―――世界は無限に存在する
自分達の住む世界と違う世界
似ているようで違う世界
全てを合わせれば無限に世界は存在する
これは、苦しみながら『命』を求めた怪人に出合い…自らの『罪』償うために戦う男と
夢を追い、自らの正体を知り…自らが異形の存在になろうとしても戦う少年の
一つの世界から始まった…二つの世界を救う物語
所々破れ、汚れた服……生気のない顔…
それがその町に住む住人の印象だった
その中の一人の男が上を見上げる
見上げた先には高い城壁で囲まれた町……城下町だ
そこからは貴族達の笑い声が聞こえる
恐らく博打か何かの娯楽を楽しんでいるのだろう
男はそう思っていると上から食べかけた肉が降ってくる
男以外にもそれに気づいた者もいて、一斉にそれに群がった
男は思う………何故自分はこんなにも惨めな暮らしをしているのか?
一度でいい…腹が膨れるまで食べ物を食いたい…
『――お前の欲望、解放しろ』
後ろから誰かの声が聞え、男の後頭部に何かが入り込む
男は確認する暇もなく全身が包帯のようなものに包まれた
「…食い物ぉぉぉぉ!!」
男はまるで狂ったように先程の肉がある場所に走り出す
そこにいる住人を人間ではあり得ない腕力で掻き分ける
男は肉を貪り満足する……ことなくまた別の食べ物を求める
今度は犬…猫…木の根…さらには家の一部を貪る
「あ、あ……ああああああああああ!!」
『に゛ゃぁぁぁぁ!!』
「で、出た!!」
「『ヤミー』が出たぞぉぉぉ!!」
男は咆哮をあげ中から太った猫のような怪人が出てくる
周りからはヤミーと呼ばれた存在を見て、住人達は逃げていく
だが何人かはその場で立ち止まったまま…
――もういい
――こんなに苦しいなら
――こんなに辛いなら
――生きて…いたくない
ネコヤミーの鋭い爪が一人の女性に突き刺さる…ことはなかった
ネコヤミーの目に前に灰色のオーロラが現れる
それにより爪は弾かれた
ネコヤミーが動揺しているなか、一人の男がオーロラから出てくる
周りにいる住人とは似つかわしくないよれよれになりかかっている黒のスーツと赤いネクタイ
「……怪人…か…?」
「だ……れ…?」
『に゛ゃああ!!』
男がネコヤミーを見つめている途中、ネコヤミーが襲ってきた
それを簡単によけ、男は女性を安全な場所に避難させる
その後、ネコヤミーの前に再び行き、腰に手を当てるとベルトが現れた
「変身!!」
男はポーズを取り、その姿を変える
赤い鎧に包まれ、クワガタを連想させるような仮面……
『へぇ……面白い人間がいるんだね』
「誰だ…?」
いつのまにか近くの家の屋根にネコヤミーと同じ…いや、それ以上の動物のモチーフの怪人がいた
けだるい声で男に話しかける怪人はネコヤミーよりも強い…そう感じさせる
『僕はカザリ。欲望の怪人、グリードさ』
「グリード…か」
『逆に聞くけど君は誰だい?ウヴァのヤミー…ではないと思うけど』
怪人…カザリが言うウヴァとは同じグリードなのだろう
男は襲ってくるネコヤミーを返り討ちにしながら答える
「俺は、平沢……はっ!平沢梨斗!」
名前を言い終わる頃には彼はネコヤミーを踏み台にして飛び上がり、渾身のけりをいれる。
ネコヤミーは耐えきれなくなり爆発…そこから大量の銀色のメダルが落ちてくる
だがそれを気にせず彼はカザリの方を向く
「またの名を……仮面ライダークウガ」
これがこの世界での平沢梨斗…仮面ライダークウガの最初の戦いであり、罪の始まりでもあるグリードとの出会いだった
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とりあえずプロローグです
タイトルにオーズがあるけど実際クウガも出ます