No.609889

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 677

soranoさん

第677話

2013-08-18 08:18:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:781   閲覧ユーザー数:748

裏通りに向かうとそこには意外な人物がルバーチェの本拠であった建物を物陰に隠れて見つめていた。

 

~裏通り~

 

「う~ん……いよいよ動き始めたわね。交渉している事くらいなら記事にしてもOKかしら?共和国派からの圧力も最近、減ってはいるけど……」

ある人物―――グレイスは建物を真剣な表情で見つめて呟いていた。

「グレイスさん、何をしているのですか?」

その様子を見ていたロイドはグレイスに声をかけて近づいた。

「な、なんだ……ロイド君たちじゃないの。そっか、特務支援課、いよいよ再始動ってわけね?」

「はい、おかげさまで。」

「ティオちゃんランディ、セティちゃん達は後から合流なんですけど。」

「そっか、ちょっと残念ね。しっかし、まさかワジ君が支援課に入っちゃうなんてね~。お姉さん、さすがに魂消たわ。」

ロイドとエリィの話を聞いて頷いたグレイスは口元に笑みを浮かべてワジを見つめた。

「フフ、驚いてくれて何よりだ。何だったら特集記事を組んでくれても構わないけどね。」

「あのな……」

「ふふっ、楽しそうじゃない。できれば色々話したいんだkど今ちょーっと取り込んでてね。それが終わったらゆっくりと―――」

ロイド達を見つめてグレイスが何かを言いかけようとしたその時

「おや、これは珍しい顔ぶれだ。」

聞き覚えのある青年の声が聞こえ、声が聞こえた方向を見つめるとグレイスが見つめていた建物の方向からラウと共にツァオがロイド達に近づいてきた。

「あ……」

「ツァオ支社長…………」

(……彼がリウイ陛下から頂いた情報にある要注意人物の一人――――”黒月”の”白蘭竜”か……)

「……しまった。」

ツァオを見たロイドは声を上げ、エリィは厳しい表情をし、リィンは真剣な表情でツァオを見つめ、グレイスは目を伏せて呟いた。

「お久しぶりですね。ロイドさん、エリィさん。それと貴女とは初対面になりますね?エルファティシアさん。それと――――ワジ君にリィン君、ノエル曹長でよろしいですか?」

「フフ、どうも初めまして。」

「ど、どうしてそれを……!」

「へえ……さすが大した情報網だね。」

「既に俺の事までご存知とは……」

そしてツァオが呟いた言葉を聞いたエルファティシアは余裕の笑みで答え、ノエルは驚き、ワジは感心し、リィンは真剣な表情でツァオを見つめて言った。

「フフ、他ならぬ特務支援課のことですから。しかし、まさかグレイスさんにこちらの動きを掴まれていたとは。さすがは天下のクロスベル・タイムズですね。」

驚いているノエル達に口元に笑みを浮かべて答えたツァオはグレイスがいる方向に身体の向きを傾けてグレイスを見つめて言った。

「い、いや~…………偶然ですよ、そう偶然!」

ツァオに笑顔を向けられたグレイスは内心焦りながら笑顔で答えた。

「……一体、こんな場所で何をなさっているんですか?」

「ルバーチェの跡地に何か御用だったんですか?」

「ハハ、決まっているでしょう?このまま寝かせておくには余りにもったいない土地です。ならば我が社が有効に活用させてもらおうと思いまして。」

ロイドとエリィに尋ねられたツァオは笑顔で答えた後不敵な笑みを浮かべた。

「……!」

ツァオの言葉を聞いたロイドは表情を厳しくし

「フフ、マフィアの保有物件など普通なら手を出しにくいでしょう。しかし我々ならば”多少は”その手の物件にも慣れています。委託業者にしても月々の管理費は頭が痛いでしょうし、良い取引が出来そうですよ。……まあ、ラギール商会も同じ考えらしく、あちらもこちらを買い取ろうとしているらしくて……フフ、中々楽しませてもらっていますよ。」

ツァオは不敵な笑みを浮かべて答えた。

「くっ…………」

ツァオの話を聞いたロイドは唇を噛みしめ、

「……えっと、ツァオさん。そうした情報は記事にしても?」

グレイスは真剣な表情で尋ねた。

「ああ、構いませんよ。やましい事ではありませんし。憶測で決めつけるのは勘弁していただきたい所ですが。」

「あ、あはは……もちろん心得ていますわ。」

「フフ、それでは失礼します。ロイドさん、何かあれば我が社にいらしてください。……行きますよ、ラウ。」

「は。」

そしてツァオとラウはロイド達から去って行った。

 

「……………………」

2人が去って行く様子をロイドは黙って見つめ

「す、凄い人でしたね。ヘビに睨まれたカエルみたいな気分だったんですけど…………」

「そうね……」

ノエルは真剣な表情で呟いた後溜息を吐き、ノエルの言葉にエリィは頷き

「黒月きっての若手幹部、”白蘭竜”のツァオ・リーか。噂以上のキレ者みたいだね。」

ワジは真剣な表情で呟いた。

「ああ、相変わらずだな。―――グレイスさん。黒月とラギール商会がこのルバーチェ跡地を?」

「ええ、双方とも倉庫なんかも含めてまとめて買い取るつもりみたいね。もしどちらかがここを押さえたらクロスベルの裏社会の完全な掌握に大きなリードができる……厄介なことになりそうだわ。」

「……同感です。しかし、聞き込みに来たところでえらい場面に出くわしたな。局長達が一緒でなくてよかったよ……」

グレイスの言葉を聞いたロイドは溜息を吐き

「そうね、これも一課に伝えた方がいいかもしれないわ。」

「あら、ヴァイスハイトなら余裕で対応すると思うわよ?」

ロイドの言葉を聞いたエリィはロイドの言葉に頷き、エルファティシアは意外そうな表情をした。

「あれ、あなた達もツァオの動向を調べに来たんじゃないの?もしかして別件を追ってる?」

「いえ、その……(そうだな、グレイスさんは確か面識はあったみたいだし……)……実は、以前グレイスさんも会っている人を捜しているんです。カジノで鉱員の人を負かしたレクターっていう人なんですけど。」

「ああ、そうなんだ?あの子なら、龍老飯店でさっき見かけたばかりだけど。」

「ええっ!?」

「ほ、本当ですか!?」

グレイスの話を聞いたロイドとエリィは驚き

「ええ、例のバカンスルックで呑気そうに食事してたわね。取材で急いでたから声をかけそびれちゃったけど……って、こうしちゃいられない。せめてツァオやチキ氏からもう少し突っ込んだ情報を聞き出さないと。……じゃあね!また今度、食事でもしましょう!」

2人の言葉に頷いて説明を続けたグレイスはある事に気付いた後ロイド達から走り去って行った。

「あ、相変わらずだな…………」

その様子を見ていたロイドは苦笑し

「でも、思わぬところで目撃情報が入ったじゃない。」

ワジは口元に笑みを浮かべて言った。

「ええ、さっそく”龍老飯店”に行きましょう。」

そしてエリィは提案し

「了解です!」

「ああ。」

「ええ。」

エリィの提案にノエルとリィン、エルファティシアは頷いた。

 

その後ロイド達は東通りにある”龍老飯店”に向かった………………

 


 
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