No.607689

特務戦隊 Lパワード! 第6話 震える星

enarinさん

○ボーカロイド小説シリーズ第12作目の” 特務戦隊 Lパワード!“シリーズの第6話です。
○今回は戦隊モノです。
○ギャグあり、涙あり、ワクワクありの、戦隊モノの王道をボカロ達に演じて貰いました。
○まぁ、今回もカイトにーさんは、ギャグ要因で不憫な役なんですけどね・・・。
○Lパワードの“L”が何を意味するのか? お楽しみに。

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2013-08-11 15:38:49 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:483   閲覧ユーザー数:483

(Lフォートレス・武装訓練場)

 

 後期型バトルスーツに着替えたLパワードの面々は、少し広めの『武装訓練場』に入っていった。

 

メイコ「さて、4人には、そのスーツの武装に慣れて貰う必要があるのよね」

 

 ガショーン、ガショーン

 

 白いロボットスーツに身を包んだ海斗が、えっちらこっちら動きながら、4人の前に歩いてきた。

 

海斗「こんなコスプレ衣装で、本当に闘えるのか?」

メイコ「ええ、勿論。じゃあ、海斗、あのターゲット用『木人』に向かって、ライフルを発射してみなさいな」

海斗「どうせ、水鉄砲だろ、こんなの・・・」

 

 海斗はブツブツ言いながら、スコープをターゲットに合わせて、スーツ内部にあるトリガーを引いてみた。

 

 バシューーーーーン!!! ガガーーーン!!!

 

 銃口から発射された水色の光の塊がターゲットにぶつかって、木人は粉々になってしまった。

 

海斗「え・・・」

メイコ「だから言ったじゃないの。ちゃんとしたビームライフルだって。チャージ時間は30秒で長いから、ちゃんとターゲットには当ててね。あ! くれぐれもレンとか生物に直接撃たないでね。この武器、火力が半端じゃないから、例えば敵の乗り物とか『メカ』にだけ使って」

海斗「は、はい。ってか、どういう仕組みであんなのがここから出るんだ?」

メイコ「仕組みは詮索しないの! メンテナンス以外で、つまり、敵に掴まった時だけど、やたらに詮索して分解されそうになると、『自爆装置』が働くようになっているから」

海斗「なんで! 中の人の俺はどうなる!」

メイコ「男なんだから、そん時は、華と散りなさい」

海斗「そんな無茶苦茶な・・・」

メイコ「さて、じゃあ次はルカね。貴方のメイン武器は『打撃』なんだけど、ちょっと普通とは違うのよ」

ルカ「『普通』と違うんですか・・・」

メイコ「そのグローブね、タコの足の原理を応用した『Tアーム(たこルカアーム)』って言って、『腕を伸ばす』能力があるのよ。試しに、あのサンドバッグを殴ってみなさいな」

ルカ「え!? だって、あそこまで5mはありますよ?」

メイコ「まぁ、だまされたと思って、ここから殴る仕草をしてみなさいな」

ルカ「はぁ・・・も、もういいや! えぃ!!!」

 

 ルカは右手をぶんぶん回転させてから、思いっきり後ろに振りかぶって、全力で振り下ろして、サンドバッグを唐竹割する感じで殴る仕草をした。

 

 ブーーーーーーーーン!

 

ルカ「え!?」

 

 ルカの手は、某インドの格闘家とか、海賊少年のように、びよーーーーーーーんと伸びて、グローブがサンドバッグを直撃し、真っ二つに破壊して、中から砂がサラサラと落ちてきた。

 

メイコ「あー、全力でやっちゃったか。それ、打撃力が高いから、人間相手の時は控えめに、メカとか凶悪生物とかが相手の時は今みたいに全力でやっちゃっていいと思うわ」

ルカ「あの~、一応訊きますが、このグローブも海斗のそれと同じなんですか?」

メイコ「ルカのはね、やたらに詮索したり、分解したりしようとした場合、グローブもシューズもビキニもバリバリに破けちゃうの」

ルカ「ちょっ!!!!???? じゃあ、残った裸の私はどうなるんですか!」

メイコ「読者サービス・・・じゃなかった、残念ながら、破けた断片が合体して、すぐにピンク色の全身強化タイツになるから安心して。でも、Tアームがなくなって戦闘能力が極度に低下するから、すぐに撤退したほうがいいわ」

ルカ「安心していいのか、不安になったほうがいいのか、複雑・・・」

メイコ「では、次、ミクね。実はミクには《物理攻撃能力》がないのよ。あるのは《回復・治療・補給能力》だけ。その腰の機械から発生する“フィールド”内にいる仲間に効果があるから、出来るだけ攻撃を回避して、更に攻撃が来ないけど、仲間ともあまり離れてない所に陣取って、仲間のサポートに徹してね」

ミク「ミク~、やっぱりミクにも・・・その・・・あるミクか?」

メイコ「まぁ、あるにはあるのよね。ミクアペンドスーツの技術は、かなり高度だから、敵に解析されちゃうと困るのよ」

ミク「ミク~、やっぱり掴まったら、ビリビリになって“裸”ミクか???」

メイコ「ううん、違うの。ちまキャラの『はちゅねミク』になっちゃうの」

ミク「ミク??? 『はちゅねミク』???」

メイコ「うん。まぁ子供みたいなキャラに変身して相手を撹乱できるから、その隙に逃げてちょうだい。スーツは『はちゅねミク』のスーツに変化しちゃうから、絶対に解析されないわ」

ミク「わかったミク」

メイコ「さて。最後は《ミツバチハリィ》こと、リリィね」

リリィ「あーもー、なんでもこいです。これだけ《イロモノキャラ》になっちゃったら、逆に、吹_っ_切_れ_た_わ」

メイコ「そんなら好都合。貴方のスーツは『攻撃的』だから、いろいろあるのよ。まずは、その“針型の槍”は、もうそのまま“突武器”でもいいし、“投擲武器”でもいいわ」

リリィ「はいはい。えい」

 

 ブーーーーン グサッ

 

 リリィは、もう文字通り“投げ槍”状態で、針の槍をぶん投げて、5m先の“ダーツの的”の中央に突き刺した。

 

メイコ「次はお尻の針から出るレーザーね。地上では出しにくいけど、空中を飛んでいるときは“対地武器”として重宝するわ」

リリィ「はいはい」

 

 リリィは飛び上がって、羽根で羽ばたき空中を飛んでいる時に腰を曲げて、5m先の『木人』めがけてレーザーを発射した。

 

 ビューーーーーン! バンッ!!!

 

 木人の中央に当たり、真っ二つになってしまった。

 

メイコ「で、最後は背中のハニカム構造物『エネルギーミサイルランチャー』なんだけど、これだけはちょっとこれまでと違うのよ」

リリィ「はいはい、なんでも来いですヨー」

メイコ「なんと! 自分の意志で、エネルギーの蜂状塊“リトルビー(小型蜂)”を操作できるの」

リリィ「はいはい・・・・え? 意志で操作?」

メイコ「そ。あなたのスーツには全身に渡って、『意志をリトルビーに伝える装置』が仕込まれているの。だから、リトルビーは射出されると、貴方の思い通りに動くわ。ただエネルギーの塊だから、移動以外の操作は相手にぶつける位だけどね」

リリィ「あ、なんかそれだけは格好いいわね。わかった、やってみる!」

 

 リリィは目をつむって精神を集中させて、5m先に感じる『ターゲット』を目標に決めて、叫んだ!

 

リリィ「リトルビー、出ろ!」

 

 バシュ! バシュ! バシュ!

 

 金色に輝く小さい蜂状のエネルギー体“リトルビー”が3体、ハニカムコンテナから発射された!

 

リリィ「あの『ターゲット』を攻撃しろ!」

 

 ギューーーーーーン!

 

 リトルビー3体は一斉にターゲット目がけて飛んでいき、自分をミサイルにするような体当たりをする事で、『ターゲット』を破壊した。

 

メイコ「おー!! 最初でそこまで使いこなせるなんて、思ってなかったわ」

リリィ「これだけは面白いし、格好いいね。気に入ったよ・・・・あー、でも、私のにも、やっぱり自爆装置みたいのが付いているわけ?」

メイコ「貴方のには、自爆ではなくて、スーツの残存エネルギーを全部使う形で、“100体のリトルビーを放出する機能”が付いているの。それらが“暴走”している間に逃げてね」

リリィ「なるほど、最終手段を使うわけだ」

 

メイコ「さて、おおかた説明は終わったから、これから本格的な演習を、」

 

 その時、突然艦内放送が聞こえてきた。

 

艦内放送(ネルの声)「メイコさん! 大変です! レンの宇宙船がワープを開始しました! 遠距離跳躍で一気にイネットに到着させるようです!」

メイコ「え!!! じゃあ、レンの宇宙船をロストしちゃったの!?」

艦内放送(ネルの声)「学歩さんが僕のコンソールを操作してくれて、ロストしませんでした! でもすぐにこちらも“跳躍”を開始しないと、ロストするかもしれない、との事です」

メイコ「わかった! 大至急戻るから、跳躍の準備をしていて!」

艦内放送(ネルの声)「わかりました!」

 

メイコ「みんなわかった!? すぐに戻りましょう!」

リリィ「さーて、これから敵本陣へ突入か~♪」

ミク「ミク~、頑張るミク!」

ルカ「まだ練習足りない気もするけど、やるしかないわね」

 

海斗「どうでもいいけど、跳躍の時もこのスーツか?」

メイコ「あ、それね、いつでもブレスレットに変形できるから、変身を解除しておいてね。服装はいつもの服に戻るから」

海斗「なんだ、よかった」

ルカ「私もさすがにずっとあのままだと思ったから、安心したわ」

 

 こうしてLパワード4人はスーツをそれぞれのブレスレットに変形させて、元の服装に戻ってから、大急ぎでコントロールルームに戻った。

(Lフォートレス コントロールルーム)

 

 全員が集まると、すぐに跳躍を開始しなければいけなかったので、学歩の状況説明の後、全員が席に座り、ベルトで体を固定した。

 

学歩「さて、用意は良いな。ではレン様の宇宙船を跳躍で追いかけます」

めぐみ「ちょっと変な感じがするかもしれないけど、我慢してね」

学歩「では、跳躍開始!」

 

 学歩の言葉の後、Lフォートレスの周りの空間が歪みだし、船体を包めるくらいの大きなトンネルへ突入した!

 

 ギューーーーーーーーーーーーーーーーン!

 

ルカ「う!!! なに、この、変な感じは・・・」

リリィ「す、凄いぞ、外の光景・・・。星の光が、横に流れている・・・」

学歩「跳躍すると、光の速さを越えるので、こんな光景になるんです。もうちょっとの我慢です」

 

メイコ「う・・・これはまさに、悪酔いした感じにそっくり・・・」

 

 こうしてLフォートレスは、空間のトンネルを突き進み、そしてワープ先の出口を出たのだった。

 

学歩「よ・・・よし! 跳躍成功! ネルさん、レーダーではどうだい?」

ネル「え・・えっと・・、よし! 僕の観測では、ちゃんとレンの宇宙船を認識しているよ!」

ハク「どうやら、まだ相手はこちらを見つけてないようです!」

テト「(@o@)」

ネル「テトにはきつかったみたいだね」

 

学歩「では、目標地点をイネット第2ポートに設定して、こっそり入港しましょう」

メイコ「了解! ここからは任せるわ」

 

 こうして、レンの宇宙船に見つからないようなルートに変更し、一行は惑星イネットに向かうことにした。

(惑星イネット・第2ポート)

 

 Lフォートレスは、レンの宇宙船が入港した惑星イネットの第1ポートとはちょうど反対側にある“第2ポート”の着艦手続きを受けていた。

 

学歩「こちらリン様側近のガクポとメグポだ。着艦ビーコンを出して欲しい」

管理官アル(以降、アル)「貴方が発信した『ID』は確認出来たが、見たことがない船に乗っているようだな。一応、船の所在を確認したい」

学歩「こちら“Lフォートレス”は、我々がお世話になった“地球”という星が開発したスペースシップだ。そちらに既に入港済みの、リン様の船を追ってきた」

アル「リン様の船か・・・。なるほど、それで今の状態になっているわけか」

学歩「なに! そっちではもう既に何かあったのか?」

アル「すぐに着艦ビーコンを出すから、第1ドックに早急に入港してくれ。おそらくそろそろ“港の封鎖”がされるだろうからな。詳しい事は着艦してから、こっちに来てくれ。まだ手は回ってないから」

学歩「わかった。着艦許可、感謝する」

 

 こうしてLフォートレスは、無事、第2ポートに着艦する事が出来た。

 

 船から下りた一行がまず解ったことは、“港が慌ただしい状態”になっていることだった。一行は管理官の秘書に連れられて、管理官の部屋に入った。

(惑星イネット・第2ポート・管理官アルの部屋)

 

アル「お茶でも飲んで経緯を説明して貰いたいところだが、今、こちらは非常事態宣言が出されている。君たちが“最後の着艦船”となったよ」

学歩「やはり、“レン様の姿をしたヤツ”が、既に一暴れしたのだろう?」

アル「着艦前のIDチェックでは問題なく『レン様』だったよ。しかし着艦し、レン様とリン様の王宮に到着してから、事態は一変した。レン様が突然、“非常事態宣言”を出され、この星から出ることを禁じ、順次だったが、着艦も禁止された。君たちの船は、そのギリギリで着艦できたわけだ」

学歩「ん? ヤツは我が軍隊を操って、侵略戦争を仕掛けたわけではないのか?」

アル「もっと恐ろしい事をしているよ」

 

 アルは部屋のブラインドを上げて、窓から今の市街地が見える状態にした。学歩はすぐに窓際に来て、市街地の様子を眺めた。しかし、眺めるだけでは治まらない状態になってしまった。

 

学歩「こ・・・・・これは・・・・・・・」

 

 市街地には、無数の白い『繭』が重なり合って置かれており、それが『繭にされた市民』であることを認識するのに、それほど時間はかからなかった。

 

アル「ヤツが王宮に移動する際に、卵の種を散布していたのだろう。市民のほとんどがやられた。リン様はどうやら、『要の人質』だったのだろう。卵を植え付けなかったよ」

学歩「ヤツの正体は・・・『外宇宙L02惑星の主の“クトゥルフ”』。外見を変えずに存在を乗っ取ることが出来る存在だ。『この星を侵略する』と言っていたから、軍隊を掌握するとかして、実行するのだと思っていたが・・・最悪の方法を使ったようだな・・・」

アル「そうか、やはり乗っ取られたレン様だったか。行動がおかしいと思ったので、繭が出来る状態を見てから、出来る範囲で、『埋め込み型の“マスク”』を装着してもらう事にしていた。残った市民をこのポートに入れて全面封鎖し、大気フィルターを使って、卵の侵入を防いだ。一応のため君たちもこのインナーマスクを飲み込んで貰いたい」

 

 アルは戸棚から、人数分の“小型のカプセル”を取り出し、一行に手渡した。一行は言われたとおり、カプセルを各自飲み込んだ。

 

アル「これで卵等の目や口や鼻から入ってくる“バイオ兵器”は体内に侵入しない。安心して市内を歩けるのだが・・・正直、ここで作戦をちゃんと立てて欲しい。この星のココと王宮以外の場所は、もう全滅と思って貰いたいからだ。レーダー観測から、全部繭にされたと判断した」

 

学歩「・・・奴が使った侵略方法は、“バイオハザード”だったのか・・・」

メイコ「恐ろしいわ・・・なんて恐ろしい事を考えるの・・・」

アル「そちらの方は?」

学歩「ああ、お世話になった地球という星の防衛をしている“Lパワード”のトップだ。作戦を立てるなら、彼女も入れないといけない」

メイコ「アルさん、宜しくね」

アル「こちらこそ。しかし、地球という星でも“バイオハザード”が起こった事があるようだね」

メイコ「大きいのは映画とかゲームとかの“フィクションの世界”だけですが、小さい物は現実の世界でも起こっています」

アル「で、地球では現実の世界で“そう言う事”が起こった場合、どうしているんですか?」

メイコ「こんな繭になるなんて起こったこともないから、対策を適応出来ないわ。こちらでもこんな例は初めてなんですね?」

アル「ああ、こんな事は初めての経験だ。このマスクは細菌兵器が使われる事を想定して一応作って置いた物だからね。今回は助かったが」

学歩「とにかく今はここは安全だ。特殊車両とか王宮への侵入方法とか、色々考える事もあるからな」

 

 こうして、惑星イネットでの作戦を考える“会議”が行われることになった。

 

(続く)

 

CAST

 

ルカ:巡音ルカ

エル=レン=クトゥルフ:鏡音レン

リリィ:Lily

ミク:初音ミク

海斗:KAITO

メイコ:MEIKO

ミキ:miki

 

リン:鏡音リン

学歩:神威がくぽ

めぐみ:GUMI

トニオ:Tonio

 

管理官アル:Big・AL

 

その他:エキストラの皆さん


 
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