No.609804

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 676

soranoさん

第676話

2013-08-18 00:06:35 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:847   閲覧ユーザー数:801

ヴァイス達と合流したロイド達は依頼人であるエマがいる会議室に向かった。

 

~警察本部~

 

「来ましたか……バニングス捜査官。」

「ど、どうもエマさん。その節はお世話になりました。」

「一課での研修の事であれば世話したつもりはありません。あくまで、ダドリーさんの指示に従っただけのことです。スジは悪くありませんが……一課への誘いを蹴って支援課に戻ったのは理解に苦しみますね。」

「す、すみません………」

(色々あったみたいね……)

(確かにロイドさんだったら他の部署も欲しがりそうですよね。)

(フフ、成長してきている証ね。)

エマに言われて謝っているロイドを見たエリィは意外そうな表情をし、ノエルは納得した表情をし、ルファディエルは微笑んでいた。

「それと…………何を考えているんですか、ツェリンダー局長、ノウゲート警視。特務支援課に所属するなんて。」

「おっと……今度は俺達に矛先が来たか。局長としての書類仕事はこなしている上、各課の判断に任せて仕事を効率化しているのだからどこに文句がある?」

「私はヴァイスの秘書兼護衛ですので常にヴァイスと共にいるだけの話です。」

そしてエマに睨まれたヴァイスは口元に笑みを浮かべた後エマに尋ね、アルは淡々とした表情で言った。

「……一課(ウチ)の課長が頭を抱えて呟いていましたよ?これ以上問題を作るのはやめてくれと。しかも前局長が与えたルファディエル警部の特別待遇を取り消して欲しいという件も一切取り合っていないそうですね?」

「え……………そんな話が出ていたんですか?」

「ま、まあルファディエルさん、アルカンシェルの脅迫状の件であの権利を使って一課を利用して、特務支援課(わたしたち)に手柄を渡すような事をしたからそんな話が出ても仕方ないわよ……」

「へ~………天使の割には結構腹黒い事をしたのね。」

(腹黒いとは失礼ね。私は当然の事をしたまでなのに。)

エマの話を聞いたロイドは驚き、エリィは表情を引き攣らせながら呟き、エリィの言葉を聞いたエルファティシアは興味深そうな表情をし、ルファディエルは眉を顰めた。

「問題を作るとは人聞きの悪い。市民や報道陣からは好意的に見られているではないか。それとルファディエルの件だが、その待遇で警察に所属してもらうという約束だろう?法を遵守する警察が一度交わした約束を破る訳にはいかないだろう?第一、ルファディエルはその待遇に見合う成果を出し続けているし、ルファディエルの件で文句を言っているのは一課(おまえたち)だけだろう。それのどこに文句があるんだ?」

「ハア……………………まあいいでしょう。早速、本題に入ります。ここに来たという事は手伝ってもらえると考えてもいいのですね?」

ヴァイスの答えを聞いたエマは頭痛を抑えるかのように片手で頭を抑えて溜息を吐いた後気を取り直してロイドを見つめて尋ねた。

「ええ、もちろんです。……何でも、あのレクター・アランドールがクロスベル入りしているとか?」

「一課ではそう掴んでいます。……ですが、残念ながらいまだ確定できていません。」

「それはどういう……?」

「所在が確認できないということでしょうか?」

エマの話を聞いたロイドとエリィは仲間達と共に首を傾げた後エマを見つめ

「そもそもクロスベル入りしたというのが不確かな情報なんです。それらしき目撃情報はある……だが、足取りを追おうとすると陽炎のようにぼやけてしまう…………恐らく、こちらの動きを察知して捕捉を逃れているのだと思います。」

「……なるほど………」

「さすがはあの”鉄血宰相”の懐刀ですね………」

「と、とんでもない人ですね。」

「初めて見た時に思ったけど、私やヴァイスみたいに掴み所のない人ね。」

「ほう……?それは手強そうだな……」

「危険度を上げておく必要がありますね。」

「ま、あのお兄さんならそのくらはやりそうかもね。」

エマの説明を聞いたロイドとリィンは表情を厳しくし、ノエルは驚きの表情で呟き、エルファティシアが呟いた言葉を聞いたヴァイスは意外そうな表情をした後口元に笑みを浮かべ、アルは真剣な表情で呟き、ワジは静かな笑みを浮かべて言った。

 

「そこで貴方達にレクター・アランドールの滞在事実を確認して欲しいのです。本当にクロスベル入りしているのか、それとも何らかの偽装情報なのか。可能ならば、帝国軍将校、ないし帝国政府の書記官としての身元確認も頼みたいと思います。」

「……わかりました。」

「ですが、どうして私達に?」

「以前、あなた方は”彼”と何度か接触しています。それに賭けてみる事にしました。」

「な、なるほど……」

「フフ、エリートの割には意外と柔軟な対応なんだね?」

エマの説明を聞いたロイドは苦笑し、ワジは静かな笑みを浮かべて尋ねた。

「ぐっ…………仕方ないでしょう。人手を割けば捕捉は可能ですが下手をすれば外交問題になりますし、それ以外の案件も抱えています。……ダドリーさんがいらしたら貴方達には頼まなかったのに。」

「そういえば……ダドリーさんはどちらに?」

「昨日の夕方、通商会議の警備の打ち合わせでリベール方面に向かいました。戻るのは明日になると思います。」

「そうだったんですか…………」

「お忙しそうですね……」

「ですから、彼が帰って来る前に何とか片付けておきたいのです。どれだけ出張で疲れていても引き受けてしまう人ですから。」

「な、なるほど……」

「確かにダドリーさんならそのくらいはしそうですね…………」

「フッ……上司思いの部下を持つとは幸せな男め。」

エマの話を聞いたエリィとノエルは納得した表情で頷き、ヴァイスは静かな笑みを浮かべて呟き

「……その上司の悩みの種の一つである局長も部下である私達の事を考えて少しは行動を慎んでほしいのですが。」

ヴァイスの呟きを聞いたエマは顔に青筋を立ててヴァイスを睨み

「おっと、やぶ蛇だったか…………」

「うふっ♪部下を困らせるのもほどほどにしときなさいよ~。」

睨まれたヴァイスは苦笑し、エルファティシアはからかいの表情でヴァイスを見つめて言った。

「……少しでも私達の事を考えて下さるのでしたら、今すぐ一課(ウチ)の課長の所に行って下さい。局長に相談したい案件や判断を仰ぎたい案件が山ほどあるのですから。」

「……仕方ないな。そういう訳だから、ロイド。俺とアルは外すからお前達だけで頑張ってくれ。」

そしてエマに言われたヴァイスは溜息を吐いた後ロイドを見つめて言い

「あ、はい。お疲れ様です。」

見つめられたロイドは頷いた。

「アル、行くぞ。」

「はい、ヴァイス。」

そしてヴァイスとアルはロイド達から去って行った。

「フフ…………悩みの種とか言っている割には局長としてのヴァイスハイトの能力を認めているのね?」

ヴァイス達去った後エルファティシアは口元に笑みを浮かべてエマを見つね

「…………ツェリンダー局長は前局長と違い、警察局長として健全かつ優秀な能力を持つ方である事は事実ですので。…………後は問題行動さえなければ、警察局長として完璧な方なのですが。」

見つめられたエマは静かな表情を浮かべて答えた後溜息を吐き

「ハハ…………――――それより話を戻しますが、今回の要請、引き受けさせてもらいます。とりあえず……どのあたりでレクター大尉が目撃されたかわかりますか?」

エマの言葉を聞いたロイドは苦笑した後話しを戻して尋ねた。

 

「そうですね……真偽は定かではありませんが。”裏通り”のあたりで見かけたという情報があります。」

「裏通り……旧ルバーチェの近くですか。」

「フフ、それっぽいじゃない。」

「わかりました。早速、調査に入ります。」

「よろしく頼みます。私は一課で待機しているので報告の時は受付で呼んでください。それでは失礼します。」

ロイドの返事を聞いたエマはロイド達に言った後ロイド達から去って行った。

「ふう……」

エマが去った後ロイドは溜息を吐き

「随分、一課の研修でお世話になったみたいね?」

ロイドの様子を見たエリィは尋ねた。

「ああ、態度は厳しいけど懇切丁寧に教えてくれたよ。何ていうか……生真面目な人なんだと思う。」

「ふふっ、そんな感じですよね。」

「確かに第一印象からして、そう見えるよな。」

「ま、そういうお姉さんほど癒しを求めているものだけどね。フフ、今晩あたりに飲みでも誘ってみようかな?」

ロイドの説明を聞いたノエルとリィンは頷き、ワジは静かな笑みを浮かべて言った。

「あのな…………とにかく当たりを付けてレクターさんを捜してみよう。まずは裏通りからだな。」

「ええ、行きましょう。」

その後ロイド達はレクターを捜すために裏通りに向かった………………

 

 

 

 


 
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