No.604530

英雄伝説~光と闇の軌跡~ 629

soranoさん

第629話

2013-08-03 12:02:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1385   閲覧ユーザー数:1279

~夜・IBC~

 

「キーア………」

「みんな、無事でよかったよ~。」

「……ああ。心配してくれてありがとう。」

安堵の溜息を吐いているキーアにロイドは微笑み

「それにおじさまとベル、シズクちゃんまで……」

自分達に近づいてきたキーアたちを見つめたエリィは驚いた。

「ふふ………皆さん、お疲れ様ですわ。」

「外の騒ぎが収まったと聞いてね。様子を見に来たのだが………まさかここでかの”英雄王”達と邂逅できるとは思わなかったよ。ハッハッハッ!初めまして。私はディーター・クロイスと申します。」

ロイド達に近づいたマリアベルは微笑み、ディーターは説明した後リウイ達に視線を向け、声をあげて笑った後、リウイ達に会釈をした。

「………IBC総裁、ディーター・クロイスとその娘、マリアベル・クロイスか……」

「まあ。じゃあ貴女がエリィの話にあったエリィのお友達ね。フフ、いつもエリィと仲良くしてくれてありがとう。」

一方リウイは静かな様子を纏ってディーターとマリアベルに視線を向けて呟き、リウイの言葉を聞いたイリーナはマリアベルに微笑み

「………?あの………失礼ですが、イリーナ皇妃とエリィの関係は一体どういう関係なのでしょうか?」

微笑まれたマリアベルは戸惑った後尋ね

「……イリーナ皇妃は私の血の繋がった姉よ。」

イリーナの代わりにエリィが答えた。

「なっ!?」

「何……!?」

「ええっ!?エ、エリィ!その話は本当なの!?」

エリィの話を聞いたディーターとアリオスは驚き、マリアベルは驚いた後尋ね

「ええ。以前話した事があるでしょう?メンフィル大使館で働き、後にメンフィルの貴族の方に嫁いだ姉がいるって。その姉がこちらの女性――――イリーナお姉様よ。」

「た、確かにその話は聞きましたが………まさかその方がかの”聖皇妃”だったなんて………」

「フム…………という事はリウイ陛下達はエリィ達やクロスベルの危機を知り、メンフィルから駆け付けたのでしょうか?」

エリィの説明を聞いたマリアベルは戸惑った後驚きの表情でイリーナを見つめ、ディーターは考え込んだ後真剣な表情でリウイに尋ねた。

「勘違いするな。俺達がここに居あわせたのはたまたまだ。それに”教団”は我が国の領の民達を含め、大陸全土の民達を傷つけた国際的な犯罪組織だ。壊滅させたはずの組織がまだ活動していると知れば、メンフィル(俺達)だけでなく、エレボニアやカルバードも黙っていないだろう。たまたまプライベートでクロスベルを訪問していた俺達が奴等より行動が早かっただけの話。決してクロスベルとメンフィルが親密な関係であると思うな。」

ディーターの質問にリウイは静かな口調で説明し

「リウイお義兄様の言う通り、お義兄様やメンフィル帝国がおじいさまの後ろ盾ではないので、そこの所は理解の方をお願いします、ディーターおじさま。私とおじいさま――――マクダエル家とリウイお義兄様達との関係はあくまで”家族”としてです。」

「で、でもエリィ………何故メンフィル帝国の皇族と……それも皇帝夫妻や皇族達と直接的な繋がりがあるのに、その縁を頼ってクロスベルの今の状況を変えないのかしら?リウイ陛下達が介入すれば、クロスベルの今の状況をより良くすることは可能だと思いますし……」

リウイの説明に続くように話したエリィの説明を聞いたマリアベルは戸惑った表情で尋ねた。

「おじいさまが望まなかったの。お姉様達が死んだ父と母のようになってほしくなかったし、第一それをしてしまったらおじいさまを苦しめていたハルトマン議長達と同じ事をするようなものだもの。」

「なるほどな………………」

「敢えて苦難の道を選ぶとは………さすがとしか言いようがないですわね。」

「………………………………」

エリィの説明を聞いたディーターとマリアベルは重々しく頷き、アリオスは目を閉じて黙り込んでいた。

 

「……話は変わるがティオ。病院で再会した時から疑問に思っていたが……その翼はもう隠さなくていいのか?」

一方ある事に気付いたリウイはティオに視線を向けて尋ね

「………はい。私の事情を知った皆さんに受け入れてもらえましたので………これからはありのままの自分で生きていきます………!」

尋ねられたティオは頷いた後リウイに微笑み

「そうか………どうやらようやく自分の居場所を見つけたようだな………」

ティオの笑顔を見たリウイは静かな笑みを浮かべた。

「はい……今まで心配して下さってありがとうございました……私の居場所はここです!」

リウイの言葉に頷いたティオは笑顔で頷いた後、ロイドの右腕に抱き付き

「ちょ、ティオ!?」

「なっ!?」

「ティオちゃん!?」

「おおっ!?かかかっ!またもや面白くなりそうな予感!」

ティオの行動にロイドとラグタス、エリィは驚き、ギレゼルは驚いた後陽気に笑い

「ヒュ~、やるじゃないか、ティオすけ。」

「わあ……!結構大胆だね、ティオ♪」

ランディは感心し、シャマーラは微笑み

「なら私も……!私がロイドの一番目の恋人なんだから、ティオちゃんに負けていられないわ……!」

「ちょ、エリィ!?」

エリィは決意の表情でロイドの左腕に抱き付いて叫び、エリィの行動にロイドは驚いた。

「おお、お嬢も行ったか!……って、ん??今、お嬢、とんでもない事を言わなかったか………?」

「エリィ!?一体どういう事!?まさか貴女………!」

エリィの行動にランディが口元に笑みを浮かべた後ある事に気付き、マリアベルは驚いた後信じられない表情でエリィを見つめた。

「ええ………その……私、今日からロイドと恋人同士になったから。」

一方見つめられたエリィは頬を赤らめて嬉しそうな表情で答え

「ちょ、エリィ!今の状況で言わなくても……!」

エリィの言葉を聞いたロイドは慌てた。

 

「今日からだと!?お前達、一体いつそんな関係になったんだ!?」

「……さすがです、エリィさん……複数の女性と既に結婚しているリウイ陛下の正妃になったイリーナ皇妃の妹だけあって、既に正妻の位置を獲得していたとは……」

「………おい。そこで何故俺達を例えに出す?」

エリィの言葉を聞いたランディは驚き、ティオは感心した後エリィを見つめ、ティオの言葉を聞いたリウイは呆れた表情で指摘した。するとその時

「……ロイドさん?その話……詳しく聞かせてもらいましょうか………そして……覚悟はよろしいですね……?」

マリアベルは怒りの表情でロイドを睨みながら近付き

「貴様………!ティオにあれ程の事をされながら、既に他の女性と恋仲になっていたのか………!」

空にいたラグタスが急降下してロイドの近くに降り立ち、殺気を纏ってロイドを睨み

「あっははははっ!早速修羅場かい!それにしてさすが”部隊の父”と呼ばれているだけあって、一丁前に父親をやっているじゃないか、ラグタス!」

「我輩の予想以上の面白い事を予想外な場所で起こすとは……さすがだ………さすがだよ、ロイド!!くかかかかっ!」

「ハア………」

「フン、自業自得だな………」

その様子を見たエルンストとギレゼルは陽気に笑い、ルファディエルは疲れた表情で溜息を吐き、メヒーシャは鼻を鳴らし

「フフ、まさか私達の知らない内にエリィさんがロイドさんと恋仲になっていたなんて……」

「あたし達は何番目になるだろうね~?」

「………シャマーラ。」

セティとシャマーラは微笑み、シャマーラの言葉にエリナは頬を赤らめて諌め

「え”。ま、まさかセティ達も………」

「まあ………!フフ、とうとうあの娘達も恋を知ったようですね……」

セティ達の様子を見たウィルは表情を引き攣らせ、セラウィは微笑み

「あわわ……!」

ロイドは混沌とした状況に慌て

「全く、この非常事態に何をやっている………」

ダドリーは顔に青筋を立てて溜息を吐き

「わ~、これがしゅらばってばめん~?」

「キ、キーアちゃん……」

キーアは呑気そうに呟き、キーアの言葉を聞いたシズクは冷や汗をかいた。

「フッ………俺も負けていられないな。アル、エルファティシア。今回の件が終わったら3人でしないか?」

「うふっ♪相変わらず大胆ね、ヴァイスハイト。アルと一緒ならもちろんいいけど………やっぱりその前に2人っきりでしてもらうわ♪というか気になったんだけど、アルとはもうしたのかしら?」

一方ロイド達の様子を見たヴァイスは静かな笑みを浮かべた後エルファティシアとアルを抱き寄せて尋ね、尋ねられたエルファティシアは笑顔で答えた後アルに尋ね

「ええ、ヴァイスと再会したその日に抱いてもらいました…………」

「あはは、さすがね。」

自分の疑問に頬を赤らめて答えたアルの話を聞いたエルファティシアは苦笑し

「全く………生まれ変わっても女性にだらしないのは治らないのですか?」

エルミナは呆れていたが

「あらあら。もしかして妬いているのかしら、エルちゃん。」

「確かにそれはありえそうだね~。ヴァイス達と再会して一緒に旅を始めてから、ヴァイスと一緒の部屋を希望する事が結構多かったしね♪それでいつもアルと色んな勝負をしていたし。」

「~~~~!!!ルイーネ様!パティ!」

ルイーネとパティルナのからかいの言葉を聞いて顔を真っ赤にして2人を睨んだ。

「おのれ……!エルファティシアちゃんがいながら、あんな可愛い娘達ともそんなうらやましい事ができるだと……!?まさかロイドと同格のブルジョアジーがいるとは……!」

ヴァイス達の様子を見ていたランディはエルミナやアルに視線を向けた後、悔しそうな表情でヴァイスを睨んだ。

 

「フフ………どうやら私の助言通り、積極的に行動して好きな人の一番になれたようね、エリィ。」

「イリーナ………貴女、何てとんでもない事を教えているのよ………」

一方イリーナが微笑みながらエリィに話しかけ、イリーナの言葉を聞いたエクリアは呆れ

「はい………!ロイドの一番の恋人になれたのは結婚式の時に教えてくれたお姉様の助言のお蔭です………!」

話しかけられたエリィは嬉しそうな表情で頷き

「フフ、さすがはイリーナ様と血が繋がっているだけはあるわね♪エクリアといい、みんな複数の女性を侍らしている男性の正妻の位置になっているじゃない♪」

「………先程結婚式の時と言っていたが………一体、いつの間にそんな事を教えていたんだ………?」

「カ、カーリアン様……私がセリカ様の正妻だなんて恐れ多いですよ。セリカ様の正妻はサティア様ですよ………」

2人の会話を聞いていたカーリアンは口元に笑みを浮かべ、リウイは表情を引き攣らせながら呟き、カーリアンの言葉を聞いたエクリアは苦笑したが

「だが、俺にとって君が一番目の”使徒”である事は変わりない。君は俺にとって永遠の”第一使徒”だよ、エクリア。」

「セリカ様……」

セリカの言葉を聞き、頬を赤らめて嬉しそうな表情でセリカを見つめた。

 

「さて、ロイドさん………私の可愛いエリィを穢した罪を償う覚悟はできましたか……!?」

「……………………」

「マ、マリアベルさん、落ち着いて下さい!それとラグタスも!」

そして怒りの表情で睨みながら近づいて来るマリアベルと膨大な怒気を纏い、黙って拳を構えているラグタスに睨まれたロイドは慌てながら諌めようとしたその時

「お二人とも。ロイドさんにお話があるので、少しよろしいでしょうか?」

イリーナがロイドに近づいて2人に言い

「………仕方ありませんわね。この中でロイドさんを裁く権利で最優先されるのはエリィの姉君である貴女なのですから。」

「い”っ!?」

イリーナの言葉を聞いたマリアベルは溜息を吐いた後、口元に笑みを浮かべてイリーナに言い、それを聞いたロイドは表情を引き攣らせた。

「フフ、別にそんなつもりはありませんよ。……ロイドさん。私はエリィとの恋仲を応援していますよ。」

「は、はい!ありがとうございます……!」

「お姉様………ありがとうございます………」

イリーナに微笑まれたロイドは姿勢を正し、エリィは微笑んでいたが

「―――ただし。エリィを泣かせたら覚悟してもらいますからね?エリィ以外の女性達と付き合うなとは言いませんが………もし、その事によってエリィを蔑ろにして悲しませたら、リウイ達にも頼んで貴方を破滅させるつもりですので、その時が来ないようにちゃんとエリィを愛してあげて下さい。できれば私もエリィの好きな人を不幸にしたくありませんので。」

「フフ、大丈夫ですよ、お姉様。ロイドは誠実な人ですから、そんな酷い事はしないに決まっています。……そうよね、ロイド?」

「は、はい…………!」

すざましい威圧感を纏ったイリーナとエリィに微笑まれ、ロイドは突如襲ってきた恐怖感に身体を震わせながら頷き

「……………………」

リウイはロイドを哀れそうに見つめ

「課長、俺は破滅する方に賭けます!つーか、破滅しろ!課長はどっちに賭けますか!?」

「クク、そうだな………さて、どっちに賭けるか迷う所だな……」

「そんな下らない話に乗らないで下さいよ、セルゲイさん………」

ランディは真剣な表情でセルゲイに尋ね、尋ねられたセルゲイは口元に笑みを浮かべて考え込み、セルゲイの様子を見たダドリーは呆れた表情で溜息を吐いた。

 

「………フフ。シズク、無事で何よりだ。」

ロイド達の様子を静かな笑みを浮かべて見つめていたアリオスはシズクに話しかけ

「うん……お父さんも………!」

話しかけられたシズクは安堵の表情を見せた。

「さ、さてと。それじゃあみんな。そろそろ乗り込もうか――――」

一方気を取り直したロイドが仲間達に促したその時

「………ロイドたち、行っちゃうの………?」

キーアが心配そうな表情でロイド達を見つめた。

「ああ………でも大丈夫だ。絶対にキーアのところにみんなで戻ってくるからさ。」

「ええ……もちろんよ。戻ってきたらまた料理を手伝ってちょうだいね?」

「あ………」

ロイドとエリィの言葉を聞いたキーアは明るい表情をし

「確かにキーアが手伝ってくれたら魔法みたいに美味しくなりますし。」

「だったらいっそ、派手にパーティでもやろうぜ。知ってる連中全員、支援課に集めまくってよ。」

ティオはエリィの言葉に頷き、ランディは笑顔で提案した。

「はは………それもいいな。」

「フフ、けどそうなるとお父さんやリウイ様達も含まれますから、凄い顔触れのパーティになりますよ?」

「確かに言われてみればそうですね………」

ランディの提案を聞いたロイドは微笑み、セティとエリナは苦笑していた。そしてロイドはキーアに近づいてキーアの頭を撫でた。

「………キーア。本当は心細かったんだな。昔のことを覚えていなくて自分が誰かもわからなくて……ゴメンな、気付いてやれなくて。」

「ロイド………うん、何だかちょっとずつ、胸がモヤモヤしてきちゃって………でも………ロイドたちがいてくれてゼンゼン寂しくなかったよ………だから………だからね………!ゼッタイに無事に戻ってきて………!」

「ああ………約束だ!」

 

こうしてリウイ達は兵達をそれぞれ指揮をしてクロスベル市内の防衛を開始し…………ロイド達は雷竜ガプタールの背にセリカ、ハイシェラ、レシェンテ、リタ、エクリア、狐伯蓮と共に乗り込み、ヨアヒムが潜伏している”古戦場”の奥地にある遺跡に向かった……………!


 
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