No.604089

リリカル幽汽 -響き渡りし亡者の汽笛-

竜神丸さん

第10話

2013-08-02 12:37:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1501   閲覧ユーザー数:1473

「あら、なのは。いつの間に帰って来てたの?」

 

「あ、ただいま母さん!」

 

「「か、母さん!?」」

 

なのはの家族が経営しているという喫茶店、翠屋。そこへ立ち寄ったなのはが母親である高町桃子に声をかけられ、スバルとティアナは若過ぎる容姿をした桃子を見て驚愕する。

 

(あの人が、なのはさんのお母さん!?)

 

(嘘でしょ、いくら何でも若過ぎない…!?)

 

スバルとティアナがコソコソと話をする中、なのはは久しぶりに家族と話すからか楽しそうに桃子と会話しながら人数分のシュークリームを注文している。

 

「あ、ほら二人共、母さんに自己紹介してね」

 

「え、あ、はい! スバル・ナカジマです!」

 

「えっと、ティアナ・ランスターと申します!」

 

「あらあら、元気な子達ね♪」

 

なのはに言われて慌てて自己紹介する二人に、桃子は嬉しそうな反応をする。

 

そんな感じで、なのは達が楽しそうに話している中…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(くそ、面倒な事になった…!!)

 

メニュー表を使って、上手く顔を隠しているG女性がいた。

 

(冗談じゃねぇよ畜生、何でこんな所にあの女がいるんだよ…!!)

 

まさかこんな場所で管理局の魔導師を見かける羽目になるとは思っていなかった為に、G女性は内心ではかなり焦っていた。初めてなのはと相対した時に顔を見られた訳ではないのだが、念には念を入れて一応隠してはいる。

 

(シアンはこの事を知ってんのか…? とにかく、今は気付かれないようにしないとな…)

 

メニュー表を使って顔を隠し、こっそりとチラ見を繰り返しながらなのは達の様子を伺う。この時、さりげなくショートケーキを一口ずつ口に運んでいたりする。

 

その時…

 

 

 

 

「あれ、もしかしてなのはさん?」

 

桃子となのはが話しているところに、赤髪の男性店員が歩み寄って来ていた。

 

「あ、アレックス君!」

 

(ん、誰だ…?)

 

G女性がこっそり伺う中、アレックスと呼ばれた男性店員となのはが話している。

 

「久しぶり、なのはさん。中学校以来だね」

 

「うん、アレックス君も元気そうで何よりだよ」

 

「え、えぇっと…」

 

「なのはさん、この方は…?」

 

「あ、ごめんごめん、二人にも紹介しなきゃね」

 

会話に入れていないスバルとティアナに、なのはが紹介する。

 

「彼はアレックス君。私が通ってた中学校でのクラスメイトなの」

 

「初めまして、僕はアレクサンドラ・ヴィアッジ。呼び方はアレックスで良いよ」

 

(…!)

 

「あ、はい! スバル・ナカジマと申します!」

 

「私はティアナ・ランスターと申します!」

 

「よろしくね、二人共」

 

アレックスの丁寧な挨拶にスバルとティアナが慌てて敬礼しつつ挨拶する中、聞き耳を立てていたG女性が僅かにピクッと反応する。

 

「ところでアレックス君、どうしてこの翠屋に…?」

 

「少し前からここでアルバイトしてるんだ。大学の授業とも両立出来るスケジュールになってるし、ちょうど良いかなと思って」

 

「アレックス君には大助かりしてるわ。仕事も早いし、真面目で良い子だもの。なのはのお婿さんにいっても文句無いくらいだわ」

 

「え…ふぇぇぇぇぇ!?」

 

「ちょ、桃子さん!? いきなり何を言ってるんですか!!」

 

桃子からとんでもない爆弾発言になのはとアレックスが顔を赤くして慌てふためき、爆弾投下した張本人は「あらあらまぁまぁ」と楽しそうに見ており、スバルとティアナは思わずポカーンと口開けて呆けたりと色々カオスな状況になるのだった。

 

しかし、そんな中…

 

(ふぅん、なるほどな…)

 

G女性は様子を伺いつつ、小さく笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、私達はアリサちゃんのコテージに戻るから」

 

「うん、後で美由希さん達と一緒に立ち寄るよ」

 

その後、シュークリームを買い終えたなのは達は家族やアレックスと別れ、翠屋から立ち去っていく。そしてアレックスは桃子から頼まれた買出しを終えてから、後でまた合流するようだ。

 

「さて、まずは買出しに行かないと…」

 

アレックスは渡されたメモを見つつ、買出しへと向かっていく。

 

その後ろから…

 

「さて」

 

会計を終えて翠屋から出てきたG女性が、アレックスの後姿を睨み付ける。

 

(管理局に邪魔されると面倒だ、ちゃっちゃと終わらせるとするか…)

 

G女性は黒いパスを手に持ち、アレックスを後ろからコッソリと尾行し始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、砂漠に停車してる幽霊列車では…

 

「あぁ~畜生ぉ~…暇だぁ~…」

 

ファントムが暇そうな様子で席に座って寛いでいた。自分以外の全員が出かけてしまった為に、自分は留守番を任されてしまったのだ。

 

「何でだよ、何で俺だけいつも留守番任命されるんだよ……暇で暇でしょうがねぇじゃねぇか…」

 

ファントムは愚痴を零し続けるが、残念ながら彼の愚痴を聞いてくれる者はここにはいない。

 

「はぁ…」

 

-コンコンッ-

 

「…あ?」

 

その時、列車の窓を叩く音が鳴る。

 

「何だ…?」

 

『クカカカカカカカッ!!』

 

「うぉう!?」

 

ファントムが窓を開けた瞬間、悪魔のような羽の生えた頭蓋骨―――シャレコウベが車両内に入って来た。

 

「ちょ、いきなり何だってんだオイ!!」

 

『クカカッ!』

 

「あ、何……手紙?」

 

『クカカカカカカカッ!!』

 

「あ、おい!?」

 

シャレコウベが口に咥えていたのは、一枚の手紙だった。ファントムがそれを受け取ると、シャレコウベは車両の窓から外に出て、また何処かへ飛んでいってしまった。

 

「何だってんだ一体…」

 

ファントムが手紙を開けて読んでみる。

 

「…へ?」

 

内容を読み終え、ファントムは思わずそんな間抜けな声が出てしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて。早く買い終えて戻らないと、桃子さんや士郎さんに迷惑かけちゃうな」

 

スーパーまで買出しに向かっている途中のアレックス。そんな彼をコッソリ尾行していたG女性は、物陰に隠れつつ彼の様子を伺う。

 

(しかし、どうやって実行するか……やっぱり直接とっ捕まえるか?)

 

G女性が考えいたその時…

 

「よぅ姉ちゃん、何してんだい?」

 

「一人か? へっへっへ…」

 

またしても、二人組のナンパ男達が近づいて来た。

 

「……」

 

「俺達と遊ばないか…って、ぐぇっ!?」

 

「ちょ、何だうごぇっ!?」

 

思わぬ邪魔者に、ついイラッとなったG女性はナンパ男達の首元を掴んで路地裏へ入り…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※少しだけお待ち下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ~スッキリした」

 

G女性が路地裏から出てきた。その後ろでは、ナンパ男達が半殺しにされてボコボコの状態で横たわっている。

 

「ん……あ、しまった!? 見失った!!」

 

しかしナンパ男共を半殺しにしている間に、アレックスの姿を見失ってしまった。

 

「くそ、やっちまった…あぁもう面倒くせぇ…!!」

 

G女性は面倒臭そうに頭を掻きつつ、再び捜索を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…む」

 

「おぅどうした、見つけたか?」

 

一方で、ターゲットの捜索を続けていたダリルが何かを発見していた。それにシャドウが反応し、寝転がっていたところから飛び起きる。

 

「いや、見つかったのはターゲットではない」

 

「えぇ~…何だよ期待させやがって…」

 

それを聞いてシャドウは寝転がる。

 

「ターゲットではないが……ターゲットの家族であろう人物なら見つけた。ターゲットの居場所を吐かせるのが一番だろう」

 

「…ほぅ」

 

再度飛び起きるシャドウ。

 

「なら、さっさと向かうとしようかね」

 

シャドウは一枚の御札を取り出し、それを自分の影へと落とす。すると御札がシャドウの影の中へと入り込んでいき…

 

-ズズズズズ…-

 

『『『クカカカカカカカッ』』』

 

『『『ケタケタケタケタ…』』』

 

代わりに、シャドウの影から複数のスケルトンイマジンが排出された。

 

「さぁて、行って来いポンコツ共!!」

 

『『『クカカカカッ!!』』』

 

『『『ケタケタケタケタケタケタケタケタ…!!』』』

 

シャドウの指示を受けたスケルトンイマジン達はカトラス剣を構え、その場から一斉に出撃するのだった。

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
2
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択