験するいい機会になるだろうしな。」
「へえ。そこまで強いのかい、あの新司令は。」
「さすがはあのヴァイスハイト局長が好敵手と認めるだけはあるな……」
「……そうだな。それとウルスラ病院に新たに赴任した教授からか……」
ランディの言葉を聞いたワジは意外そうな表情をし、リィンは真剣な表情で呟き、ロイドは頷いた後呟いた。
「ヨアヒムに代わって薬学と神経科の両部門を引き継ぐ人物……ま、どうしても警戒しちまうな。」
「でも、セイランドっていうのはどこかで聞いた事があるね。確かレミフェリアあたりで有名な名前じゃなかったっけ?」
「レミフェリアの医療メーカーでセイランド社という所があるわね。大公家とも縁のある名家だけどその関係者の可能性はあるかも。」
「うーん、そうなるとそこまで怪しい人物じゃなさそうだけど……―――まあいい。例の薬についての話もあるみたいし、ウルスラ病院にも行かなくちゃな。」
「フフ、君の憧れのお姉さんもいるみたいだしね。ナース服が凄まじく似合ってる聖女様みたいなヒトでしかもあの”英雄王”の側室の一人の上、”本物”の聖女―――”癒しの聖女”の養母なんだって?」
「そう言えばセシル様は現在、クロスベルに滞在しているんだったな……」
ワジは静かな笑みを浮かべてロイドに尋ね、リィンはある事を思い出して呟き
「なっ……!?い、いや、セシル姉は昔からお世話になっているだけで……―――というかメンフィルの軍人であるリィンはまだわかるとして、ワジ!?面識ないのに何でそこまで知ってるんだよ!」
ワジに尋ねられたロイドは驚いた後苦笑したがすぐにある事に気付いて信じられない表情でワジに突っ込んだ。
「ワリワリ、俺が話しちまった。」
「くっ、ランディ……お前な!」
そして笑顔で言ったランディの言葉を聞いたロイドはランディを睨み
(……ロイド。ちょっと動揺しすぎだわ。)
(結構、図星みたいですね……確かに素敵な人だったからわかる気がしますけど……)
(くかかかかっ!もしかして嫉妬か~!?)
(フフ、あんまりセシルばっかり大切にしているとエリィに愛想をつかされるわよ?)
ロイドの様子を見たエリィはジト目でロイドを見つめ、ノエルは苦笑し、ギレゼルは笑い、ルファディエルは微笑んでいた。
「……コホン。まあ、それはそれとして。その先生に会う前にセシル姉には話を聞いておきたいかな。……ヨアヒムの残した傷跡(ダメージ)から病院が立ち直れているかも心配だし。」
「そうね……あ、でも、シズクちゃんは今日は街に来ているのよね?さっきキーアちゃんがギルドに遊びに行ってたし。」
「ああ、今日は一日シズクちゃんと遊ぶんだって張り切って出かけて行ったな。ギルドにいるだろうから時間があったら行ってみよう。」
「ええ、そうしましょう。」
「シズクっていうのはあの”風の剣聖”の娘だっけ?」
ロイド達の会話を聞いていたワジは不思議そうな表情で尋ね
「ああ、ちょうどキー坊と同じくらいのトシになるな。あのお堅いオッサンの娘とは思えないくらいの良い子だぜ。」
「ふふっ……シズクちゃん、可愛いですよね。確か話によると”癒しの聖女”様に治療してもらえる機会があって、盲目だった目を治してもらったって聞きましたが……」
「へえ……まさか盲目を治すなんて、さすがは”癒しの聖女”だね。……ちなみにその話は本当なのかい?」
ノエルの話を聞いて驚いた後ロイド達に尋ねた。
「ああ。教団事件の後、リウイ陛下達との戦いによって重傷を負った警備隊やマフィア達の傷を治療するためにしばらくペテレーネ神官長と共にウルスラ病院に留まってくれてね……それでセシル姉が機会を見つけて、シズクちゃんの目をティア神官長に治療してもらったんだ。」
「おかげで完全にとは言えないけど、目は見えるようになったの。今は眼鏡をかけていればある程度見えるそうよ。……完全でないとはいえ、視力が戻った今、入院する必要もないのだけど、アリオスさんの希望で視力を元の状態にしてほしいらしくて、今も入院しているのよ。」
「そうなんだ……けど、いくら”癒しの聖女”とはいえ、目を完全に治す事は無理だったんだ。」
ロイドとエリィの説明を聞いたワジは意外そうな表情をして呟き
「……まあ半年ほど、ティア神官長やペテレーネ神官長の治療を定期的に受けられれば視力を完全に戻す事も可能だって話だけど、さすがにそれは難しくてな……」
ワジの言葉にロイドは答えた。
「しかしまあ、シズクちゃん、目が見えるようになった時すっごく喜んで、”癒しの聖女”さんに涙を流しながら何度も頭を下げてお礼を言ってたから、本人は満足していると思うぜ?」
「フフ……見えなかった目が再び見えるようになったのだからそんな行動をとってもおかしくないわよ。」
「完全でないとはいえ、盲目を治すなんてさすがは”癒しの聖女”と名高いティア様だな……」
「まあ、”魔神”に秘められるとてつもない魔力を受け継いだ状態の治癒を専門としているイーリュンの高位神官ならそういった事も可能でしょうね。」
そして口元に笑みを浮かべて言ったランディの言葉にエリィは微笑み、リィンは感心し、エルファティシアは口元に笑みを浮かべて言った。
「さて……話は戻るけど今日は挨拶がてら、クロスベル各地を回るわけだ。――――”赤い星座”って連中の動向なんかも探りながら。」
「ワジ……!」
「き、君ねぇ……!」
「フフ、ストレートね。」
ランディを見つめて言ったワジをロイドとノエルは睨み、エルファティシアは口元に笑みを浮かべて見つめ
「……ああ、いい。コイツの突込みももっともだ。元、身内が言うのもなんだが、あの連中は正直シャレにならねぇ。多分、旧鉱山に爆薬を仕掛けたのも連中の可能性が高いだろうしな。」
(……”赤い星座”か。後でリウイ陛下に彼らに対してどういう調査をすべきか聞いておかないとな……)
見つめられたランディは疲れた表情で答えた後真剣な表情で言い、リィンは真剣な表情で考え込んでいた。
「ランディ……」
「その、そんな風に決めつけなくてもいいんじゃ……」
「叔父貴とシャーリィ―――あの2人の事はよく知っている。断言はできねぇが……支援課の力量を試したんだろう。古巣を捨てた俺が流れ着いたのがどの程度”やれる”場所なのかをな。」
「……!」
「そ、それだけのために……」
「…………………………」
(”赤い星座”か。正直、ロイド達には”まだ”早い相手だし、あまりにも危険すぎる相手だわ………できれば”銀”のように早い内に何らかの策で危険な芽を摘み取っておきたいけど…………クロスベルの法律では猟兵を取り締まれないしね…………せめて彼らが他国で犯罪でも犯していればいくらでもやりようが…………――――!フフ、そう言えば彼らはリベールの”異変”で”結社”に雇われてメンフィル軍と戦ったという話だったわね……もしかしたら…………後でチキに確認しておくべきね。)
ランディの言葉を聞いたエリィは表情を厳しくし、ノエルは信じられない表情をし、ロイドは考え込み、ルファディエルは考え込んだ後ある事に気付いて不敵な笑みを浮かべていた。
「別に害意があるわけじゃない。単なる好奇心であんなことをやれるような連中ってわけだね?」
一方ワジは真剣な表情でランディに尋ね
「ああ、あの程度のトラップなんざ連中には挨拶程度ってことだ。その意味じゃ、せっかく戻りはしたが俺一人で連中の動向を調べた方が――――」
尋ねられたランディは溜息を吐いて頷いた後真剣な表情で提案しかけたが
「――――だったら尚更だ。確かに”赤い星座”というのは放置できる連中じゃないだろう。クロスベルへの来訪目的にしてもエレボニア政府との関係にしてもいずれ突き止めて行く必要がある。ただし……あくまで特務支援課としてだ。」
ロイドが制止し、真剣な表情でランディを見つめて言った。
「ロイド……」
「俺達にはランディが必要だし、ランディを一人にするつもりもない。ランディだって、一人で動いて何かできる見込みは無いんだろう?だったら……勝手に動くなんて言わないでくれ。」
「……………………」
「ふふ、相変わらず大した口説き文句だねぇ。」
「で、でもその通りですよ!こういう時に力を合わせるのが特務支援課なんですよね!?」
「ええ、勿論よ。あの教団事件でも、私達は全員の力を合わせて立ち向かった。ランディ、今回も同じではないの?」
「……はは。悪ぃ、つまらないことを言いかけたみてぇだ。」
「ああ、まったくだ。とにかく車もあることだし、今日は支援要請を片付けながら郊外を回ってみよう。アルモリカ村にも足を延ばしてもいいかもしれない。」
「そうだな……俺も今回を機に郊外の地形を把握しておきたいし……」
「フフ……それじゃあ出かけるとしようか。」
ロイドの言葉にリィンは頷き、ワジは静かな笑みを浮かべていた。そしてロイド達は出かける為に次々と入口を出て行ったが、ランディが出ようとした所をロイドが呼び止めた。
「―――なあ、ランディ。」
「ん?なんだ、ロイド。」
「その……お父さんのことだけど。」
「ああ、それか……別に気にすることはねぇぜ?あの世界じゃ珍しくもねぇ話だ。それに、団を抜けた時に俺と親父は縁を切っている。何も感じないわけじゃねぇが……ま、サバサバしたもんだぜ。あの”戦妃”のお姉さんが親父を殺したって話は驚いたが……それだけだ。別にあのお姉さんを恨んでもいねーぜ?星見の塔で初めて俺達と出会った時、あのお姉さんが俺に興味を示したのは多分、それだけ親父がお姉さんに興味を抱かせるほどの強さだったんだろうな。……おかげでその息子の俺まで興味がいってるようだしな。ハハ…………戦いを仕掛けられない事を祈っておかないとな。」
ロイドの言葉を聞いたランディは一瞬驚いた後なんでも無い風に答え、苦笑していた。
「……そっか。でも、気が向いたら色々と聞かせてくれよな?一応、リーダーとして相談に乗れることがあるかもしれないしさ。」
「………………………………」
「あ、ゴメン。ちょっと生意気だったか?」
「ハハ、違う違う。何だかんだ言ってお前も成長してると思ってな。うーん、お兄さん感慨深いぜ。」
「あのな……」
「……ま、気が向いたら相談するかもしれねぇ。そん時はよろしく頼むぜ。」
「ああ……!」
ランディの言葉にロイドが頷いたその時
「あれ、何してるの?」
「2人とも、忘れ物?」
ワジとエリィの声が聞こえてきた。
「ゴメン、すぐ行く!」
「そんじゃあボチボチお仕事を始めるとすっか。」
声を聞いたロイドは返事をした後ランディと共にビルを出た。
その後ロイド達は支援要請を片付ける為に行動を開始した…………
今回の話で驚いたと思いますがシズクの目が限定的ではありますが治っています(汗)現実の世界の値で言うと現在のシズクの視力は0,1ぐらいで眼鏡をかけたら0,8ぐらいだと思って下さい。(ていうか、自分でも書いて思いましたがそこまで治っていたらキーアの力がいらない気が(笑))そして……ルファ姉自身も呟いていましたけどしばらくはご無沙汰だったルファ姉無双が再び見れるかもしれません♪しかも今までとは比べものにならないくらいの大規模な無双になるかも?(なんせ、相手が(大汗))……感想お待ちしております。
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第694話