No.610034

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 680

soranoさん

第680話

2013-08-18 19:44:58 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:777   閲覧ユーザー数:733

ロイド達が警察本部を出るとエニグマが鳴る音が聞こえてきた。

 

~行政区~

 

「あっと、課長かな?」

「そろそろかかって来てもおかしくない時間ね。」

そしてロイドは通信を始めた。

「はい、特務支援課、ロイド・バニングスです。」

「おう、ご苦労。朝言った通り、そろそろ警察学校に来てもらうぞ。場所はわかるな?」

「ええ、もちろん。西クロスベル街道の途中からゲートに入ったところですね。」

「ああ、ゲートは開けておく。ところで……一通り街を回ったはずだな。素直に言ってどうだった?」

「あ…………そうですね。色々とキナ臭い状況になり始めている気がします。」

「その嗅覚、今まで以上に研ぎ澄ませておくといい。それじゃあ待ってるぞ。」

「了解しました。」

セルゲイとの通信を終えたロイドはエニグマを元の位置に戻し

「やっぱり課長だったみたいね。」

「何か気になることを言ってたみたいですけど……?」

エリィとノエルがロイドに通話内容について話しかけた。

「ああ、課長も色々と状況の変化を感じているらしい。黒月やラギール商会、レクター大尉のことも報告した方が良さそうだな。」

「そうね…………」

「それでそろそろ警察学校に行くのか?」

ロイドの話にエリィは頷き、リィンはロイドに尋ね

「ああ、西口から街道に出よう。」

尋ねられたロイドは頷いて提案した。その後ロイド達は西口を出て街道に出た。

 

~西クロスベル街道~

 

「さてと……みんな、どうする?警察学校まで行くとしたら徒歩かバスになるけど。」

街道に出たロイドは仲間達を見回して尋ね

「そうね……私はどちらでもいいわ。最近、歩いてなかったからちょっと身体を動かしたいし。」

「私は乗り物に乗るより自分の足で歩く方が好きね。その方が自然の声が聞こえるし、心地よい風をその身に受けれるしね。」

「俺はできれば歩きたいな。実際に歩いて街道の地形が実際どうなっているか把握しておきたいし。」

「それに確か、西クロスベル街道に手配魔獣が出ていましたよね。だったらついでですし、歩いた方がいいかもしれません。」

エリィ、エルファティシア、リィンは答え、ノエルは提案し

「おいおい、マジかい?さすがに徒歩なんてダルすぎる気がするけど……」

エリィ達の話を聞いたワジは疲れた表情をした後不満げな表情で言った。

「もう、いい若者がそんなことじゃ情けないよ?普段、夜遊びばかりしてるんだからこういう時に身体を動かさないと!」

ワジの言葉を聞いたノエルは溜息を吐いた後真剣な表情でワジを見つめて言い

「体育会系のノリはあまり趣味じゃないんだけどな。ま、いっか。疲れたら優しいリーダーに負ぶってもらえばいいんだし♪」

ノエルの言葉を聞いたワジは溜息を吐いた後笑顔でロイドを見つめ

「負ぶらないから。」

見つめられたロイドは指摘した。

「ふふ、それじゃあ徒歩で出発する事にしましょうか。手配魔獣が出るかもしれないから気をつけないとね。」

「了解しました!」

その後ロイド達は街道を徒歩で進み、しばらく進むと策がある崖の傍にいる一人の赤毛の大男を見つけた。

 

「あれ…………」

大男を見つけたロイドは不思議そうな表情をし

「…………………………」

大男は黙って線路を見つめていた。

「こんにちは。もしかしてあなたも街道を歩いてきたんですか?」

「―――来るぞ。」

ロイドが大男に尋ねたその時、大男は呟き

「え…………」

「帝国からの列車だ。ちゃんと見ておけ。」

自分の言葉に呆けているロイドに大男は言った。すると帝国方面から列車がやって来て通り過ぎた。

「エレボニアからの大陸横断鉄道の列車ですね。」

「あの、何かおかしな事でも?」

「いや?おかしな事は何もないさ。ところで、そこの小僧。今の列車―――乗客は何人乗っていた?」

「へっ…………」

エリィの疑問に答えた後唐突に尋ねてきた大男の質問を聞いたロイドは呆け

「一応、車両の中まで目を配っていただろうが。何人だ、答えろ。」

「そ、それは…………(何でそんな事がわかるんだ……?)……………52人です。」

大男に尋ねられて内心驚き、考え込んだ後答えた。

「ほう、当たりだ。マグレかどうか知らんが良い目ををしてるようだな?」

ロイドの答えを聞いた大男は感心した様子で呟き

「た、たまたまですよ。(まさか当たるなんて……)」

ロイドは内心驚きながら答えた。

「フフ……せいぜい目は鍛えておけ。漫然と眺めるな。状況そのものをふひんしろ。その上で、そこにある要素を瞬間的に掴み取っておく……」

「え…………」

大男が呟いた言葉を聞いたロイドが呆けたその時大男は―――片目に眼帯を付けた大男は振り向いてロイドに言った。

「―――それが戦場で生き残るコツってやつだ。まあ、覚えておくといい。」

そして大男はロイド達から去って行った。

 

「ぷはあ~~っ!」

「い、いったい何者……?」

「体格といい、隙の無さといい只者じゃありませんね…………」

「ああ……それに威圧感もリウイ陛下ほどではないけど凄かった………」

「恐らくかなりの数の戦場を潜り抜けているわね……」

大男が去った後ロイドは溜息を吐き、エリィは真剣な表情で呟き、ノエルは考え込み、リィンはノエルの言葉に頷き、エルファティシアは真剣な表情で呟き

「いや…………そんな程度じゃ済まないかもしれないよ?」

何かに気付いたワジがある方向を見つめて言った。

「え……」

ワジの言葉を聞いたロイドは不思議そうな表情をしてワジが見つめている方向を見るとそこには大型の魔獣の死体がいくつもあった。

「なっ……!」

「あれは……!?」

死体を見たロイドとエリィは厳しい表情をした後魔獣の死体に近づいた。

「ひ、酷い………」

「まさかこいつら……今朝、確認した手配魔獣か!?」

「ま、間違いありません!手配された特徴と一致します。報告されたものより数は多いみたいですけど……」

「3、4、5体……どれも斬撃で倒されている。さっきの男の仕業かな?」

「ああ、間違いないだろう……鋭利な刃というより、巨大なナタみたいなもので切り裂かれたみたいだけど……」

ワジの言葉に頷いたロイドは考え込み

「大剣を使うヴァイスハイトやギュランドロスなら可能だけど……状況を考えるとどう考えても今の男の仕業でしょうね。」

「ええ……それにしても鮮やかと言っていいほど真っ二つにされているな……」

真剣な表情で呟いたエルファティシアの言葉に頷いたリィンは魔獣の死体を見て考え込んでいた。

「み、みんな……よく冷静に観察できるわね。」

「すみません、あたしもこれはちょっとキツイです……」

ロイド達の様子を見たエリィとノエルは溜息を吐いて言った。

「わかった。いったんここから離れよう。……あの男は……もう行ってしまったみたいだな。」

「ああ、クロスベル市に歩いて行ったみたいだね。……今から追いかけても捕まえるのは難しそうだな。」

その後ロイド達は街道を進み、さらにその先にあるゲートをくぐって森を抜け、警察学校に到着した…………

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
2
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択