ベルトゥギスはマルカルスに仕事を任された帰り道に、ふと路地裏が気になった。ただ何となくなのだが、何かあると勘が彼に囁きかけてくるのだ。
「……行くか」
樽に引っ掛かっていたボロ布で服装を隠してから、ずんずんと進んでいく。
ベルトゥギスが入って行った場所は陰で“鼠地区”と呼ばれる最も治安の悪い地区だ。窃盗・殺し・奴隷売買なんでもありと言っていい。秩序などあったものではない。だからこそ、ベルトゥギスは上からボロ布を外套代わりに羽織っているのだ。
「とくになんとも………あったな」
ベルトゥギスの視線の先。恰幅の良い男が護衛のゴロツキと共に人を売っていた。奴隷商人だ。じっと目を凝らしそのデブの方を見るともう一人人影があった。
もっと近づく。
「おぉ!そこのお若い方、この若く瑞々しいエルフの生娘はどうですかな?」
「奴隷ねぇ……いくらだ?」
薄い笑みを浮かべ商人に問うと、ゴロツキがピクリと武器に手を触れた。
そんなピリッとした雰囲気の変化に商人は気付かない。
(自分で誰もさらった事もないな。コイツは)
「そうですね。1万リム(約200万)でどうでしょう?」
額を言われてからやっとベルトゥギスは奴隷として売られている少女に目を向けた。豊かな緑の長髪に紫(アメジスト)の瞳、まだ大人と言うには少しばかり幼いその少女はベルトゥギスと歳もあまり変わらない様に見える。しかしながら、エルフであるため容姿と年齢は比例しないことはざらだ。
彼女はベルトゥギスをとても警戒しているらしく、耳をピクピクと動かしベルトゥギスの出方――もとい買うか買わないかに対し緊張している様だ。
そんな彼女にベルトゥギスは無感情な視線を投げかけた後すぐに視線を商人に戻す。
「…ほら、金だ」
「お買い上げ誠にありがとうございます!しっかりマジックジャマーの首輪を施してありますので、大丈夫ですよ」
「…行くぞ」
「は、はい!」
普通ならば呪詛が刻まれた首輪に繋がる鎖を掴み引っ張って行くのだが、ベルトゥギスは違った。少女の手を掴み歩き出したのだから商人は少し驚いたらしくベルトゥギスの耳に彼が息を呑む音が聞こえた。
だが、それを気にした様子もなくベルトゥギスは少女の手を引きその場を後にした。
立ち去る最中、後ろを振り返ることなく少女に聞いた。
「名前は?」
「ルージェ・サウスガーデン…です」
「無理に敬語は使わなくていい。普通に話せ」
「は?……う、うん」
一瞬振り返るとルージェに小さく微笑み、目的の場所へと足を速めた。
メインストリートを歩く二人に好奇の視線が注がれる、主に男達からのルージェに対する肉欲によるものであるが。だが、男達は彼女に手を出そうとはしない。それはなぜか?理由はベルトゥギスにある。彼は良くも悪くもこの街では有名であるからだ。トロールを一刀両断したらしい――という噂に始まり。裏でやましい事をしている――という根も葉もない言い掛り気味のものまでもある。それだけのせいではないが、それでもベルトゥギスはそのことを気にする事はなかった。
そんな視線に耐える事数分。ベルトゥギスの目的の場所へ着いたらしく、彼は足を止めた。
その大きな建物を不思議そうに眺めた後、ルージェは小首を傾げながら呟いた。
「赤熱の刃?装備品ショップ?」
「行くぞ、ルージェ」
「う、うん!」
赤熱の刃の店内に入ると、一気に視線が集まった。今回は先ほどと違いルージェに視線が集まることはなく、全てがベルトゥギスに注がれた。
「聞いたぜベル坊。あの“まどろみの龍”の所に行くんだってな」
「ああ、もう情報がまわってたか。相変わらず耳が早いな、おっさん」
「たりめーよ。情報は鮮度が命なんだ。もたついてられっかよ。……それで、だ。ベル坊。その可愛らしいエルフの嬢ちゃんは誰だ?」
敵意の込められた視線にびっくりしたルージェは無意識にベルトゥギスの後ろに隠れた。
「俺の召使いだ。文句ないだろう?」
「…というより、文句を言えないな。お前相手だと」
「ならいいだろ。それに今日はお前に用はない」
ばっさりと男の言を切ると、ルージェを連れて更に奥へ進む。
「よう、ガルス。頼みたい物がある」
「オレに頼むってぇ事は、その後ろに居る娘の装備だろ?じゃあ、メリナス呼んでくるから待ってろ」
ガルスが奥へ引っ込むと同時に、ルージェが緊張を解いた。
まあ、流石にあの強面具合は初対面には少しばかり辛いだろう。精神衛生面上辛いだろう。
しょうがなさそうにベルトゥギスは懐からアメを取り出した。
「ガキ扱いすんなし!」
「それだけ元気ありゃ大丈夫だな」
「ぐっ……」
上手い事ベルトゥギスに誘導されたことにルージェが癇癪を起したがベルトゥギスは素知らぬ顔。ルージェは受け取ったアメをバリボリと噛み砕く。
そんな兄妹の様なやり取りをしていると奥からメリナスを連れたガルスが帰って来た。
「待たせたな。ベル」
「いや、そうでもない。それじゃあ、こいつを頼むぜ」
「えぇ、任せて」
「値は抑えてくれると嬉しい」
「しょうがないわねぇ。あんた」
「ああ、ベルの頼みならしゃあない。少し安くしといてやるよ」
「サンキュ」
ルージェの首根っこを掴んで前に出すとメリナスと一緒に奥へ消えていった。
二人の姿が見えなくなった所でガルスは声をひそめ気味にベルトゥギスに疑問を投げかけた。
「おい、ベル。どういうこった?なんでお前がエルフなんぞと一緒に居る?」
「買った」
「てーことは奴隷か?」
「まあ、そんなところだ。けど、手出すなよ?」
「ハッ。馬鹿言うんじゃねぇよ。そんなことしちまったらメリナスに殺されちまう」
ぶるぶると震えあがるガルスにベルトゥギスが冷笑を浮かべると、ガルスは少し癇に障ったらしくベルトゥギスの頭をどついた。
「つかさ。お前手持ちあんの?」
「馬鹿言うなよ。馬鹿亭主」
「喧嘩売ってんのか?あ゛ぁん?」
「やってやろうか?えぇ?」
「いいだろう!やってやろうじゃねぇか!!」
「メリナスさーん!!このおっさん喧嘩しようとしてますよ!!」
「てめっ。何バラして……」
顔を青くしてベルトゥギスを止めようとするが時すでに遅し。
「あんた?」
「いや、違うんだ。これは」
「ベルちゃん。あの子の装備はもう渡しておいたから、お金はそこの机の上に置いておいてちょうだい。あたしは旦那に用事があるから。ねぇ、あんた?」
「ひぃ…!?」
「ん、分かった。行くぞルージェ」
走り寄って来たルージェは種族の事を鑑みて、エルフの鎧に人間の技を注ぎこんだ物らしくルージェの緑色の髪がよく映える。丸見えのおへそあたりを手で押さえて恥ずかしげに頬を赤く染めている。先ほどまでと露出率は変わらないのに何故そんなに反応が違うのだろう?とベルトゥギスは内心疑問に思ったが、前にも(他の女性だが)このような事を聞いた時に機嫌を損ねてしまった事があったので今回は口に出したりしない。そう出したりしない。
「恥ずかしがってる場合か。お前の武器も買わなきゃいけないんだ。さっさと言え」
「~~~~~ッ!!」
「弓か、剣か?槍か?」
「……弓と槍。けど、槍の方が得意」
「それなら槍か…槍なら買わなくても済むな……ふむ、それじゃあ、最も懸念していたそれをどうにかするか」
「首輪?」
「それがなかったら魔法を使えるんだろ?」
さも、そんなもんさっさと取っちまうべきだろ?と口にしていないまでも言っているも同じだ。流石にここまで信頼をされていると思わなかったらしく目を点にして黙ってしまった。そんな彼女を不思議そうにベルトゥギスが眺めているとハッと現実世界に舞い戻って来た。
「な、なに見てんだ、バーカ!」
「いや、なんで呆然としてるんだ?ほら、その手のプロの所に行くぞ」
「プロ?」
「ああ、騙しのプロさ。それくらいの質ならすぐに用意出来るだろ」
「でも、水銀を固形にする技術はマネ出来ないんじゃ…」
「文字を彫るだけだがな。と言ってもその真似る技術が天下一品なのさ」
ニヤッと悪い笑みを浮かべるベルトゥギスにルージェが少し引き気味な感じの表情を浮かべていたが、それをガン無視して、またルージェの手を引っ張って歩き始める。向かう先は鼠地区の先の更に奥。それはそうだろう。なにせ目当ての人物の行う作業自体が非合法かつ見つかれば即監獄行きの代物なのだから。
だが、どうしても鼠地区を通るとルージェへと視線が集まってしまう。
「…目立つのもあんまり良い事ないよな」
「うぅ……」
ベルトゥギスに怒鳴り返した時の威勢はなく彼の服の裾を握って後ろに隠れている。その姿でさえも男たちにはそそる光景であった。ただし、邪魔者としてしか見られていないベルトゥギスには鋭い視線が送られているが、彼が腰に佩いている長剣に威圧されて何も言えずに居た。
その男たちへ冷笑を向け、更に進む。
やっと、足を止めたベルトゥギスの視線の先を追ってルージェが目線を上げると、かなり年季の入った建物があった。ベルトゥギスが何の躊躇いもせずにドアを開くと中から甘ったるい香料の香りがふわりと漂ってきた。香りに顔を歪めながらベルトゥギスに続くと、奥からコツコツとヒールで歩く音が寄って来た。
「あらぁ、ベル。何か用かしらぁ?」
「久しぶりだな、ファーメル。仕事を持ってきた」
ベルトゥギスが親しげに声を掛けた方へルージェは視線を向けた。
そして、びっくりしてベルトゥギスの後ろへと隠れてしまった。
紫の髪と黒曜石の様な瞳に身体に纏わりついているような布の服。この街で見かける事のなかったタイプの人物だ。
「仕事ぉ?私(わたくし)はてっきり相手をしてくれるのかと思ったのだけどぉ?」
「すまないがそれは今度な。仕事ってのはコイツの首にある首輪の偽装だ。キャンセラーが作動しないように一文字のみ変えておいてくれ」
「分かったわぁ。それで、お代は何かしらぁ?」
「今度、オーガの心臓を持ってくるってのでどうだ?」
ベルトゥギスが言うとファーメルは恍惚とした表情を浮かべ彼を正面から抱きしめた。
「んなぁ!?」
「真っ昼間から抱きつくな暑苦しい」
「いいじゃなぁい。今夜もどおぉ?」
「いや、当分やめておこう。俺も色々とやる事があるからな」
薄い笑みを浮かべファーメルの申し出をやんわりと断るとルージェを自分の前に出した。ファーメルは、残念そうな表情を浮かべたが紙にルージェの首輪の形と刻まれているルーン文字を精密に複写している姿を見ると、先ほどまで変な|女性(ひと)だなぁ。と思っていたルージェだったが、頼まれた仕事を黙々とするところを見ると真面目ではあるのだなと確認できた。
「どれくらいで写し終わる?」
「もう終わるわぁ」
「相変わらず仕事が早くて助かる」
「それがウチの売りだからねぇ」
片手間に返事をする。だがすぐに、
「はい。終わったわよぉ」
「受取りは1週間後でいいよな?」
「えぇ、もう少し早く済むかもしれないから、その時は使いを送るわぁ」
ニコリと笑ったファーメルを確認すると、ベルトゥギスはルージェの手を引っ張って後にした。
ある程度歩いた頃だった。ルージェは疑問に思う。なぜ、彼は自分の扱いが“奴隷”ではないのだろう?心底不思議そうな表情でベルトゥギスの顔を見る。なんで?そう言ってる様に見えたベルトゥギスは、しょうがなさそうに口を開いた。
「特に理由はない。“奴隷”ってもんが気に入らなかっただけだ」
ぶっきらぼうに告げると少し足早に歩きだす。そんな彼の後ろ姿にルージェは自然と笑みが零れた。
彼女は幼い頃より人間が如何に極悪非道か、救いようがない種族かというものを教え込まれてきたのだ。だから、あの商人に捕まって奴隷としての首輪を付けられた時には舌を噛み切ろうとした。
だが、出来なかったのだ。それも首輪の効力のうち。だから、彼女は絶望していた。どんな奴に買われるのだろう?変な事されるんだろうか?そんな恐ろしい想像をしていた矢先に現れたのがベルトゥギスだった。他の男達のような肉欲にまみれた血走った眼ではなく、値踏みするような視線。だが、乳房の大きさやスタイルを見ているのではなく、筋肉の付き方を見ていたのだ。そして買われて連れていかれる時、首輪から垂れる鎖ではなく手を引いた事がルージェの中で決定的だった。
この人は他のゲス共とは違う。対等に自分を扱ってくれる。
こんなことはエルフの里でもなかった事だ。エルフの里では地位は最も最下の“フェルム”であったし、初めての人間の町では奴隷。そんなルージェを対等に扱ったベルトゥギス。ただそれだけの事がとても嬉しかったのだ。
「ベルさん」
「なんだ」
「…ありがと」
「……」
何も答えずにそっぽを向いたベルトゥギスをクスリと笑うと、少し急いで肩を並べる。彼とずっと居ようなんて事は考えない。ただ、人間性――エルフなので“人間”性かは謎だが――で肩を並べたいと一緒に居た期間は短いのにそう思える。ベルトゥギスにはそんな引き付ける物があった。
「家に行くぞ。槍は倉庫に保管してある」
「家にあるってどーいう事なの?ベルさん長剣使いっしょ?なのになんで持ってんのよ?」
「まあ、見たら分かるだろう」
曖昧に答えるベルトゥギスが珍しく、なんとなく目を逸らすのが惜しいと思ったルージェはじっとベルトゥギスを見ていたが、彼はそれが気に入らなかったらしく、ルージェの手を掴むと少し早足で歩き始めた。これまで仏頂面しか見れていなかったせいか、そんな表情の変化がとてもおもしろかった。
移動に10分程かかったが、無事ベルトゥギスの家に到着した。
「で、デカ……っ」
「そうか?小さい方だと思うが」
確かに周りに建つ家々と比べれば小さいが、一般的家と比べれば十二分に大きいだろう。
「まあ、入れ。槍取りに行くぞ」
「あ、うん。でもどんな槍なのさ?」
「ああ、こいつの兄弟姉妹の様なもんだ。知り合いに刀匠が居てな。そいつに鍛えてもらったんだ」
ベルトゥギスの交友関係の広さにまたルージェは驚いた。騙しのプロに始まりこのような業物を作れる刀匠ときたものだ。
そんな感じで苦悩と言うか感慨深げにしているとベルトゥギスはまた彼女の手を引いて地下にある武器庫へと引っ張っていく。実際は武器庫とは名ばかりのもので置いてあるのは例の槍とベルトゥギスが新しく武器を作る為の材料のみである。
「これ?」
「そうだ。だが、ここでは振り回すなよ?」
希少金属のインゴットと特殊加工の大きなタルを部屋の端っこへと移動させている。なにせ、この素材達はベルトゥギスにとっては秘密兵器と言ってもよい代物だ。未だに“武器”としては作り上げてはいないが――
「それにしても――」
「なんだ、不満か?」
「いや、逆に凄過ぎてコレ貰っていいの?」
「確かに、コレをなんの考えもなしに渡すのはただのバカだろうな。けれど、ルージェ。お前は戦闘で絶対に使える」
ベルトゥギルの確信に満ちた物言いにルージェは首を傾げた。そんなに自分は使えるような人材なのだろうか?と。
「納得していないようだな?」
「そうね」
「まあ、やってみれば分かるさ。そうだな、偽装した首輪が出来上がるまでの1周間でお前を鍛えようと思う。魔法なしでな」
「身体強化の魔法なしで!?」
「ああ、お前の筋肉の付き具合での俺の見解だが……確実の強くなるだろうな」
わしゃわしゃとルージェの頭を乱暴に撫でると、広い庭へと彼女を連れていく。
青々とした芝生に手入れの行き届いた花壇。その中央で槍を構えるルージェと長剣の柄に手を掛けた状態で佇むベルトゥギス。
「本気でいっていいんだよね?」
「無論だ。というかそうじゃなきゃ意味がないだろう?」
ニッとベルトゥギスが笑うと長剣を抜き放ち悠々と構える。
先に動いたのはルージェ。大きく一歩踏み込むと同時にベルトゥギス目掛け槍を振り下ろす。が、ベルトゥギスは剣を抜く事無く素手で槍を掴むとルージェを投げ飛ばした。それからも基本反撃する事はなく投げ飛ばしたり、切っ先を弾き飛ばしたりを繰り返した。時折キチンと受けはしたが、それは数回だった。
そして、ルージェも3回目でベルトゥギスの考えに気付き率先して受けられた攻撃からの絡め手を繰り出す。が、途中て弾き飛ばされる攻撃が増える。
「いきなり3手、4手目を考えるな。まず2連撃までを身体に覚えさせろ。完璧だと思ったら手数を増やすんだ」
「はぁあああ!やぁっ!」
右に左に槍を回転させベルトゥギスに刃を振るう。
弾かれる。薙ぐ。弾かれる。振り下ろす。受ける。薙ぐ。弾かれる。
ひたすらに身体を止めない様に槍を振り回す。弾かれても、逆にその勢いで身を回し逆から槍を薙ぐ。
「その調子だ。勢いを殺すな。逆に自分の物にしろ。速度を味方につけるんだ」
ベルトゥギスが教える度にルージェの動きが加速する。ただ加速するだけではない。槍をしならせ勢いを付け、動きの無駄を省いていく。
求める形は雷の如き速さ。
だが、魔法がない今は無理だろう。
(ここだッ!!)
振り下ろしから鋭い突き。ベルトゥギスは驚いた様に目を見開いた。ルージェの槍が薄い一筋の紅い線を彼の頬に描いた。
ゾクリ
ルージェの背筋に冷たいものが走り抜ける。
ベルトゥギスが長剣を振るいルージェの手から槍を弾き飛ばす。更に一歩踏み込みルージェの喉元に切っ先を突き付けた。
フラリと力が抜けた様にルージェがへたり込む。ベルトゥギスは素早く長剣を収めルージェの目の前にしゃがみ込んだ。
おっかなびっくりベルトゥギスを見ると、笑顔で乱暴に頭を撫でた。ビクッと敏感に反応したルージェだったが、ただ撫でられているだけだと分かったところで、その心地良い感触を享受することにした。
すぐに撫でるのをやめるとルージェは不満げにベルトゥギスを見つめたが、そんなの関係ないと言わんばかりに軽く頭を小突かれたのでやめた。
「うん。初日にしてはいい筋だ。明日からはもっと厳しくするからな、覚悟しておけよ?」
「う゛……」
そして、ルージェにとってもっとも辛いと言っていい1週間が始まった。
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